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2019年9月30日 (月)

レギュラー・シーズン6連勝フィニッシュでクライマックス・シリーズ出場決定!!!

  RHE
中  日000000000 040
阪  神00021000x 361

中日に完勝して6連勝フィニッシュし、クライマックス・シリーズ出場決定でした。その昔、恒例だった「9月の失速」なんぞはまったく感じさせない勢いでした。今夜はレギュラー・シーズン最終戦で、ショートを守る鳥谷選手の最後の勇姿も目に刻みつけましたが、よくよく考えれば、ポストシーズンの試合でも鳥谷選手の打席が見られる可能性も十分高いわけですし、タイガースが日本シリーズに出場できれば、甲子園の試合はまだ残るわけですから、私の期待は膨らみます。

クライマックス・シリーズでも、
がんばれタイガース!

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基調判断が下方修正された鉱工業生産指数(IIP)と駆け込み需要が始まった商業販売統計!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.2%の減産を示した一方で、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.0%増の12兆540億円、季節調整済み指数も前月比+4.8%増を記録しています。まず、長くなるんですが、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

8月の鉱工業生産、1.2%低下 判断下方修正、在庫率指数は15年基準で最高
経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み、速報値)は前月比1.2%低下の101.5だった。低下は2カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中心値(0.5%低下)を下回った。米中貿易摩擦を発端とした世界経済の減速を受け、生産も低迷している。
経産省は生産の基調判断を「生産は一進一退」から「生産はこのところ弱含み」に下方修正した。同じ「弱含み」に下方修正した3月以来、5カ月ぶりの下方修正となる。
業種別では、15業種中12業種で低下した。鉄鋼・非鉄金属工業は4.7%減だった。生産設備の定期修繕があったことに加え、台風で生産体制に影響が出た。フラットパネル・ディスプレイ製造装置や半導体製造装置を含む生産用機械工業は、中国向け生産の減少などで2.6%減だった。自動車工業は1.1%減だった。
電子部品・デバイス工業は4.5%増加と、2カ月連続で上昇した。同業種の出荷指数の前年同月比伸び率から在庫指数の前年同月比伸び率を引いた出荷・在庫バランスはプラス10.5とプラスに転じた。同業種は9月の生産予測もプラスとなっており、経産省は「下げ止まりの兆しも見られる」と話した。
出荷指数は1.4%低下の101.1と2カ月ぶりに低下した。「消費増税前の駆け込み需要は特に見られない」(経産省)という。
高水準にある在庫は横ばいの104.5だった。在庫の出荷に対する比率を表す在庫率指数は2.8%上昇の110.5と、2015年基準で最高となった。
製造工業生産予測調査によると、9月は1.9%上昇、10月は0.5%の低下だった。この数値を前提に7~9月期の鉱工業生産指数を計算すると102.5と、4~6月期(103.0)より低い。現状と先行きについて経産省は「生産水準がじりじりと下がる中、在庫も高止まりしており、生産が回復する様子はない」と説明した。
製造工業生産予測は下振れしやすく、経産省が予測誤差を除去した先行きの試算は9月は0.3%上昇だった。
8月の小売販売額、2.0%増 気温上昇でエアコンなど好調
経済産業省が30日発表した8月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比2.0%増の12兆540億円と2カ月ぶりに増加した。天候に恵まれ、夏物関連商品の売り上げが伸びた。経産省は小売業の基調判断を「一進一退の小売業販売」と前月から据え置いた。
業種別で見ると、9業種のうち8業種でプラスとなった。8月は東日本を中心に気温の高い日が続き、エアコンなどの家電を含む「機械器具小売業」が12.1%増、紫外線(UV)対策商品を含む「医薬品・化粧品小売業」が6.3%増と伸びが目立った。夏物衣服も好調で「織物・衣服・身の回り品小売業」は4.9%増だった。
大型小売店の販売額については、百貨店とスーパーの合計が0.9%増の1兆5897億円だった。既存店ベースでは0.4%増だった。経産省は「百貨店では、韓国からの訪日客の減少で海外の購買客数が減少しつつあるとの声があった」と明らかにした。
コンビニエンスストアの販売額は1.9%増の1兆950億円。調理品やサラダなど、調理が不要な食品の売り上げが伸びた

これだけの統計を並べると、とても長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、中央値で▲0.5%の減産、レンジの下限でもレンジ▲1.0%でしたので、実績の▲1.2%の減産はかなり大きいと考えるべきです。従って、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では、基調判断を「生産は一進一退」から「生産はこのところ弱含み」に下方修正しています。ただし、先月統計公表時に製造工業生産予測指数に従えば9月の生産は前月比マイナスの減産と予想されていたんですが、本日公表の製造工業生産予測指数では9月は+1.9%の増産、予測誤算を考慮した補正値でも+0.3%の増産と見込まれていますから、消費税率引き上げ以降の消費動向にも大いに左右されるものの、世界経済の低迷とともに一直線に生産も低下する、ということはなさそうです。とはいうものの、世界経済の減速に起因し、特に中国への輸出が生産低迷の原因ですから、少なくとも早期に生産が回復するという見込期は立ちません。加えて、これも引用した記事にある通り、四半期でならしてみて、7~9月期の生産は4~6月期には及ばず、前期比マイナスに帰結しそうな見込みです。10~12月期も消費税率引き上げ直後ですので、決して楽観することはできません。その意味で、年内に景気転換点の議論を始めるのは早いにしても、早晩、エコノミスト業界の景気局面に関する意識が高くなるのは当然です。今年に入ってから、景気動向指数の基調判断との関係で、「景気悪化」が盛んに報じられましたが、メディアも注目度を高めることと私は考えています。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。ということで、小売業販売額を消費と読み替えれば、グラフから単純に、7月は渋かったボーナスや天候不順とともに消費税率引き上げ前に備えて消費を抑制した後、8月には猛暑効果に加えて駆け込み需要が始まった、ということになります。ただ、駆け込み需要の規模はそれほど大きくなさそうに私は見ていますが、ひょっとしたら、9月の小売業売上はもっと増えるのかもしれません。

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2019年9月29日 (日)

メッセンジャー投手の最終登板を白星で飾りクライマックス・シリーズに前進!!!

  RHE
中  日000000003 380
阪  神00001320x 6120

中日に完勝してクライマックス・シリーズに大きく前進でした。先発メッセンジャー投手の最終登板で始まり、つないだ投手陣が8回までゼロ行進を続け、打つ方では代打陽川選手の出会い頭のホームランで一気に猛虎打線が爆発しました。最終回の失点はご愛嬌ということで、これを別にすれば完璧な試合運びでした。明日のレギュラー・シーズン最後の中日戦にポストシーズンのクライマックス・シリーズ出場がかかります。

明日も、
がんばれタイガース!

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2019年9月28日 (土)

今週の読書は話題のラグビーの200年史を振り返る歴史書など計6冊!!!

今週はいろいろと忙しかったんですが、それでも硬軟あわせて6冊の以下の通りの読書です。ワールドカップが始まったラグビー200年史を振り返るボリュームたっぷりの歴史書もあります。今週もすでに図書館回りを終えており、来週も数冊の読書になりそうなんですが、何分、かなり忙しいので時間が取れないかもしれません。

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まず、杉本和行『デジタル時代の競争政策』(日本経済新聞出版社) です。著者は、財務省の事務次官経験者であり、現在は2期目の公正取引委員会委員長を務めています。もう70歳近いんでしょうが、私と同じ公務員でも出世するとここまで職が保証されるんだと、我と我が身を振り返って忸怩たる思いがあります。ということで、本書はタイトルこそ華々しいんですが、何ということのないフツーの競争政策、すなわち、公正取引委員会の通常業務がほとんど80パーセントくらいを占めます。160ページほどのボリュームのうち、第3章のタイトルが書籍と同じ「デジタル時代の競争政策」となっていいて、この第3章がメインなんでしょうが、中身は100ページ目から始まり、その第1節はグローバル化に割かれていますので、経済のデジタル化に即した内容になるのは118ページまで待たねばなりません。ただ、ここに至るまでの、いわば、前置き部分も私のような専門外のエコノミストには、競争政策をとてもコンパクトに取りまとめつつも、実際の違反事例や大企業の合併の事例などが実名入りで豊富に取り上げられており、それなりに勉強にはなりそうな気もします。そういった専門分野の方には公正取引委員会の競争政策の重点などが透けて読み取れるようになっているのかもしれません。今年2019年の6月22日付けの読書感想文で取り上げた森信茂樹『デジタル経済と税』は、同じように財務省で出世された公務員OBのご著書ながら、ほとんどデジタル経済とは何の関係もなく、国境をまたいだ移転価格操作という多国籍企業の税制に終始していたのに比べれば、それなりに、本書ではデジタル経済のプラットフォーム企業に対する競争政策や、デジタル経済に限定されないながらも、企業の自由な活動とそこから生み出されるイノベーションに対して阻害することなく、それでも、消費者の利益となる競争政策の在り方につき、示唆するところは大いにあります。SNSや検索エンジンなどを無料で提供する企業に集積されたデータのロックイン効果の防止やフリーランサーの競争促進など、基本編ながら、しっかりした内容の良書だと思います。

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次に、ターリ・シャーロット『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』(白揚社) です。著者は、英国の認知神経科学の研究者ですが、英米間を行き来しているようです。英語の原題は The Influential Mind であり、2017年の出版です。また、2018年にイギリス心理学会賞を授賞されています。認知神経学というのは聞き慣れない学問分野ですが、人間は脳であり、ニューロンの発火によって生み出される、と本書で著者は断言しています。ただ、エコノミストの目から見て、経済学における選択の問題、特に、行動経済学との関係もとても深いんではないかと、本書を読んでいて私は感じられました。言及はされていませんが、ポストトゥルースのように、客観的な事実や真実に基づいて論理や知性に訴えるのではなく、その場の雰囲気とか感情を含めたすべての感受性に訴えるのがポストトゥルースですから、本書冒頭のワクチンに関する議論なども含めて、現在の言論界や政治を理解するのには非常に適した書物です。ただ、邦訳タイトルよりも現代の英語タイトルの方が内容を理解しやすく、要するに、何が人の意見や行動に影響を及ぼすか、ということを考察しています。当然、ポストトゥルースのネット社会におけるエコー・チェンバーやフィルター・バブルの現象がワンサと満載です。そして、エコノミスト的な行動経済学や実験経済学と違って、ヒト以外の生物や、あるいは、ヒトであっても現代的な社会性がかなりの程度に欠けている文明前期的な社会や子供にすらなっていない生後間もない赤ん坊の行動なども対象にして分析を進めています。加えて、実践的、というか、何というか、邦訳タイトルのように事実で説得できないとすれば、果たしてどうすればいいのか、についても実験と実践を進めています。すなわち、何かの行動に結びつけたいのであれば、ポジティブなご褒美を用意し、逆に、何かを思いとどまらせたいのであれば、ネガティブなペナルティを示す、といった例です。もちろん、逆に、他人を説得しようとするときに陥りがちな罠と、それを避ける方法も紹介されています。それらが、それほど判りやすくないイラストとともに示されています。本書もいい読書だった気がします。

