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2019年8月31日 (土)

代打中谷選手の決勝ホームランでジャイアンツに快勝!!!

  RHE
読  売000200000 251
阪  神02000011x 4100

ゼロ行進ではないにしても、まずまずの投手戦でしたが、ラッキーセブンに代打中谷選手の決勝ホームランでジャイアンツに快勝でした。8回には、4番から降格され、とうとうスタメン落ちまでした大山選手が見事な三振振り逃げでダメを押し、最後は藤川投手が最終回を締めました。鳥谷選手は代打の出番すらなく、ベンチウォーマーでした。

明日は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書や教養書・専門書から話題の小説まで計6冊!!!

今週も、経済書2冊をはじめとして、中国史などに関する教養書・専門書から流行作家の小説まで、以下のとおり6冊ほどの読書なんですが、決して読書感想文で明らかにできない本も読んだりしています。なお、すでに自転車で図書館回りを終えており、来週の読書も数冊に上る予定ですが、「読書の秋」を終えたくらいの段階で、そろそろペースダウンも考えないでもありません。

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まず、ジョセフ F. カフリン『人生100年時代の経済』(NTT出版) です。著者は、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者であり、エイジラボ(高齢化研究所)の所長を務めています。英語の原題は The Longevity Economy であり、2017年の出版です。邦訳タイトルは長寿ないし高齢を意味する longevity を人生100年時代としていますが、かなりの程度に直訳に近い雰囲気です。ということで、タイトルから理解できるように、あくまで「経済」であって「経済学」ではありませんから、製品開発なども含めた広い意味での高齢化社会への対応を解説しようと試みています。どちらかといえば、マーケティング的な視点を感じ取る読者が多そうな気もします。もちろん、その前提として、高齢化社会、ないし、人生100年時代の経済社会の特徴を明らかにしています。ただし、米国の研究者らしく、政府による政策や制度的な対応はほぼほぼ抜け落ちています。日本でしたら、医療・年金・介護などの政府に頼り切った議論が展開されそうなところですが、そういった視点はほぼほぼありません。まず、高齢者とは従来のイメージでは、働けなくなった、ないし、引退した世代の人々であり、従って、収入が乏しいという意味で経済的には貧しく、もちろん、肉体的にも不健康であり、これらが相まって、不機嫌な傾向も大いにある、ということになります。本書ではもちろん登場しませんが、その昔の我が国のテレビ番組で「意地悪ばあさん」というのがあり、私はそれを思い出してしまいました。しかし、本書で著者が主張するのは、従来の意味での高齢者像は人生100年時代に大きく変化している、という点です。ただ、統計的な評価ではなく、アクネドータルにトピックを紹介している部分が多いんですが、うまくいった商品、ダメだった商品の例などは単なるケーススタディにとどまらず、大きな経済社会的な方向感をつかむことができるかと思います。なお、注釈にもありますが、著者は「商品」という言葉ではなく、「プロダクト」を独特の用法で多用します。本論に戻ると、単に高齢者のニーズが従来から変化した、というだけでなく、年齢を重ねても元気で生活や消費だけでなく、あるいは、労働の継続まで含めて、高齢者の生活の中身そのものが従来とは異なる、という点が重要なのではないかと私は考えています。

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次に、タイラー・コーエン『大分断』(NTT出版) です。著者は米国ジョージ・メイソン大学の経済学の研究者であり、マルカタス・センターの所長を務めています。「マルカタスト」とはマーケット=市場という意味らしく、市場原理主義者ではありませんが、リバタリアンと解説されています。英語の原題は The Complacent Class であり、2017年の出版です。同じ著者の出版で『大停滞』と『大格差』も話題を呼んだと記憶しています。ということで、著者のいう「現状満足階級」とは、著者自身は NIMBY = Not in My Backyard と解説していますが、同じことかもしれないものの、私が理解した限りで、いわゆる総論賛成各論反対の典型であり、経済社会の改革や変革を望みながら、自分自身の生活や仕事の変化は望まない、という人たちであり、これも私が本書を読んだ限りでは、著者は、大きな変革が生じにくくなっていることは強調している一方で、これが「現状満足階級」に起因している、ことはそれほどキチンとした証明とまでいわないまでも、あまり言及すらしていないような気がしました。まあ、私が読み逃しているだけかもしれません。他方で、デジタル経済の下で格差が広がっている点については、いわゆる「スーパースター経済」が進んでいるわけですから、これについては、いろんな論点がほぼ出尽くしている気がします。経済については、開発経済学の見方を援用すれば、要するに、先進各国ともルイス転換点を越えたわけですから、大きな変革は生じようがありません。他方で、新興国途上国やはルイス転換点に向かっていますから、かつての日本のような高成長が可能になっています。ただし、そのためには、いわゆる「中所得国の罠」に陥ることなく成長を続ける必要があり、中国やかつてのマレーシアなどが、私の目から見てかなりの程度に「中所得国の罠」に陥ったのは、あるいは、本書で指摘するような「現状満足階級」が何らかの影響を及ぼしている可能性はあります。でも、先進国ではそういったことはないような気がします。ですから、私は本書の主張が先進国の中の先進国である米国に当てはまるとは考えないんですが、逆の方向から見て、第8章の政治や民主主義の点が典型的なんですが、政治や社会的な動向への影響については考えさせられるものがありました。「現状満足階級」が、カギカッコ付きの「社会的安定」に寄与している一方で、最終章で著者が主張するように、「現状満足階級」が崩壊するとすれば、新しいタイプのアヘンであるSNSが廃れて、再び米国で暴動が発生するようになったりするんでしょうか。著者は何ら気にかけていなさそうですが、背景には直線的な歴史観と循環的な歴史観の相克があるような気がします。

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次に、岡田憲治『なぜリベラルは敗け続けるのか』(集英社インターナショナル) です。著者は、専修大学法学部の政治学の研究者であると同時に、学生運動から入った政治活動家であり、バリバリの左翼リベラルのようです。ただし、社会党系であって、共産党系ではないような印象を受けました。ということで、どうしてリベラルが敗け続けるかというと、p.28でいきなり回答が一言で与えられており、「ちゃんと政治をやってこなかった」ということのようです。この一言を本書の残り200ページあまりで延々と展開・議論しているわけです。私の歴史観は確信的なマルクス主義に則った唯物史観で、その他の経済学や政治的なものの見方まですべてがマルクス主義的というつもりはありませんが、基本的には、経済的な下部構造が政治や文化などの上部構造を規定して歴史が進む部分が大きいと考えています。そして、下部構造の経済とは生産構造と生産力です。生産構造は原始共産制から始まって、古典古代の奴隷制、中世の農奴制、そして近代資本主義、願わくは、社会主義・共産主義と進み、生産力は生産構造の桎梏を超えるかのように向上し続けます。脱線しましたが、著者は、どうもこの経済の下部構造に関して考えを及ばせることなく、反与党での野党統一しか頭にないように私には読めました。1930年代の反ファシズムの1点だけによる統一戦線戦略、まさに、スペインで成功するかと思われたコミンテルンのディミトロフ理論に基づく統一戦線の結成は、私も現在の日本でもあり得ることとは思いますが、その前に経済的な観点が左派やリベラルには必要です。ですから、第7章のように、「ゼニカネ」の話で政治を進めることが重要なのですが、実は、そこに目は行っていないようにカンジます。私も定年を超えて、かつてのような公務員としての強固な雇用保障もなく、パートタイム的な働き方をしているとよく判りますが、特に年齢の若い層では安定した仕事も収入もなく、ややブラックな職場で結婚もできず将来も見通せないような生活を余儀なくされて、憲法や自衛隊や、ましてや、北朝鮮のことなどには目が届かず、毎日の生活に追われている国民は決して少なくありません。特に若年層のこういった不安定な生活の克服こそ政治が目指すべきものではないんでしょうか。もちろん、自由と民主主義が確保されてこその生活の安定ですから、自由と民主主義が保証されなくなるともっとひどい収奪に遭遇する可能性があるわけですから、集団自衛権や特定秘密保護などはどうでもいいとは決して思いませんが、リベラルや左派が往々にして無視ないし軽視している経済や生活といったテーマを本書の第7章で取り上げておきながら、第8章以降ではまたまた国民目線を離れて、安定した職と収入あるエリートの見方に戻っています。3月末で定年退職する前は、私も公務員というお仕事柄、総理大臣官邸近くを通ることもありましたし、デモや何らかの意思表示を国会や議員会館や総理官邸周辺で見かける機会は平均的な日本国民より多かったと考えていますが、左派リベラルの主張は、引退した年金世代が担っているという印象を持っています。安定した収入ある年齢層の人たちかもしれません。逆に、現在の安倍政権は世界標準からすれば、とても左派的でリベラルな経済政策を採用し、若年層の支持を集めている気がします。もちろん、本書で指摘しているような政治的な、あるいは、制度的なカラクリがバックグラウンドにあって政権を維持しているのは否定のしようもありませんが、リベラルが敗け続けるのは経済を軽視しているからであると私は声を大にして主張したいと思います。途中で田中角栄元総理のお話が出てきますが、かなり示唆に富んでいると私は受け止めました。最後に、AERAか週刊朝日か忘れましたが、「憲法や安保などに固執し、ゼニカネの問題を忘れたオールド左翼を叱る本」といった趣旨の書評がありました。ホントにそうであればいいと私は思います。強く思います。

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次に、岡本隆司『世界史とつなげて学ぶ中国全史』(東洋経済) です。著者は京都府立大学の研究者であり、もちろん、専門は中国史です。本書では、いわゆるグローバル・ヒストリーのフレームワークで中国史を捉え、黄河文明の発生から中華思想の成立も含めて中国をしひも解き、現代中国理解の上でも大いに参考になるかもしれません。特に私の目を引いたのは、気候の変動が中国に及ぼした影響です。その昔のフランスのアナール派なんぞは病気や病原菌が歴史に及ぼした影響を探っていたような気がしますが、インカ帝国滅亡と天然痘のほかには、それほど適当な例を私は見いだせない一方で、本書では、地球規模での寒冷化が進んでゲルマン人がローマ帝国に侵入したり、遊牧民が中国のいっわゆる中元に南下したり、といった事象を説明しています。加えて、モンゴルの世界帝国は温暖化による産物、すなわち、気温の上昇によりいろいろな活動が盛んになり、移動などが容易になった結果であるとも指摘しています。そして、現在の共産党にすら受け継がれている中華思想については、明の時代に成立したと指摘しています。私もそうだろうと思います。というのは、実は、中国における漢民族の王朝はそれほど多くないからです。中国の古典古代に当たる秦ないし漢の後、隋と唐は漢民族国家であったかどうかやや疑わしく、むしろ、やや北方系ではなかったかと私は想像しています。ただ、北魏から隋・唐にかけて、本書では何の指摘もありませんが漢字の楷書が成立しています。本書の立場と少し異なるかもしれませんが、私自身のマルクス主義史観からすれば、原始共産制の下で生存ギリギリの生産力から脱して、特に農耕を開始した人類が余剰生産が可能となった段階で、その余剰物資の記録のために文字が誕生します。典型的には肥沃な三日月地帯であるメソポタミアにおける楔文字が上げられます。中国の亀甲文字も同じです。亀甲文字が草書・行書や隷書を経て楷書に至り王朝の正式文字として記録文書に用いられるようになったのが北魏ないし隋や唐の時代です。その後の短期の王朝は別として、宋は本書でも指摘している通り本格的な官僚制を採用した漢民族の王朝であり、その後、モンゴル人の征服王朝の元、そして再び漢民族の明が来て、またまた女真族の征服王朝の清が続き、孫文の中華民国から現在の共産党支配の中国へとつながるわけですので、漢民族の王朝は半分といえます。その中で、明王朝が鎖国的な朝貢貿易を用いつつ中華思想を確立したというのは、とても納得できます。高校生くらいなら読みこなせると思わないでもありませんし、あらゆる意味で、オススメできる中国史だった気がします。

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次に、西平直『稽古の思想』(春秋社) です。著者は京都大学教育学部の研究者です。私はこの著者は、ライフサイクルの心理学で何か読んだ記憶があるんですが、本書の読後の感想では、宗教学か哲学の専門家ではないかという気もします。どうでもいいことながら、京都大学は私の母校なわけですが、私の在学のころ、いわゆる文系学部の1学年当たりの学生の定員は、法学部が300人余り、経済学部と文学部が200人で、教育学部が50~60人ではなかったかと記憶していて、文系学部の中では突出して希少価値があった気がします。ですから、在学していた当時の友人は別にして、京都大学教育学部の卒業生で私が知っている有名人も多くなく、ニッセイ基礎研の日本経済担当エコノミストと推理作家の綾辻行人くらいだったりします。ということで、本書は、やや言葉遊び的な面もあるものの、練習とは少し違った捉え方をされがちな稽古についてその思想的な背景とともに考察を加えています。同じような言葉で、修行や修練・鍛錬にもチラリと触れています。また、当然ながら、東洋的なのか、日本的なのか、道というものについても考えを巡らせています。すべてではありませんが、世阿弥の能の稽古と舞台の本番をひとつの典型として頭に置いているようです。私の目から見て、とても弁証法的なんですが、そうは明記されておらず、わざを習い、そして、わざから離れる、という形で、何かを得て、また離れて、といったプロセスを基本に考えています。わざというか、何かを得ながら、それに囚われることを嫌って、それを手放す、しかし、そのわざが身について自然と出来るようになるところまで稽古を進める、というのが根本思想と私は読み解きました。違っているかもしれませんが、本書では芸道と武道を基本としているようで、出来上がったモノがある茶道や華道と違って、そのプロセスにおける型の考察もなされていますし、英語の unlearn の邦訳としての「脱学習」という言葉でもって、わざを習い、それから離れ、最後に、自然と出来るようになるという意味で、わざが身につくプロセスを稽古の本道と見なしているようです。どうでもいいことながら、先に取り上げた『なぜリベラルは敗け続けるのか』でも unlearn が出て来ました。流行りなのか、偶然なのか、よく判りません。本題に戻って、確かに、本番の舞台ある能は典型でしょうし、武道では試合があります。その意味で、茶道や華道では稽古と本番の差が大きくないような気もします。茶道で考えると、日々のお教室は稽古で初釜が本番、というわけではないでしょう。稼働でも、何らかの展覧会だけが本番ではないような気がします。最後に、本書は大学での授業が上手く行ったかどうかを書き出しに置いています。私も短期間ながら大学教員の経験を持っていて少なからず事前準備はしましたが、大学での授業が道に達するとは思ったことはありません。修行が足りないのかもしれません。

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最後に、伊坂幸太郎『シーソーモンスター』(中央公論新社) です。作者は私なんぞから解説の必要ないくらいの流行ミステリ作家です。実は、本書は、今月初めの8月3日に読書感想文で取り上げた小説3冊、すなわち、澤田瞳子『月人壮士』、薬丸岳『蒼色の大地』、乾ルカ『コイコワレ』と同じで、中央公論新社が創業130年を記念して2016年に創刊し、2018年に10号でもって終刊した『小説BOC』において、複数の作家が同じ世界観の中で複数の作家が同じ世界観の中で長編競作を行う大型企画「螺旋」プロジェクトの一環として出版されています。本書はほぼ長編といってもいいくらいの長さの小説2編から成っており、出版タイトルと同じ1部めの「シーソーモンスター」はバブル経済華やかなりし昭和末期を、また、本書の後半をなす2部めの「スピンモンスター」は近未来を、それぞれ舞台にしています。ただ、後者の近未来とはいっても、自動車の自動運転とかAIのさらなる進歩、さらに、情報操作などの現時点からの継続的な社会の特徴だけでなく、そこはさすがの伊坂幸太郎ですから、「新東北新幹線」や「新仙台駅」などの固有名詞がさりげなく登場し、「ジュロク」という新音楽ジャンルが成立していたり、さらに、デジタル社会を超えてデジタルとアナログを融合した経済社会が誕生していたりと、私のような平凡な年寄りからは想像もできない社会を舞台にしています。もちろん、「螺旋」プロジェクトの一環ですから、青い瞳の海族と尖った大きい耳の山族の緊張関係やぶつかり合いがメインテーマとなっています。バブル期の「シーソーモンスター」では、嫁姑という非常に判りやすい対立が現れますし、それでも、主人公の亭主というか、倅を協力して救ったりもします。第2部の「スピンモンスター」はもっと複雑で重いストーリーになっています。すなわち、交通事故で家族を失った水戸と&6a9c;山が主人公であり、海族と山族になります。同じ著者の『ゴールデンスランバー』よろしく、前者が容疑者になって逃げて、後者が警官として追いかけます。もちろん、「シーソーモンスター」とつながっており、前編の嫁が絵本作家として登場し、水戸の逃亡を手助けしたりします。おそらく、伊坂幸太郎ファンからすれば前編の「シーソーモンスター」の方がいかにも伊坂幸太郎的な軽やかさもあって、その意味で楽しめるという気がしますが、後編の「スピンモンスター」については、とても重いストーリーな一方で、近未来、おそらく2050年くらいのイメージで、カーツワイル的なシンギュラリティの2045年を少し越えているあたりと私は想像していて、そのSF的な世界観に圧倒されます。決して、シンギュラリティを越えた時点のテクノロジーではなく、そういったテクノロジーが普通にある社会の世界観です。こういった世界観を小説で書ける作者は、そういないような気がします。その意味で両編ともにとてもオススメです。最後に、「螺旋」プロジェクトの作品はこれで終わりかな、という気がしますが、ひょっとしたら、朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』は読むかもしれません。

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2019年8月30日 (金)

首位ジャイアンツに実力の差を見せつけられてボロ負け!!!

  RHE
読  売100000102 4121
阪  神100000000 160

サウスポーが打てずにジャイアンツにボロ負けでした。先発の高橋遥投手はランナーを許しつつも粘り強いピッチングでしたが、大した援護もなく、相変わらず、タイガースはジャイアンツの独走をアシストすることに徹しているのかもしれません。鳥谷選手は代打の出番すらなく、ベンチウォーマーでした。

明日は、
がんばれタイガース!

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増産に転じた鉱工業生産指数(IIP)と減少に転じた商業販売統計とタイトな労働市場を反映する雇用統計!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも7月の統計です。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から+1.3%の増産を示した一方で、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲2.0%減の12兆1650億円、季節調整済み指数も前月から▲2.3%減を記録しています。他方、失業率は前月から▲0.1%ポイント低下して2.2%とバブル経済崩壊直後からほぼ四半世紀ぶりの低い水準にあり、有効求人倍率は前月から▲0.02ポイント低下したものの1.59倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。まず、長くなるんですが、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産1.3%上昇 7月、反発力は弱く
経済産業省が30日発表した7月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み、速報値)は前月比1.3%上昇の102.7だった。上昇は2カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中心値(0.3%上昇)を上回った。6月に大幅に低下した反動が見られたが反発力は弱かった。
経産省は生産の基調判断は「生産は一進一退」を据え置いた。
業種別では、15業種中11業種で上昇した。前月に8.4%減少した自動車工業は2.1%上昇だった。乳液・化粧水類などを含む化学工業は新商品発売もあり4.7%上昇した。パルプ・紙・紙加工品工業は7.4%上昇した。
一方、無機・有機化学工業は3.9%低下、石油・石炭製品工業は3.8%低下した。
出荷指数は2.6%上昇の102.4と2カ月ぶりに上昇した。鋼船や航空機用発動機部品など自動車を除く輸送機械工業が40.0%増加した。
高水準にある在庫は0.3%低下の104.4と6カ月ぶりに低下した。
製造工業生産予測調査によると、8月は1.3%上昇、9月は1.6%の低下だった。経産省は「生産計画からは消費増税前の駆け込み需要を見込んでいるとは読み取れない」と説明している。
同予測は下振れしやすく、経産省が予測誤差を除去した先行きの試算は8月は0.7%低下だった。
7月の小売販売額2%減 21カ月ぶり減少 基調判断「一進一退」に下げ
経済産業省が30日発表した7月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比2.0%減の12兆1650億円と、21カ月ぶりに減少に転じた。経産省は小売業の基調判断を「一進一退の小売業販売」へと下方修正した。
業種別で見ると、9業種のうち6業種でマイナスとなった。7月は天候不順で例年に比べ気温が低かったことからエアコンの売れ行きが伸びず、「機械器具小売業」が8.1%減となった。「燃料小売業」は原油相場が下落したことを受けて6.0%減だった。
大型小売店の販売額については、百貨店とスーパーの合計が4.5%減の1兆6242億円だった。既存店ベースでは4.8%減だった。コンビニエンスストアの販売額は1.3%減の1兆760億円と、13年2月以来6年5カ月ぶりに減少に転じた。天候不順でアイスクリームなどの加工食品の販売が振るわなかった。
7月の有効求人、3カ月連続で低下 製造業など減速
厚生労働省が30日に発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べて0.02ポイント低下し、1.59倍だった。3カ月続けて前月を下回った。総務省が同日発表した失業率(同)は同0.1ポイント低下し2.2%と、26年9カ月ぶりの低水準だった。雇用情勢は全体では底堅いが、製造業などの一部の業種で採用に慎重な動きが出ている。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人に対し、企業からの求人が1人当たり何件あるかを示す。有効求人倍率が1.6倍を割り込むのは1年4カ月ぶりだ。正社員の有効求人倍率も1.14倍と前月から0.01ポイント低下。雇用の先行指標となる新規求人倍率も同0.02ポイント低下し2.34倍だった。
新規求人数は前年同月比2.5%増の98万223人となった。業種別では人手不足の建設業や医療・福祉業などが増加した。一方、半導体関連の市況悪化の影響などで製造業は同5.9%減と6カ月続けて減った。
失業率は1992年10月以来の低水準となった。完全失業者数は前年同月比16万人減の156万人で、2カ月連続で減少。就業者数は同71万人増の6731万人。女性や高齢者で働く人が増え、6年7カ月連続で増加した。

これだけの統計を並べると、とても長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。消費の代理変数である小売業販売額を中心に見ると、基本的には、7月の天候不順、というか、

