7月統計では消費者物価指数(CPI)の緩やかな上昇が続く!
本日、総務省統計局から7月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月と同じ+0.6%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
消費者物価、7月0.6%上昇 緩やかな上昇続く
総務省が23日発表した7月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.5と前年同月比0.6%上昇した。プラスは31カ月連続。伸び率は前月と同じだった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は同じく0.6%上昇だった。
菓子類など、生鮮食品を除く食料で広がっている値上げの流れが物価を押し上げた。高止まりしている電気代やガス代、人件費が高騰している外食なども、物価上昇に寄与した。
電気掃除機など家庭用耐久財も上昇した。総務省は「新製品の発売に加え、消費増税前の駆け込み需要の影響もありそうだ」との見方を示した。
一方、ガソリン価格の下落傾向や、大手各社の値下げによる携帯電話の通信料の下落が物価の下げ圧力となった。
生鮮食品を除く総合では302品目が上昇した。下落は164品目、横ばいは57品目だった。総務省は「緩やかな上昇が続いている」との見方を据え置いた。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.5と前年同月比0.6%上昇した。生鮮食品を含む総合は101.6と0.5%上昇したが、キャベツなど生鮮野菜の値下がりが物価上昇を抑えた。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入れずにコア財に含めています。政府の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。
ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+0.5~+0.6%のレンジで中心値が+0.6%でしたので、ジャストミートしたといえます。加えて、6月統計から7月にかけての変化はそれほど大きくなく、私がいつも物価への影響力大きいと分析しているエネルギーについても、前年同月比寄与度で+0.04%のプラス寄与に過ぎませんでした。いわゆる小動きであり、10月の消費税率引き上げを前に企業が様子見をして価格の動きが小さくなっているそうな気すらします。もっとも、石油価格は下落を続けており、ガソリンの寄与度▲0.10%を含めて、石油製品の寄与は▲0.09%とマイナスであり、石油価格からラグをもって変動する電気代とガス代の寄与度が合わせて+0.14%ありましたので、エネルギー全体としてのくくりではプラス寄与を示しています。6月から始まった携帯電話、特に、スマートフォンの通信料の値下げについては、先月6月統計の通信料(携帯電話)が前年同月比で▲5.8%の下落、前年同月比への寄与度で▲0.12%に達していましたが、本日公表の7月統計では前年同月比で▲5.7%の下落、前年同月比への寄与度でも前月統計と同じ▲0.12%を示しています。先月のCPI統計公表時にも、このブログに書いた記憶がありますが、10月から消費税率が引き上げられる一方で、幼児教育の無償化が同時に始まれば、エネルギー価格の鈍化と相まって、この先CPI上昇率はさらに縮小する可能性が高いと私は予想しています。すなわち、消費税率引き上げの影響を除くベースで考えて、当面の足元では6月統計並みの+ゼロ%台半ばが続き、10月以降はゼロ%台前半にまで上昇率が縮小する可能性が十分あると見込んでいます。
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