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次に、ニケシュ・シュクラ[編]『よい移民』(創元社) です。編者は、ロンドン生まれの英国の小説家・脚本家であり、インドにルーツを持っています。本書では編者も含めて計21人の「よい移民」、すなわち、演劇や文学などの芸術面で一定の成功を成し遂げたり、あるいは、名声を得たりしたアーティスト・クリエイターがエッセイを連ねています。英語の原題は The Good Immigrant であり、2016年の出版です。邦訳タイトルはそのままの直訳のようですが、単数形である点は着目しておきたいと思います。ということで、タイトルとは裏腹に、有色人種の移民として差別に遭遇した経験などの恨みつらみが集められている気もします。移民、特にアジアにルーツを持つ有色人種の移民としてのアイデンティティ、もちろん、英国社会の大きな偏見や差別や無知などを、ある時は否定的に、ある時はユーモアを交えて、繊細かつ巧妙にさまざまな表現力でもって語りかけるエッセイです。かつては、大英帝国として世界の覇権を握り、世界中に植民地を有する「日の没することのない帝国」を築き上げた英国では、もちろん、我が国と同じ島国ながら植民地などから大量の移民が流れ込んでいますが、その中で、移民の人々は「よい移民」、すなわち、お行儀のよく社会に溶け込み同化するモデル・マイノリティであることが、ほぼ強制的に要請されているような気がしますが、それに反発を覚えて、ルーツを強調する移民も少なくありません。そういった移民の視点から英国の白人社会を冷静に分析し、その根本にある何か生理的に嫌なもの、あるいは、緊張感とか、悲哀のようなものが読み取れた気がします。ただ、そういったネガな感情が底流に流れているとしても、移民はヤメにして民族国家の中で生きていくのがベスト、とは私も思わないわけで、こういったいろんな移民のいろんな視点を提供してくれる情報源は歓迎すべきと受け止めています。

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次に、周燕飛『貧困専業主婦』(新潮選書) です。著者は、労働関係の国立研究機関の研究員で、私はこの著者と同じ国立研究機関に在籍していたことがあり、著者と面識があるんではないかと記憶しているんですが、著者近影のお写真では確認できませんでした。学習院大学の鈴木旦教授の奥さまです。ということで、日本の雇用や家族のシステムの中で、本書でも指摘しているように、専業主婦とはダグラス・有澤の法則に従って、比較的所得の豊かな階層に多く見られる形態だと私も考えていましたが、実はそうではないという事実を突きつけています。すなわち、貧困であるにもかかわらず専業主婦として働きに行かないわけです。日本の貧困層の場合、典型的には3類型あり、それは高齢・疾病・母子家庭です。専業主婦ですから、亭主が働きに行っているという理解の下、母子家庭ではないとしても、疾病が多くを占めそうな気もするところ、実は、うつなどの疾病とともに、子育てに注力したい母親が決して少なくないことは初めて知りました。そして、本書の著者は、そういった家族のあり方に関する思考ですから、決してリバタリアン的な新自由主義に基づく個人の裁量に任せるのでもなく、国家が家族のあり方にパターナリスティックに介入するわけでもなく、行動経済学的なナッジを持って方向づけすることを示唆しています。まあ、そうなんでしょうね。でも、本格的に貧困問題に取り組むとすれば、すなわち、家族のあり方をリバタリアン的に個人裁量に任せつつ貧困を解消しようとすれば、ベーシックインカムの導入を真剣に考慮することが必要という気もします。我が家のカミさんはほとんど専業主婦でしたが、さすがに、私はキャリアの国家公務員ですから、一家4人を養うに足るお給料はもらっていました。日本の雇用システムは、何度か書きましたが、亭主が組織のために忠誠を誓って企業スペシフィックな能力をOJTで身につけ、無限定に長時間労働に勤しむ一方で、これまた、主婦は無限定に家庭を支える、という構造になっていました。しかし、高度成長期を終えて雇用の拡大から剰余価値生産を増加させることが困難になり、従って、企業が亭主に十分な支払いをできなくなったため、主婦を雇用に引っ張り出そうとしているわけです。それに対して、共働きをしないと貧困に陥ることを警告する本書は、私から見て少し視点がおかしいような気がします。子供を保育園に出して集団生活をさせれば粗暴でなくなるなんて研究成果を引用したりするんではなく、専業主婦でも貧困でない生活を送れるようなお給料の必要性を主張すべきです。このような企業サイドにベッタリ寄り添った主張は聞き飽きてしまいました。

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次に、トニー・コリンズ『ラグビーの世界史』(白水社) です。著者は、英国の歴史研究者であり、英国スポーツ史学会会長も経験しています。私よりも年下なんですが、デ・モントフォート大学名誉教授だったりします。英語の原題は The Oval World であり、2015年の出版ですが、前回のラグビーのワルードカップ開催前でしたので、我が日本が南アフリカのボクススプリングを破った快挙が盛り込まれておらず、従って、日本ラグビーの比重がやや小さいんではないか、という恨みはあります。ということで、邦訳タイトル通りに、ラグビー200年史を膨大なボリュームでつづっています。かなり大判の書物である上に、注や索引も含めれば軽く500ページを超えるボリュームです。書店で目にした瞬間に諦める向きもあるかもしれませんが、邦訳がとても出来がよくてスラスラと読めます。先週のジョージ・ギルダー『グーグルが消える日』の邦訳とはかなり違いがあります。ということで、ラグビー200年史というのは、ほとんど伝説として、スポーツ競技のラグビーが英国パブリックスクールのラグビー校で1823年にエリス少年がサッカーのボールを手でもって走り出したことに由来する、とされていますので、ほぼ200年ということになります。ただ、本書では、この故事を明確に否定しており、村の祝祭の時に両チーム合わせて100人超の人数で、きわめて無秩序に始まった協議であり、徐々にルールが整備され、パブリックスクールでのスポーツ教育として取り入れられ、ほかに所得の道を有する上流ないし中産階級におるアマチュアのスポーツとして始まり、少しずつ大衆化して労働者階級の選手が休業補償的な支払いを要求して、アマチュア15人制のユニオンからプロフェッショナル13人制のリーグが分裂し、それ以降、英国、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドから大英帝国の版図に従って世界に広まり、1987年にユニオン方式のラグビーで第1回のワールドカップが開催される歴史が跡付けられています。私はラグビーに詳しくないので、人名やチーム名などに馴染みありませんが、我が国で開催中のワールドカップの参考書として、もっとも読んでおくべき書物の1冊ではなかろうか、という気がします。

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最後に、広尾晃『球数制限』(ビジネス社) です。著者は、野球を中心とするスポーツ・ライターです。タイトルそのままに、高校生を中心とする野球における選手の健康維持のため、特に投手の投球数制限を論じています。ただ、ありがちな両論併記ではなく、圧倒的に投球数制限を支持し、早期に取り入れるべき、との意見を鮮明に打ち出しています。出版時期から、今夏の高校野球の岩手県決勝における大船渡高校の佐々木投手の登板回避は取り上げられていませんが、本書の精神からすれば、国保監督の英断を高く評価していたんだろうと、私は想像します。私は野球の経験はありませんが、中学高校と運動部に所属していましたので、HNK大河ドラマの「いだてん」を見ていても、昔の精神主義的なスポーツの捉え方は世代的にも実体験として知っていますし、非合理的だとも考えています。ですから、私自身も本書で展開されている投球数制限には大賛成です。ビジネス界では、目先の利益という短期的な視点ではなく、長期的な取引を重視する傾向の強い日本で、高校野球だけが勝利至上主義で短期的な選手起用に陥っているのは、理解に苦しむところもあります。例えば、本書にもある通り、正しいフォームで投げていればケガしないというのは正しくなく、本書の例を引けば、スクワットを100回出来る人はいても、無制限にスクワットを続けられるアスリートはいないわけで、野球の投手の投球も同じことだと思います。特に、10代で肉体的に完成していない高校生が、しかも、来年のオリンピックでも「暑さ対策」が声高に叫ばれている中で、真夏のグラウンドで野球するというのは、正気の沙汰ではありません。高校野球の場合、サッカーの国立競技場とは比べ物にならないくらいの存在感を示す甲子園という野球の聖地を目指して、真夏の競技をするわけで、学業との兼ね合いから夏休みに設定するという季節性の問題もあります。本書でも、米国をはじめとする野球先進国における投球数制限についてリポートされており、勝利を最優先にして甲子園を目指す高校野球のアナクロな指導者の目を覚まし、高野連における議論の活性化、というより、即時の結論を願って止みません。

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2019年9月27日 (金)

9月調査の日銀短観に示される企業マインドの予想やいかに?