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは小幅ながら+0.3%の増産なんですが、レンジでは▲0.6~+1.5%と広かったですから、上限を突き抜けての大きな増産とまでは考えられず、むしt、増産に転じたものの基調はまだ力強さにかける、と私は受け止めています。同時に、製造工業生産予測指数による先行き見通しについても、9月+1.3%の増産の後、10月は▲+1.6%の減産と見込んでいて、加えて、製造工業生産予測指数はバイアスの大きい統計であり、予測誤差の加工を行った補正値では9月▲0.7%の減産と試算されており、先行きも増産が続くかどうかは疑問が残ります。もちろん、生産が減速している大きな原因は米中間の貿易摩擦などに起因する世界経済の低迷にありますが、今年2019年年央に来て内需についても、決して、4~6月期GDP統計に示されたように、盤石ではないと私は感じ始めています。ひとつには、昨日取り上げた消費者態度指数ぬ示されているように、消費者マインドが長期に落ち続けており、加えて、賃金上昇が十分ではないわけですから、消費に陰りが見え始めても不思議ではありません。この後、商業販売統計で詳しく見ますが、8月の消費は天候要因もあるものの、かなり大きな落ち込みを見せました。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。天候要因、すなわち、引用した記事にもあるように、長梅雨で気温が上がらずエアコンの売れ行きが伸びなかったことから機械器具小売業が▲8.1%減の大きな前年同月比マイナスを記録したほか、 織物・衣服・身の回り品小売業も夏物衣類の販売不振などから▲5.3減となっています。ただ、燃料小売業のマイナスについては国際商品市況における石油価格の下落を反映しているわけですから、懸念材料とはなりません。何といっても、マクロでボーナスをはじめとして賃上げが不十分で所得がそれほど増加しない上に、世界経済の動向の反映も含めて消費者マインドが低下し続けているわけですから、消費が増えるとはとても思えません。それに天候要因が加わりましたので、ウrのグラフのような大きな下振れにつながったと考えるべきです。ただ、9月に入れば、消費税率引き上げ直前の駆け込み需要が発生する可能性はあります。キュッシュレス決済に対するポイント還元がありますので、大物家電などよりも洗剤やトイレットペーパーなどの日用品かもしれませんが、私はそれなりに注目しています。

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続いて、いつもの雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影を付けた期間は景気後退期を示しています。失業率は2%台前半まで低下し、有効求人倍率も1.59倍と高い水準を続けています。加えて、グラフはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月と同じ1.14倍を記録し、一昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ2年以上に渡って1倍以上の水準で推移しています。厚生労働省の雇用統計は大きく信頼性を損ねたとはいえ、少なくとも総務省統計局の失業率も低い水準にあることから、雇用はかなり完全雇用に近いタイトな状態にあると私は受け止めています。もっとも、雇用は生産の派生需要であり、生産が鉱工業生産指数(IIP)で代理されるとすれば、基調判断は「一進一退」であり、先行き、賃金上昇に直結するかどうかはビミョーなところです。加えて、今週火曜日の8月27日に日本政策金融公庫から8月調査の「中小企業景況調査」の結果が公表されていますが、ここ2~3か月で 従業員判断DIが急速な勢いで低下し、中小企業で人手不足感が大きく縮小し始めています。1990年代前半のバブル経済崩壊後はいうに及ばず、サブプライム・バブル崩壊後の景気後退局面でも、2007年年央から約2年後の2009年年央にかけて雇用指標が急速に悪化したのを忘れるべきではありません。すなわち、失業率はボトムだった2007年7月の3.6%から、ピークの2009年7月には5.5%まで、2%ポイント近く上昇しましたし、有効求人倍率もピークの2007年6月1.07倍から2009年8月のボトム0.42倍へ半減以下の減り方でした。繰り返しになりますが、雇用は生産の派生需要であり、人手不足による雇用のタイトさが賃金上昇をそれほどもたらしていない現状では、景気回復をどこまで下支えできるかは疑問です。

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2019年8月29日 (木)

まだまだ低下する消費者態度指数は11か月連続で前月を下回る!!!

本日、内閣府から8月の消費者態度指数も公表されています。2人以上世帯の季節調整済みの系列で見て、8月はまたまた▲0.7ポイント低下して37.1となり、何と、11か月連続で前月を下回りました。統計作成官庁である内閣府では、8月の消費者マインドの基調判断は、「弱まっている」に据え置いています。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

8月の消費者態度指数、0.7ポイント低下 11カ月連続で前月下回る
内閣府が29日発表した8月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯(2人以上の世帯)の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.7ポイント低下の37.1だった。前月を下回るのは11カ月連続。前回消費税率を引き上げた2014年4月以来、5年4カ月ぶりの低水準となった。10月の消費増税を控え、消費者心理が低迷している。内閣府は基調判断を「弱まっている」に据え置いた。
指数を構成する4つの意識指標のうち、横ばいだった「収入の増え方」を除く3つの指標が低下した。「暮らし向き」は1.0ポイント低下の34.8、「雇用環境」は0.4ポイント低下の42.2。「耐久消費財の買い時判断」は1.7ポイント低下の31.7と落ち込みが目立った。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は、前月比0.1ポイント低下の87.0%だった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えればゼロになる。
調査基準日は8月15日。調査は全国8400世帯が対象で有効回答数は6661世帯、回答率は79.3%だった。

いつものように、とてもコンパクトながら包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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季節調整済み指数の前月差で見て、消費者態度指数を構成するコンポーネント4項目のうち、「収入の増え方」だけが前月から横ばいだった一方で、残りの3項目がすべてがマイナスを示し、そのマイナス幅の大きい順に、「耐久消費財の買い時判断」▲1.7ポイント減が特に大きな落ち込みを見せており、先月統計公表時にも指摘しましたが、夏季ボーナスを手にして消費税率引き上げを控えた時期であるにもかかわらず、耐久消費財を購入しようという意欲が大きく低下しているわけです。従って、かなり消費者マインドは深刻と私は受け止めています。加えて、「暮らし向き」▲1.0ポイント減、「雇用環境」がかろうじて▲0.4ポイント減、となっています。繰り返しになりますが、「耐久消費財の買い時判断」は、先月と今月だけでなく、今年2019年2月から8月の6か月の落ち込みを累積すると、何と、▲9.2ポイント減に達します。指数の水準としても4つのコンポーネントのうちで最も低くなっています。「雇用環境」や「収入の増え方」が落ちている中でも低下幅が小さいのに対して、「耐久消費財の買い時判断」の低下幅が大きくなっており、デフレ・マインドがまだ払拭されていないことの表れであろうと私は受け止めています。よくないとはいっても、雇用と収入はそれほど大きな悪化を見せていない一方で、耐久消費財の支出が大きく絞られているわけです。何らかの将来不安から支出が細っているわけで、家計の懐を温める政策が必要かもしれません。それにしても、消費者マインドの悪化はどこまで続くんでしょうか?

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2019年8月28日 (水)

青柳投手がソロホームラン1本に泣いて中日に完封負け!!!

  RHE
中  日000001000 191
阪  神000000000 060

長期ロードを終えて甲子園に帰って来たタイガースでしたが、やっぱり、サウスポーがまったく打てずに中日に完封負けでした。先発の青柳投手はランナーを許しつつも粘り強いピッチングでしたが、ソロホームラン1本に泣きました。鳥谷選手は逆転のチャンスに代打で登場しましたが、セカンドゴロに終わりました。

明日は、
がんばれタイガース!

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今日から横浜で始まった第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に期待する!

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今日8月28日から3日間の予定で横浜市のパシフィコ横浜にて第7回アフリカ開発会議 (TICAD7) が開催されます。"TICAD" とは、Tokyo International Conference on African Development (アフリカ開発会議) の略であり、アフリカの開発をテーマとする国際会議です。1993年の TICAD Ⅰを東京で開催して以来、日本政府が主導して、国連、国連開発計画、世界銀行、アフリカ連合委員会と共同で数年おきに開催しています。2016年にケニアの首都ナイロビにて開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)で採択される「ナイロビ宣言」では、アフリカの緊急の課題として(1)産業化、(2)保健、(3)社会の安定、の3本柱を立て、それぞれに女性や若者、および障害者など脆弱性を抱えた人々を重視する必要性を強調しました。
私個人にとって、経済開発も含めて働いた経験は、アジアの国インドネシアの首都ジャカルタと中南米チリの首都サンティアゴだけで、実は、アフリカには行ったことすらないんですが、2015年に採択された国連「持続可能な開発目標」(SDGs) 推進のためにはアフリカが重要な役割を担うことはいうまでもありません。アフリカ開発に関して日本が明示的に貢献し、会議名に「日本」、というか、正確には「東京」が入る数少ない国際会議です。今は開発経済学からやや離れたお仕事をしていますが、私も大いなる期待をもって注目したいと思っています。

最後に、どうでもいいことながら、第6回会議までローマ数字を使っていたように私は記憶しているんですが、今回第7回会議からロゴに入れやすいのか、アラビア数字を使うようになったみたいです。

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2019年8月27日 (火)

7月統計から企業向けサービス価格指数(SPPI)の先行きをどう見るか?

本日、日銀から7月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て+0.5%を示しています。前月の+0.7%からこのところ上昇率が縮小しつつあるものの、引き続きプラスの伸びを続けています。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率もヘッドラインと同じ+0.5%でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の企業向けサービス価格、前年比0.5%上昇 17年1月以来の低さ
日銀が27日発表した7月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は102.9となり、前年同月比0.5%上昇した。伸び率は4カ月連続で縮小し、17年1月(0.5%上昇)以来の低い伸びだった。
人件費の上昇圧力を反映し、全体としてはプラスの伸びが続いているものの、これまで相応の値上げを実施してきた運輸・郵便や情報通信などで値上げに一服感が出てきた。米中貿易摩擦を背景にした貿易取引の減少で、国際航空貨物輸送が前年比で大きくマイナスとなったことも指数を押し下げた。
前月比では0.1%上昇した。夏休みシーズンで航空運賃の値上がりを反映し、国内航空旅客輸送が前月比プラスとなるなど運輸・郵便が指数を押し上げた。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。

いつものように、コンパクトながら包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は、昨年2018年10~11月には+1.4%を示していましたが、半年ほどで急速に上昇幅を縮小させ、最近では今年2019年4月が+1.0%とギリギリ+1%に達していたんですが、5月には+0.9%、6月は+0.7%、そして、直近で統計が利用可能な7月には+0.5%まで上昇幅が縮小しました。ただ、前年同月比に対する大類別の寄与度で見ると、相変わらず、人手不足の分野の影響は残っており、⅓強のウェイトを占める諸サービスがヘッドラインの+0.5%の上昇に対して+0.34%と⅔の寄与を示し、労働者派遣サービス、土木建築サービス、警備などが例示として上げられます。続いて、道路貨物輸送、鉄道貨物輸送、こん包が例示されている運輸・郵便が+0.14%の寄与と、ほぼこの2分野で+0.5%のヘッドライン上昇率を説明できてしまいます。従って、米中貿易摩擦などに起因する世界経済全般の減速による影響が需給ギャップに及んでいると考えるべきです。
さらに、前月の6月統計から今月への前年同月比の変化、すなわち、6月の+0.7%上昇から7月の+0.5%上昇への▲0.2%ポイントの上昇幅縮小を、大類別の前年同月比寄与度の前月差で見ると、不動産が▲0.05%、諸サービス▲0.03%と大きかったんですが、小類別ではインターネット広告の▲0.07%が目立っています。インターネット広告に限らず、新聞でもテレビでも、全般的に、広告は景気に対して敏感な項目であり、現在の需給ギャップとともに今後の景気動向を考える上で注目しています。

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2019年8月26日 (月)

リクルートジョブズによる7月のアルバイト・パート及び派遣スタッフの賃金動向やいかに?

今週金曜日8月30日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる7月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%超の伸びで堅調に推移しており、三大都市圏の7月度平均時給は前年同月より+2.4%、+25円増加の1,054円を記録しています。職種別では「事務系」(前年同月比増減額+37円、増減率+3.4%)、「フード系」(+27円、+2.8%)、「販売・サービス系」(+27円、+2.6%)、「製造・物流・清掃系」(+21円、+2.6%)など、全職種で前年同月比プラスとなっており、地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアで前年同月比プラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、今年2019年3~5月はマイナスを示していたんですが、6月統計では前年同月より+0.2%、+3円増加の1,641円となった後、最新の7月統計では。ふたたび▲10円減、▲0.6%減を記録しました。職種別では、「IT・技術系」(前年同月比増減額+69円、増減率+3.4%)、「クリエイティブ系」(+46円、+2.7%)、「医療介護・教育系」(+28円、+2.0%)、「オフィスワーク系」(+18円、+1.2%)の4職種がプラスなんですが、「営業・販売・サービス系」(▲20円減、▲1.4%減)がマイナスとなっています。また、地域別でも、関東・東海がマイナスとなった一方で、関西はプラスを記録しています。いずれにせよ、全体としてはパート・アルバイトでは人手不足の影響がまだ強い一方で、派遣スタッフ賃金は伸びが鈍化しつつある、と私は受け止めているものの、景気循環の後半に差しかかって、そろそろ非正規の雇用にはいっそうの注視が必要、と考えるエコノミストも決して少なくなさそうな気がします。

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2019年8月25日 (日)

やっぱり打線が沈黙してヤクルトに大敗!!!

  RHE
阪  神001000000 180
ヤクルト00002021x 5110

まったく打てずにヤクルトに大敗でした。先発のガルシア投手は、ランナーを許しつつも粘り強いピッチングでしたが、5回に逆転されて降板させられました。昨夜の西投手が5回4失点で勝投手だったんですが、今夜のガルシア投手は4回⅔で2失点しか許してもらえませんでした。これだけを見れば、ひどく不公平なんですが、まあ、そんなもんでしょう。鳥谷選手のヒットと藤川投手の休養だけが収穫の試合でした。

甲子園に戻っての中日戦は、
がんばれタイガース!

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2019年8月24日 (土)

終盤鉄壁のディフェンスで序盤のリードを守り切り5連勝!!!

  RHE
阪  神200410000 7120
ヤクルト003010000 490

終盤6回以降は鉄壁のディフェンスでヤクルトを下して5連勝でした。先発の西投手は、今シーズンはこんなもんということで、いつものピッチングでしたが、打線がめずらしく手厚く援護しました。その西投手を5回限りで下ろして、6回からは継投に入りしっかりと抑え切りました。ドリス投手はとうとう勝利の方程式からも外れてしまって、能見投手が代理を務めました。クローザーに復帰した藤川投手の最終回は圧巻のピッチングでした。明日は休ませてやりたい気もします。打線も序盤から活発に得点を上げ、昨日に続いて2桁安打でした。ただ、代打で登場の鳥谷選手は見逃しの三振に終わりました。誠に残念。

明日は連続の3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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今週の読書は話題の現代貨幣理論(MMT)の経済書など計8冊!!!

今週は、やや異端的ながら注目されつつある現代貨幣理論(MMT)を平易に解説した経済書をはじめ、ポストトゥルースに関する教養書も含め、以下の通りの計8冊です。本日はいいお天気の土曜日でしたので自転車にうってつけですでに図書館回りを終え、来週も数冊の読書を予定しています。

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まず、中野剛志『目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ) です。著者は評論家となっていますが、まだ、経済産業省にお勤めではなかったかと私は記憶しています。本書の続編で、『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』もすでに同じ出版社から上梓されており、今日の段階では間に合いませんでしたが、近く借りられることと期待しています。本書は基礎編として、現代貨幣理論(MMT)に基づくマクロ経済学を展開しています。そして、その基礎となっているのは信用貨幣論です。すなわち、その昔の金本位制などの商品貨幣論ではなく、現代的な銀行が信用創造をして貨幣を作り出す、というMMTの基礎となる理論です。まだ読んでいないのであくまで私の想像ですが、続編の『【戦略編】』はこのMMT理論を普及させるために戦略が展開されているんではないかと思っています。現代貨幣理論(MMT)ですから、自国通貨建てで発行される国債で財政破綻に陥ることはなく、デフレ解消のためには金融政策ではなく財政政策により需要を拡大する必要がある、というのが肝になっています。私は直感的にはMMTは正しいんだろうと理解していますが、そう考えるエコノミストはとても少ないのも体験的に理解しているつもりです。そして、MMTにしたところで、財政破綻がまったくあり得ないわけではなく、インフレが高進すれば財政破綻のサインですから、財政を引き締めるべきであるとされています。繰り返しになりますが、本書では、信用貨幣論とそれに基づくMMTに関する議論を展開していますが、売り物として、「世界でもっともやさしい」といううたい文句がついています。ですから、逆から見て、私にはバックグラウンドとなっているモデルが判然としません。むしろ、数式を並べ立ててゴリゴリとモデルのプロパティを示してもらった方が、私には有り難かったような気すらします。ただ、おそらく、従来の伝統的経済学のモデルと比較して、かなりの程度に非線形かつ非対称な作りになっているような気がします。まあ、それはいいとしても、少なくとも、すでに破綻したリアル・ビジネス・サイクル(RBC)理論に基づき、いわゆるミクロ的な基礎付けあるDSBEモデルなどよりは、より現実に即しているような気がします。ただ、財政政策があまりに大きな役割を背負うだけに不安もあります。というのは、デフレを脱却してインフレになると財政赤字の削減に走らないといけないわけですが、出口論はまだまだ早いとはいいつつ、それだけに、ヘタな財政リソースの使い方ができません。例えば、津波対策の堤防などを作っていて、経済がデフレを脱却してインフレに入ったため、津波対策を急にヤメにする、というわけにはいかないような気がするからです。医療や年金や介護といった社会保障にも使いにくそうです。景気の動向に応じて増やしたり減らしたりがごく簡単にできる使い道ということになれば、どこまで財政政策で対応できるのかはやや疑問が残ります。ただ、直感的に理論的正しさを感じているだけに、とても魅力が大きくて、基礎的な勉強を進めつつ、何とか実践的に使える政策にならないものかと考えているところだったりします。

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次に、ミチコ・カクタニ『真実の終わり』(集英社) です。著者は、名前から理解できるように日系人であり、ながらくニューヨーク・タイムズの書評を担当するジャーナリストを務めて来ています。というか、今でも現役でそうなのかもしれません。英語の原題は The Death of Truth であり、日本語タイトルはほぼ直訳と私は受け止めています。2018年の出版です。ということで、言葉としては本書には登場しませんが、ポストトゥルースの時代にあって、米国にトランプ大統領が誕生して、フェイクニュースもまき散らされている現在、真実は終わった、死んだのかもしれません、という観点からのエッセイです。2010年代に入って、本日の読書感想文でも後に取り上げる安倍総理の本でも同じように取り上げられていますが、政治的な指導者が真実や事実をとても軽視し、まさに、ポストトゥルースの本義に近く、真実や事実に基づく考察を行うことなく、感情的に訴えるような、あるいは、その場の雰囲気に流されるような意見が政治的に重視されかねない状態が続いています。その結果として、ポピュリスト的な選挙結果が、特に、2016年に示され、BREXIT、すなわち、英国のUE離脱は現在のジョンソン首相の下で、何ら合意なく実行されそうな予感すらしますし、すでに次の大統領選挙モードに入った米国のトランプ大統領はツイッターでいろいろな情報を流したりしています。大陸欧州でも、過半数はまだ取れていないものの、ポピュリスト政党が支持を伸ばしていることは広く報じられている通りです。私が公務員だったころには、EBPMなる言葉が役所でも重視され始め、何らかの統計的あるいは定量的なエビデンスに基づく政策立案や執行が求められるようになって来つつありました。ポストトゥルースとはその真逆を行くものです。そして、事実や真実を重視することによってではなく、ホントのことに対しては斜に構えつつ、反対派との議論で熟議する民主主義のスタイルを放棄して、あくまで自派の意見を通すべく数を頼んで押し切る、あるいは、やや妙ちくりんな理論でも、適当に反対派を論破してしまう、という政治スタイルが増えたのは事実かもしれません。もちろん、民主主義では数は力であって、そのために選挙で各政党は自分たちの政策を訴えて支持を得ようとするわけですが、大くん国民がごく簡単に意見が一致するわけではありませんから、何らかの議論が必要とされるケースが多いわけですが、そこでの熟議を省略ないし無視して非論理的な論法や事実ではない感情的な見方などに基づいて数で押し切るわけです。そして、私が読みこなした範囲では、著者はその原因を、ハイデッガー的な表現を使えば、ポストモダニズムの「頽落」に求めているように私は読みました。まあ、ポストモダニストたちはマルクス主義的な一直線に進む歴史とか、普遍的でメタなナラティブとか、近代的と称する西欧中心的なものの見方、などなどをかなりシニカルに否定したわけですが、私はそこまでの見方が成り立つのかどうかは自信ありません。というか、特に、米国を例に取れば、黒人の大統領を選出するというかたちで、ある意味、究極的なポリティカル・コレクトネスを実現しきってしまった米国市民、あるいは、米国政治の振り子が揺り戻されているだけなのではないか、という気がするからです。もちろん、振り子がもう一度揺り戻されて、真実や普遍性や共感や常識といったものに価値を認める社会が半ば自動的に時間とともに取り戻される、と主張するつもりは私にはありません。こういった社会は闘い取らねばならないのかもしれません。

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次に、デービッド・サンガー『サイバー完全兵器』(朝日新聞出版) です。著者は、カクタニ女史と同じくニューヨーク・タイムズのジャーナリストであり、専門分野はAIなどのテクノロジーではなく、国家安全保障のようです。何度かピュリツァー賞も授賞されています。英語の原題は The Perfect Weapon であり、2018年の出版です。今週になって、AIの戦争利用に関する国際会議のニュースをいくつか見かけて、法的拘束力ないながら、AIに攻撃の判断をさせることを回避するような結論が出されそう、という方向に進んでいるような印象を私は受けています。ただ、これらの報道はリアルな武器を用いた伝統的な攻撃に関する判断項目であり、本書では物理的な、という表現は正しくないんですが、核爆発を含む通常兵器あるいは核兵器による攻撃ではなく、サイバー空間において電力の供給とか、カッコ付きながら「敵国」のシステムに侵入してダメージを与えることを指します。分野が安全保障でありかつサイバー攻撃という技術的な内容も私は専門外で、本書を読んだうえで、どこまで理解が進んでいるかははなはだ自信ないんですが、核兵器の相互確証破壊(MAD)による抑止力と違って、サイバー攻撃はすべて水面下で実施され、そういった攻撃があったかどうか、もちろん、誰からの攻撃か、などがまったく不明の場合も少なくないようで、その上に、核兵器のバランスと比べて、大きな非対称性が存在するわけですから、それはそれで恐怖のような気がします。もちろん、攻撃されているかどうかに確信ないわけですので、戦時か平時かの仕分けも判然としません。ですから、ジュネーブ条約による何らかの制限を課すことは、おそらくムリで、たとえ出来たとしても、技術的に日進月歩の世界ですので、アッという間に有効性が大きく低下することは想像できます。章別に取り上げられている国は、米国はもちろんとして、ロシア、中国、北朝鮮などなどで、サイバー攻撃の対象となったのはイランの核濃縮設備、ソニーピクチャーの例の風刺映画などです。IoTという言葉をまつまでもなく、あらゆるモノがインターネットに接続されており、防御サイドのセキュリティは攻撃サイドのレベルにはなかなか達しませんから、どこででも何が起こっても不思議ではありません。また、物理的に何かを破壊したり、システムをダウンさせたりするだけでなく、何らかの風説を流して世論を誘導する攻撃も含めれば、とても防ぎようがないような気が私はします。というか、防御のコストがやたらと高そうです。本書を半分も理解できた自信ないですが、一気に恐ろしい気分にさせられました。そべからく、ほとんどの技術は民生向けと軍事とデュアルユースが可能だと思いますが、なんでも軍事利用を進める志向が私には理解できませんでした。また、個別企業についてはiPhoneのロックを解除しなかったアップルの考え方は理解できるものの、ファーウェイの通信機器にバックドアがあって中国に通信内容が筒抜けではないかという米国などの疑問については、理解がはかどりませんでした。最後に、どうでもいいことながら、今週の読書で取り上げたうちで、本書はボリュームがあって中身が難しいことから、もっとも読了に時間がかかった本でした。

