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2019年7月19日 (金)

上昇幅が縮小した消費者物価指数(CPI)は先行きさらに減速するのか?

本日、総務省統計局から6月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月からやや縮小して+0.6%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の全国消費者物価0.6%上昇 通信料値下げで伸びは鈍化
総務省が19日発表した6月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.6と前年同月比0.6%上昇した。プラスは30カ月連続となったが、上昇幅は前月(0.8%)に比べて縮小しており、2017年7月(0.5%)以来の低水準となった。携帯電話大手が通信料金を引き下げたことが物価の下げ圧力となった。
QUICKがまとめた市場予想の中央値は同じく0.6%上昇だった。電気代などが前年に比べると依然として高い水準にあることや、人件費などが上昇している外食が、全体の物価を押し上げた。
もっとも、伸び率は前月からプラス幅が0.2ポイント縮小した。ガソリンが前年同月比でマイナスに転じたほか、足元で電気代や都市ガス代の上昇幅が縮小したことが響いた。携帯電話の通信料は大手各社の値下げの影響で、前年同月比で5.8%の低下となった。
生鮮食品を除く総合では全体の57.9%にあたる303品目が上昇した。下落は162品目、横ばいは58品目だった。総務省は「緩やかな上昇が続いている」との見方を据え置いた。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.5と前年同月比0.5%上昇、生鮮食品を含む総合は101.6と0.7%上昇した。天候不順の影響で、さくらんぼなどの価格が上昇したことが影響した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+0.5~+0.7%のレンジで中心値が+0.6%したので、ジャストミートしたといえます。また、引用した記事のタイトルはいかにも携帯電話の通信料金が、生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)上昇率縮小の要因であるかのような雰囲気を出していますが、私が従来から指摘している通り、我が国の物価はむしろエネルギー価格に敏感であり、特に、6月統計ではガソリンが5月の前年同月比+2.8%上昇から6月には▲2.7%と下落に転じたことから、ガソリンだけで5月から6月にかけての寄与度差が▲0.12%あり、ガソリンを含むエネルギー全体では寄与度差が▲0.19%となっていて、ほぼほぼエネルギー価格の動向だけでコアCPI上昇幅の縮小が説明可能です。他方、通信料(携帯電話)の前年同月比上昇率は、5月の▲4.2%下落が6月に▲5.8%に拡大したものの、寄与度差はわずかに▲0.03%に過ぎません。携帯電話通信料が消費者物価を押し下げたのは事実ですが、エネルギー価格ほどの影響ははなかったといえます。物価の先行きについて考えると、幼児教育の無償化が10月から始まれば、エネルギー価格の鈍化と相まって、この先CPI上昇率はさらに縮小すると私は予想しています。すなわち、消費税率引き上げの影響を除くベースで考えて、当面の足元では6月統計並みの+ゼロ%台半ばが続き、10月以降はゼロ%台前半にまで上昇率が縮小する可能性が高いと考えるべきです。

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