来週火曜日10月1日の公表を控えて、シンクタンクから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画はもちろん今年度2019年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、足元から先行きの景況感に着目しています。一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)+7
+23
<+2.3>
n.a.
日本総研+2
+25
<+3.4%>
先行き(12月調査)は、全規模・全産業で9月調査対比▲4%ポイントの悪化を予想。米国の保護主義的な通商政策など、海外情勢の先行き不透明感に加え、駆け込み需要の反動による個人消費の落ち込みへの懸念が、業況見通しに反映され、製造業、非製造業ともに悪化する見込み。
大和総研+1
+22
<+3.4%>
先行きの日本経済は、駆け込み需要が発生し得る2019年7-9月期まで成長が続いたのち、①世界経済の減速に伴う輸出低迷に加えて、②在庫調整、③稼働率低下を受けた設備投資の伸び鈍化、④雇用増加ペース鈍化に伴う消費の足踏み、⑤消費増税を背景に、潜在成長率を若干下回る低空飛行が続くとみている。そうした中、9月日銀短観では、製造業と非製造業の業況判断DI(先行き)はいずれも悪化すると見込む。
みずほ総研+1
+21
<+2.7%>
先行きの製造業・業況判断DIは横ばいを予測する。米国の対中制裁第4弾では、スマホやノートPCなどに対する関税引き上げが12月15日に予定されており、これらに係る部材の駆け込み輸出が関税引き上げ前に増加することで、一部の加工業種の景況感が一時的に押し上げられることはあり得る。しかし、米中貿易摩擦やグローバルなIT関連実需の低迷、海外経済の減速は当面継続することが見込まれるなか、全体として製造業の先行きの景況感は改善が見込みづらいだろう。日米交渉についても不確実性が残存している。仮に米国が為替条項の導入について言及してきた場合、急激な円高圧力が生じる可能性も懸念される。
先行きの非製造業については4ポイント悪化を見込む。消費増税による消費の下押し懸念が、小売業や宿泊・飲食サービス業、対個人サービス業などの景況感を押し下げるだろう。各種経済政策が実施されることなどを踏まえると、消費増税による景気への影響は前回増税時と比べて限定的になると考えられるものの、足元の消費マインドが低調であることを受けて、企業の先行きの見方は慎重なものとなると考えられる。実際、2014年増税時は大企業・非製造業の先行き判断(3月調査時)は11ポイントの悪化となっていた(6月調査時の現状判断は5ポイントの悪化)。このほか、幅広い業種について、労働需給のひっ迫に伴う人件費上昇が引き続き重石となることに加え、製造業の不振が非製造業へ波及することへの懸念が下押し要因となるだろう。
ニッセイ基礎研+1
+19
<+2.9%>
先行きの景況感も幅広く悪化が見込まれる。米中通商交渉は一部前向きな動きが見られるものの、依然合意の目処が立っておらず、今後も米国による追加関税発動と中国による報復といったさらなる激化が懸念される。また、英国のEU離脱問題も引き続き混乱が避けられない。事業環境の不透明感が強いことから、製造業の先行きの景況感回復は期待できない。非製造業では、日韓関係悪化の長期化に加え、来月に控える消費増税による影響への懸念から、先行きの景況感が大幅に悪化するだろう。今回の消費増税の悪影響は従来よりも限定的になると予想されるが、過去の消費増税後に起きた大幅な景気悪化がトラウマになっていると考えられる。
第一生命経済研+3
+19
<大企業製造業+13.0%>
10月の増税を前にして、消費産業は先行きをより慎重にみるバイアスが強まり、それが先行きDIにどのように表れるかを注目したい。細かいところでは、飲食サービスはデリバリーによって軽減税率の適用を受ける。キャッシュレス決済による割引は、中小非製造業の反動減対策として実際にどのくらいまで期待されているのか。中小企業の宿泊・飲食サービス、小売・卸売、個人サービスの先行きDIが、それほど大きな反動減を予想していないことがわかれば、そのことは先行きの消費の自信につながる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+4
+24
<大企業全産業+7.7%>
10月1日に公表される日銀短観(2019年9月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、前回調査(2019年6月調査)から3ポイント悪化の4と、3四半期連続で悪化すると予測する。海外経済減速に伴う外需の弱さと円高が下押し要因となったとみられる。先行きについては、2ポイント悪化の2と、海外経済の先行き不透明感と消費増税後の一時的な内需の弱さを警戒し、慎重な見方が示されよう。
三菱総研+4
+21
<+3.0%>
先行きの 業況判断DI(大企業)は、製造業は▲1%ポイント と、業況が悪化し、「悪い」超を予測する。非製造業も+16%ポイントと、業況悪化を予測する。消費税増税による内需の縮小が予想されるほか、米中貿易摩擦の一段の激化、中国をはじめとする海外経済の減速、金融市場のリスク回避姿勢の強まりによる円高や株安などには警戒が必要な局面であり、企業マインドの重しとなるであろう。

ということで、押しなべて、業況判断DIの低下が予想されています。ただ、大企業非製造業で6月時点での業況判断DIから、わずかながら、改善を示すと予想しているシンクタンクも2機関あり、日本総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングなんですが、いずれも消費税率引き上げ直前の駆け込み需要を要因として上げており、決してサステイナブルではありません。というか、消費税率引き上げ後の反動減が大きくなりそうで、多くのシンクタンクが先行きの業況判断DIについては、大企業製造業よりも大企業非製造業の方が落ち込み幅が大きいと予想しています。製造業の景況感悪化は、もちろん、米中貿易摩擦に起因する世界経済の減速です。より詳細に、日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIの先行きに着目すると、大和総研がゼロを予想し、三菱総研も▲1を予想しているものの、他のシンクタンクはすべてギリギリながらプラスを予想しています。私は次の12月調査では大企業製造業の業況判断DIがマイナスになる可能性が高いと予想しており、9月調査の先行きとともに注目しています。最後に、設備投資についても世界経済の先行き不透明感がマイナス要因となりますが、人手不足を背景とする合理化・省力化投資が下支えすることから、非製造業を中心に前年度比プラスが予想されています。
下は、業況判断DI予想のグラフを日本総研のリポートから引用しています。

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2019年9月26日 (木)

アジア開銀による経済見通し改定 Asian Development Outlook 2019 Update やいかに?

昨日9月25日に、アジア開発銀行(ADB)から「アジア開発経済見通し2019改定」Asian Development Outlook 2019 Update が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。アジアの新興国・途上国の経済成長率は、2018年実績の+5.9%から、今年2019年+5.4%、来年2020年+5.5%に減速すると見込まれています。これは、今年春の「アジア開発経済見通し」の2019年+5.7%、2020年+5.6%から下方修正となっています。このため、リポートでは、アジアの開発途上国では引き続き+5%を超える力強い経済成長が続いているものの、世界的な貿易と投資の減速により、成長率見通しに陰りが見られ、アジア・太平洋地域経済のリスクが高まっている、と指摘しています。

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上のグラフは、リポート p.3 から Figure 1.0.1 GDP growth outlook in developing Asia を引用しています。画像をクリックすると、リポート冒頭 Summary p.xviii の GDP growth rate and inflation のページだけを抽出したpdfファイルが別タブで読めると思います。250ページ余りのボリュームですので、読み応えがありそうです。

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2019年9月25日 (水)

企業向けサービス物価指数(SPPI)は6年余りに渡って前年同月比プラスが続く!

本日、日銀から8月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て+0.6%を示しています。前月の+0.6%と同じ上昇率となっていて、引き続きプラスの伸びを続けています。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率もヘッドラインと同じ+0.6%でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業向けサービス価格、前年比0.6%上昇 74カ月連続のプラス
日銀が25日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は102.9で、前年同月比で0.6%上昇した。前年同月比での上昇は2013年7月以来74カ月連続。土木建築業や警備サービスを中心に人手不足による人件費の高騰が指数上昇の主因となった。
前月比では横ばいだった。人手不足による人件費が高騰する一方で原油価格の低迷に伴う貨物輸送価格の下落などが影響した。日銀は「値上げに一服感があり伸び率は縮小しているが、指数が堅調に推移しているという基調は変わっていない」とみている。
同指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の146品目のうち価格(消費税の影響を含む)が前年比で上昇したのは87品目、下落は31品目、上昇から下落の品目を引いた差は56品目と、7月(確報値)から6品目増加した。

いつものように、コンパクトながら包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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先月統計と大きな違いはないんですが、前年同月比で見て、土木建築サービスなどの諸サービスが上昇率を高めた一方で、情報通信、運輸・郵便、広告、不動産などが伸び率を低下させています。運輸関連では国際商品市況における石油価格の下落の影響が出ているほか、土木建築サービスが典型的なんですが、引き続き、人手不足によるコストアップの影響も残っています。ただ、一般的な景気状況が従来ほど強い拡張局面でなくなったこともあり、引用した記事にもあるように、値上げに一服感が出ているようです。景気動向次第という気もしますが、引き続き、SPPIの上昇基調には大きな変化はないものと私は考えています。ただ、雇用統計などでも繰り返し指摘していますが、雇用はあくまで生産の派生需要であり、人手不足が景気を牽引しているわけではありません。好景気が人手不足の背景にあるわけですので、景気が悪化すれば雇用が大きく悪化して人手不足から一気に人員過剰に転化する可能性も、決して忘れるべきではありません。

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2019年9月24日 (火)

ジャイアンツに完勝してクライマックスシリーズに望みをつなぐ!!!

  RHE
読  売000000000 060
阪  神10000310x 581

ジャイアンツに完勝でした。初回に先制点を上げた後、6回にはキャプテン糸原内野手のタイムリーと梅野捕手のツーランで大きな追加点をもぎ取り、最終回は藤川投手が三者三振に切って取りました。鳥谷選手は6回に代打で登場しましたが、ファーストゴロで凡退に終わりました。
西武ライオンズが大量リードで、もうすぐパリーグ優勝を決めそうな雰囲気です。

土曜日の横浜戦も、
がんばれタイガース!

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リクルートジョブズによる8月のアルバイト・パート及び派遣スタッフの賃金動向やいかに?