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次に、アンドリュー・フェイガン『人権の世界地図』(丸善出版) です。著者は、英国エセックス大学人権センターの副所長であり、人権に関する refereed encyclopaedia の編集者です。英語の原題は The Atlas of Human Rights であり、邦訳タイトルはほぼほぼ直訳のようで、2010年の出版です。150ページ足らずのボリュームなんですが、8部構成となっており、第1部 国家、アイデンティティ、市民権 では、政治的権利や市民権とともに、経済的な富と不平等さらに生活の質や健康も取り上げています。第2部 司法侵害と法規制 では、拷問や死刑制度などに焦点を当て、第3部 表現の自由と検閲 では、表現や言論の自由だけでなく集会や結社の自由も忘れてはいません。第4部 紛争と移住 では、戦争や戦争に関連するジェノサイド(集団殺害)とともに、難民にもフォーカスしています。第5部 差別 では、少数民族と人種差別さらに障害と精神保健にハイライトしています。第6部 女性の権利 では、家庭内暴力も取り上げており、第7部 子どもの権利 では、児童労働や教育にもスポットを当てています。最後に、第8部 国のプロフィールと世界のデータで締めくくっています。私もすべてのページを通してじっくりと読んだわけではないので、出版社のサイトにある画像を例示としてお示ししておきたいと思います。本書が、人権を尊重して自由を守るリファレンスであることがよく理解できると思います。

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次に、望月衣塑子 & 特別取材班『「安倍晋三」大研究』(KKベストセラーズ) です。著者は、東京新聞のジャーナリストであり、本書では現在の安倍内閣に対する強い批判を展開しています。その批判については、私は少し疑問があるんですが、政策の内容に及ぶ部分がかなり少ないような印象を受けました。現在の選挙制度に基づく我が国の民主主義では、多くの場合、政策を展開したマニフェストなどを参考に投票し、その選挙結果に基づいて総理大臣が選出され内閣を構成し政府として政策を実行するというシステムになっています。ですから、決して内閣の首班たる総理大臣の人格を軽視するつもりはないんですが、本書のように、家系までさかのぼって総理の人格を執拗に批判するのは、やや現時点での我が国民主主義にとってどこまで有益かは考える必要があるかもしれません。しかしながら、何かの折に触れてこのブログでも申し上げている通り、内閣の最高責任者としての総理大臣はいうまでもなく公人そのものであり、本書のような批判はアリだと私は思っています。前言をいきなりひっくり返すようなんですが、総理大臣たる人物は人格的にももちろん問題なく、表現は自信ないものの、その「人格力」も動員して選挙で示された政策を実行すべき存在ですし、ジャーナリストとは選挙の結果だけを尊重するという観点からは少し違った角度から、民意の反映や政策の検証ができる存在ではないかと私は考えています。ついでながら、森友事件の報道に接して考えると、総理夫人も役所から秘書役をつけるほどの公人であり、総理本人と同じレベルとは思いませんが、公人としてこういった批判はあり得るものと私は考えています。まあ、冒頭100ページ余りがマンガで始まり、しかも、まんがの最後の部分に「フィクション」である旨を明記するのは、確かに、本書の著者が安倍総理を批判するようなタイプの嘘ではないんですが、ややミスリーディングであると受け止める向きがなきにしもあらず、という気がしないでもありません。本書でも感じたのは、先にカクタニ女史の『真実の終わり』で取り上げたポストトゥルースの問題は同じことであり、必ずしも真実・事実である点が重要なのではなく、感情に訴えたり、その場の議論の雰囲気に流されるような意見が支持されかねない、あるいは、決して熟議されるのではなく、数を頼んで押し切る、といったような風潮が世界的に広がっているのも事実であり、我が国だけが例外ではあり得ないということです。ただ、ポストトゥルースの時代であるからこそ、「フィクション」と断りを入れないといけないようなマンガでポストトゥルース的な政治を批判するのではなく、「フィクション」でない事実と真実に基づいた批判を展開してほしいと願う人は決して少なくないと思います。ポストトゥルース的に、というか、何というか、事実に基づく議論より感情的な意見を大きな声で押し通そうとする複数のグループが正面切ってぶつかり合うことは、ある意味で、避けるべきというような気がしないでもありません。その意味で、第3章の内田樹氏へのインタビューが普遍的な真理や社会的な常識に裏打ちされた見解のような印象満点で、とても読み応えありました。最後に、何度でも繰り返しますが、内閣総理大臣やそれなりの最高権力に近い公人に対しては、どのようなものであれ、とは決していいませんが、相当に激しい批判も十分アリだと私は思います。

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次に、トム・フィリップス『とてつもない失敗の世界史』(河出書房新社) です。著者は、英国のジャーナリスト・ユーモア作家です。英語の原題は Humans であり、2018年の出版です。全国学校図書館協議会選定図書に指定されているようで、私の目を引きましたので借りて読んでみました。読んでいて、私は元来明るくて笑い上戸だったりするんですが、電車の中の読書で笑い出したりして、ややバツの悪い思いをしたりしました。ということで、第1章 人類の脳はあんぽんたんにできている から始まって、環境や生態系に対する無用の干渉がとても不都合な結果を招いた例、専制君主でも民主主義でも、あるいは、そういった政治の延長上にある戦争でも大きくしくじって来た例、自国を離れた慣れない植民地経営や外交での失敗の例、また、科学の発見がとんでもない勘違いだった例などなど、面白おかしくリポートしています。ただ、語り口はユーモアたっぷりであっても、その失敗の中身や内容が決して笑って島せられることではない例がいっぱいあります。典型例は、第5章で民主主義からアッという間に独裁体制を構築してしまったナチス、というか、ヒトラーのやり口ではないでしょうか。やり方とともに、その後のナチスの蛮行まで含めて、人類史におけるもっとも大きな悲劇のひとつであったと考えるべきです。また、テクノロジーを取り上げた第9章でも、X線に対抗して見えないものが見えるといい張ったN線の「発見」については、単に「バカだね」で済むのかもしれませんが、アンチノッキングのために自動車のガソリンに人体に有害な鉛を混入させて広めたのと、冷媒のフロンを工業的に広めたのが同一人物とは、専門外とはいえ私はまったく知りませんでした。その昔に『沈黙の春』を読んだ際にも感じたことですが、科学の分野では、特に化学や生物学では長い長いラグをもって何らかの影響がジワジワと現れることがあります。まあ、経済学でもそうです。そういった長いラグを経て現れる好ましくない影響について、どのように評価して回避するか、それほどお手軽に解決策があるわけではありませんが、科学がここまで進歩した現代であるからこそ考慮すべき課題ではないかと思います。本書に盛り込まれた多くの失敗談は、それだけでユーモアたっぷりな語り口でリポートされると、読んで楽しくもありますが、そういった失敗談の背景には、決して笑って済ませられない重大な影響が隠されている場合も少なくなさそうな気がします。最後に、本書冒頭で考察されていた確証バイアスとか、何らかのバイアスによる失敗の原因追及がもう少し欲しかった気もします。

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次に、玉木俊明『逆転のイギリス史』(日本経済新聞出版社) です。著者は、京都産業大学の研究者であり、専門は経済史です。実は、私も大学の学生だったころは経済史を専攻していたんですが、著者は、経済学部ではなく文学部の歴史学から経済史に入ったような経歴となっています。ということで、本書は100年と少し前まで世界の覇権国であった英国につき、その歴史を振り返って覇権国となった歴史を分析し、従来の通説である産業革命による工業生産力ではなく、海運をはじめとするロジスティックやその海運を支える保険業などが覇権の基礎であった、とする逆転史観を展開しようと試みています。でも、経済史というよりは、著者も明記しているように、政治史を中心に\展開しているから、という理由だけでなく、私の目から見て逆転史観が成功しているとはとても思えません。本書では、当然ながら、英国が覇権国となる前の段階、すなわち、オランダが覇権を握っていたころから歴史を解き明かします。オランダはスペイン王政の下にあって独立国ではありませんでしたから、細かい点ですが、ここで「覇権国」という表現は使えません。でも、スペインの支配下にあったからこそ、大航海時代に、スペイン+ポルトガルの植民地であった米州大陸からの貴金属をはじめとする物資、あるいは、アジアからの香辛料などをアントウェルペンやアントワープが欧州の海運のハブとなって、商業的な成功をもたらして覇権を確立した、という本書の分析はある意味で私は正しいと受け止めています。ただ、本書の著者はご専門が輸送史のように私は記憶しており、輸送中心史観でもって判断するのは疑問が残ります。前資本主義時代に商業的、というか、問屋制家内工業が欧州で広く普及して、プロト工業化と呼ばれたのは広く知られているところであり、そこに、新大陸から大量の貴金属が欧州に流入して、いわゆる「価格革命」とともに、流動性の過剰供給でそれなりに需要もジワジワと拡大し、製造業=工業の生産性向上の素地が出来上がっていたのも事実です。そして、新大陸やアジアを欧州勢力が支配したのは、本書でも指摘しているように、基礎的な生産力に基づく武力ですが、前近代的かつ前資本主義的な経済段階では、市場取引ではなく単に武力で略奪することも交易のひとつの形態であったかもしれませんが、少なくとも中国を視野に入れた国際化が進んだ段階では、何らかの売り物が交易には必要となり、その矛盾を解決する方法のひとつがアヘン戦争であったことは明らかです。もうひとつ、著者が製造業ではなく海運や保険をもって英国覇権の基礎とする根拠は、財の貿易赤字とサービス収支の黒字でもって、英国製造業には国際競争力なく、むしろ、海運や保険といったサービス業に競争力があって、これが覇権国となる基礎だった、という点なんですが、製造業から生み出される製品が国内で需要されただけのことであり、根拠に乏しいという気がします。私が考える英国覇権の基礎は、内外収支の差額ではなく付加価値の総額であり、その意味で、「世界の工場」と称された英国製造業である点は揺るぎありません。あわせて、現在21世紀において米国の覇権に挑戦する中国国力の基礎も製造業であることは誰の目にも明らかではないでしょうか。

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最後に、有栖川有栖・磯田和一『有栖川有栖の密室大図鑑』(東京創元社) です。著者の有栖川有栖はご存じ関西系の本格ミステリ作家で、磯田和一は本書で挿絵、というか、イラストを担当しています。本書は、上の表紙画像の帯に見えるように、1999年に単行本として発行されたものを、一度新潮文庫で文庫本化され、さらに、上の表紙画像の帯に見られるように、今年の著者デビュー30周年を記念して創元推理文庫から復刊されたのを借りて読みました。ひょっとしたら、以前に読んでいたのかもしれませんが、私の短期記憶はすっかり忘却していて、まったく新刊読書のような印象でした。ということで、本格ミステリのうちから密室モノを内外合わせて40本ほど選出し、海外蒸す手織りから国内ミステリの順でイラストを付して解説を加えています。ただ、よくも悪くも、ミステリの伝統的な形式にのっとっており、すなわち、結末には言及していません。まあ、未読のミステリであれば、結末を知らされるのを回避したい読者もいるでしょうし、逆に、すでに読んでいれば結末を書かない論評にも理解が進む可能性はありますので、それはそれで理解できる方針ではあるんですが、やっぱり、私は違和感を覚えました。文庫本の解説で「結末に触れています」という警告付きの解説をたまに見かけますが、本書でも、結末を明らかにした方が論評としての値打ちが上がったような気もします。私の読書の傾向からして、海外ミステリよりも国内ミステリの方に既読が多かったんですが、やっぱり、海外ミステリで未読のものには親近感がわかなかったような気がします。イラストも結末を悟られないようにするという制約は、少しキツかったんではないか、と勝手に想像しています。まあ、密室とアリバイはミステリのお楽しみの重要な要素ですから、本書を読むことにより原典に当たろうという読者も少なくないでしょうから、判らなくもない方針なんですが、私という個人においては少し物足りない、ということなんだろうと思います。

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2019年8月23日 (金)

打線がつながって大量点でヤクルトに圧勝!!!

  RHE
阪  神301000031 8101
ヤクルト001010100 3102

ヤクルトに快勝して4連勝でした。先週、ジャイアンツに3連敗した時には、優勝はもとよりクライマックス・シリーズも終戦が近づいたかと思いましたが、まだ望みはありそうな気もしてきました。最終回9回の度重なる盗塁がサインによる作戦だとすれば、ベンチワークも向上しているのかもしれません。絶大なる声援に送られて代打で登場した鳥谷選手は当たりは悪かったものの、内野安打で出塁し梅野捕手のついでに盗塁を決めたりもしました。このまま調子が上向くよう力の限り応援しています。

明日も、
がんばれタイガース!

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7月統計では消費者物価指数(CPI)の緩やかな上昇が続く!

本日、総務省統計局から7月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月と同じ+0.6%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価、7月0.6%上昇 緩やかな上昇続く
総務省が23日発表した7月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.5と前年同月比0.6%上昇した。プラスは31カ月連続。伸び率は前月と同じだった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は同じく0.6%上昇だった。
菓子類など、生鮮食品を除く食料で広がっている値上げの流れが物価を押し上げた。高止まりしている電気代やガス代、人件費が高騰している外食なども、物価上昇に寄与した。
電気掃除機など家庭用耐久財も上昇した。総務省は「新製品の発売に加え、消費増税前の駆け込み需要の影響もありそうだ」との見方を示した。
一方、ガソリン価格の下落傾向や、大手各社の値下げによる携帯電話の通信料の下落が物価の下げ圧力となった。
生鮮食品を除く総合では302品目が上昇した。下落は164品目、横ばいは57品目だった。総務省は「緩やかな上昇が続いている」との見方を据え置いた。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.5と前年同月比0.6%上昇した。生鮮食品を含む総合は101.6と0.5%上昇したが、キャベツなど生鮮野菜の値下がりが物価上昇を抑えた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入れずにコア財に含めています。政府の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

photo

ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+0.5~+0.6%のレンジで中心値が+0.6%でしたので、ジャストミートしたといえます。加えて、6月統計から7月にかけての変化はそれほど大きくなく、私がいつも物価への影響力大きいと分析しているエネルギーについても、前年同月比寄与度で+0.04%のプラス寄与に過ぎませんでした。いわゆる小動きであり、10月の消費税率引き上げを前に企業が様子見をして価格の動きが小さくなっているそうな気すらします。もっとも、石油価格は下落を続けており、ガソリンの寄与度▲0.10%を含めて、石油製品の寄与は▲0.09%とマイナスであり、石油価格からラグをもって変動する電気代とガス代の寄与度が合わせて+0.14%ありましたので、エネルギー全体としてのくくりではプラス寄与を示しています。6月から始まった携帯電話、特に、スマートフォンの通信料の値下げについては、先月6月統計の通信料(携帯電話)が前年同月比で▲5.8%の下落、前年同月比への寄与度で▲0.12%に達していましたが、本日公表の7月統計では前年同月比で▲5.7%の下落、前年同月比への寄与度でも前月統計と同じ▲0.12%を示しています。先月のCPI統計公表時にも、このブログに書いた記憶がありますが、10月から消費税率が引き上げられる一方で、幼児教育の無償化が同時に始まれば、エネルギー価格の鈍化と相まって、この先CPI上昇率はさらに縮小する可能性が高いと私は予想しています。すなわち、消費税率引き上げの影響を除くベースで考えて、当面の足元では6月統計並みの+ゼロ%台半ばが続き、10月以降はゼロ%台前半にまで上昇率が縮小する可能性が十分あると見込んでいます。

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2019年8月22日 (木)

巨人には弱いが横浜で取り返して3連勝!!!

  RHE
横  浜000000000 030
阪  神00300005x 8120

横浜に3連勝でした。勝てばいいというものでもなく、ジャイアンツに3連敗した後、横浜に3連勝ですから、辻褄は合いますが、ジャイアンツの独走をアシストしているようなもんです。もちろん、次に当たった時はジャイアンツに3連勝するくらいの勢いをつけておかねばなりません。代打で登場の鳥谷選手は見送り三振でした。誠に残念。

明日も、
がんばれタイガース!

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デロイトトーマツ試算のFTA活用による関税削減可能額やいかに?

今週月曜日8月19日にデロイトトーマツから「FTA活用による関税削減可能額 2019年に約1.1兆円」と題するニュースリリースが明らかにされています。試算の詳細を含めたpdfのリポートもアップされています。国別の削減可能な関税額は以下の通りです。

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縮小してしまったため、見にくくなっていますが、対象国別の削減額では、日EU EPAを締結したEU向け輸出が2019年に最大で約1708億円、ついでメキシコ向けが1557億円、マレーシア向けが1456億円となっています。もちろん、試算したデロイトトーマツではFTAの積極的な活用、さらに、締結国の拡大をオススメしています。

最後に、上の画像の米国を除く一番下の2国、すなわち、ペルーとチリなんですが、国旗が間違って逆になっています。私はペルーには行ったことがありませんが、チリでは経済アタッシェとして大使館に3年間勤務しました。それなりに馴染みあるこの両国の国旗取り違えはとても残念です。

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2019年8月21日 (水)

打てない阪神は投手陣がしっかり抑えて横浜に連勝!!!

  RHE
横  浜000010000 1100
阪  神00110100x 370

打てないながら投手陣がしっかり抑えて横浜に連勝でした。特に、最後のクローザー藤川投手が素晴らしいピッチングでした。こういった競った試合をモノにするのが阪神本来のゲームなんだという気がします。でも、藤川投手はクローザーに復帰させましたし、福留選手は犠牲フライ前の進塁打の渋いバッティングが光りましたし、確かに、上茶谷投手に木浪選手が相性いいとはいえ、鳥谷選手だけが使ってもらえないのは、どういうベンチワークなんでしょうか?

明日も、
がんばれタイガース!

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日経シサーチによるQR決済サービス利用者・非利用者のCrossMappingやいかに?

今週月曜日8月19日に日経リサーチから20~39歳のミレニアル世代を対象としたQR決済サービス利用の現状に関するネット調査結果が明らかにされています。私のような定年退職者は対象外の調査なんですが、まず、グラフは省略して、ミレニアル世代ですら、QRコード決済を使っているのは31.1%にとどまっています。利用頻度で見て、LINE Payと楽天PayとPayPayがビッグスリーとなっており、登録・保有比率が20%を超えています。続いて、d払い、QUIC Pay、メルペイ、Origami Pay、au Pay、Amazon Pay、ゆうちょPayの順となっています。繰り返しになりますが、ビッグスリーでも登録・所有者が20%程度、年に数回以上の利用者が13~14%程度にとどまっています。まあ、先日、7Payが大きくコケて9月30日でサービス終了となりましたが、背景として我が国でのQRコード決済の低調さが上げられるかもしれません。そして、日経リサーチの分析手法として有名なCrossMappingによるミレニアル世代のQRコード決済の利用者・非利用者のマッピングは以下の通りです。日経リサーチのサイトから、図2. QR決済利用者の特徴マップ と図3. QR決済非利用者の特徴マップ の画像を私の方で結合させています。

photo

まず、上のパネルですが、QRコード決済サービス利用者の特徴をいくつか取りまとめ他グループがあり、左上の「バーチャル先端」グループから順に時計回りに解説があり、まず、第1に、「バーチャル先端」は先端的なツールやサービスの中でも、バーチャルな体験を好むグループであり、第2に、「リアル先端」は先端的なツールやサービスの中でも、リアルな体験を伴うものを利用し、利便性の向上を重視するグループとされています。第3に、「日用品ネット購入」はそのまんまで、楽天市場やメルカリなどで日用品を購入するグループです。第4の「娯楽品ネット購入」も同じで、特に、キャンペーンを利用してネットでダウンロードも含めて娯楽品を購入するグループだそうです。第5に、「現金代替」はネットではなく、実店舗でQR決済サービスを利用するグループであり、ポイント還元や現金・小銭を使わなくて済む利便性にメリットを感じていて、当然ながら、利用可能な店舗が増えることを期待している、とされています。最後に、「メルカリ利用」もその名の通りで、先端的なサービスの中でも、敷居の低いメルカリをよく利用するグループです。
次に、下のパネルの非利用者の特徴も、いくつかのグループに分けてあります。これも左上の「安全性希求」から時計回りに説明があり、第1に「安全性希求」はその名の通り、サービスの安全性が担保されているのかどうかに関心があり、使っていないグループです。第2に、「プロセスが面倒」もそのまんまであり、サービスの登録自体が面倒であるとともに、いちいちスマートフォンを取り出して店員に伝えることも面倒であると考えて利用していないグループです。もしも、我が家の上の倅がQRコード決済サービスを利用していないとすれば、ほぼほぼ間違いなくこのグループだろうと私は考えます。次に、第3に、「セキュリティー不安」が上げられていますが、最初の「安全性希求」との違いが私にはよく理解できませんでした。第4に、「利用困難」があり、高齢者などではなくミレニアル世代でも機械操作の不慣れとか、あるいは、可処分所得が低いとかで、そもそもの環境的に、あるいは、QR決済サービスの利用が難しいなどのグループです。最後の第5に、「ワンストップ化不安」として、携帯電話やスマートフォンを保有しておらず、スマホを利用したサービスそのものに対して不安がある、あるいは、スマホのみを利用し、依存してしまうことに不安を抱いているグループが上げられています。

私自身はQRコード決済は使っておらず、上の非利用者の特徴からすれば、たぶん、我が家の上の倅と同じで「プロセスが面倒」なんだろうと思います。カード型のNANACOやWAONといった流通系の電子マネーは使っていますし、もちろん、交通系も利用しています。我が家の公共料金はほぼほぼ私のクレジットカードで支払っていますので、キャッシュレス決済は毎月数万円に上ることもあり、決して現金決済に頼っているわけでもなく、まずまずキャッシュレス決済の利用は進んでいる気もします。まあ、QRコード決済サービスでなくても、ほかにもポイントも付けば小銭もいらないなどの利便性が高い決済サービスがある、ということかもしれません。いずれにせよ、7Payは大きくコケましたが、10月の消費税率引き上げに伴うキャッシュレス決済のポイント還元もあり、このリポートで取り上げられたQRコード決済だけでなく、電子マネーやクレジットカードも含めて、現金離れが進むのは間違いありません。

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2019年8月20日 (火)

10月の消費税率引き上げを経て今年度末くらいまでの短期経済見通しやいかに?

先日8月9日に内閣府から公表された本年4~6月期GDP統計速報1次QEを受けて、シンクタンクや金融機関などから2020年度末くらいまでの短期経済見通しがいっせいに明らかにされています。四半期ベースの詳細計数まで利用可能な見通しについて、本年度2019年度末まで取りまとめると以下の通りです。なお、下のテーブルの経済見通しについて詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。計数の転記については慎重を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、各機関のリポートでご確認ください。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名2019/4-62019/7-92019/10-122020/1-3FY2019
actualforecast
日本経済研究センター+0.4
(+1.8)
+0.1
(+0.3)
▲0.8
(▲3.3)
+0.0
(+0.1)
+0.7
日本総研(+0.6)(▲2.9)(+1.5)+0.8
大和総研+0.0
(+0.1)
▲0.4
(▲1.7)
+0.3
(+1.0)
+0.9
みずほ総研+0.0
(+0.2)
▲0.9
(▲3.4)
+0.1
(+0.3)
+0.7
ニッセイ基礎研+0.2
(+0.7)
▲0.6
(▲2.5)
+0.1
(+0.4)
+0.4
第一生命経済研+0.1
(+0.3)
▲0.5
(▲2.1)
+0.2
(+0.6)
+0.9
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.2
(+0.6)
▲0.6
(▲2.4)
+0.2
(+0.7)
+0.9
三菱総研+0.1
(+0.2)
▲0.6
(▲2.5)
+0.1
(+0.5)
+0.7
SMBC日興証券▲0.6
(▲2.3)
+0.5
(+1.8)
+0.0
(+0.1)
+0.9
農林中金総研+0.0
(+0.0)
▲0.5
(▲2.0)
▲0.4
(▲1.5)
+0.7
明治安田生命+0.0
(+0.1)
▲0.6
(▲2.2)
+0.1
(+0.4)
+0.8

一番右の列の2019年度成長率は前年度比そのままですが、四半期成長率については上段のカッコなしの数字が季節調整済み系列の前期比で、下段のカッコ付きの数字が前期比年率となっています。2019年4~6月期までは実績値、7~9月期からは見通しであり、すべてパーセント表記を省略しています。なお、日本総研のリポートでは前期比年率の成長率しか利用可能ではありませんでした。ということで、見れば明らかなんですが、10月からの消費税率の引き上げの前後の動向については、かなり多くの機関で足元の7~9月期の駆け込み需要はそれほど大きくなく、年率成長率でも潜在成長率水準の+1%に達しない一方で、10~12月期には消費税率引き上げによる成長率の落ち込み、マイナス成長を見込む結果となっています。唯一の例外はSMBC日興証券であり、実は、私はこのSMBC日興証券の「ハウスビュー」の経済見通しの詳細バージョンのニューズレターをメールでもらっているんですが、それを参照するまでもなく、キャッシュレス決済を対象とする5%ポイント還元などの駆け込み需要と反動減をスムージングする政府対策などにより、逆に、7~9月期に買い控えが起こり、増税後の10~12月期にその反動増が生ずる、と見込んでいるようです。官庁エコノミストの経験ある私の目から見て、とても大きな疑問符がつきますし、上のテーブルを見ても、かなりの少数意見のような気がします。
もうひとつの観点は、消費税率引き上げのショックがどの程度長引くかで、これも、多くの機関はマイナス成長は1四半期だけで、来年2020年1~3月期にはプラス成長に回帰すると見込んでいます。逆にいえば、消費税率引き上げ直前の駆け込み需要がそれほど大きくない、ということの裏返しなのであろうと私は受け止めています。この点の少数意見は農林中金総研であり、2020年1~3月期までマイナス成長が2四半期連続で継続すると見込んでいます。ただ、上のテーブルでは省略していますが、農林中金総研のリポートでも2020年4~6月期にはプラス成長に回帰すると予測しています。もしも、農林中金総研の見通しが正しければ、世間では2四半期連続のマイナス成長でテクニカルな景気後退局面入りのシグナルと受け取る可能性がないでもありませんが、まあ、2020年に入れば、東京オリンピック・パラリンピックの経済効果などもあって、それほど長くマイナス成長は続かないんでしょうね。
下のグラフは日本経済研究センターのサイトから短期経済見通しの前期比と寄与度のグラフを引用しています。

photo

最後に、私が知る限り、浜銀総研と富国生命が年度半期の上半期と下半期のベースの見通しを、また、信金中金地域・中小企業研が年度の見通しを、それぞれプレスリリースしています。四半期ベースの見通しが利用可能ではなかったので上のテーブルには含めていません。ほかにもあるのかもしれませんが、取りあえず、これら3機関をどうしても見たい方は、下にリンクだけ置いておきます。

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2019年8月19日 (月)

貿易収支が赤字に転じた7月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から7月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲1.6%減の6兆6432億円、輸入額も▲1.2%減の6兆8928億円、差引き貿易収支は▲2496億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の貿易収支、2カ月ぶり赤字 中国向け輸出は5カ月連続減
財務省が19日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2496億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。中国向けの半導体等製造装置や自動車部品の輸出が大幅に落ち込んだ。
全体の輸出額は前年同月比1.6%減の6兆6432億円だった。輸入額は1.2%減の6兆8928億円で、イランからの原粗油などの輸入が減った。
中国向けの輸出額は9.3%減の1兆2288億円と、5カ月連続で減少した。財務省は「中国経済が減速している影響を受けた可能性がある」との見方を示した。一方、中国からの輸入額は2.8%増の1兆6126億円と3カ月ぶりに増加した。パソコンなど電算機類(含む周辺機器)の輸入が増えた。
韓国向けの輸出額は6.9%減の4363億円と、9カ月連続で減少した。半導体等製造装置などの輸出が大幅に減少した。日本政府による韓国向けの半導体材料などの輸出管理の強化について、財務省は「(対象となった)3品目は、貨物の形態などによって様々な統計品目番号に分類される可能性がある」と、貿易統計への具体的な影響を示すことは困難と説明している。
対米国の貿易収支は5794億円の黒字だった。半導体等製造装置や建設用・鉱山用機械の輸出が増えた。対欧州連合(EU)の貿易収支は679億円の赤字だった。
7月の為替レート(税関長公示レート)は1ドル=108円00銭で、前年同月に比べ円高・ドル安に振れた。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、貿易収支は▲2000億円の赤字とのことでしたので、実績はこれをやや上回る貿易赤字となりました。ただし、輸出入ともに前年同月から数パーセント減少した上での差し引きの貿易赤字ですから、まあ、縮小均衡と捉える向きもあるかもしれません。もちろん、我が国を含めて世界経済の減速が大きな要因となった輸出入額の減少と考えるべきです。やや別の観点ながら、先月の貿易統計公表時の論評で、韓国との6月統計での貿易額が2桁減となっている点を指摘しましたが、7月統計では引き続き前年同月比マイナスながら下げ幅は縮小しています。ただ、制度的な要因で管理が強化される直前の駆込みがあったとの指摘もあり、日韓貿易の減少に歯止めがかかったようには見受けられません。ですから、米中間の貿易摩擦とともに、マクロの世界経済の減速に加えて、東アジアにおける通商政策による貿易制限的な効果も我が国輸出入の低迷の一因となっていることは確かです。

photo

輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、まず着目すべきは、先月6月統計まではここ数か月の輸出額の減少はほぼほ数量が減少に寄与していたんですが、ようやく輸出に底入れの兆しが見えます。これは中国向け輸出の回復に依存するわけですが、もちろん、今後、5月に米国が発動した中国製品2000億ドルに対する25%の追加関税の影響が、中国経済に現れることが考えられます。マクロの中国経済はそろそろ底入れしたと考えるエコノミストは少なくないんですが、それほど単純なパスで中国経済が回復に向かうかどうかはまだ不確実性が高いと私は考えています。ただ、私がちょうだいしているシンクタンクのリポートのうちのいくつかで、財務省の公式発表ではなく各機関独自に季節調整を実施している例があり、繰り返しになりますが、輸出数量の季節調整値からは、そろそろ底入れの兆しがうかがえる、とするリポートも複数ありました。

我が国景気との関係で、もっとも避けたいシナリオは10月からの消費税率引き上げによる国内経済のダメージに加えて、同時に世界経済、特に、中国経済が米国の関税率の追加引き上げの影響により低迷し、我が国の中国向け輸出が減速して、内外需要が同時に低迷することです。しかし、米国の関税率引き上げはすでに発動されており、我が国の消費税率引き上げもほぼほぼスケジュールされていますので、このタイミングの問題はなかなかに悩ましいところかもしれません。

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2019年8月18日 (日)

実力の差があまりに大きく巨人に3連敗!!!

  RHE
阪  神000001200 390
読  売00031020x 691

甲子園の星稜vs仙台育英戦とチャンネルを切り替えながらテレビ観戦していたんですが、ジャイアンツに3連敗でした。もはや、同じリーグのチームとは思えず、ピッチャーも、バッターも、ベンチワークまで含めて、何から何まで、差が大き過ぎます。ジャイアンツの首位固めをアシストしただけの3連戦でした。

来シーズンを見据えて、
がんばれタイガース!

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アジア開発銀行による気候変動と災害のインフォグラフィックス!

昨週半ばに、大型の台風10号クローサが西日本を縦断した後、北海道にも接近しました。昨日今日と東京都心、すなわち、気象庁のある大手町でも最高気温が35度を軽く超えると報じられており、災害級の猛暑となっています。もっとも、ひと月ほど前、梅雨が長引いていた時期には、「冷夏が日本経済に及ぼす影響」なんて、今から後知恵で考えればアサッテの方向のリポートを出したシンクタンクもあり、私は軽く無視していたりしました。私が統計局に出向して消費統計を担当していた折など、猛暑は消費を喚起するひとつの要因と考えられていたんですが、今年の猛暑は、それほど長期間続くとは思えないものの、ひょっとしたら、日本経済にはマイナスではないのか、という気すらします。私ははなはだ専門外ながら、これも地球環境問題、気候変動のひとつの帰結なのか、と思わないでもありません。

ということで、アジア開発銀行(ADB)から、アジア太平洋地域における気候変動と災害 Climate Change and Disasters in Asia and the Pacific と題するインフォグラフィックスが明らかにされていて、以下の引用のような解説が加えられています。

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Climate change and disasters threaten the long-term sustainability of development in Asia and the Pacific. The region has experienced a significant increase in the number, intensity, and impact of extreme weather events such as tropical cyclones, floods, droughts, and heat waves. Geophysical hazards, including earthquakes and tsunamis, have also caused significant loss of lives and economic damage.

日本や韓国を除いたアジア新興国・途上国は、一般に緯度が低く、それだけに気温が高くて暑さが厳しいのは容易に想像されるところであろうと思います。引用した解説にも、サイクロンや洪水、干ばつといった災害と並べて、「熱波」heat waves という表現があり、20年近く前まで一家でインドネシアの首都ジャカルタにいた時のことを思い出してしまいました。ちょうど今ごろ、7~8月は「草木も枯れる」といわれたジャカルタの乾季の中でも、暑さのピークだったような記憶があります。でも、我が家がいたころには、ジャカルタで35度を超える日はほとんどなかったんではないかと思います。

どうでもいいことながら、久し振りに、海外生活の思い出のブログに分類しておきます。

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2019年8月17日 (土)

どうしようもない総合力の差で巨人に連敗!!!

  RHE
阪  神000000020 250
読  売10000030x 4100

ジャイアンツに連敗でした。先発西投手は粘り強いピッチングで7回を1失点に抑える好投でしたが、もはや、失点したら負け投手、というカンジなのかもしれません。総合的な実力の差としかいいようがありません。加えて、巨人は岡本選手と阿部選手でヒットエンドランを仕かけたり、ゲレーロ選手にバントさせたりと、ベンチワークにも見るべきものがありました。阪神は外国人選手にドーピングさせることはさすがにしないでしょうが、バントのサインを出すことはできるんでしょうか。終盤に反撃はありましたが、まるで、その昔のプロレスみたいに、勝つチームが最初から決まっているような試合でした。

明日は3タテされないように、
がんばれタイガース!

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全国的にお盆休みの今週の読書は経済書をよく読んでラノベも合わせて計9冊!

今週は全国的にお盆休みながら、週後半は西日本を大型台風が縦断したりして天候は不順でした。私はまとまったお休みは来月9月に取る予定で、特に今秋に休みを取ったわけではないんですが、それなりのよく読書が進んで経済書など以下の通りの計9冊です。もっとも、9冊のうちの3冊は文庫本のラノベであり、1冊当たり1時間もかからずに読み切ったりしましたので、それほど読書に時間を割いたという実感はありません。午後からの35度超えを前に、自転車での図書館回りをすでに終え、来週の読書もいつも通り数冊に上りそうな予感です。

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まず、平山賢一『戦前・戦時期の金融市場』(日本経済新聞出版社) です。著者は、バイサイドの機関投資家であり、本書は著者の博士論文です。本書の時期的なスコープは戦前期から戦中期であり、特に、1936年の5.15事件から経済社会への統制色が強まる中で、金融市場のデータ、株式や国債価格や利回りとともに収益率を細かく算出している点が特徴です。ただし、本論ではデータの算出に終止しており、データを用いた定量的な分析までは手が届いていません。そこは限界として認識すべきで、私のように物足りないと受け止める向きもあれば、それはそれで判りやすい点を評価する向きもあろうかという気がします。ということで、本書のファクトファインディングのひとつは、戦前期においては国債がローリスク・ローリターンである一方で、株式はハイリスクながらローリターンであった、という従来の「常識」をデータをもって覆し、株式はハイリスクだったかもしれないが、国債に比較してもそれなりにハイリターンであった点を実証しています。戦前期のリスクとリターンの関係について、経済学的な通常の常識から離れた自体を示しているのは、ひとえに「統制経済」でもって経済が歪めらたためである、と理解されてきたわけですが、決してそうではなく、統制はあっても経済的な合理性が貫徹していたことを実証した価値は小さくないと思います。基本的に、バブル経済崩壊から「制度疲労」という言葉などで批判されてきた昭和的な経済的慣行、労働では新卒一括採用に基づく終身雇用・年功賃金・企業内組合の3点セット、あるいは、金融的には株式や社債による直接的な資金調達ではなく、メインバンク制に基づく銀行貸出に依存した間接金融、あるいは、もっと大きな視点での系列取引にも依存した長期的な支店に基づく取引、などなどは1950年代からのいわゆる高度成長期に確立された慣行であり、大正から昭和初期の日本経済は現在のアングロ・サクソン的な市場原理主義的経済慣行が支配的であった、という点は忘れるべきではありません。本書でも指摘されている通り、資金調達はかなり直接金融であり、株式や社債発行に基づいています。しかし、金融市場としてはそれほどの深みや厚みはありませんでした。逆に、それは統制経済への移行を容易にした面もあります。財政の悪化により、特に、地方公務員はかんたんに解雇されたりしました。かなりの程度にマルサス的な貧困が残存していて、まだルイス転換点に達していなかった日本経済では、「タコ部屋」という言葉に残っているように、民主的な人権や個人の尊重の視点を無視した労働慣行があり、「奉公」の名の下に、現在から見れば強制労働といえるような職場もあり、しかも、それが決して近代民主的な資本主義ではなく、封建的な残滓の広範に見られる資本主義であったことは講座派的な日本資本主義分析が示している通りです。最後は本書のスコープからはやや脱線してしまいました。悪しからず。

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次に、ノミ・プリンス『中央銀行の罪』(早川書房) です。著者は、ゴールドマン・サックスなどの投資銀行勤務の経験あるジャーナリストという触れ込みです。私はこの作者の『大統領を操るバンカーたち』を読んでいて、上下巻のボリュームだけは大作だったと記憶しています。本書のテーマとなっているのは、2008年のサブプライム・バブルの崩壊とその後の大銀行の救済や金融政策、さらに、中央銀行と民間銀行の「共謀」となっています。ですから、というか、何というか、英語の原題は Collusion であり、2018年の出版です。ということで、今さら10年前の2008年のサブプライム・バブル崩壊かね、という気もしますが、それはともかく、その後の金融政策当局=中央銀行や、中央銀行による大銀行の救済と両者の共謀を極めて詳細に渡って、事実関係を積み上げています。こういった事実のコンピレーションから何が浮かび上がるか、というと、おそらく著者は、中央銀行は大銀行を救済する一方で、国民生活を犠牲にしている、とか、バブル崩壊の後始末をもうひとつのバブルにより埋め合わせをしようとしている、とかではないかと思いますし、それはそれで、従来のナオミ・クラインのリポートなどが大銀行経営者の糾弾にやや偏重しているのに比べて、政府から独立している中央銀行も批判の対象にするのは、それなりに意味あることと思いますが、いつもの私の疑問なんですが、バブル崩壊後の金融危機に対処して、いきなりのマイナス金利はともかく、金利を引き下げるとか、量的緩和を実行するとか、いわゆる金融緩和を進める以外に、タカ派的に逆に金融引き締めを行うという選択肢はありえないのではないでしょうか。同時に、too big to fail も常に批判にさらされますが、リーマン・ブラザーズの破綻という、かなり大胆かつ実験的なイベントを実際に観察して、どこまで否定できるかは疑問が残ります。リーマン・ブラザーズの破綻については、私もいくつかノンフィクションの作品を読んで、潰そうと思って潰したわけではなく、万策尽き果てて破綻させるしかなかった可能性があると理解していますが、それでも、破綻させないという選択肢が可能であれば破綻させなかった方がよかったのではないかと考えています。サブプライム・バブル崩壊後の金融危機の中で、大銀行が救済されながらも責任の所在があいまいにされ、あまつさえ、AIGのように高額のボーナス支給がなされた例もあり、私も決してベストの解決でなかったことは理解しますが、大銀行経営者や中央銀行の金融政策当局者などの責任をあげつらうのはともかくとして、金融緩和の必要性を否定するがごとき論調でタカ派的な政策志向をあらわにするのは、私は同意できません。

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次に、大前研一『稼ぐ力をつける「リカレント教育」』(プレジデント社) です。著者は、ご存じ、マッキンゼーのコンサルタントを経て経済や経営分野の評論家というんだろうと思います。本書ではリカレント教育について、著者ご自身の設立したビジネス・ブレークスルー(BBT)大学の例なども引きつつ、デジタル経済社会における必要性や重要性などについて議論しています。リカレント教育については、私も昨年の「経済財政白書」で取り上げられたことなどもあり、それなりに注目しているんですが、基本はデジタル経済とはそれほど大きな関係なく、日本企業の体力が低下して来たために、OJTによる企業特殊的なスキルの向上に振り向けるリソースがなくなって、雇用者個人のリソースでにスキルアップを強制している結果だと受け止めています。すなわち、このブログで何度か強調していたように、戦後のルイス転換点を越えた高度成長期の我が国経済では、古典的なマルサス的な貧困を克服し、逆に、先進各国と同様に需要が極めて旺盛な経済社会を実現し、資本蓄積に比較して一時的ながら労働力不足に陥ったことから、雇用慣行が戦前・戦中のアングロサクソン的スキームから大きく転換し、新卒一括採用の下でいわゆる終身雇用・年功賃金・企業内組合で特徴つけられる日本的雇用慣行を確立し、ヘッド・ハンティングとまで大げさに表現しないまでも、引き抜きを防止するために企業特殊的なスキルを主としてOJTによって向上させる方法を取りました。それはそれとして、高度成長期には合理的だったわけです。しかし、その後、ルイス転換点を越えるような要素移動を望むことができなくなり、さらに、私は主として為替調整が主因と考えていますが、日本企業が競争力を低下させる中で、OJTへのリソースが細り、現在では賃金上昇すらリソースを枯渇させ、賃金抑制のために低賃金国への海外展開を図るとともに、ルイス転換点を越えるかのような要素移動を促すべく、雇用の流動化を模索して、「岩盤規制」などと名付けた高度成長期にルーツある雇用スキームの大転換を図ろうと試みているわけです。ついでながら、やや脱線すると、この要素移動の点で日本企業は合成の誤謬に陥っていると私は考えています。すなわち、雇用の流動化が図れれば、他企業の高生産性雇用者を自企業に取り込むことが可能になるとともに、自企業の低生産性雇用者を他企業に押し付けることができる、という期待があるわけですが、企業が求めるスキルと雇用者が有するスキルのミスマッチがそれほど広範に生じているとは私にはとても思えず、こういった自企業のみに都合いい要素移動が起こるとは考えられません。本題に戻って、現在では、スキルアップは第1に企業特殊的なものから、より幅広く市場で受け入れられ、一般的に通用するスキルの重視に変化しました。典型は英会話とか、経済経営分野の簿記会計をはじめとする資格の取得などです。第2に一般的なスキルの重視と企業の体力の低下が相まって、スキルアップは企業のリソースだけではなく、雇用者個人の責任とコスト負担の割合が高まりました。このような企業活動と雇用者のスキルアップの歴史的な展開の中で、現在のリカレント教育を考える必要も指摘しておきたいと思います。その意味で、欧州諸国が我が国よりも先進的なリカレント教育のシステムを整備していることは、もちろん、政府の責任もあるでしょうが、歴史的な段階としてはあり得ることではないでしょうか。私のように、公務員として定年まで勤務し、長期雇用の中で突然天下りが廃止されて、定年後の収入の道が極めて狭くなってしまった例もあるわけですし、リカレント教育という手法が適当かどうかは別ながらひとつの選択肢として、スキルアップはもう少し若いころにやっておけばよかったと悔やむことのないように、それなりの定年準備は模索すべきかもしれません。