来週火曜日10月1日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる8月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%超の伸びで堅調に推移しており、三大都市圏の8月度平均時給は前年同月より+2.3%、+24円増加の1,063円を記録しています。職種別では「事務系」(前年同月比増減額+34円、増減率+3.2%)、「フード系」(+26円、+2.6%)、「製造・物流・清掃系」(+25円、+2.4%)、「販売・サービス系」(+23円、+2.2%)など、全職種で前年同月比プラスとなっており、地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアで前年同月比プラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、今年2019年3~5月はマイナスを示していたんですが、6月統計では前年同月より+0.2%、+3円増加の1,641円となった後、7月統計と最新の8月統計では。ふたたびマイナスとなり、7月▲10円減、▲0.6%減、8月も▲7円減、▲0.4%減を記録しました。職種別では、「IT・技術系」(前年同月比増減額+64円、増減率+3.2%)、「クリエイティブ系」(+34円、+2.0%)、「オフィスワーク系」(+23円、+1.5%)、「医療介護・教育系」(+3円、+0.2%)の4職種がプラスなんですが、「営業・販売・サービス系」(▲9円減、▲0.6%減)がマイナスとなっています。また、地域別でも、関東がマイナスとなった一方で、東海・関西はプラスを記録しています。いずれにせよ、全体としてはパート・アルバイトでは人手不足の影響がまだ強い一方で、派遣スタッフ賃金は伸びが鈍化しつつある、と私は受け止めているものの、景気循環の後半に差しかかって、そろそろ非正規の雇用にはいっそうの注視が必要、と考えるエコノミストも決して少なくなさそうな気がします。

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2019年9月23日 (月)

日本の社長は何階に住んでいるか?

先週9月18日の木曜日に、東京商工リサーチから「日本の社長 50万人が住む『マンションの階数』調査」の結果が明らかにされています。東京商工リサーチのサイトから引用した下のテーブルの通りで、マンション等に住む社長宅の平均階数は5.35階と意外と高層ではない、という結果が得られています。都道府県別では、大阪府が6.82階で堂々のトップ、続いて、東京都の6.12階となり、逆に、低階数は、内陸では長野県3.16階、山梨県3.18階、栃木県3.21階など、タワーマンションが少ない分、高層階に住む機会が少ない、と分析しています。ただ、社長さんのお住まいは一戸建てが多いんではないでしょうか?

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2019年9月22日 (日)

横浜に完勝してクライマックスシリーズにわずかな可能性を残す!!!

  RHE
横  浜000000000 061
阪  神00002100x 351

代打鳥谷選手の決勝打で横浜に完勝でした。5回に先発ガルシア投手の代打として登場した鳥谷選手がきれいに三遊間を割って先制点=決勝点を上げてくれました。ベンチの多くの選手が拍手したり、右手を上げてガッツポーズしたりする中で、ファースト塁上の鳥谷選手は冷静そのものでニコリともしませんでした。このあたりは鳥谷選手らしい気がしました。最後のインタビューも「球場の思い出」を連発して、気が利いていました。なお、「今年初めての甲子園でのお立ち台」とはいっても、私の記憶が正しければ、そもそも今年の開幕戦は鳥谷選手のスリーベースに代走を出しての暴投ホームインで、ヒーローインタビューを受けていると思います。甲子園で残り3試合、どこに行くんでしょうかね?

次の巨人戦も、
がんばれタイガース!

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2019年9月21日 (土)

今週の読書はいろいろ読んで計7冊!!!