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次に、池田浩士『ボランティアとファシズム』(人文書院) です。著者は、我が母校である京都大学の名誉教授です。私は教養部の1年生のころにドイツ語を習った記憶があります。新左翼のトロツキストの支持者だったように記憶しています。ということはどうでもいいとして、本書は我が国では関東大震災で東京帝大のセツルメント活動で本格的に始まったといわれているボランティアについて、それがいかにして、我が国のファシズムやドイツのナチズムに、いかにも自発的な装いをもって、その実、ほぼほぼ実質的に強制的かつ強要されるようになったのか、について歴史的にひもといています。1933年にナチスが政権を奪取してから、ほぼほぼ完全にワイマール憲法に則った形で、カギカッコ付きの「民主的」に独裁性を確立したかも触れていますが、これはほかの専門書に当たった方がいいような気がしないでもありません。本書では、ボランティアという語でもってボランティア活動を行う人とボランティア活動そのものの両義を指していますが、自発的な善意に基づく行為がいかにして強制的な勤労奉仕や事実上の強制的な奴隷的労働に早変わりするかは、そこに民主的なチェックが働くか、それとも全体主義的な統制の基に行われるかの違いがあると私は考えます。でも、社会全体としては民主的なチェックが効くとしても、グループとしては統制的な色彩が強くなる場合も少なくないことは理解すべきです。典型的には職場のサービス残業であり、現在のワーク・ライフ・バランスに逆行するような長時間労働が、ホンの少し前までは勤労の美徳のように見られていたことも忘れるべきではりません。ですから、本書のような大上段に振りかぶった政治的かつ社会的なボランティアと強制労働を考えることも必要ですが、マイクロな職場や地域やそして学校において、いかにも「自発的」な装いをもって強制される行為については、個人か全体かという民主主義と全体主義の大きな分岐点を意識しつつ見分ける見識が必要です。最後に、自発的な活動として本書ではほかに、チラリとワンダーフォーゲルとボーイスカウトを上げています。前者はなぞらえるべきほかの団体を思いつかないので、ともかくとして、後者のボーイスカウトはソ連的なピオネールやナチスのヒトラー・ユーゲントとの相似性を指摘する向きもありますが、個人の尊厳という観点からまったく異なることは理解すべきです。我が家の下の倅はビーバー隊から、カブ・スカウト、ボーイ隊とスカウト活動を続けてきましたので、私もそれなりに親しみありますが、スカウト活動がヒトラー・ユーゲントに似通った団体活動であるなどとはまったく思いません。また、別の観点ながら、私が地方大学に日本経済論担当教授として出向していた時に、いかにも九州的な「地産地消」の議論に接したりしたんですが、本書でも指摘されている通り、ナチズムが強調するポイントのひとつは「血と土」です。ヒトラー・ユーゲントでも「大地に根ざした」という表現が好んで使われたりします。ふるさとや祖国というものはもちろん尊重され重視すべきですが、地域的あるいは血縁的な閉鎖性を主張するよりも、交易の利益を尊重するのが左派的なエコノミストの果たすべき役割であると私は考えています。

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次に、谷川建司・須藤遙子[訳]『対米従属の起源』(大月書店) です。何と申しましょうかで、著者名がなく、いきなり翻訳者なのは、本書のメインは米国公文書館で公開された「1959年米機密文書」となっているからです。別名は「メイ報告書」であり、上の表紙画像の左上に写真が見えるイェール大学のメイ教授によって取りまとめられています。報告書には、USIS=US Information Service の活動やフリー博士によるアンケート調査などが幅広く取り上げられています。報告書のほかにも邦訳者による解説なども加えられています。ということで、1959年、すなわち、日米安保条約改定前夜における米国情報機関の我が国における活動がかなり詳細にリポートされています。当時は米ソの東西冷戦だけでなく、我が国内でも学生運動をはじめとして安保条約に対する反対運動の盛り上がりが見られた時期でもあることはいうまでもありません。ただ、本書を読むと、かなり詳細に特定の個人名への言及があることは確かですが、それほどの意外感もなく、おおむね、常識的な内容ではないかという気もしますが、まあウワサ話や都市伝説的な内容について、米国機密文書で裏付けられた、という点が重要であろうと私は受け止めています。米国から見て、日本は東欧諸国のようにソ連の支配下に入り、共産主義化する恐れはほぼほぼなかったことが確認されており、むしろ、日本の共産主義化というよりも台湾政府の否認、というか、大陸の共産党政権化にある中国への接近や国家としての承認などがアジェンダとして考えられていたようです。結果として歴史的に明らかになった事実は、1970年代に、まさに、本書のタイトル通りに、対米従属する形で当時の米国のニクソン大統領による中国との国交樹立を待って、我が国の田中内閣が中国と国交樹立し、中国の国連加盟の道が開かれた、ということになります。もちろん、本書のスコープは外れています。本書のスコープに戻れば、現在のアメリカンセンターに当たり、日本国内に展開する文化的な広報活動の拠点の活動は思わしく進んでいない一方で、現在であれば「インフルエンサー」と呼ばれるであろう大学教授など、当時の表現でいえばオピニオンリーダーを米国に派遣して米国のシステムや生活水準などに対する理解を深めてもらう、という方法が有効であったようです。なお、私の専門分野であった経済学については、サムエルソン教授のテキスト『経済学』を取り寄せたい、という要望があったようです。私の記憶の限りでいえば、『サムエルソン 経済学』のテキストの邦訳は1966年に都留重人教授が原書第6版を基にして出版されたんではないかと思います。そのかなり前の1959年の段階の記録では、原書を手に入れたいというのももっともです。経済学を専門とするエコノミストにとっては、このサムエルソン教授のテキストのどの版を読んだかで大雑把な年齢が判明するんですが、私は原書第10版の邦訳を読んでいます。上下巻でハードカバーの、しかも、箱入りです。アダム・スミス『諸国民の富』Ⅰ及びⅡやケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』などとともに、まだ、我が家の本棚に鎮座していたりします。

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次に、木内昇『化物蠟燭』(朝日新聞出版) です。著者は直木賞作家であり、時代小説を得意分野としているように私は認識しています。本書は短編集であり、『小説現代』と『小説トリッパー』に2010年から2018年にかけて掲載された短編、表題作を含めて、「隣の小平次」、「蛼橋」、「お柄杓」、「幼馴染み」、「化物蠟燭」、「むらさき」、「夜番」の7編を収録しています。時代背景はおおむね徳川後期と察せられます。明記されているものもあります。私はそれなりに時代小説を読むんですが、かなり時代考証はしっかりしているという印象を受けました。この季節にふさわしく、怪談集です。半分くらいは、この世のものではない存在、主として幽霊や妖怪や物の怪などの活動を扱っていますが、そういった非現実的な存在を必要とせず、キングばりのモダンホラーのような作品もあります。「幼馴染み」なんかはそうだという気がします。また、この世とあの世を行ったり来たりする短編もありますが、主たる舞台はこの世であり、次に取り上げる「京洛の森」のような不自然さは時代考証も含めて何らありません。加えて、表題作の「化物蠟燭」をはじめとして、それなりのハッピーエンドで終わる物語も含まれています。ただ、最大の特徴は、この作品には限られませんが、あの世の存在がこの世に何らかの形で残って、平たい表現をすれば成仏できずに苦しむ、という物語ではなく、あくまでこの世の普通の人間を中心にストーリーが回っている印象を受けました。しかも、私がよく読む時代小説は徳川期という点では本作品と同じながら、武士階級を主人公として、しかもそれなりの高位の侍も含まれ、封建時代の大名や領主が世襲で盤石の基盤を持つ中で、家老以下が精力争う意を繰り返す、そして、侍だけに何らかの剣術の達人が登場する、という『たそがれ清兵衛』や『三屋清左衛門残実録』のような私が慣れ親しんだ時代小説ではなく、場所的には江戸下町中心ながら、ほとんど侍は登場せず、同時に大都市の江戸が舞台ですので農民も主たる役割は果たさず、職人と商人のいわゆる町民・町人が主人公となっています。私の個人的かつ偏ったな印象ながら、この作者の作品は幕末を舞台にした重厚な物語がお得意であったような気がしますが、市井に住む町人の生活を基礎として、いかに安定や幸福などを求めるか、そこに、この世に未練を残したあの世の存在がどのように入り込むか、とても人情味あふれる短編集に仕上がっています。繰り返しになりますが、時代背景は徳川後期ながら、21世紀の現代にも通じる部分もあります。ただ、それほど応用範囲は広くありませんので、その点は、すべてを現代的に読み替えるべきではありません。

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最後に、望月麻衣『京洛の森のアリス』、『京洛の森のアリス Ⅱ』、『京洛の森のアリス Ⅲ』(文春文庫) です。作者は、京都在住のラノベ作家です。この作者の作品としては、京都を舞台にしたラノベしか私は読んだことがありません。また、本書を原作としてコミックも出版されています。3冊とも300ページないしそれ以下で、中身がライトですので、私は1冊当たり1時間弱で読み切ってしまいました。先週末の3連休にエアロバイクを1時間ほど漕ぐに当たっての暇潰しで図書館から借りた次第です。でも、実は、半分くらいはテレビで高校野球を見ていたりしました。ということで、両親を交通事故で亡くし、叔母の家に引き取られていた主人公が、15歳になっても高校に通わせてもらえず、老紳士に連れられて、小さいころに育った京都に移り住むところからストーリーが始まります。五条大橋を越えたあたりから様子が変わり、実は「京洛の森」なる異次元に入り込むわけです。このあたりは「千と千尋の神隠し」へのオマージュかと思います。そして、京洛の森では自分のやりたいことをやり、人に必要とされるという条件を満たさないとダメなんですが、何と無謀にも主人公は最初は舞妓修行を決意するものの、アッサリと本屋に宗旨替えします。人に必要とされるという条件も、ひょっとしたら、仕事をしなければならないという条件がある「千と千尋の神隠し」へのオマージュかもしれません。いずれにせよ、あとがきでジブリ作品への思い入れがあるようなことが書かれています。主人公の名前は白川ありすで、これは「不思議の国のアリス」へのオマージュでしょうから、いろんな既存作品のつぎはぎながら、ジブリ作品だけでなく、かなり思い込みが激しいように私は受け止めました。主人公の前に現れる兎のナツメと蛙のハチスが、実は人間で、当然のように言葉をしゃべります。ハチスが王族の蓮で、主人公の幼馴染にして、いつのまにか婚約者になっており、ナツメの方は主人公を京洛の森に連れて来た老人で、王族に仕える執事の棗だったりします。何といっても、エコノミストの目から見て、いろんなビジネスがありながら貨幣がない、というのは決定的な欠陥で、生活感がなく、いかにも架空の物語、という受け止めしかできません。「不思議の国のアリス」はともかく、ファンタジーでも「千と千尋の神隠し」では黄金がザクザクと出て来ますし、「ハリー・ポッター」のシリーズではゴブリンの銀行にハリーの預金口座があり、また、お金持ちで貴族のドラコ・マルフォイと貧乏人の子沢山のロン・ウィーズリーの格差と対立がひとつの見どころとなっていますので、その点で、我が国のラノベ界の、例えば、高校生ばかりが登場する人気ラノベ作家の作品などとともに、やや底が浅いと私が感じてしまう一因かもしれません。でも、世界観はダメとしても、地理的な舞台は京都らしき京洛の森ですから、私も馴染みありますし、手軽に読めて後に残らず、暇潰しにはピッタリです。実は、同じ作者の『京都寺町三条のホームズ』シリーズは8巻で読書が止まっていたところ、少し新たに借りようかと画策しています。でも、かなりの人気のようで、最新刊の12巻まではまだ借りられそうもありません。誠に残念。

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2019年8月16日 (金)

先発高橋投手が好投するも打線の決定力なく巨人に競り負ける!!!

  RHE
阪  神100000000 180
読  売00020000x 240

ジャイアンツに倍する8安打を放ちながら、打線に決定力なく巨人に競り負けました。先発高橋投手は7回4安打2失点の好投でしたが、巨人4番岡本選手のツーランに沈みました。打線では、大山選手がことごとくチャンスで凡退しました。特に、8回の同点・逆転機にゲッツーは痛かったです。9回は巨人のクローザーが出てきて、阪神は下位打線に回るわけですから、犠牲フライくらい打てないものなんでしょうか。ベンチワークも、何ら采配らしい采配は見られませんでした。

明日は、
がんばれタイガース!

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帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査 (2019年)」の結果やいかに?

昨日、帝国データバンクから「女性登用に対する企業の意識調査 (2019年)」の結果が明らかにされています。女性管理職の割合は平均7.7%と前年比+0.5%ポイント上昇したなどとなっています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 女性管理職の割合は平均7.7%と前年比0.5ポイント上昇。「30%以上」とする企業は7.1%(同0.3ポイント上昇)と緩やかな増加をみせた。他方、女性管理職がいない企業は46.7%と半数近くにのぼるが、女性管理職の割合は上昇傾向にある。また、女性従業員の割合は平均25.2%で同0.3ポイント上昇、女性役員の割合は平均9.8%で同0.1ポイント上昇した
  2. 今後、女性管理職の割合が増えると見込んでいる企業は23.6%。また、今後女性役員の割合が増えると見込んでいる企業は7.6%だった
  3. 社内外を問わず女性の活用・登用を進めている企業は50.0%。その効果は、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」(68.0%)が約7割となり、突出して高い。以下、「多様な働き方が促進された」(28.4%)、「女性の労働観が変化してきた」(27.5%)が上位となった
  4. 女性の活躍を促進するために重視する上位3項目は、女性の家庭における負担軽減に関する項目が並ぶ。「妊娠・出産・子育て支援の充実」(60.5%)が6割超でトップ。次いで、待機児童や保育士不足の解消などの「保育サービスの充実」(59.0%)、育休復帰支援などの「仕事と子育ての両立支援」(58.4%)が続いた

もう上の調査結果概要以上の情報はほとんどないんですが、リポートからグラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから 女性の割合(従業員・管理職・役員) の最近3年間の推移を示すグラフを引用すると上の通りです。レンジの構成比を示す棒グラフで見ても判りにくいので、右側の欄外ともいえる平均を見れば、従業員の中の女性比率はここ3年でジワジワと上昇し、今年2019年には25%を超えました。課長職以上の女性管理職比率も7.7%に達しています。やや不思議なのが、女性役員比率であり、管理職比率を上回る10%近くに達しています。創業者一族が多い可能性があると私は受け止めています。

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次に、リポートから 女性管理職の平均割合 - 規模別・業界別 の去年と今年の推移を示すグラフを引用すると上の通りです。去年と今年の2年間の推移ですので大きな違いはないんですが、規模別では規模が大きいほど女性管理職の登用が進んでいないのが見て取れます。また、 業界別では、「小売」、「不動産」、「サービス」で高く、「建設」、「運輸・倉庫」、「製造」などが低くなっています。私なりの偏った印象ながら、B to C の接客の要素多い業種で女性管理職比率が高いような気がします。それから、去年から今年にかけて押しなべて女性管理職比率が上昇している一方で、「農・林・水産」のような例外もあるものの、去年女性管理職比率が高かった業種は今年にかけての上昇幅も大きいんではないか、そして、逆は逆なんではないか、といった印象を持ちます。もしも、この傾向が続くとすれば、女性管理職比率の業種間の格差は拡大することになりかねません。時間がかかる課題とはいえ、何らかの意識的な取り組みの必要性を示唆しているような気がします。

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2019年8月15日 (木)

東京脱出組はどういう年齢層か?

参議院事務局から毎月「経済のプリズム」が公表されていますが、8月号の「東京は誰に住みよいか」と題するコラムを読みました。お盆の季節で、特段の経済情報もなく、軽く取り上げておきたいと思います。

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コラムでは、三大都市圏や東京圏への人口流入を歴史的に概観し、バブル崩壊後の1990年代なかばから東京一極集中が進んでいるように見えながら、すべての年代で東京への流入が進んでいるわけではないとし、年齢別に見て、0~14歳が流出超の▲2,489人、15~29歳の若年層はもっとも大きい流入超で+85,607人、30~64歳はそれほどの流入超はなく+240人、そして、65歳以上の高齢層は▲5,872人の流出超となっています。上のグラフは 2014-2018年(平均)の都道府県別の転入超過数 のグラフを参議院のコラムから引用しています。
見れば明らかな通り、8万人近い東京都への人口流入に対して、15~29歳の若年層はこれを上回る8.5万人超の流入超過がある一方で、30~64歳はほぼほぼゼロで、0~14歳の中学生以下層はマイナスですので、かなりの程度に子育てファミリーは東京から流出している可能性が指摘されています。65歳超の高齢層は特別養護老人ホームに入所できない、いわゆる「待機老人」が東京都外の施設に入所するのもさることながら、高齢者には住みにくい東京を脱出する向きも少なくないような気がします。

実は、私も今年3月にすでに定年退職し、もともとが関西圏の京都出身ですし、上の倅はすでに就職して独身寮に入り、下の倅は大阪で下宿しての学生生活ですから、関西圏に限らず、高齢層に入りつつある我が家も東京脱出を考えないでもありません。

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2019年8月14日 (水)

5回に阪神打線がつながって中日に完勝!!!

  RHE
阪  神000051000 690
中  日201000000 380

5回のワンチャンスをモノにして中日に快勝でした。ツーアウトから打線がつながったのもめずらしい気がします。相変わらず、リリーフ陣は完璧でした。能見投手の初勝利もめでたい限りです。

東京ドームのジャイアンツ戦は、
がんばれタイガース!

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イレギュラーな大型受注で増加を示した機械受注の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から6月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、大型受注案件が入って、季節調整済みの系列で見て前月比+13.9%増の9603億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月機械受注、前月比13.9%増 鉄道車両の大型受注で
内閣府が14日発表した6月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比13.9%増の9603億円だった。増加は2カ月ぶりで、市場予想の中央値である1.5%減を大きく上回った。伸び率は比較可能な2005年4月以降で最も高くなった。製造業の受注は減少した一方、非製造業が大きく伸びた。内閣府は「非製造業の運輸業・郵便業で、鉄道車両の大型受注案件が複数みられたことが大きく影響した」と分析した。
6月の受注額は製造業が1.7%減の3644億円だった。減少は2カ月連続。その他製造業で、火水力原動機や通信機などの受注が減った。非製造業は30.5%増の6147億円。増加は2カ月ぶり。大型案件のほか、その他非製造業で電子計算機等や原子力原動機の受注が増えた。前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は12.5%増だった。
基調判断は「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。「6月は高い伸び率となった一方、前月がマイナスだったことなどを踏まえて、判断した」という。
4▲6月期は前期比7.5%増の2兆7169億円だった。増加は3四半期ぶりだが、3月末時点の見通しよりは低い伸び率となった。製造業は2.5%増、非製造業は13.1%増だった。
7▲9月期は前期比6.1%減と、2期ぶりに減少する見通し。製造業は2.8%増。工作機械や産業機械などの増加で2期連続で増加する見込み。非製造業は12.5%減と鉄道車両などの受注減で2期ぶりの減少となる見通し。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、季節調整済みのコア機械受注の前期比で▲1.5%減でしたから、実績の2桁増はちょっとびっくりでしたが、これも引用した記事にある通り、「非製造業の運輸業・郵便業で、鉄道車両の大型受注案件が複数みられたことが大きく影響した」とのことですので、どこまでが、いわゆる「実力」なのかは不明です。コア機械受注の前月比の伸びが+13.9%、ただし、産業別の内訳を少し詳しく見ると、米中間の貿易摩擦などで世界経済減速の影響大きい製造業は▲1.7%のマイナスであり、船舶と電力を除く非製造業は+30.5%増を示したものの、その中でも、運輸業・郵便業が大型案件の受注というイレギュラーな要因で+91.4%増を記録しています。ただ、5月から6月にかけての前月差を見ると、コア機械受注全体で+1175億円増、うち、イレギュラーな運輸業・郵便業は+845億円増ですから、この寄与が決定的に大きいとはいうものの、差額の+330億円増は残りの産業で叩き出していますので、季節調整済みの系列は個別の産業を足し合わせても合計と一致しないという留保条件はあるものの、決して、イレギュラーな大型案件だけでコア機械受注が前月比でプラスになったわけではない、と考えるべきです。さて、機械受注は変動の激しい指標ですので、6月統計が利用可能になった段階で、少し四半期統計にも目を向けておくと、まず、コア機械受注については、昨年2018年10~12月期▲3.2%減、今年2019年1~3月期も同じく▲3.2%減の後、4~6月期には+7.5%増を記録しています。上のグラフの上のパネルを見ても、太線の6か月後方移動平均のトレンドで見て、今年の1~3月期をボトムとしてジワリと4~6月期に増加しているのが見て取れます。ただし、同時に、先行き7~9月期の見通しは前期比でマイナスであり、コア機械受注が▲6.1%減の2兆5,525億円、内訳としては、製造業は+2.8%増である一方で、船舶と電力を除く非製造業は▲12.5%減と見込まれています。さのさらに先の先行きについては、製造業が世界経済の低迷により投資意欲が高まらず、緩やかな減少を示すと考えられる一方で、非製造業は人手不足などに対応する省力化や合理化投資が伸びる余地があり、投資も増加すると考えられます。ただ、コア機械受注全体としては横ばいないし緩やかな減少ではないか、と私は予想しています。

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機械受注の四半期データが利用可能となりましたので、コア機械受注の季節調整済みのベースでの達成率のグラフを久し振りに書いてみました。上の通りです。エコノミストの経験則として、コア機械受注の達成率90%が景気転換点といわれているんですが、今年2019年1~3月期に96.3%を記録した後、4~6月期は91.2%まで低下しています。このまま7~9月期に90%を下回る可能性も否定できません。

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2019年8月13日 (火)

骨折り損のくたびれもうけで延長12回中日と引き分け!!!

 十一十二 RHE
阪  神000000000000 080
中  日000000000000 080

中日と延長12回引き分けでした。打線は相変わらずサウスポーを打てませんが、収穫は先発青柳投手の無四球の好投だったかもしれません。

明日は、
がんばれタイガース!

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7月統計で下落幅が拡大した企業物価(PPI)の今後の方向感やいかに?

本日、日銀から7月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲0.6%の下落と、先月統計からマイナスに転じて、今月はマイナス幅が拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の企業物価指数、前年比0.6%下落 16年12月以来の下げ幅
日銀が13日発表した7月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は101.2で前年同月比で0.6%下落した。下落幅は2016年12月以来2年7カ月ぶりの大きさ。6月に2年6カ月ぶりのマイナスとなったが、7月は2カ月連続での下落となった。
前月比でみると横ばいだった。米中貿易摩擦によるリスク警戒感の高まりで原油相場が下落し、「石油・石炭製品」「化学製品」「プラスチック製品」などが低下した。一方で夏季電力料金の適用期間に入ったことから「電力・都市ガス・水道」が上昇した。夏季電力料金の影響を除くと前月比0.2%のマイナスとなっている。
円ベースでの輸出物価は前年比で4.7%下落し、3カ月連続のマイナスとなった。前月比では0.3%下落した。輸入物価は前年比8.1%下落し、3カ月連続のマイナスとなった。前月比では1.8%の下落となった。中国経済の先行き不透明感の強まりで「化学製品」などが低下した。軟調な原油相場も下落に影響した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは373品目、下落したのは280品目だった。上昇と下落の品目差は93と6月の確報値(122品目)から29品目減った。
日銀の調査統計局は「米中貿易摩擦の影響で商品市況が悪化しており、これが物価下落の要因となっている。今後も注視が必要だ」との見通しを示した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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企業物価指数(PPI)のうちのヘッドラインとなる国内物価は、前年同月比で見て先月公表の6月統計が2016年12月以来の1年半振りにマイナスに転じて▲0.1%を示した後、7月にはさらにマイナス幅を拡大して▲0.6%となりました。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、前年同月比で▲0.5%の下落ということでしたので、ほぼジャストミートしました。国際商品市況における石油価格の低迷により、国内物価のうちの石油・石炭製品が前年同月比で見て▲8.7%と下落幅を拡大し、輸入物価では石油・石炭・天然ガスが▲13.8%を記録しています。加えて、米中貿易摩擦に起因する中国経済の停滞などにより、同じく非鉄金属が▲6.7%、化学製品が▲3.7%、などと下落を続けています。上のグラフを見ても明らかな通り、ヘッドラインとなる国内物価も、輸出物価も輸入物価も、需要段階別で見て、素原材料も中間財も最終財も、すべて7月統計では前年同月比でマイナスを付けました。
人手不足の中で人件費比率の高い企業向けサービス価格指数(SPPI)を除けば、企業物価(PPI)が下落し始め、消費者物価(CPI)も上昇幅が縮小しています。先行きについても、本日公表のPPIでは国際商品市況や中国経済の影響を受け弱含みの動きが見込まれます。特に、円ベースの輸入物価の前年同月比上昇率は、昨年2018年8月にピークの+12.3%を付けていますので、来月統計までさらに下落幅を拡大する可能性があります。CPIも、10月から消費税率が引き上げられますが、その影響を除けば、幼児教育無償化のインパクトなどによりさらに上昇幅が縮小すると予想されています。ますます物価目標から遠ざかるような気がします。特に、気がかりなのは為替相場です。従来から、私は日本経済の先行き最大のリスクは為替相場であると強く主張してきていますが、東京市場におけるドル・円為替のスポット中心相場の月中平均の前年同月比で見て、今年2019年6月は▲1.8%、7月は▲2.8%の、それぞれ円高となっています。この6~7月の円ドル相場は108円台だったんですが、今週は105円台で推移していたりもします。広く報じられている通り、米国の連邦準備制度理事会(FED)が利下げに転じています。日銀はどういった動きを示すんでしょうか?

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2019年8月12日 (月)

いかにもスミ1の負けパターンで中日にボロ負け!!!

  RHE
阪  神100000000 140
中  日20020001x 590

中日にボロ負けでした。いかにものスミ1の負けパターンでした。投手は序盤から失点し終盤にはダメを押され、打線は1回こそ先取点を取ったものの、後が続かず4安打1得点で打ち止め、という情けないゲームでした。広島戦で連夜の大逆転劇を演じましたが、まあ、まぐれは続かないということなのかもしれません。昨年最下位ですから、今年は5位が目標なのかもしれません。

明日は、
がんばれタイガース!

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最新技術のAI・ドローン・自動運転に関連する法人設立やいかに?

先週木曜日の8月8日に東京商工リサーチから、「『AI・ドローン・自動運転』関連事業者の新設法人調査」の結果が明らかにされています。昨年2018年に設立された法人数は12万8,610社で前年から▲2.7%の減少だったんですが、このうち、主要事業目的として「AI」を記載した企業は211社で+52.8%の増加、すなわち、前年比1.5倍増と急増しています。また、「ドローン」を記載した法人は195社で+9.7%減ながら、「自動運転」を記載した法人は7社と+250.0%増となっています。少し長い目で見て2014年から2018年にかけて、特に、AIとドローンの法人設立が急増しています。これ以上の情報はありませんが、以下のグラフを東京商工リサーチのサイトから引用しておきます。

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2019年8月11日 (日)

8回に広島守備の乱れと植田選手の足で一気に逆転勝ち!!!

  RHE
広  島011030000 5101
阪  神10000104x 6111

広島に逆転勝ちでした。朝日系列のスカイAでテレビ観戦していたんですが、狩野さんが大山選手の昨夜のサヨナラ打について、いきなり「甲子園ならホームランになっていない」と発言して、まあそうだろうなと納得してしまいました。ということで、試合の方は、8回の攻撃で一気に逆転でした。勝ち越し点は代走の植田選手の足が生きました。情けないのは陽川選手で、三振よりマシとはいえ、あそこは外野フライくらい打てないんですかね、という気にさせられてしまいました。ヒーローインタビューは勝ち投手の浜地投手だと思ったんですが、外してしまいました。

ナゴヤドームでも、
がんばれタイガース!

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今どきの日本の中高生は働き方改革推進よりもワーカホリック志向なのか?

先週火曜日の8月6日にソニー生命保険から「中高生が思い描く将来についての意識調査 2019」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。いろんな幅広いトピックを集めた包括的な意識調査なんですが、ひとつだけ、私が興味を持ったのは、仕事や働き方に関する意識で、「好きなことを仕事にしている」方を「安定した仕事に就いている」よりも幸せと感じる一方で、政府が進めている昨今の働き方改革に逆行して、というか、何というか、「給料は低いけれど、残業時間が短い会社で働いている」よりも「給料は高いけれど、残業時間が長い会社で働いている」方を志向している点です。もちろん、矛盾するのは当然なんですが、ワーカホリックでお給料の高い世界を志向しているように見えるのには、ちょっとびっくりしました。私の能力では解説のしようがないので、以下の通り、ソニー生命保険のサイトからグラフだけ引用しておきます。

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2019年8月10日 (土)

6番降格の大山選手の出会い頭の3ランで広島に逆転サヨナラ勝ち!!!

  RHE
広  島014000000 580
阪  神020001003x 6111

広島に逆転サヨナラ勝ちでした。6番に降格された大山選手の出会い頭のまぐれ当たりでした。こんなのがコンスタントに、というのは、10試合に1試合くらいの割合で打てるんでしたら、6番降格なんてことはないわけで、広島にはいい迷惑だったんではないかと思います。これで、3タテは免れたので明日はのびのびと野球ができそうな予感です。それにしても、西投手はこれくらいが実力なんですかね?

明日も先発望月投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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今週の読書はいろいろ読んで計5冊!

今週の読書は話題のAIに関する専門書など数冊を読んだんですが、岩波新書を別にすれば、ズバリの経済書はありませんでした。この週末は3連休で来週はお盆の週ですので、来週もそれなりに読書が進みそうな気がしますが、私自身の夏休みは9月に取得予定で、来週はカレンダー通りに近い出勤の予定ですので、通常通りの数冊の読書になりそうな予感です。

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まず、バイロン・リース『人類の歴史とAIの未来』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) です。著者は、私は知りませんでしたが、技術調査会社ギガオムのCEOだそうです。これで判る人は、そもそも、この著者を知っている人なんではないかという気がします。まあ、いろんなハイテク企業の経営をしている起業家ということなんだろうと思いますが、それほど有名ではないんだろうと私は勝手に想像しています。ということで、英語の原題は The Fourth Age であり、2018年の出版です。本書は5部構成となっており、第1分は今までの人類の歴史を概観し、特に、火の使用と言語の獲得を文明化が始まった画期と見なし、さらに時代を下って、農業の開始を次の画期としています。ただ、英語の原題にあるように、4つの時代を著者は考えているようなんですが、第1部で2つの時代を概観するわけです。そして、その後の時代を画するのは、弱いAIと強いAI、すなわち、チェスや囲碁などの専門分野に特化したAIと汎用的なAGIであるとします。そして、AIがAGIという強い段階に達した際に何が起こるかを、著者は本書で思考実験しています。当然、軽く想像されるように、AGIが登場した第4の時代に何が起こるかについてのダイレクトな回答を与えようとしているわけではなく、読者がどのように考えるかの素材を提供しようと本書は試みています。ただ、その試みが成功しているかどうかは、私にははなはだ疑問です。というのは、知性と意識というものを混同しているように私にはみえるからです。著者は盛んに意識の問題として考えようとしていますが、私はむしろ知性ないし認知能力の問題だろうと思います。伊藤計劃の『ハーモニー』に意識を持たないヒトが登場しますが、法律家とエコノミストが決定的に違うのは、私の理解によれば、意図した行為とその結果であるかを法律家が重視するのに対し、エコノミストは結果だけを見ます。例えば、それほどよくない例かもしれませんが、法律家は殺人と過失致死を異なると考える傾向にありますが、エコノミストはその人が死んでいなくなるという点では同じと考える傾向にあります。死ぬ原因は交通事故でも、病気でも、経済的な帰結としては変わりないわけです。少し違う気もするものの、AIが意識を持つかどうかは私には大きな意味あるとは思えず、むしろ、人間と同じもしくは上回るレベルの汎用的な知性もしくは認知能力をAIが獲得すうるかどうか、が重要ではないかという気がします。もしも、AIがAGIとして汎用的な知性を獲得するならば、そのまま一直線にAIの知性、ないし、認知能力は人類を大きく上回るレベルに達し、さらに、向上を続ける可能性が高まります。そうなれば、現時点におけるヒトとイヌ・ネコの関係がそのまま、将来的にはAIとヒトの関係になぞらえることが出来ます。すなわち、ヒトはAIのペットになるんだろうと私は思います。それはちょうど、100~200年くらい前までは実用的な能力だった乗馬という行為が、現在では限られた区画で行うスポーツないし娯楽になっているようなものです。ですから、自動車の自動運転が一般化すれば、マニュアルで運転する自動車は、現在の乗馬と同じように限られた区画でスポーツないし娯楽として楽しむ行為になる可能性が高いと思いますし、AGIの実用化よりも先に、ひょっとしたら、私が生きている間にそうなる可能性すらあります。AIに論点を戻せば、ヒトがAGIのペットになりかねないという意味で、本書でも指摘しているように、スティーブン・ホーキング、ビル・ゲイツ、イーロン・マスクなどがAIに対する何らかの意味での懸念や恐怖を表明し、近い将来、人類の生存を脅かす存在になると警告しているのは、実に確固たる根拠があると私は考えています。

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次に、池内了『科学者は、なぜ軍事研究に手を染めてはいけないか』(みすず書房) です。著者は、名古屋大学や湘南にある総合研究大学院大学をホームグラウンドとする宇宙物理学の研究者です。本書の主張は、タイトル通りであって、特に何かを付け加える必要はないものと私は考えますし、左派エコノミストたる私からすれば、自然科学や工学分野の科学者および技術者が軍事研究に手を染め、戦争で人間を効率的に殺戮するための手段の開発研究には関与すべきではないことはいうまでもありません。逆に、これを声高に主張しなければならない点が不思議な気すらします。ただ、本書の著者は、これを科学者や技術者の倫理問題として処理しようとしており、この点は私は大きな疑問を感じます。というのは、最近でも、米国では銃の乱射事件が跡を絶ちませんが、我が日本では京アニのような実に残念極まりない大量の死者が出る事件こそありましたが、少なくとも銃の乱射による殺人事件は起こっていません。しかし、この差を、日本人と米国人の倫理問題であると考える識者は決して多くないだろうと私は受け止めています。当然に、銃規制の問題の側面が強いと考える人が多いでしょうし、私もそうです。これは、科学者・技術者の軍事研究とまったく同根であると考えるべきです。21世紀に入って、軍事研究に科学者や技術者が手を染めるようになったのは、国立大学が法人化されて研究費が不足するようになったからであり、その経済的な「下部構造」を無視して倫理的な問題を強調しても、一向に問題の解決にはならない、と私は考えます。もちろん、政府や行政のサイドから、自由に使える研究費を削減しておいて、軍事研究の方のご予算を潤沢に供給するという、実に、巧妙な研究のコントロールがなされている結果でもあるわけですが、「恒産恒心」という言葉もあるように、食べ物を得られずに餓死する倫理観と食べ物を盗む倫理観を比較することは、どこまで意味があるのか、私には疑問だらけです。私は、本書の著者の結論、すなわち、科学者や技術者は軍事研究をするべきではない、については100%の同意を示すつもりですが、その実行上の手立てとして、科学者や技術者の倫理観に訴えるというのは、エコノミストの目から見て、控えめにいっても非効率です。役所で官庁エコノミストをしていた当時の私のような社会科学の研究者も含めて、現在の研究者、もちろん、科学者や技術者も含めて、多くの研究者はアウトプットを求められるのに対して、あまりにもリソースが不足しているといわざるを得ません。かつて官庁エコノミストだった私は、国家公務員というお気楽でかつ身分保障も万全な立場でしたから、アウトプットを犠牲にするという方向も選択できましたが、多くの真面目な研究者はアウトプットを出し続けるために、何らかのリソースを必要としています。その点に目配りしていない本書は、かなりの程度に宗教的な倫理観を振り回すしかなかったのかもしれません。でも、倫理観の強調だけでは科学者の軍事研究従事という問題は解決されないことを理解すべきです。

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次に、武田康裕『日米同盟のコスト』(亜紀書房) です。著者は防衛大学校教授であり、専門は国際関係論だそうです。数年前の前著に共著の『コストを試算!』がありますが、これは日米同盟を解体すれば、どのくらいの防衛コストを日本が負担しなければならないか、と試算したもので、私が読んだ本書では日米同盟を維持したままで、どれくらいのコスト負担が生じているか、を試算しています。日米同盟などの同盟のコストではありませんが、10年余り前にスティグリッツ教授が共著にて『世界を不幸にするアメリカの戦争経済』を出版し、イラク戦争のコストを3兆ドルと試算した結果を明らかにしています。私は読んだ記憶があります。ということで、エコノミストや会計専門家が会計的なコストを試算したわけではなく、防衛や安全保障の専門家が現状の日米同盟のコストを試算しているわけですので、繰り返しになりますが、現状の防衛レベルを前提としています。要するに、「核の傘」を含んでいるわけです。また、コスタリカを例に出すのも気が引けますが、「核の傘」を外すことを含めて防衛レベルを下げることは想定されていません。それでも、現状の日米同盟のコスト負担を考慮すると、経済学的にいうところのリターンは10倍くらいに上る、という結果を示しています。あくまで、これは桁数、というか、オーダーの数字で、GDP比0.1%のコスト負担でGDP比1%くらいの防衛ベネフィットがある、という概算です。少し前の報道で、米国サイドから防衛費負担を5倍増という米国サイドの要求がある、という記事を見かけましたが、本書では10倍まではリーズナブル、 というメッセージなのかもしれません。まあ、そんなことはないと思いますが、私にはよく判りません。。加えて、序論では、本書の目的をコスト試算だけではなく、コスト分析を手がかりにして、我が国の安全、自主、自立からなる連立方程式を解くことにある、とも明記しています。ですから、日米同盟のコストとして、金銭的な負担はもとより、自立的な防衛を放棄して米軍の指揮命令下に入るコストも含んでいるような書きぶりを私は目にしました。もちろん、「自衛隊が米軍の指揮命令下に入る自立性の放棄」なんて露骨な表現はしていません。本書でも言及されている通り、米国とフィリピンの同盟を例に持ち出すまでもなく、例えば、米国とフィリピンは相互の防衛義務を課している一方で、日米同盟では日本は米国の防衛義務はありません。他方で、フィリピン国内の米軍基地は極めて限定的な場所でしか設営できませんが、日本国内であれば米軍基地はどこにでも展開できたりします。その意味で、防衛上のコストは小さい一方で、自立性を犠牲にしている、という著者の分析も一定の範囲で首肯できるものがあります。最後は蛇足ながら、その昔、大昔、私が京都から東京に就職で引っ越した少しびっくりしたのは、横田基地や横須賀軍港など、首都圏ではやや広域の生活圏に米軍基地がありますが、それでも、沖縄の稠密な米軍基地展開ほどではないという事実です。本書ではまったく言及ありませんが、我が国の日米同盟のコスト負担は地域的に圧倒的に沖縄を犠牲にしています。この点で、サンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう』の議論でも取り上げられていましたが、ル=グウィンの『風の十二方位』に収録されたヒューゴー賞受賞作の短編「オメラスから歩み去る人々」を一読されることをオススメします。

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次に、ポール・レイバーン『父親の科学』(白揚社) です。著者はジャーナリストであり、AP通信科学担当デスクなどを経て、現在はサイエンス・ライターをしているようです。英語の原題は Do Fathers Matter? であり、2014年の出版です。英語の現タイトルに照らせば、従来の回答は子育てについては「重要ではない」、ということだったと思うんですが、少しずつながら科学的に解明されてきて、最近では子育てに父親の果たす役割というものが見直されつつあります。ただ、何かの書評で見かけたんですが、子供を産めるのは何といっても女性だけですし、「哺乳類」という生物学的な分類名からして、母乳を授乳できるのは母親だけであって父親はできませんから、子育てにおける重要性が格段に低い、ないしは、まったくゼロである、と見なされて来たのにも理由があるかもしれません。ということで、従来はほぼほぼ見過ごされて来た育児における男親の役割を、人間だけでなく霊長類だけでなく、マウスやラットのようなげっ歯類、あるいは、オシドリでも有名な鳥類まで、さまざまな動物を含めて、脳神経科学、心理学、人類学、動物学、遺伝学などなど、科学的な視点から徹底検証を加えています。ただ、本書を読んでいて感じたのは、第1に、やっぱり、父親の育児に対する影響力は、決して子供へのダイレクトな影響ではなく、母親を通じた影響の場合が少なくない点と、第2に、ほぼほぼ父親の子供への影響は相関関係に終始しており、決して因果関係や、薬学でいうところの作用機序はまったく解明されていない、という点は読み進むにあたって心しておくべきと考えます。特に、年老いた父親から子供に対する影響がかなりネガティブに言及されますが、根拠がそれほど確かではないんではないか、と思わせるものが多くあります。ということで、私、というか、我が家が子供をもうけたのは前世紀1990年代の後半ですし、2歳違いの男の子2人はすでに成人しています。そのころは今のような男性の育児休暇もなく、育児は20世紀的に女性の役割というジェンダー観がまだまだ支配的だったような気がします。その中で、本書には全く言及がないんですが、私の信念に近いもので、子供との関係は愛情をもって接するのはいうに及ばず、日本的な遠巻きにした遠慮がちな接し方ではなく、スキンシップが重要と考えていました。結婚前の1990年代前半に南米の大使館勤務でラテン的な考え方が身についてしまった結果かもしれません。例えば、人と会った際に、日本的に腰を折ってお辞儀をするのもいいんですが、欧米流に握手をする方がよりスキンシップを持てますし、さらに、ハグすればもっと親近感が高まる、といったことです。だから、というわけでもありませんが、育児の中でかなりの体力や腕力を要するという観点もあって、私は父親として子供の入浴を受け持っていました。まあ、小学校就学前の幼児期に南の島のジャカルタ暮らしで時間的な余裕があった点も忘れるべきではありません。男の子だったので、男親が裸の入浴を受け持った、というのもあります。動物と違って、人間の場合はおもちゃを買い求めるという親子の接し方がありますので、このスキンシップについてももう少し考えて欲しかった気がします。

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最後に、熊倉正修『日本のマクロ経済政策』(岩波新書) です。著者は、明治学院大学国際学部教授のエコノミストです。実は、私にはかなり勝手な思い込みがあって、朝日新聞や岩波書店は、私と同じとはいわないまでも、左派的な見方が示されていると考えがちだったんですが、先々月の6月22日付けの読書感想文で取り上げた朝日新聞ジャーナリストによる原真人『日本銀行「失敗の本質」』や本書は、びっくりするくらいの右派的な経済政策論を展開しています。すなわち、マクロ経済政策のうち、金融政策では量的緩和をヤメにして金利を引き上げるという意味での「金融正常化」を進め、財政政策では社会保障などを含めて歳出をカットし歳入を増やすにより財政再建を図る、という論調です。ジャーナリストをはじめとして、現在の政権の経済政策批判という観点からは、私は権力に対する批判という意味で許容すべきと考えますが、経済政策の本質を考えることなく、単なる党派的な視点から現政権の政策に対する反対論を展開するというだけでは、とても不満が残ります。緊縮財政で支出をカットし、社会保障を削減することにより、どういう利点が国民に感じられるのか、その点を明確にした上で、それなりの経済分析に基づいた議論を展開してほしい気がします。本書の著者は、日本経済はデフレであったことはないと主張して、英語の原著論文を示しているんですが、まあ、そこまでは研究成果としていいとはいえ、緊縮財政による財政再建を目指し、財政赤字を削減する点については、何の議論もありません。それよりも、格差の是正を目指した所得再配分政策などに目が向いていないのも悲しい気がします。財政赤字を削減するとしても、何の前提条件もなしで歳出削減と歳入増で突き進むのではなく、所得税の累進性の強化とか、大きく切り下げられて来た法人税の増徴とか、歳出カットにしても大企業向け補助金の整理とか、あるいは、防衛費の削減とか、ムダな公共事業の削減とか、すでに官庁を定年退職した私でも考えつくような論点はいっぱいあるんですが、本書ではパスしてしまっている気がします。加えて、景気拡張的なマクロ経済政策を求める国民の意見を、こともあろうに「民主主義の未成熟」で片づけて、直接の言及こそありませんが、ケインズ的な「ハーベイロード仮説」を無理にでも成り立たせようとする強引ささえうかがわせます。ひょっとしたら、左派的な経済論調を期待して図書館で岩波新書から出ている本書を借りた私が間違っていたのかもしれません。いずれにせよ、誠に残念です。

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2019年8月 9日 (金)

4-6月期GDP統計1次QEは内需がけん引して3四半期連続のプラス成長!!!