何となく、3連休が続いたりして読書が進んでいるようで、今週の読書は経済書、というか、未来書や教養書・専門書に加えて小説まで含めて以下の計7冊です。東野作品と宮部作品は、いずれも早大生協で買って読みました。買ったうちで未読なのは伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』を残すのみとなりました。消費税率が10月から引き上げられると、しばらく本は買わなさそうな気がしないでもありません。
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まず、ジョージ・ギルダー『グーグルが消える日』(SBクリエイティブ) です。著者は、私の知る限りエコノミストで未来学者なのかもしれませんが、もうそろそろ80歳ですし、技術関係がこんなに詳しいとは知りませんでした。大昔の米国レーガン政権期にサプライサイド経済学としてもてはやされたころ、『富と資本』を読んだ記憶があります。たぶん、まだ我が家の本棚にあると思います。ということで、本書では、実に大胆にも、今を時めくグーグルが近い将来にブロックチェーンの技術を基に開発された「ブロックスタック」に打倒され、世界の主役が交代すると予言しています。どうしてそうなるかといえば、一言で、無料サービスにこだわるグーグルは希少資源としての時間消費との矛盾を生じるから凋落するということで、要するに、無料サービスは我々の希少資源であり、万人に共通して1日24時間しかない時間の浪費を促進するから、ということのようです。すなわち、お金を出してなにか買うんではなく、時間を提供しているから、そんな資源の浪費は出来ない、といわけです。逆に、ブロックチェーン技術を活用した新しい勢力の勃興の理由は、私にはよく理解できませんでしたが、要するに、リバタリアン的な理由のように感じました。すなわち、情報が分散処理されており何らかの中央処理機関のようなものが存在せず、他方、すべての参加者が共通の台帳を閲覧し、管理し、記録できる、わけで、何らかの情報処理センターを持っているグーグルとは異なります。ただ、このあたりの立論は強引な気がします。もっとも、私の読解力が不足しているのかもしれません。最後に、私の知る限り、本書は米国などではなかなかのベストセラーになっていますが、我が国での評判とはやや落差があります。テクノロジー関係の馴染みないカタカナ用語がいっぱい並んでいる点を別としても、問題の大きな部分は邦訳の文章が悪い、ということになるのかもしれませんが、私が感じたもうひとつは、400ページあまりのボリュームの中で、半分くらいがビットコインとかイーサリアムなど暗号通貨とそれを可能とするブロックチェーンの説明に費やされているのが読みにくい理由ではないかと思います。私の解釈では、グーグルが凋落するのは、無料サービスと希少な時間の浪費という矛盾を基にする理論武装で、多くのエコノミストの合意を得そうな気もしますが、ブロックチェーン技術を活用した新しい勢力の勃興の理由は、ほとんど理由になっておらず、かなりムリな立論に頼っているために、やたらと事実関係をいっぱい引用して補強する必要性を著者が感じてしまったからではないか、という気がします。タイトル的に、グーグルが落日を迎えるという1点に絞って議論を展開して、グーグルに代わって勃興するグループについては別論とした方がよかったような気もします。読みにくいのを承知の上で、また、凋落するグーグルに対して勃興する勢力の理論付けにかなりムリあるのを承知の上で、それなりの覚悟を持って読み進む必要がありそうです。
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次に、ヤン=ヴェルナー・ミュラー『試される民主主義』上下(岩波書店) です。著者はドイツ生まれで、英国のオックスフォード大学で博士号を取得し、現在は米国のプリンストン大学の研究者です。専門分野は青磁思想史・政治理論となっています。私はこの著者の本としては、2年余り前に同じ出版社から出た『ポピュリズムとは何か』を読んで、2017年6月17日付けで読書感想文をアップしています。英語の原題は Contesting Democracy であり、2011年の出版です。上下巻ですが、歴史的な期間で区切られており、上巻では第2次世界大戦まで、下巻は戦後を対象にしています。ただ、上の表紙画像に見られる通り、副題は『20世紀ヨーロッパの政治思想』とされており、21世紀は対象外と考えるべきです。加えて、地理的なスコープは欧州に限られています。すなわち、我が国はもちろんのこと、米国すらも対象とされていません。ということで、上巻では、政治的には第1次世界大戦の結果としてソ連が成立し、経済的には米国を発端とする世界恐慌の結果、従来の地方名望家層に基礎を置く政治体制としての民主主義において、所得が十分あるブルジョワジーが政治に参加するとともに、製造業や商業を基盤とする資本主義的な経済が支配的な欧州において、資本主義と共産主義に対する第3の道としてのファシズム、中でもドイツのナチズムの成立がクローズアップされています。そして、下巻では同じく資本主義ながら、政府が積極的に市場に介入するというケインズ的な混合経済とベバリッジ的な福祉国家が1970年代の石油危機を発端とする大幅なインフレで疑問視され始め、この資本主義的な経済に対して、やっぱり、ソ連的な共産主義が対置されて、その第3の道としてのキリスト教民主主義ないし社会民主主義が模索される、というのが、大雑把なストーリーとなっています。どうしても、著者の出身からドイツが欧州の中心に据えられている気がします。ただ、戦前期から社会民主党が政権を担ってきたスウェーデンなどの北欧もありますし、もちろん、例外はいっぱいです。さらに、歴史的なスコープが20世紀で区切られているので、21世紀的なポピュリズムまでは、まあ、2011年の出版でもあり、BREXITや米国のトランプ大東慮y当選、さらに、大陸欧州でのポピュリズム政党の勢力台頭など、最近の出来事には目が届いていない恨みはあります。ただ、冷戦期からウェーバー的な官僚制が国家統治の主要なツールとなり、西側民主主義国政府だけでなく、むしろ、東側の共産主義国家の方でも官僚制がはびこっているとも指摘しており、今でもBREXITでの議論ではEU官僚が批判の矢面に立たされるなど、ポピュリズムの標的とされる場合すらあります。ただ、本書では著者は戦後欧州の民主主義や憲法秩序は、様々なチャレンジを乗り越えてその強靭さを示してきているということになりますが、無条件に自由と民主主義が侵犯されることはないとまではいえず、あくまで、自由と民主主義は「制度化された不確実性」である、ということになろうかと思います。すなわち、欧州においてすら初期設定が自由と民主主義であるわけではなく、主権者である国民自らがこれらを守ることに意図的に取り組む必要がある、ということなのだろうと私は解釈しています。
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次に、アンドレアス・ヴィルシング & ベルトルト・コーラー & ウルリヒ・ヴィルヘルム[編]『ナチズムは再来するのか?』(慶應義塾大学出版会) です。編者は、ドイツの研究者であり、チャプターごとの著者も同じくドイツの政治関係の研究者が主に執筆に当たっています。というか、ラジオ放送をオリジナルにして、新聞も含めてメディアミックス的に展開されたエッセイを取りまとめています。ドイツ語の原題は Weimarer Verhältnisse? であり、直訳すれば「ヴァイマル状況」という意味だそうです。2018年のヴァイマル共和国建国100年を記念して出版されています。ということで、本編は7章から成っており、原書からの章の組み換えはあるようですが、邦訳書では、政治文化、政党システム、メディア、有権者、経済、国際環境、に加わエて、最後に、外国からのまなざし、となっています。邦訳書には、ヴァイマル共和国略史と訳者あとがきなどの解説が付加されています。邦訳書では第5章に当たる経済のパートの副題が「ヴァイマル共和国の真の墓掘人」と題されており、エコノミストの目から見ても、まったく同感です。というか、ハイパーインフレを招いた通貨発行と緊縮財政の恐るべき組み合わせもさることながら、ケインズ的なマクロ経済政策を先取りするかのような財政拡張的なナチ党の経済政策が大きく上回って、その結果として国民各層、企業経営者も労働者も含めて、有権者の大きな支持を得て政権交代が生じた、ということになろうかと思います。そして、邦訳書のタイトルに設定された問いに私なりに回答しようと試みると、可能性は小さい、ということになろうかという気がします。本書では、あるいは、類書でも、最近の大陸欧州の政治状況、特にポピュリズムの台頭に関して、フランス国民戦のルペン党首とともに、ドイツでは極右とされるドイツのための選択肢AfDが注目されていて、特に地方政府の州議会選挙での躍進が報じられたりして、本書でもAfDとナチ党をなぞらえたり、比較を試みたりする見方が示されています。私は、ドイツ政治の実態を知らないので、何ともいえませんが、少なくとも私の理解する限り、ナチ党が政権に就いたひとつの要因に暴力による威嚇や脅威があったと考えています。すなわち、突撃隊SAや親衛隊SSというナチ党の私兵的な存在が警察や国防軍に入り込み、政府が集中管理する暴力に紛れてナチ党の暴力が国民の恐怖を引き起こして、決してドイツ国民の理性的な判断ではない投票結果をもたらした可能性があると私は考えています。これは、実は、スターリン政権下でのソ連も極めて類似しており、秘密警察が国家権力そのものであった違いだけであろうと思います。その意味で、現在のAfDがかつてのナチ党のSAやSSのような暴力装置をどこまで持っていて使用しているのか、私は知りませんが、21世紀の民主主義国家でSAやSSのような暴力装置が政権奪取にパワーを発揮するという政治状況は、控えめにいっても、あってはならないことだという気がします。
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次に、デイビッド・ウォルトナー=テーブズ『昆虫食と文明』(築地書館) です。著者は、カナダの疫学者、獣医学の研究者です。英語の原題は Eat the Beetles! であり、音楽グループのビートルズ Beatles と甲虫をもじっています。2018年の出版です。ということで、本書のモチーフとなったのは、冒頭にも言及されている通り、2013年に報告された FAO Edible insects: Future prospects for food and feed security のようです。近代から現代にかけて、人類がマルサス主義的な悲観論を克服したのは、アジアなどにおける「緑の革命」による食糧生産、中でも穀物生産の画期的な増加だったわけですが、我が国の明治期にも軍医としても森鴎外がカロリー摂取の点から白米の食事に全面的な信頼を置いていたのに対して、さすがに、21世紀に入れば主食の穀物だけでなく動物性タンパクが必要になりますから、こういった昆虫食のような発想が出るんだろうと思います。特に、本書でも何度も指摘している通り、欧州に起源をもつ人は昆虫食の文化がない一方で、日本の鮨が周辺~世界の中心的な食事になったことから、昆虫食についてもその可能性を秘めていると指摘しています。FAOの研究リポートや本書によれば、昆虫はウシ、ブタなどの家畜の肉に比べて高タンパクで、体によいとされる不飽和脂肪酸や鉄などの造血ミネラルも豊富に含んでおり、養殖するにしても他の家畜に比べて飼料効率が格段によく、発生する温暖化ガスや廃棄物は少なくて済み、その上に、養殖のためのインフラ整備にコストがかからない。とされており、いわゆるSDGsの観点からも人類は昆虫食から得るものが多い、と結論されています。昆虫を食用に用いないというのは、少なくとも宗教的な観点ではありません。広く知られている通り、ブタについてはユダヤ教やイスラム教ではタブーですし、ヒンズー教徒はウシを神聖視していたりもします。世界的にも、養殖の牛や豚などではなく自然の野生生物の食肉を用いたジビエがファッション的な観点からも注目されていますし、日本はもともとイナゴやハチノコなどの昆虫食があったりもします。しかしながら、そうはいっても、私自身は昆虫食をしたことがありませんし、抵抗感があるのも事実です。地球環境やSDGsの観点といわれても、ピンと来ないのも事実です。果たして、どこまで昆虫食が日本や欧米先進国で進むかは、大きな疑問ともいえます。本書でも、事前に私が想像したよりも、写真や図版がとても少ない気がしますが、そのあたりの配慮かもしれないと考えるのはよろしくないんでしょうか。
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次に、東野圭吾『希望の糸』(講談社) です。作者は売れっ子のミステリ作家であり、ガリレオのシリーズなどで有名ですが、本書は加賀恭一郎シリーズの作品で、でも、主役は加賀恭一郎の従弟の松宮脩平だったりします。内容は、2つの独立した家族関係、というか、イベントというか、静的には家族関係で、動的には殺人事件というイベント、ということになろうかという気がしますが、これらが同時並行的に謎として解決される、というミステリに仕上がっています。すなわち、一方は加賀や松宮が仕事として取り組む殺人事件であり、他方は松宮の個人的な出生の事実であり、いずれも謎解きの醍醐味が味わえます。この作者らしい切れ味鋭く、しかも、私の好きな徐々に真実が明らかにされる、という手法です。逆から見て、最後のどんでん返しはありません。ミステリですから、ここまでなんですが、タイトルについて少し考えておきたいと思います。すなわち、タイトルの「希望の糸」とは要するに家族のつながりなんですが、私の目から見て、やや遺伝的、というか、DNAに偏重した家族観ではないかという気がしています。同じような家族のつながりについて、表立ってはいないかもしれませんが、ひとつのテーマとして含んだ小説はいっぱいあり、私の好きな作家の作品として一例をあげると、三浦しをんの「まほろ駅前」シリーズがあります。このシリーズで作者の三浦しをんは遺伝子やDNAよりも、圧倒的に家族として過ごした関係とか時間の長さなどに重きを置いた家族観を披露しています。典型的には、行天と三峯凪子の間の子であるはると行天の関係です。行天のパーソナリティという設定なのですが、遺伝的には正真正銘の親子であっても行天は小さい子供であるはるを受け付けません。逆に、第1作の『まほろ駅前多田便利軒』のラストでは、体格から新生児の取り違えを強く示唆する一家の幸せそうな姿も描かれています。私は、これは男だからという生物学的な要素もあるのかもしれませんが、圧倒的に三浦しをんの家族観を支持します。もちろん、遺伝的なつながりが家族の基礎にあることは決して否定しませんが、家族とは文明以前の生物学的な観点から子孫を残すために結成されたグループなのではなく、社会的な生活を営むためのグループではないか、と私は考えています。その意味で、この作品に少し不満が残らないでもないんですが、少なくとも、松宮の出生の秘密に対する松宮本人と松宮母の受け止めの違いを読者は感じ取ってほしい気がします。私のようにこの作者のファンであれば、読んでおくべきだという気がします。
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最後に、宮部みゆき『さよならの儀式』(河出書房新社) です。これまた、上の東野圭吾とともに売れっ子のミステリ作家であり、私からクドクドと説明する必要はないと思います。本書は、この作家の恐らく初めての本格的なSF短編集だと私は考えています。なぜに「本格的な」という形容詞を付けたのかというと、今作者の作品の中で、ゲームの原作的な作品や超能力をモチーフにした作品がいくつかあり、基本的には近未来や現代から時代小説でも超能力や『荒神』のような化け物のような非現実的な作品もあるんですが、あくまで「本格的」と形容されるSFは初めて、という気がするからです。この作者の作品はかなり数多く読んでいるつもりですが、読み逃しがあるかもしれませんが、私の知る範囲でそういうことになろうかという気がします。短編集ということで、8編の短編が収録されています。収録順に、「母の法律」、「戦闘員」、「わたしとワタシ」、表題作の「さよならの儀式」、「星に願いを」、「聖痕」、「海神の裔」、「保安官の明日」となります。「母の法律」では、児童虐待防止のためにマザー法が制定され、記憶消去だか、記憶沈殿だかの記憶の操作まで行われる社会での親子関係を描きます。「戦闘員」では、侵略者が監視カメラに化けて出没する中で、リタイアした老人がこの侵略者を破壊する戦闘員となって戦います。「わたしとワタシ」では、45歳のわたしの前に、中学生のワタシがタイムスリップして現れるというコミカルな短編です。表題作の「さよならの儀式」では、古くなり修理部品もままならない家事ロボットを廃棄する際の切ない感情を取り上げています。「星に願いを」では、宇宙人が乗り移って妹が体調を崩したり、駅前で無差別殺人が起こったりします。「聖痕」では、ある意味で神戸の「酒鬼薔薇事件」の犯人を示唆している「少年A」が黒き救世主となって児童虐待の復讐に現れ、鉄槌のユダまで登場します。なお、本編は『チヨ子』に収録されている同タイトルの短編との異同が不明でした。「海神の裔」では、ゾンビというか、フランケンシュタインのように死者をよみがえらせることが国家施策となっていた世界について老女がモノローグで語ります。最後に、「保安官の明日」では、人造擬体をキーワードに大富豪が人生の悲劇の原因を探るためにシミュレーションを行う世界を描き出しています。ということで、各短編作品のSF度はそれほど高くなくて、現在の社会とはホンの少しビミョーに違っているだけなんですが、作者の世界観がすごいと感じさせられました。同時に、マイノリティーや弱者に対する作者のやさしい眼差しが印象的です。宮部ワールドの新しい方向性かもしれません。現代日本を代表する女性小説家の1人の最新作ですから、私のようなファンでなくても読んでおくべきだという気がします。

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広島に逆転勝ちしてクライマックスシリーズに首の皮1枚を残す!!!

  RHE
広  島110000000 250
阪  神00000202x 450

8回代打北條選手のツーランで広島に逆転勝ちしてクライマックスシリーズに首の皮1枚残しました。相変わらず、先発西投手は序盤からポロポロと失点しましたが、暴投もあって6回に追いつき、8回に勝ち越しました。最終回はクローザー藤川投手が3人でピシャリと抑えました。
鳥谷選手は代打登場の機会もなく、ベンチウォーマーでした。

明日の横浜戦も、
がんばれタイガース!

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2019年9月20日 (金)

消費者物価(CPI)上昇率はなぜ縮小したのか?