本日、内閣府から4~6月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.4%、年率では+1.8%の高い伸びを記録しました。3四半期連続のプラス成長で、4~6月期は前期よりも成長が減速したとはいえ、潜在成長率の+1%余りはやや上回っています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP実質1.8%増 4-6月期年率、消費などがけん引
内閣府が9日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.4%増、年率換算では1.8%増だった。3四半期連続のプラス成長となった。1~3月期は年率換算で2.8%増だった。個人消費が伸びたことや積極的な設備投資がプラス成長に寄与した。QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.1%増で、年率では0.4%増だった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.4%増、年率では1.7%増だった。名目でも3四半期連続のプラスになった。
実質GDPの内訳は、内需が0.7%分の押し上げ効果、外需の寄与度は0.3%分のマイナスだった。
項目別にみると、個人消費が実質0.6%増と3四半期連続のプラスとなった。改元に伴う10連休で旅行などの支出が増え、個人消費を押し上げた。
設備投資は1.5%増で3四半期連続のプラス。人手不足で企業が省力化投資を積極化したことが寄与した。民間在庫の寄与度は0.1%のマイナスだった。
住宅投資は0.2%増。4四半期連続のプラスだった。持ち家を中心に10月に予定されている消費増税前の駆け込み需要がみられた。公共投資は1.0%のプラスだった。
輸出は0.1%減だった。中国をはじめとするアジア向け輸出が弱かった。輸入は前期の急激な減少の反動で1.6%増となった。輸入が増加し、輸出が減少となったため、GDPにはマイナス方向に作用している。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.4%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.4%のプラスだった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2018/4-62018/7-92018/10-122019/1-32019/4-6
国内総生産GDP+0.4▲0.5+0.4+0.7+0.4
民間消費+0.4▲0.1+0.4+0.1+0.6
民間住宅▲2.4▲2.1+0.8+1.4+1.1
民間設備▲1.9+0.8+1.3+0.6+0.2
民間在庫 *(▲0.1)(+0.2)(+0.1)(+0.1)(▲0.1)
公的需要▲0.2▲0.2+0.3+0.2+0.9
内需寄与度 *(+0.4)(▲0.3)(+0.8)(+0.3)(+0.7)
外需寄与度 *(+0.0)(▲0.2)(▲0.4)(+0.4)(▲0.3)
輸出+0.8▲2.1+1.2▲2.0▲0.1
輸入+0.8▲1.2+3.6▲4.3+1.6
国内総所得 (GDI)+0.3▲0.8+0.4+1.1+0.4
国民総所得 (GNI)+0.5▲0.9+0.5+0.9+0.5
名目GDP+0.2▲0.4+0.4+1.0+0.4
雇用者報酬 (実質)+1.2▲0.4+0.3+0.4+0.7
GDPデフレータ▲0.3+0.0+0.0+0.3▲0.0
内需デフレータ▲0.1+0.4+0.1▲0.1+0.1

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラスを示し、赤の消費と水色の設備投資がプラスの寄与を示している一方で、灰色の在庫と黒の外需(純輸出)がマイナスの寄与となっているのが見て取れます。

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一昨日に、民間シンクタンクの4~6月期1次QE予想を取りまとめた際に、私はほぼほぼゼロ成長ながら、マイナス成長であるとの見通しに言及しましたが、大きく外してしまいまして、誠に申し訳ありませんが、この貧弱なメディアですので、ご迷惑の範囲は限定的と勝手に考えております。引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前期比+0.1%、前期比年率で+0.4%、前期比年率のレンジで▲0.3~+1.7%の成長率予想でしたので、わずかとはいえ、レンジの上限を超える大きなプラス成長でした。1~3月期1次QEが5月に公表された際も、やっぱり、レンジの上限を上回る実績でしたので、2四半期連続でやや上振れサプライズだったともいえそうです。もちろん、1~3月期の上振れは内需の停滞が控除小目である輸入の減少を招いたという形で、きわめてイレギュラーな高成長でしたが、本日公表の4~6月期の高成長について、需要項目別に少し詳しく見ると、消費がプラスに外需がマイナス、というのは私も含めて多くのエコノミストの合意するところであり、おそらく、在庫がマイナスというのも無理ないところかと考えられる一方で、私が大きく外したのは設備投資であり、一昨夜の1次QE予想では設備投資はマイナスを予想していましたが、実績では季節調整済みの実質ベースの前期比で+1.5%増、成長率への寄与度も+0.2%の大きさでしたから、それなりに、「うれしい誤算」という言葉が当てはまりそうな気もします。外需=純輸出の寄与度は実績で▲0.3%であり、これはほぼほぼ予想通りの大きさでしたので、設備投資の予想と実績の上下の違いで、+0.3%ポイントくらいの成長率の上振れとなっている、と私は受け止めています。加えて、消費が改元の祝賀ムードと10連休で大きく盛り上がったのも成長率の上振れに寄与しています。下がり続けているマインドではなく、後に見るように、所得の寄与が大きかったと私は見ています。ここまで、長々と反省だったんですが、1次QEの前期比+0.4%成長を見る限り、1~3月期1次QE公表時とまったく同じ感想なんですが、これで、テクニカルな2四半期連続でのマイナス成長の判定による景気後退に対する懸念が大きく和らいだ、と私は考えています。ただ、少し前まで、10月からの消費税率引き上げ前に駆け込み需要がそれなりのボリュームであろうと考えていたのですが、逆に、ポイント還元などの駆け込み需要と反動減への対策の効果も含めて、駆け込み需要がそれほどは発生しない可能性もあるんではないかと考えたりします。他方で、駆け込み需要がどうであれ、消費税率引き上げ直後の10~12月期の消費がマイナスに落ち込み、おそらく、GDP成長率もマイナスを記録することは、それなりの確度で生じる可能性あると私は考えていますので、いずれにせよ、10月からの消費税率引き上げという攪乱要因の後の経済動向については、現時点では私は何とも確信を持った予想はできません。ただし、何度でも繰り返しますが、私は日本経済の先行きに関する最大のリスクは消費税率引き上げではなく為替レートだと考えています。貿易摩擦が激化すれば円高が進む可能性が高く、同時に、世界株安が進んでも円高に帰結する可能性が高い、という意味で、消費税率引き上げに起因する駆け込み需要とその後の反動減を乗り切ったとしても、まだまだ円レートという大きなリスクが残っている点は忘れるべきではありません。

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続いて、上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。4~6月期の消費の大きなプラスは、単に改元祝賀と長期休暇だけでなく、雇用者報酬の高い伸びにも支えらた消費拡大であったことが裏付けられています。インバウンド消費も順調な拡大を続けており、まだまだ拡大の余地はあると考えられるものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大はそろそろ安定化に向かっている印象です。まだ、消費者マインドは改善の兆しすら見えませんが、現在の人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加の方向の影響を及ぼすことが考えられますし、加えて、賃金が上昇して消費者マインドが上向けば、内需主導の成長がサポートされるものと考えます。もちろん、賃金上昇はデフレ脱却に向けて有効であることは明らかです。

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2019年8月 8日 (木)

秋山投手が今季3勝目で連敗ストップ!!!

  RHE
阪  神000003002 5100
ヤクルト001010001 371

先発秋山投手の好投でヤクルトに逆転勝ちして連敗ストップでした。それにしても、打線は5点取ったとはいえ、4番大山選手こそ1打点を上げましたが、5得点のうち下位打線の同点打の原口選手と逆転打の北條選手が1打点ずつで、2打点は近本選手のダメ押しツーランでした。打線を組み替えるとすれば、クリンナップを考え直す必要があるように思えてなりません。
最終回に藤川投手が3点差で登場して雄平選手にソロホームランを献上したのは、ヤクルトの次の対戦相手である巨人戦を視野に入れたご愛嬌なんでしょうか?

明日からの広島戦も、
がんばれタイガース!

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低下を続ける景気ウォッチャーと先行き不透明感残る経常収支!

本日、内閣府から7月の景気ウォッチャーが、また、財務省から6月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲2.8ポイント低下の41.2を、先行き判断DIも▲1.5ポイント低下の44.3を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆2112億億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の街角景気、現状判断は3年ぶり低水準 天候や日韓関係響く
内閣府が8日発表した7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は41.2と前の月から2.8ポイント低下(悪化)し、2016年4月以来3年3カ月ぶりの低水準となった。悪化は3カ月連続。例年と比べ梅雨明けが遅く気温が低い日が続いたことが響いた。内閣府はウオッチャーの見方を「このところ回復に弱さがみられる」から「天候など一時的な下押し要因もあり、このところ回復に弱い動きがみられる」と4カ月ぶりに下方修正した。
家計動向、企業動向、雇用がいずれも低下した。家計動向関連は3.6ポイント低下の40.0だった。「梅雨が長く、例年よりも気温がかなり低いため、ドリンク類、冷たい調理麺、アイスクリーム等が前年より2~3割落ち込み、全体の売り上げを押し下げている」(北関東のコンビニ)といった天候不順に関する声が多かった。「韓国人の宿泊者が大幅に減少しており、しばらく続く見込みである」(九州の都市型ホテル)として、日韓関係の冷え込みの影響を指摘する声も増えた。7月は参院選があったため飲食店での会合が減少した影響もあるという。
企業動向関連は0.7ポイント減で、製造業がマイナス3.0ポイントと押し下げた。米中貿易摩擦による取引量の減少などを訴える声があった。雇用関連も2.3ポイント減の45.8で、「世界の経済情勢の不透明感から、製造業を中心に様子見感の広がりが懸念される」(東海地方の職業安定所)との声が聞かれた。
2~3カ月後の先行き判断指数は44.3と前月から1.5ポイント低下した。「10月の消費税引き上げにより、外食産業は悪くなるとみている」(北陸地方の一般レストラン)など増税後の消費動向を懸念する声が増えた。先行きについて消費税に関するコメント数は556と6月の450から増えた。
内閣府はウオッチャーの先行きの見方について「消費税率引き上げや海外情勢等に対する懸念がみられる」とまとめた。
6月の経常収支、1兆2112億円の黒字 60カ月連続黒字
財務省が8日発表した6月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆2112億円の黒字だった。黒字は60カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆1717億円の黒字だった。
貿易収支は7593億円の黒字、第1次所得収支は4273億円の黒字だった。
同時に発表した1~6月の経常収支は10兆4676億円の黒字、貿易収支は2242億円の黒字だった。

かなり長くなりました。これらの記事さえしっかり読めば、それはそれでOKそうに思えます。いずれにせよ、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは以下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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消費者マインドについては、需要サイドの消費医者態度指数に加えて、本日公表の供給サイドの景気ウォッチャーも、かなり大きく下げています。マインドは実体経済の先行指標ですから、この先に景気の停滞が待っている可能性が高いと考えざるを得ません。基本的には、米中貿易摩擦に起因する世界経済の停滞が背景にあるんでしょうが、直近7月統計については長引いた梅雨といった天候要因もありそうです。そこで、4月から7月にかけての3か月間において、景気ウォッチャーを構成する3つのコンポーネントの現状判断DIがどのように下げたかを少し詳しく見ると、家計動向関連が4月から▲4.7ポイント低下した一方で、企業動向関連は▲3.2ポイント、雇用関連が▲2.0ポイントの低下となっています。企業よりも家計のマインドの方がより大きく低下しているわけです。他方、人手不足を背景に雇用については家計部門の半分以下の下げ幅となっています。なお、4月から7月にかけて、家計が企業よりも大きく下げている点については現状判断DIだけでなく、先行き判断DIでもまったく同じだったりします。なお、引用した記事に見られる通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「回復に弱さ」から「回復に弱い動き」と4か月ぶりに下方修正しています。実は、この記事を見るまで、この基調判断の下方修正を見逃していたんですが、記者会見でそういった説明があったんだろうと想像しています。
いずれにせよ、上のグラフを見れば明らかで、消費者マインドはかなり長期にわたって低下を続けています。先週7月30日に公表された消費者態度指数は、大雑把に、2017年11月の44.6をピークに1年半余りに渡って下がり続けていますし、景気ウォッチャーも現状判断DI、先行き判断DIともに、細かい動きを別にすれば、2017年10~12月期をピークにトレンドとして低下を続けているように見えます。繰り返しになりますが、マインドは明らかに実体経済の先行指標ですので、10月に消費税率の引き上げを控えて、直前に駆け込み需要が予想されるとはいえ、とても気にかかる指標のひとつです。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。いずれにせよ、仕上がりの経常収支の+1兆円超の黒字はトレンドとして大きな変更はなく、海外からの第1次所得収支の黒字が大きな部分を占めているんですが、先月5月の経常収支については貿易収支が季節調整済みの系列で▲4,522億円と大きな赤字を計上していましたが、6月統計では+1,585億円の黒字に転じています。でも、この先、世界経済のいっそうの停滞が予想されるとともに、韓国向け輸出の動向が不透明であり、貿易収支が従来通りの黒字を続けるかどうかは判然としません。

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2019年8月 7日 (水)

先発青柳投手が崩れてセリーグ最下位のヤクルトにボロ負け!!!

  RHE
阪  神010000010 241
ヤクルト00141014x 11120

先発青柳投手が崩れてヤクルトにボロ負けでした。まあ、守備に目をつぶって得点力高い打線を敷いても4安打2得点ですから、先発投手がここまでコントロール悪く甘い球を投げては勝てません。セリーグ上位3球団は真夏のデッドヒートに入り、阪神は今年も最下位争いなのでしょうか?

3タテは避けるべく、
がんばれタイガース!

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明後日金曜日公表の4-6月期GDP統計1次QEの予想はプラス成長か、マイナス成長か?

今週火曜日に公表された鉱工業生産指数(IIP)など、ほぼ必要な統計が出そろい、明後日8月9日に4~6月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定です。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。いつもの通り、足元から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。その中で、みずほ総研だけは長めに、第一生命経済研の4-6月期マイナス成長の可能性を示唆している部分もやや長めに、ほかのシンクタンクもそれなりに、それぞれ引用してあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.3%
(+1.2%)
2019年7~9月期を展望すると、外需については、6月末のG20大阪サミットにおいて米中首脳が米中貿易戦争の一時休戦で合意したことを受けて、輸出の下振れリスクが目先後退した一方、内需は10月の消費増税を控え耐久財を中心に駆け込み需要が強まることから、成長率は上振れる見込み。
大和総研▲0.1%
(▲0.3%)
2019年4-6月期のGDP一次速報(8/9公表予定)は、実質GDPが前期比年率▲0.3%(前期比▲0.1%)と、3四半期ぶりのマイナス成長を予想する。内需が堅調に推移した一方で、外需が大きく落ち込んだことで、全体では小幅な減少となったとみられる。
みずほ総研▲0.1%
(▲0.3%)
7~9月期以降の日本経済は、弱い伸びが続く見通しだ。
輸出は底入れに向かうものの、世界経済の減速基調が続くほか、米中製造業が調整局面となるなかで、当面は伸び悩む見通しだ。設備投資は、機械設備や建設投資におけるストック調整圧力の高まりを受けて、減速基調が続くとみている。
個人消費は増税前後の一時的なアップダウンはあるものの、均してみれば力強さを欠く見通しだ。働き方改革による残業規制の影響や、国内生産の弱い伸びを受け、所得の伸びが鈍化することが影響するとみている。耐久消費財が調整局面入りすることも消費の下押し圧力になるだろう。
ニッセイ基礎研▲0.1%
(▲0.2%)
2019年7-9月期は前回の消費増税時に比べると規模は小さいものの、税率引き上げ前の駆け込み需要が発生することから明確なプラス成長となることが予想される。
第一生命経済研+0.2%
(+0.7%)
4-6月期の消費については 10連休による一時的な押し上げ効果が大きいとみられ、持続性に欠ける。7-9月期には10連休効果の剥落により下押し圧力がかかりやすい。所得が伸び悩むなか、消費者マインドの悪化がこのところ顕著になっていることも懸念材料だ。今回のプラス成長については割り引いて見た方が良いだろう。輸出にまだ持ち直しの動きが見られないなか、景気は依然として底這い状態を続けていると判断される。
伊藤忠経済研+0.2%
(+0.9%)
4~6月期の実質GDP成長率は前期比+0.2%(年率+0.9%)、3四半期連続となるプラス成長を予想。輸出は伸び悩み、設備投資は減少に転じるも、個人消費が前期の反動もあり比較的高い伸びを記録、公共投資は増勢を強め、プラス成長に貢献。ただ、潜在成長率を下回り、物価上昇圧力は弱まる兆し。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.1%
(+0.4%)
2019年4~6月期の実質GDP成長率は、前期比+0.1%(年率換算+0.4%)と小幅ながらも3四半期連続でプラス成長が続いたと予想される。プラス幅は小さいが、これは外需寄与度のマイナス幅が大きいためであり、内需は個人消費を中心に底堅く推移している。
三菱総研+0.3%
(+1.4%)
2019年4-6月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.3%(年率+1.4%)と、3四半期連続でのプラス成長を予測する。外需はマイナス寄与に転じたものの、大型連休による押し上げ効果もあり、内需が堅調に拡大したとみられる。

おしなべて、4~6月期はほぼほぼゼロ成長という予想が並んでいるんですが、逆に、ほぼほぼゼロ成長なだけに、プラスかマイナスかが気にかかるところです。その結論の前に、どうしてほぼほぼゼロ成長かというと、10連休効果でプラスの消費に対して、世界経済の停滞で輸出が大きなマイナスになるのとの綱引きが主役で、どちらが絶対値として大きいか、加えて、設備投資が私は輸出に起因するストック調整でマイナスと考えているんですが、プラスと見ているシンクタンクもあります。さらに、消費が好調だった分、在庫調整が進んで、在庫もマイナスになることから、私は仕上がりの成長率としてはマイナスと考えています。ただ、その違いは大きくなく、在庫がマイナスで調整が進んでいるというのは評価すべきポイントのような気もしましす、プラスにせよ、マイナスにせよ、ほぼほぼゼロ成長という見方にはそれほど有意な差はないと考えるべきです。
下のグラフは、いつもお世話になっているニッセイ基礎研のリポートから引用しています。7~9月期の先行きに関する言及はありませんでしたが、4~6月期はマイナス成長との私の仕上がりの予想と一致しています。

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2019年8月 6日 (火)

ショート守備の乱れが決勝点でヤクルトに逆転負け!!!

  RHE
阪  神110000001 391
ヤクルト00001300x 471

エラーの多いタイガース内野陣でも、ぶっちぎりのエラーを誇るショートの守備なんですが、今夜はショートのエラーが決勝点でヤクルトに逆転負けでした。守備には目をつぶって、鳥谷選手を出さないという監督の方針なんですが、4番大山選手とショートの守備は、クローザーの起用とともに、ここまでチームが低迷しているビッグスリーの要因ではないのでしょうか?

このまま最下位争いを続けることなく、
がんばれタイガース!

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大きく下降したCI一致指数から景気動向指数の先行きを考える!

本日、内閣府から6月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月差▲1.6ポイント下降して93.3を、CI一致指数も▲3.0ポイント下降して100.4を、それぞれ記録し、基調判断は「下げ止まり」に据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の景気一致指数、前月比3.0ポイント低下 5年2カ月ぶりの下げ幅
内閣府が6日発表した6月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比3.0ポイント低下の100.4と3カ月ぶりに下落に転じた。2014年4月以来5年2カ月ぶりの大きな下げ幅だった。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「下げ止まりを示している」に据え置いた。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のすべてが指数のマイナスに働いた。10連休があった5月は季節調整の関係で生産関連の統計が強めだった反動が出た。主に自動車工業が不調で「生産指数(鉱工業)」「鉱工業用生産財出荷指数」「耐久消費財出荷指数」などが低下に影響した。フラットパネルディスプレーなどの資本財を含む「投資財出荷指数」も不調だった。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比1.6ポイント下落の93.3で、2カ月連続で下落した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は2カ月ぶりの低下となる104.1(同0.4ポイント低下)だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、景気局面がビミョーな時期に入りましたので、かなり熱心に取材したのかインタビュー結果も多く、通常の月に比べてとても長い記事になっています。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気動向指数のうちの特にCI一致指数は鉱工業生産指数(IIP)との連動性が高い点はかねてより主張されていますが、6月統計でもその結果が確かめられたような気がします。繰り返しになりますが、CI一致指数は前月から▲3.0ポイントの下降を示しており、速報時点で利用可能なCI一致指数のコンポーネントはほぼほぼ下降となっています。CIはDIと違ってボリューム感も表現できる指標ですから、大幅な下降は景気の動向も大きく低下していることを意味する可能性があります。CI一致指数のコンポーネントのうち、マイナスの寄与度が大きい系列は、順に、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、投資財出荷指数(除輸送機械)、鉱工業用生産財出荷指数、有効求人倍率(除学卒)、などとなっています。ですから、鉱工業生産指数(IIP)に整合的な形で、6月のCI一致指数は大きく下降することは早くから予想されており、例えば、第一生命経済研のリポートなどでも指摘されていたところです。本日公表された6月統計の大きな下降で、3か月後方移動平均も一気にマイナスとなりましたので、この先2か月が連続で3か月後方移動平均マイナスを記録すれば、基調判断が再び「悪化」に逆戻りする可能性があります。ただ、私自身は可能性としてそうだというだけであり、10月からの消費税率引き上げを前に駆け込み需要があるでしょうから、7~8月のCI一致指数が連続してマイナスというのは考えにくいと受け止めています。ただ、繰り返しになりますが、あくまで可能性ながら、最短で8月統計公表時に「悪化」に逆戻りする可能性は否定できません。

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2019年8月 5日 (月)

経団連集計による大手企業の夏季ボーナスやいかに?

先週金曜日8月2日に、経団連から2019年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果が明らかにされています。経団連ですから、大手企業の代表選手なんでしょうが、2019年夏季ボーナスは加重平均で921,107円、前年比で△3.44%減でした。経団連の発表では19業種なんですが、製造業と非製造業だけに集計したテーブルは以下の通りです。

業種
社数
加重平均金額
(単純平均金額)
加重平均前年比
(単純平均前年比)
製造業平均
110社
909,169円
(788,156円)
△3.77%
(△0.71%)
非製造業平均
27社
958,670円
(906,786円)
△2.08%
(△3.96%)
総平均
137社
921,107円
(811,536円)
△3.44%
(△1.47%)

今年4月22日付けの記事で、いつもの日本総研、第一生命経済研、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、みずほ総研のシンクタンク4機関の夏季ボーナス予想を取りまとめた際は、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングとみずほ総研の3機関は、1人当たりで見て+1%に満たないながらも前年の夏季ボーナスから増えると予想しているのに対して、第一生命経済研はこれも▲1%に達しないながらも、減少する可能性を示唆していたんですが、大企業主体の経団連ですら前年比マイナスですから、中小企業はさらに厳しい結果となったことが想像されます。米中貿易摩擦に起因する世界経済の不透明感がボーナス減少の大きな要因でしょうから、非製造業よりも製造業の方がマイナス幅が大きかったのも理解できます。19業種のうちで最大の減少幅を示したのは自動車の△7.88%でした。7月以降の消費が心配ですし、10月の消費税率引き上げ後の消費はもっと心配です。

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2019年8月 4日 (日)

先発岩田投手がまたまた初回に大量失点して試合が壊れる!!!