本日、総務省統計局から8月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月から少し縮小して+0.5%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月全国消費者物価、0.5%上昇 2年1カ月ぶり低調
総務省が20日発表した8月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.7と前年同月比0.5%上昇した。プラスは32カ月連続だが、2017年7月(0.5%上昇)以来、2年1カ月ぶりの低い伸びとなった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.5%の上昇だった。7月は0.6%上昇だった。
原材料価格の上昇傾向を受け、菓子類など生鮮食品を除く食料品の上昇が目立ち、全体を押し上げた。人件費の高騰を値上げに転嫁する動きが目立つ外食も、上昇に寄与した。電気代も高止まりが続いているほか、新商品が発売された電気掃除機や冷蔵庫などの家庭用耐久財も上昇が目立った。総務省は「増税前の駆け込み需要が出ているかはわからない」との見解を示した。
半面、大手各社に値下げ圧力が強まっている携帯電話の通信料が物価を押し下げたほか、ガソリン価格の下落も影響した。総務省は、足元で不安定になっている原油価格の動向について「物価に原油価格の動きが反映されるまでにはタイムラグがある。中東情勢を見て動向を短期的に判断することは難しい」とした。
生鮮食品を除く総合では298品目が上昇した。下落は164品目、横ばいは61品目だった。総務省は「緩やかな上昇が続いている」との見方を据え置いた。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.7と前年同月比0.6%上昇した。生鮮食品を含む総合は101.8と0.3%上昇した。トマトやキュウリなど生鮮野菜の値下がりが物価上昇を抑えた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入れずにコア財に含めています。政府の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+0.4~+0.6%のレンジで中心値が+0.5%でしたので、ジャストミートしたといえます。上のグラフから明らかなように、紺色の折れ線で示したコアCPI上昇率、すなわち、生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は今年2019年上半期の34月の前年同月比上昇率+0.9%をピークに、ジワジワと上昇幅を縮小させ、8月には+0.5%に達したわけですが、食品とエネルギーを除くコアコアCPI上昇率、上のグラフで赤い折れ線については、同じように4月の+0.4%が高いといえば高いんですが、5月から直近統計が利用可能な8月まで+0.3%の上昇が続いており、コアCPIの▲0.3%ポイントの縮小幅に比較して、わずかに▲0.1%ポイントの縮小と、少し動きに違いがあります。要するに、8月統計までのコアCPI上昇率の縮小はエネルギー価格の影響が大きい、ということになります。ですから、先月7月統計ではエネルギーの前年同月比上昇率は+0.6%とギリギリながらプラスだったんですが、本日公表の8月統計では▲0.3%の下落と、とうとうマイナスに転じてしまいました。前年同月比で見て、ガソリンの▲4.8%下落、灯油の▲1.3%下落が目につきます。ただ、エネルギー価格の動向については、国際商品市況における石油価格の影響が大きく、先日のサウジアラビアの石油施設に対する不可解な攻撃などを見るにつけ、私ごときエコノミストにはまったく予想もつきません。ただ、明らかなのは、10月から消費税率が引き上げられますので、消費税を含む物価上昇率は確実に上昇幅を拡大することになります。なお、日銀が7月31日に公表した「経済・物価情勢の展望 (展望レポート)」では、p.4 の脚注6で、「税率引き上げが軽減税率適用品目以外の課税品目にフル転嫁されると仮定して機械的に計算すると、2019年10月以降の消費者物価前年比(除く生鮮食品)は+1.0%ポイント押し上げられる」との試算を示しています。同時に同じ脚注で、教育無償化政策により2019年度▲0.3%ポイント、2019年度▲0.4%ポイント、それぞれ、押し下げられると見込んでいることも明らかにしています。

従来から、金融政策よりも石油価格に左右されがちな我が国物価動向なんですが、今週になって米国連邦準備理事会(FED)は米国連邦公開市場委員会(FOMC)にて、フェデラルファンド金利の引き下げを決めた一方で、日銀金融政策決定会合では金融政策は基本的に現状維持となっています。消費税率の引き上げを目前に、金融政策は動きようがなかった気もしますが、10月以降の景気も見極めつつ、インフレ目標の達成に必要な金融政策が望まれます。

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2019年9月19日 (木)

小川投手に完封されてヤクルトにボロ負け!!!

  RHE
ヤクルト100040201 8101
阪  神000000000 091

小川投手に完封されてヤクルトにボロ負けでした。先発高橋投手は5回を投げて5失点、特に5回に大きく崩れました。リリーフ陣も負けパターンですから、強力なヤクルト打線を抑え切れませんでした。打つ方も相変わらずで、9安打とそれなりに塁上を賑わせましたが、決定打なく完封されました。それにしても、大山選手は7番に落とされても4タコでした。大山選手が今季の4番などと誰が思いついたんでしょうか。とても不思議です。
鳥谷選手は7回に代打で登場し、ファーストゴロに終わりました。後、縦縞の鳥谷選手を何回見られるんでしょうか?

明日も、
がんばれタイガース!

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日本政策投資銀行などによる「わが国スポーツ産業の経済規模推計」の結果やいかに?

一昨日9月17日に日本政策投資銀行から「わが国スポーツ産業の経済規模推計」の結果が明らかにされています。日本政策投資銀行のほか、日本経済研究所と同志社大学も推計に加わっており、スポーツ庁と経済産業省が監修しているようです。まず、日本政策投資銀行のサイトにアップされているリポート p.9 から 表2-1. スポーツ生産額とスポーツGDP 2014~2016年 (単位:億円) のテーブルを引用すると以下の通りです。

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ということで、上のテーブルを見れば一目瞭然ながら、日本版スポーツサテライトアカウントの推計として、スポーツGDPは2016年で7.6兆円に上り、前年から+1.9%の伸びを示し、我が国GDP総額の1.4%を占める、との結果となっています。引用はしないものの、上のテーブルのある p.9 の前のページにあるリポートの p.7 にやや詳しい推計フローチャートが示されていて、基本的に、SNA産業連関表におけるコモ6桁くらいの細品目別のシェアを用いて推計されているようですので、あくまでSNA統計の内数であって、統計に漏れが生じているわけではないようです。
このGDP総額に占める2%弱のスポーツGDP比率がどれくらいの大きさなのかの実感がわかないんですが、そこは配慮されていて、リポートの p.17 から欧州との国際比較が示されています。詳細なテーブルの引用はしませんが、日本のスポーツGDPとスポーツ産業雇用者数を欧州28か国と比較すると、まず、日本のスポーツGDPは額としてドイツに次いで欧州28か国中2番目の大きさになり、また、スポーツ産業雇用者数も、ドイツ・英国に次いで3番目の規模となります。他方で、スポーツGDPのGDP総額に占める比率、また、スポーツ産業雇用者数が国内総雇用者数に占める比率を見ると、日本のスポーツGDPは欧州28か国中でスウェーデンとイタリアの間の14~15番目と、ほぼほぼ欧州28か国の中間に位置し、日本のスポーツ産業雇用者数はラトビアとポルトガルの間の25~26番目に位置することになります。欧州との比較ながら、より少ない雇用者でより大きいGDPを産出しているわkですから、我が国スポーツ産業雇用者の生産性は欧州と比較してかなり高い、という結論が得られそうです。従来から、私は日本のサービス産業の生産性が低いとの通説は誤っており、かなりの程度に計測ミスがある可能性を指摘して来ましたが、ごく狭いカテゴリーながら、スポーツ産業雇用者では私の主張が当てはまるような気がします。

最後に、生産性も含めて、私がやや不安に感じているのは、スポーツ産業の定義にどこまで公営ギャンブルが含まれているかです。具体的には競馬や競輪などです。まさか、公営ギャンブルですらないパチンコは入っていないことと思いますが、スポーツなのか、ギャンブルなのか、リポートを読む限りでは、私には判然としない部分が残りました。ただ、「公営競技」に関する言及は確かにありますから、私の読解力が不足しているような気もします。

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2019年9月18日 (水)

ラッキーセブンに下位打線の連打でヤクルトに逆転勝ち!!!

  RHE
ヤクルト000002000 261
阪  神00010020x 3110

先発青柳投手がいいところまで投げながら、フォアボールで自滅した形になった後、ラッキーセブンに下位打線の連打でヤクルトに逆転勝ちでした。青柳投手をつないだ勝ちパターンのリリーフ陣がしっかり抑えてくれました。
鳥谷選手は4回の得点機に代打に立ち、三振に終わりました。

明日も、
がんばれタイガース!

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2か月連続で貿易赤字を計上した8月貿易統計の先行きやいかに?

本日、財務省から8月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲8.2%減の6兆1410億円、輸入額も▲12.0%減の6兆2773億円、差引き貿易収支は▲1363億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の貿易収支、2カ月連続赤字 中国向け輸出12%減
財務省が18日発表した8月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1363億円の赤字だった。赤字は2カ月連続。中国向けの半導体等製造装置や、米国向けの自動車輸出が落ち込んだ。
全体の輸出額は前年同月比8.2%減の6兆1410億円だった。減少は9カ月連続。輸入額は12%減の6兆2773億円と、4カ月連続の減少となった。サウジアラビアからの原粗油などの輸入が減った。
中国向けの輸出額は12.1%減の1兆2001億円と、6カ月連続で減少した。液晶デバイス製造用の半導体等製造装置の輸出が落ち込んだ。財務省は「中国経済が緩やかに減速している影響を受けた可能性がある」と分析した。輸入額は8.5%減の1兆4168億円と、2カ月ぶりの減少。携帯電話などの輸入が減った。
対韓国の輸出額は9.4%減の4226億円と、10カ月連続の減少。食料品が前年同月比40.6%減の大幅減となった。日韓関係の悪化を受け、日本製品の不買運動の影響が表れた可能性がある。
対米国の輸出額は4.4%減の1兆1904億円と11カ月ぶりに減少した。自動車や自動車部分品の輸出が減少した。財務省は「お盆期間に日本の工場が休みとなった影響など、季節的な要因が出た可能性がある」とみる。輸入額は9.2%減の7184億円。差し引きの貿易収支は4720億円の黒字だった。対欧州連合(EU)の貿易収支は788億円の赤字だった。
8月の為替レート(税関長公示レート)は1ドル=107円21銭。前年同月に比べ3.7%の円高・ドル安に振れた。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、貿易収支は▲3654億円の赤字とのことでしたので、実績はここまで大きな赤字とはなりませんでした。もちろん、米中間の貿易摩擦が世界経済に影を落としており、我が国輸出品への需要が減退しているとともに、引用した記事の最後のパラにあるように、為替が円高に振れていることから、貿易収支には黒字幅縮小ないし赤字拡大の効果をもたらします。加えて、何とも測り難いのが原油価格の動向です。サウジアラビアの石油設備へのまったく不可解な攻撃を受けて、ドバイ原油価格は急騰しました。もともと、私のようなエコノミストには国際商品市況における石油価格の動向は予測しがたいものがありましたが、サウジアラビア石油施設への攻撃なんてエコノミストのスコープ外もいいところです。少なくとも、攻撃なかりせばのケースに比べて石油価格が上昇することは明らかですから、我が国貿易赤字の拡大要因となります。加えて、8~9月は10月からの消費税率引き上げの駆け込み需要があるでしょうから、いくぶんなりとも輸入が増加することが予想されますから、これも貿易赤字拡大要因と考えるべきです。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、我が国輸出の動向は、先進国経済及びいくぶんなりとも中国経済の動向に依存しているわけですが、少なくとも、そろそろ中国経済は底入れの兆しが見え、我が国の輸出も底ばい模様ながら、私がいくつか拝見したシンクタンクなどのリポートの中で、そろそろ底入れが近いと示唆するものも見受けました。