  RHE
阪  神000020300 5101
広  島52000300x 10131

先週のジャイアンツ戦に続いて、またまた、先発岩田投手が初回に大量失点して広島にボロ負けでした。現在の阪神の調子では上位の広島に勝ち越せるとはとても思えませんが、それにしても、初回に5失点では試合が壊れます。でも、首位の巨人に勝ち越して、2-3位の横浜や広島に負け越しているんですから、我が勝ち星を犠牲にしてセリーグを面白く、ということなのかもしれません

次の最下位争いのヤクルト戦は、
がんばれタイガース!

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2019年8月 3日 (土)

相変わらず打線は低調ながら西投手の好投で広島に勝利!!!

  RHE
阪  神011000020 471
広  島100000000 172

打線は低調ながら、先発西投手の好投で広島に勝利でした。西投手は菊地選手のホームランのいわゆるスミ1に広島打線を抑え、6回1失点でした。終盤7回からは新しい勝利の方程式で、ジョンソン投手-岩崎投手-藤川投手のゴールデンリレーで締めくくりました。打線はイマイチですが、早い回に逆転した後、8回は相手エラーもあってダメを押しました。

明日はそうそう捨て試合にせず、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書をはじめとして計7冊!!!

今週の読書は、いつもの通りに、経済書をはじめとした計7冊です。ただ、中央公論新社が創業130年を記念して2016年に創刊し、2018年に10号でもって終刊した『小説BOC』において、複数の作家が同じ世界観の中で長編競作を行う大型企画「螺旋」プロジェクトの8作品のうちの3作を読みました。なお、本日すでに自転車で近隣図書館を回り終えており、来週も数冊の読書になる予定です。

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まず、丸山俊一・NHK「欲望の資本主義」制作班『欲望の資本主義 3』(東洋経済) です。NHK特集で放送された内容の書籍化で、タイトルから明白なように、第3巻となります。私は今までの2冊も読んだ記憶がありますが、2冊目がやや物足りなかったので、この3冊目を読むかどうか迷っていたんですが、のーねる経済学賞を授賞したティロル教授とか、『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』で話題になったハラリ教授らの名前がありましたので、図書館で借りて読んでみました。5人の有識者へのインタビュー結果を中心に構成されているんですが、さすがに、3人目のティロル教授、4人目のハラリ教授、そして、5人目のガブリエル教授のパートは読みごたえがありました。最初の起業家ギャロウェイ氏のパートでは、インタビュアーが悪いんでしょうが、「GAFAの究極の目的は何か」という趣旨の質問があり、冒頭でガックリ来てしまいました。企業活動をする限りは、持てる経営資源を活用して利潤を最大化するのが企業の活動目的に決まっています。それとも、GAFAの目的は「世界征服」といった趣旨の回答を引き出せるとでもインタビュアーは思っていたんでしょうか。加えて、GAFAなどによるイノベーションが雇用の減少をもたらすというのは、必ずしも真実ではありません。コストダウンを目的にしたイノベーションしか念頭にないので、こういった珍問答になったんでしょうが、新商品の開発や新しい流通経路の開発など、生産を増加させ雇用も増えるようなイノベーションは歴史上いっぱいありました。また、第2章ではビットコインに続く仮想通貨の開発者ホスキンソン氏へのインタビューなんですが、資本主義は短期的な視野に陥りがち、といった発言が示されている一方で、第3章のティロル教授は市場が常に待機主義であるわけではないと主張して、まったく株主配当を行わないアマゾンのような例を出したりしています。ティロル教授は同時に仮想通貨について大いに否定的な論調を展開していたりもします。第4章のハラリ教授は、仕事を守るのではなく、人々に所得というか、収入を保証する、例えば、ベーシックインカムのような制度の重要性を指摘しています。最後の第5章のガブリエル教授は、人々を支配しているのはAIやロボットといったハードあるいはソフトな機械ではなく、そのバックに控えている人間だと喝破しています。などなど、決して、系統的な見方を得るのではないのかもしれませんが、ひとつひとつの見方や考え方に、私はとても強い刺激を得ることができました。NHKの放送はまったく見ていませんが、本書でもかなりの程度にその雰囲気は得られるのではないか、という気がします。

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次に、ウォルター・シャイデル『暴力と不平等の人類史』(東洋経済) です。著者はオーストリア生まれで、ウィーン大学で古代史のテーマで博士号を取得して、現在は米国スタンフォード大学の歴史学研究者です。本書は先週土曜日の日経新聞の書評欄で取り上げられていましたが、その時点で私はすでに新宿区立図書館から借りていたりしました。なお、英語の原題は The Great Leveler であり、2017年の出版です。ということで、本書では、一般に私のようなマルクス主義歴史学を知る者が原始共産制と呼ぶ石器時代から時代を下って、生産力の向上とともに剰余生産物ができるに従って不平等が生じた歴史をひも解く、というか、不平等が生じつつも解消された要因について分析を加えています。すなわち、7部構成の本書なんですが、第1部で不平等の概略史を跡付けた後、不平等を解消する社会現象を「騎士」と名付け、4つの騎士を、第2部で戦争、第3部で革命、第4部で崩壊、第5部で疫病、として取り上げ、最後の方の第6部と第7部では四騎士に代わる平等化の手立てを、最後の第7部で平等と不平等の未来について分析しています。本書で「騎士」と名付けている戦争、革命、崩壊、疫病については、直感的に、社会秩序を大きく揺るがせますので、いわゆる弱肉強食のパワー・ポリティクスの世界に入りそうな気がしないでもないんですが、確かに、考えてみると戦争で例に挙げられている我が日本の第2次世界対戦の記憶にしても、平等化が進んでいるのは歴史的事実のようです。本書でいうところの「総動員体制」に従って、人間としての生存に必要な部分を上回る余剰を戦争遂行のために国家が強権でもって召し上げるんですから、原始共産制に近づくのかもしれないと私は考えたりしました。ただ、他方で、本書でもソ連の共産革命に付随して、特に北欧各国で累進課税が導入された点を強調していますし、昔のソ連にしても現在の中国にしても、本来のマルクス主義的な社会主義や共産主義からはほど遠いんですが、理念としての平等の旗を下ろすことはありませんし、その影響を受けた改良主義的な社会民主主義でも平等化がひとつの政策目標として追求されていることは紛れもない事実です。また、本書では何箇所かで平等化のひとつの要因として労働組合を上げています。もちろん、マルクス主義的な労働者階級の前衛ではないんでしょうが、現代経済学でも、例えば、Galí, Jordi (2011) "The Return of the Wage Phillips Curve," Journal of the European Economic Association 9(3), June 2011, pp.436-61 などにおいても、賃金上昇圧力としての労働組織率を評価していますから、労働組合と平等化は何らかの正の相関があるともいえます。ただし、本書では農地改革については否定的な評価を下しているように見えます。我が国ではその昔に、「士農工商」なる身分性がありましたが、現代においても、工業・商業と農業で平等化の方法論に少し違いがあるようです。いずれにせよ、ピケティ教授から格差や不平等のトピックが経済学のひとつの重要なテーマとなっています。注釈や索引を含めると軽く700ページを超えるボリュームですが、私のようなエコノミスト兼ヒストリアンの目から見れば、一読しておく値打ちはありそうな気がします。

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次に、ローレンス・レビー『PIXAR』(文響社) です。著者は、かのスティーブ・ジョブズから招聘されてピクサーの最高財務責任者CFO兼社長室メンバーに就任してジョブズとともにピクサーで働き、後に取締役まで務めています。英語の原題は To PIXAR and Beyond であり、2016年の出版です。繰り返しになりますが、著者はアップルから追放されてピクサーのオーナーになっていた1990年代なかばのスティーブ・ジョブズから電話を受け面接に進み、スタジオを訪問して後に「トイ・ストーリー」として公開されるアニメを見て感激し、ピクサーに入社するところからお話が始まり、そのピクサーがディズニーに買収される2006年まで10年余りの期間に関するファイナンスの面からのピクサーの社史になっています。著者の転職当初は、全株式を所有し唯一の取締役であるスティーブ・ジョブズが招聘したということから、スティーブ派と目されて、クリエイターたちの一派から冷ややかな目で見られていたものの、IPOを控えてストック・オプションをクリエイターたちに配分する中で、徐々に企業としての一体感を形成し、同時に、カリスマ的な経営者であり、シリコンバレーでも抜きん出たビジョナリーのひとりであるスティーブ・ジョブズのかなり強引かつ得手勝手な要求には一切ノーといわずに、黙々とオーナーの指示に従い、財務責任者として業務を遂行していく姿を浮き彫りにしています。もちろん、著者の自伝的な要素もありますので、大きなバイアスがかかっていることとは思いますが、非公開企業の内部事情はうかがい知れません。もちろん、著者は財務からピクサーという企業を見ていますので、「トイ・ストーリー」から始まって、我が家も一家でよく見た一連の封切り映画、すなわち、「バグズ・ライフ」、「モンスターズ・インク」、「ファインディング・ニモ」などの世界的な大ヒット映画のメイキングの部分は期待すべきではありません。そして、最後はヒットを飛ばし過ぎて株価がとてつもなく高い水準まで上昇し、その高株価を維持するためにはディズニーのようにテーマパークやグッズなどの多角化を図るか、それとも、そういった多角化に成功した企業にM&Aで売却するか、の選択肢から後者の道を選んだわけです。スティーブ・ジョブズは広く知られた通り、今世紀に入ってアップルに復帰し、iPOD、iPHONE、iPADなどのヒットを飛ばし、そのままがんで亡くなっていますが、ジョブズがアップルを追放され、ネクストというコンピュータ会社を立ち上げながらもパッとせず、結局ピクサーのオーナーとしてIPOで復活してビリオネアになるという、著者以外のもうひとつのパーソナル・ヒストリーの一端にも触れることができます。本書を読んだ教訓として、やっぱり、カリスマ的な社内権力者には、すべからくイエスマンでいて、「ご無理、ごもっとも」で決して「ノー」ということなく接しなければならないということがよく判りました。そして、我と我が身を顧みて、役所には決してカリスマ的な権力者はいなくて集団で組織を運営していたのですが、私が出世できなかった原因も身に染みてよく判った気がします。

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次に、澤田瞳子『月人壮士』と、薬丸岳『蒼色の大地』と、そして、乾ルカ『コイコワレ』(中央公論新社) です。この3作品は、中央公論新社が創業130年を記念して2016年に創刊し、2018年に10号でもって終刊した『小説BOC』において、複数の作家が同じ世界観の中で長編競作を行う大型企画「螺旋」プロジェクトを構成しています。この3作品については、『月人壮士』が奈良時代、特に聖武天皇にスポットを当てており、時代が下って、『蒼色の大地』は明治期、『コイコワレ』は太平洋戦争末期、をそれぞれ舞台にしています。もちろん、この3作品だけでなく、私はまだ読んでいませんが、原始時代の大森兄弟「ウナノハテノガタ』、中世や戦国時代からの武士の時代の天野純希『もののふの国』、伊坂幸太郎『シーソーモンスター』に収録された昭和後期の「シーソーモンスター」と近未来の「スピンモンスター」、平成の朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』、未来の吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』と、1号から10号までに連載された8人の作家による作品がラインナップされています。まだ決めてはいませんが、私は伊坂幸太郎『シーソーモンスター』は読んでおきたいと考えています。この「螺旋」プロジェクトの特徴は、出版社のサイトにあるように、ルール1として「海族」と「山族」の2つの種族の対立構造を描き、ルール2としてすべての作品に同じ「隠れキャラクター」を登場させ、ルール3として任意で登場させられる共通アイテムが複数ある、ということのようで、ルール1は単純で読めば判ります。例えば、古典古代を舞台にした『月人壮士』では天皇家が「山族」であり、天皇を外戚として支える藤原氏が「海族」となります。明示的に何度も出て来ます。そして、3番目は複雑過ぎて8作のうちの3作品しか読んでいない現段階では私には不明ながら、カタツムリとラムネを念頭に置いています。ただ、奈良時代にラムネもないだろうとは思っています。そして、その中間のルール2の「隠れキャラ」については、オッドアイの人物なのではないか、と思い始めています。オッドアイ、すなわち、左右で目の色が違う、という意味です。少なくとも、『蒼色の大地』と『コイコワレ』には碧眼の青い目の日本人が登場するんですが、『月人壮士』については私が読み飛ばしたとも思えず、出て来ませんでした。というような読書の楽しみもアリではないかと思います。簡単にあらすじだけ紹介しておくと、『月人壮士』では聖武天皇、というか、上皇が亡くなった際の後継天皇に関する遺勅がったんではないか、とに命じられて継麻呂と道鏡がいろんな関係者にインタビューします。それがモノローグで展開され、聖武天皇の実像や「山」の天皇家と「海」の藤原氏の確執、もちろん、天皇後継に関する陰謀などが明らかにされます。『蒼色の大地』は明治期の海軍と海賊で、海軍には耳の大きい山族、そして、海賊には目の青い海族と別れます。『コイコワレ』は戦争末期に宮城県に集団疎開した小学6年生の碧眼の「海」の少女と、それを忌み嫌う現地の「山」の少女の確執、さらに、「海」の少女のお守りに関するストーリーです。読んだ3作の中では、『蒼色の大地』について、作者の薬丸岳については何作か読んでいたりしますので、もっとも期待していたんですが、逆に、期待外れに終わった気がします。

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最後に、今井良『内閣情報調査室』(幻冬舎新書) です。著者は、NHKから民放テレビ局に移籍したジャーナリストです。タイトル通りに、我が国のインテリジェンス組織である内閣情報調査室に関するルポです。さらに、内閣情報調査室とともに、というか、あるいは、三つ巴を形成している公安警察と公安調査庁も含めて、スパイたちのインテリジェンス活動を明らかにしようと試みています。よくいわれるように、我が国は「スパイ天国」であって、冷戦期などは各国スパイが暗躍していたらしいんですが、本書でも指摘されているように、特定秘密保護法によりスパイのインテリジェンスからは普通の国になったのかもしれません。でも、私も在外公館で経済情報の収集に当たっていましたが、わざわざスパイが暗躍して秘密裏に情報を収集することもなく、新聞や雑誌、可能な範囲でテレビも含めて、いわゆるマスメディアから一般に広く公表されている情報だけでも、少なくとも経済情報の場合は、チリという遠隔の地でそれほどの情報がなかったこともあり、公開情報でほとんど間に合っていたような気もします。経済情報であれば、マクロ経済の統計情報も豊富に公表されています。ただ、テロを含む安全保障や治安維持上の情報となれば、経済情報とは違うんだろうということも理解は出来ます。それから、情報公開上の考え方なんですが、報道の元ネタとなる政府からの情報に関しては、ジャーナリストのサイドでは公開の方に針が振れるのに対して、私も経験がありますが、政府に勤務する公務員のサイドからすれば秘匿の方向に意識が傾くのも、まあ、ポジショントークのようなもので、立場によって考え方にビミョーな差が出ることは、ある意味で、当然と考えるべきです。どうでもいいことながら、本書のタイトルである内閣情報調査室は略して「内調」というのが、本書でもしばしば出てくるんですが、私が若かりし官庁エコノミストだったころ、私からすれば「内調」とは当時の経済企画庁の内国調査課を意味していました。官庁再編前のことながら、その昔の「経済白書」の担当セクションです。私自身は研究所の所属が長く、「個人的見解」の但し書きをつけて自分の名前で研究成果を出していたりしたんですが、政府や個別の役所の名前でリポートを取りまとめる白書担当部局などが、官庁エコノミストのポジションだった時代かもしれません。繰り返しになりますが、本書とは何の関係もない思い出話でした。

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2019年8月 2日 (金)

米国雇用統計は堅調ながら金融緩和は続くのか?

日本時間の今夜、米国労働省から7月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+164千人増と貿易摩擦などでやや伸びは鈍ったものの、まずまず堅調な推移を見せた一方で、失業率は先月と同じ3.7%という半世紀ぶりの低い水準を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の8パラを引用すると以下の通りです。

Employers added solid 164,000 jobs in July, underscoring sturdy economy
U.S. job growth was solid for a second straight month in July as employers added 164,000 jobs, further allaying recession worries and doing little to bolster the Federal Reserve's case for another interest rate cut next month.
The unemployment rate was unchanged at 3.7%, just above a 50-year low, the Labor Department said Friday.
Economists expected 165,000 job gains, according to a Bloomberg survey.
Mildly disappointing: Payroll gains for May and June combined were revised down by a total 41,000. May's additions were revised from 72,000 to 62,000, and June's, from 224,000 to 193,000.
Hiring has slowed this year to an average monthly pace of 165,000 from 223,000 in 2018, but that's still a solid performance and more than enough to keep lowering the jobless rate. Economists largely blame the downshift on fading effects of federal tax cuts and spending increases, the sluggish global economy and President Trump's trade war with China, which has damped business confidence and investment. Also, the low unemployment rate means employers have a harder time finding available workers.
The increase was close to expectations while the unemployment rate was unchanged from 3.7 percent in June.
The upshot is that consumer spending - which makes up 70% of the economy - is healthy and jobs in service industries such as health care and professional services continue to grow smartly. But manufacturing payrolls, which depend more on sales abroad, largely have been stagnant.
The Fed lowered its key interest rate this week for the first time in more than a decade because policymakers worry the global troubles, lackluster business spending and stubbornly low inflation eventually could derail the record 10-year-old economic expansion. Another cut could be on the way as soon as September if those risks combine with an escalating trade war and weakening labor market.

やや長く引用してしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門と失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ということで、引用した記事にもある通り、ブルームバーグの調査によれば、市場の事前コンセサスは+165千人増でしたので、ほぼほぼジャストミートしたと受け止められていますが、ただ、先々月の5月統計と先月の6月統計がともに下方改定、すなわち、5月が+72千人増から+62千人増に、6月が+224千人増から+193千人増に、それぞれ下方改定されていますので、やや割り引いて考える必要はあるかもしれません。上のグラフのうちの上のパネルを見ても直感的に理解できる通り、雇用の増加は堅調とはいいつつも、2019年に入ってからの雇用者の増加幅は2018年よりもややシフトダウンしたことは明らかです。他方で、失業率は3.7%と50年ぶりの低水準を記録しています。マクロ経済政策としての金融政策の舵取りが難しい局面だという気がしますが、米国の連邦準備制度理事会(FED)は先月7月末の連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイントの利下げを決定し、実に、2008年12月以来の利下げの決定でした。そして、焦点は早くも次なる金融政策動向に移って来ており、トランプ米国大統領が昨日8月1日に残りの約3000億ドルの輸入に対して、中国への制裁関税第4弾を発動すると表明しており、今回の雇用増の鈍化を受けて、早期に追加利下げの可能性が浮上するものと私は予想しています。

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ただ、景気動向とともに物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。米国雇用は底堅くて、労働市場はまだ逼迫を示しており、賃金もジワジワと上昇率を高める段階にあります。すなわち、5月は前年同月比で+3.1%の上昇と、昨年2018年8月に+3%の上昇率に達して、半年以上に渡って3%台の上昇率が続いています。日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですので、利上げを停止したり、あるいは、前のパラで論じたように金融緩和に転じたりして、それで物価の方は大丈夫なんだろうか、という心配もあるにはあるものの、基本的に、左派エコノミストである私は金融緩和には賛成だったりします。

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2019年8月 1日 (木)

粘る中日を振り切って藤浪投手復帰戦を白星で飾る!!!

  RHE
中  日000010001 280
阪  神00001101x 3100

終盤まで粘る中日に競り勝って、藤浪投手復帰戦を白星で飾りました。藤浪投手に勝ち星こそつきませんでしたが、5回途中ながら4安打1失点ですから、今後に期待が持てます。リリーフ陣はほぼほぼ完璧です。打線はまだまだですが、ソラーテ選手が打てば、その限りにおいて、得点力はアップした気もします。大山選手にバントを命じたのもそういう意味なんだろうと思います。そして、昨日今日と無失策なのはご同慶の至りです。

次の広島戦は、
がんばれタイガース!

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雇用調整助成金で雇用を維持すると中長期的にどうなるのか?

経済産業研究所から、先月7月に雇用調整助成金が企業業績に及ぼす中長期的な影響を計測したディスカッションペーパーが明らかにされています。参照文献として示せば以下の通りです。なお、タイトルにある "Short-Time Compensation" とは、本文では STC と省略されていますが、「雇用調整助成金」のことです。

私自身は、その昔、いわゆる生産要素、労働や資本を生産性低い分野から高い企業・産業に移動させることにより、我が国全体の生産性が向上する、という意味で、極めて右派的な経済学を信奉していたんですが、今ではそうでもなくなっています、このディスカッション・ペーパーでは、雇用調整助成金により雇用を維持することが抽象気的な企業業績を向上させる、という結論を導いています。ペーパーの p.21 Table 4-1 The Estimated Effect of STC on ROA を引用すると以下の通りです。推計結果は、雇用調整助成金受給企業の「当該年と受給前年のROAの差」から非受給企業の「当該年と受給前年のROAの差」を差し引いたものであり、2年後以降は統計的に有意な差があることがアスタリスクで示されています。なお、このテーブルは、ROA への雇用調整助成金の効果ですが、このテーブルの後に、営業利益 profit margin や売上 sales などに対する影響の推計結果も示されています。

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その理由は、労働コストを引き上げることなく売上を伸ばすことによってもたらされている "STC leads to sales growth without raising labor costs" ためであり、雇用調整助成金が企業業績にプラスに働くことは、伝統的な雇用調整助成金の効果、すなわち、解雇抑制効果、それに伴う企業特殊的人的資本の喪失を防ぐ効果、あるいは解雇による職場のモラル低下を抑制する効果 "preserving firm-specific human capital and avoiding the negative morale effect of layoffs" に加えて、雇用調整助成金によるワークシェアリングは危機感の共有からチームワークを高め、企業業績向上のための改革に雇用者が協力的になる、という効果も見られるのではないか、と結論しています。まったく、その通りですし、こういった見方が実証的に数量分析によって示されたのは意義あることではないかと私も考えています。

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