繰り返しになりますが、まったく予想もしなかったサウジアラビアの石油施設への攻撃と前々から予定されていた消費税率引き上げのどちらも、9月の貿易赤字を拡大させる方向に働く可能性が高く、我が国輸出の需要要因である世界経済や輸出入品の価格に影響を与える為替とともに今後の動向が注目されます。

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2019年9月17日 (火)

インテージによる「生活者を知る: 消費税増税の駆け込み需要は始まっていた」の調査結果やいかに?

ネット調査大手のインテージから、先週金曜日の9月13日付けで「生活者を知る: 消費税増税の駆け込み需要は始まっていた」の調査結果が明らかにされています。今回の消費税率引き上げに際しての駆け込み需要は、私の実感としても前回と比べてかなり小さいと感じていたんですが、インテージのSCI(全国消費者パネル調査)による調査結果では、一部のカテゴリーながら8月中旬には駆け込み需要が始まっていたことが明らかになっています。まず、インテージのサイトから日用消費財・雑貨品の購買金額前年比(19年vs.14年)のグラフを引用して結合させると以下の通りです。

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実は、たいへんお世話になっているニッセイ基礎研エコノミストの斎藤太郎さんが、昨日のNHKニュースで、「今回2019年の消費税率の引き上げに際しての駆け込み需要は前回の2014年より小さい。なぜなら、税率の引き上げ幅が小さい、食料・飲料などに軽減税率が適用される、自動車に対する自動車税の引き下げが同時に実施される、中小業者のキャッシュレス決済に対するポイント還元が実施される、などの理由によるわけで、ただし、2014年時点に比べて消費の基調がそもそも弱いので、税率引き上げ後の消費の弱さが長引く可能性があり、消費動向には注意が必要」といった趣旨の発言をされていました。私はまったくその通りだと思いましたが、インテージのパネルでは、やっぱり、というか、何というか、静かに日用品の駆け込み需要は始まっているようです。
中でも、上のグラフの一番下のパネルはお酒の駆け込み需要なんですが、実は、私もワインだけは少し買い込んでおこうかという気がしています。私はナイター観戦でビール、というか、正しくは発泡酒だか、第3のビールだか知りませんが、ビール系飲料をナイター観戦で飲む場合が多く、でも、今年の阪神タイガースの成績からして、もう日本シリーズはもちろん、クライマックス・シリーズにも出場のチャンスもないでしょうから、この季節にビールは必要なく、ワインを買い込む予定です。3年余りに渡って大使館勤務をしたチリのワインを長らく愛飲していたんですが、エコノミストらしくEPAで価格競争力を画期的に高めた欧州ワインにシフトしているところ、報道によれば、米国との貿易交渉で米国ワインの関税も画期的に引き下げられるようで、そのうちに、ナパ・バレーのカリフォルニア・ワインに切り替えるかもしれないものの、取りあえずは、スペイン産のワインを買い込もうと予定しています。

まったくどうでもいいことで、本質的な経済のお話とはなんお関係もないんですが、NHKニュースで拝見した斎藤さんがひどくやつれているように見かけて、びっくりしてしまいました。私よりラクに10歳くらいは年下のハズなんですが、そろそろ年齢的にくたびれる年ごろなのかもしれません。新しいチーフエコノミストにこき使われているのかもしれません。

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2019年9月16日 (月)

わずかに5安打2得点もリリーフ陣が抑え切って巨人に競り勝つ!!!

  RHE
阪  神100001000 250
読  売000100000 151

昨日はホームランを浴びて逆転されたものの、今日は勝ちパターンのリリーフ陣が逃げ切って巨人に競り勝ちました。先発ガルシア投手も6回途中まで2失点ですから、先発としてはギリギリ合格点かもしれません。2得点にはいずれも近本外野手の盗塁が寄与しています。競争相手は手強いのですが、新人王を狙ってほしいと思います。チームは優勝もクライマックス・シリーズもなくなりましたし、個人成績でも盗塁と新人王くらいしか残っていないような気がします。
鳥谷選手は9回の先頭打者として代打に立ち、フォアボールを選びました。

甲子園に戻ってのヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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2019年9月15日 (日)

勝ちパターンのリリーフ陣が終盤に次々とホームランを浴びて巨人に逆転負け!!!

  RHE
阪  神010300100 590
読  売20100012x 660

あれほど信頼感高かった勝ちパターンのリリーフ陣が終盤にホームランを浴びて巨人に逆転負けでした。打線が5点取ったら勝たねばなりませんが、7回に岩崎投手がソロホームランを浴びて1点差に詰め寄られた後、8回にジョンソン投手が逆転ツーランを打たれました。いよいよ、例年の9月の失速が勝ちパターンのリリーフ陣に出てきたのかもしれません。鳥谷選手は4回の代打で登場し一時は同点となる2点タイムリーを放ちました。まだまだ、レギュラーでプレーできそうな気がするんですが、いかがでしょうか。

明日は、
がんばれタイガース!

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2019年9月14日 (土)

中日大野投手にノーヒットノーランで抑えられてボロ負け!!!

  RHE
阪  神000000000 001
中  日01101000x 341

打線がノーヒットノーランに抑えられて、中日にボロ負けでした。先週ソフトバンクの千賀投手がノーヒットノーランを達成した折に、セ・リーグでパーフェクトかノーヒットノーランがあるとすれば、投手が誰かはともかく、抑え込まれる方は阪神だろうと思っていましたが、やっぱり、その通りでした。鳥谷選手は代打に立つこともなく、ベンチウォーマーでした。

明日からの巨人戦は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済学史のテキストからラノベまで含めて計9冊!!!

今週は大量に10冊近くを読みました。ただ、ややゴマカシがあって、うち3冊はラノベの文庫本だったりします。大学の経済学史の授業のテキストから始まって、以下の計9冊です。なお、小説の池井戸潤『ノーサイド・ゲーム』だけは買った本で、ほかは図書案で借りています。早大生協で5冊ほど小説ばかり買い求めたんですが、先週取り上げた道尾秀介『いけない』と、今日の池井戸潤『ノーサイド・ゲーム』のほか、残る3冊は宮部みゆき『さよならの儀式』、伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』、東野圭吾『希望の糸』です。順次取り上げるつもりですが、あるいは、一気に読み切るかもしれません。

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まず、野原慎司・沖公祐・高見典和『経済学史』(日本評論社) です。著者たちは、いうまでもなく、経済学史の研究者であり、本書は大学の学部生くらいを対象にしたテキストを意図されているようです。ですから、基本的には学術書なんでしょうが、世間で身近な経済分野を分析する経済学の歴史ですので、一般のビジネスパーソンでも十分に読みこなせて、職場でも話題にできるような気がします。おそらく、どのような学問分野にも、xx学史の研究テーマがあり、例えば、数学史や天文学史などが有名ではないかと思います。後者の天文学史では、天動説から地動説に大転換があったりするわけです。その意味で、経済学の歴史である経済学史は、本書で指摘されている通り、そもそも成立がメチャクチャ遅いわけです。通常、古典的なレベルでは、典型的には古典古代のギリシア・ローマやエジプトなどに発祥する学問分野が少なくないんですが、経済学は、どこまで古くさかのぼっても、せいぜい、スミス直前の重農主義や重商主義でしかなく、むしろ、スミスの『国富論』なんぞは、ほかの学問分野では近代と呼ばれそうな気もします。その後の歴史的な経済学の現代までの流れが、極めてコンパクトに取りまとめられています。ただ、惜しむらくは、ものすごく大量の経済学の歴史を詰め込もうとしているだけに、とても大量の人名と理論が登場します。役所の官庁エコノミストをしていたころは、ほとんど何の関係もなかったマルクス主義経済学まで本書ではカバーしていたりします。とても例えが悪いので申し訳ないんですが、まるで、その昔の高校の世界史や日本史みたいな気すらします。中国の諸王朝の名称とそれぞれの皇帝の名を暗記するような勉強に、私のようなこの分野の初学者は陥るような気もします。経済学史の先生方は、このように多くの経済学者の名前を記憶し、それぞれの理論や業績をしっかりと把握しているのでしょうか。とても驚きです。私の記憶が正しければ、日銀の若田部副総裁のご専門が経済学史だったような気がするんですが、確かに、経済学の分野における博覧強記を地で行くような先生であるとのウワサを聞いたことがあります。私自身は、名前だけはよく似ている経済史を学生のころは勉強していました。経済学史がその名の通りに経済学の歴史であるのに対して、経済史もその名の通りに経済の歴史です。途上国や新興国が経済の発展段階を進める際の開発経済学の分野への応用の方が主だという気もします。

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次に、ジョセフ・ヘンリック『文化がヒトを進化させた』(白揚社) です。著者は、米国ハーバード大学の人類進化生物学の研究者です。英語の原題は The Secret of Our Success であり、2017年の出版です。本書で著者は、生物学的な、というか、ダーウィン的な進化だけでなく、ヒトについては文化が進化に大きな役割を果たして点を強調し、文化が人間を進化させ、そうして進化した人が文化を高度化し、高度な文化がさらに人を進化させる、という文化と進化の相乗効果で、ほかの動物に見られない極めて高度な文化・文明を身につけた、ということを実証しようと試みています。確かに、ヒトは個体としては決して強力ではなく、スポーツのようなルールなく素手で対決すれば軽く負けてしまいそうな自然界の動物はいっぱいいます。本書の冒頭で、コスタリカのオマキザル50匹とヒト50人がサバイバルゲームをすれば、おそらく、ヒトが負けるといった事実を突きつけています。その上で、「習慣、技術、経験則、道具、動機、価値観、信念など、成長過程で他者から学ぶなどして後天的に獲得されるあらゆるものが含まれる」と指摘している文化が、火や道具や衣類や言語や、といった文化的進化の産物をもたらし、さらに、これらがヒトの脳や身体に遺伝的な変化をもたらすという意味で、「文化-遺伝子共進化」culture-gene interactions を考えて、これこそがヒトをヒトたらしめている、と強調しています。加えて、文化が社会的な思考や行動を要請し、ある社会集団の構成員が共有している知識の総体としての文化が、食物をどのように獲得するか、個人間の争いをどのようにして仲裁するか、死後の世界はどんなものだと想定するか、何をしてはいけないか、どんな服装をするべきか、などなどを決定しているというわけです。ですから、文化を異にするヨソモノが別の社会的な集団に加わることは、それほど容易ではない、ということになります。また、別の観点から、当然のように、なぜヒトだけがこんな文化を持つことができるのだろう、という疑問が生じます。そして、文化を持つために必要な能力とは何かを考え、文化を形成し、改訂を加え、さらに次世代に伝達していくために必要なヒト固有の生物学的本能にも視点が及びます。人類という意味での集団についても、個別の子供の育て方についても、決定的な影響を及ぼすのは、親から受け継ぐ遺伝子かそれとも環境下、という不毛な論争が続いて来ましたが、集団としての人類の優秀さのもとを解明するためには、どのように他者と知識を共有し、他者から学ぶのかの詳細を解明することを通じて、この論争を終結させる可能性があるような気がします。

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次に、トム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか』(みすず書房) です。著者は、米国海軍大学教校授であり、ロシア情勢や国家安全保障の研究者です。英語の原題は The Death of Expertise であり、2018年の出版です。基本的に、米国言論界の現状について、かなり上から目線ながら、専門知が尊重されず、議論が不毛のものとなって疲労感ばかりをもたらす現状について警告を発しています。もちろん、米国だけでなく、我が国を含むほかの先進各国にも、いくぶんなりとも共通するところが見出せるような気がします。すなわち、100年ほど前までは、政治経済や言論などの知的活動への参加は一部のエリート階級に限られていたが、現在に続く大きな社会変化でラジオやテレビ、さらにインターネットが普及して門戸は一般大衆に大きく開かれ、こういった方向は多くの人のリテラシーを高め、新たな啓蒙の時代の到来が期待された一方で、実際には、極めて多くの人が極めて大量な情報にアクセスが可能となり、かつ、知的活動に携わりながら、実は情報や知識を吸収しようとはせず、自らのやや方向違いの信念に固執して、各分野で専門家が蓄積してきた専門知を尊重しない時代を迎えている、ということを憂慮してます。確かに、我が国のテレビのワイドショーなんぞを見ていると、単なるタレント活動をしている芸能人が政治経済に関するコメンテータの役割を果たしているケースも決して少なくなく、私も従来から疑問に思っていたところです。例えば、政府の進める働き方改革でその昔に議論されたホワイトカラー・エグゼンプションについて、プロスポーツを引退したばかりで母児雌マンをしたこともないような元スター選手にコメントを求めても私はムダではないか、と思った記憶があります。これは、いわゆるポストトゥルースやポピュリズムの時代に、自分の意見と合致する情報だけを選び取る確証バイアス、その極端なものとしてのエコーチェンバーやフィルターバブルなどの結果といえます。ですから、健全で熟慮・熟考に基づく議論が成立しません。ただし、逆の面から見て、本書の第6章でも指摘していますが、専門家が常に正しいわけでもなく、本書では取り上げていませんが、鉛を加えたハイオクガソリンやフロンガスを社会生活に導入したトマス・ミジリーの実例などもあります。何が正しくて、何が間違っているのか、私は決して民主主義的な多数意見が常に正しいと考えるわけではありませんが、おうおうにして「みんなの意見は案外正しい」こともあるわけで、健全な常識に基づいて相手に対する敬意を持った議論を重ねて、決して真実ではないかもしれませんが、何らかの一致点に達したいと希望しています。

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次に、ヤクブ・グリギエル/A. ウェス・ミッチェル『不穏なフロンティアの大戦略』(中央公論新社) です。著者は2人とも安全保障に関する研究者ですが、ともに国務省の勤務経験もあり、単なる研究者にとどまらず実務家としての経験もあるようです。英語の原題は The Unquiet Frontier であり、邦訳タイトルはそのまま直訳したようです。2016年2月の出版です。どうして月まで言及するかといえば、本書が出版された時点では、現在のトランプ米国大統領はまだ共和党の中でも決して有力とみなされていなかったからです。ということで、監訳者あとがきにもありますが、本書の結論を一言でいえば「同盟は大切」ということになります。現在、東アジアで日韓関係がギクシャクして、そこに米国が仲介すらできずに、半ば静観していて、逆に、軍事的な負担金の増額を我が国に求めるがごとき政府高官の発言が報道されたりしていて、米国の安全保障面での求心力の低下を私は実感しています。もちろん、マルクス主義的な上部構造と下部構造に言及する必要もないくら位に明白な事実として、米国経済が全般的にその地位を低下させるとともに、軍事的なプレゼンスはもとより安全保障上の発言力も大きく低下し、その上で、現在の米国トランプ政権のような同盟軽視で自国中心主義的な安全保障観が登場したのはいうまでもありません。そういった当然のような最近数十年の安全保障上の動向につき、本書では「探り」probimg という言葉をキーワードに、現在の覇権国であり現状を変更するインセンティブを持たない米国とその同盟国に対し、ロシア・中国・シリアなどの現状変更を目指す勢力が「探り」を入れて来ていると著者たちは感じているわけです。私の感覚からすれば、「探り」とは低レベルの圧力であり、言論を持ってするものもあれば、破壊力の弱い武力行使も含まれるというくらいの意味に取りました。要するに、現状変更を目指す3石は米国と直接の武力対決を目指すのではなく、日韓両国がまさにこれに含まれるフロンティア=周辺に位置する米国の同盟国を切り崩しにかかっていて、韓国はまんまとこれに翻弄されているように見えます。いずれにせよ、私の専門外でありながら、興味の範囲内である安全保障に関する本書は、同盟という観点から米国サイドの安全保障を分析しており、それなりの新味があった気がします。実は、私自身は対米従属から脱却するために日米同盟は廃棄することが望ましいと考えていますが、米国の方から同盟に対する否定的な意見が飛び出す政権が登場したのに、やや戸惑っているのも事実です。

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次に、池井戸潤『ノーサイド・ゲーム』(ダイヤモンド社) です。作者はご存じ売れっ子の大衆小説作家であり、本書はTBSドラマの原作となっており、明日の日曜日が最終回の放映ではなかったかと記憶しています。名門ラグビーチームを抱える大手自動車会社の経営戦略室のエリート社員が、横浜工場の総務部長に左遷されて、自動的にラグビーチームのゼネラルマネージャー(GM)を兼務する、というか、本来の総務部長としてのお仕事よりもラグビーチームのGMとしてのご活躍がほぼほぼすべてとなります。辞任した監督の後任探しから始まって、地域密着型のチーム作り、さらに、ラグビー協会の改革、もちろん、チームの1部リーグの優勝まで、余すところなく目いっぱいの展開です。しかも、この作者らしく、社内政治も目まぐるしく変化し、今までになかったどんでん返しも見られたりします。というのは、この作者の作品の特徴として、半沢直樹シリーズが典型なんですが、白黒はっきりと別れて、主人公のサイドにいて味方するいい人たちと、それに対抗する悪い人たちが明確に分類される傾向があり所、この作品では白だと思っていたひとが黒だった、という展開もあったりします。そして、長らく定年まで役所に勤めた私なんかには想像もできないんですが、大きな会社ではここまでコンプライアンスに問題ある行為を実行する役員がいたりするものか、と感じさせられました。ラグビーですから、大学レベルでは関東の早大、明大、慶大、社会人レベルでもいくつかラグビーチームを持つ会社が実名で言及されたりして、また、監督についても実名で登場したりするんですが、実際に登場するチーム名や選手名は、もちろん、すべてが実在しないんだろうと思います。その点で、やや混乱する読者もいるかも知れません。それから、同じ作者で社会人のノンプロ野球をテーマにした『ルーズベルト・ゲーム』というのも私は読んでいるんですが、競技としてのルールや戦術などについてはラグビーの方が馴染みないんですが、それでも、作品としてはこの『ノーサイド・ゲーム』の方がよく出来ている気がします。私はドラマの方はまったく見ていませんが、明日の最終回を楽しみにしているファンの方も決して期待は裏切られないと思います。

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次に、ブレイディみかこ『女たちのテロル』(岩波書店) です。著者は英国ブライトン在住の保育士・著述家というカンジではないでしょうか。本書は出版社のサイトでは、評論・エッセイに分類されており、確かに、実在の人物や事件を基にしているわけですが、私の目から見て、あくまで私の目から見て、なんですが、真実は計り知れないながらも、かなり脚色もあって、むしろ、事実や実在の人物に取材した小説ではないか、という気がしています。まあ、赤穂浪士の討ち入りを題材にした時代小説のようなもんではないでしょうか、という気がします。したがって、私の読書感想文では小説に分類しておきます。ということで、女たちですから3人の約100年前の女性にスポットが当てられています。すなわち、皇太子爆殺未遂の金子文子、武闘派サフラジェットのエミリー・デイヴィソン、そして、アイルランドにおけるイースター蜂起のスナイパーであるマーガレット・スキニダーです。さすがに、私が知っていたのは金子文子だけで、本書でも言及されている朴烈の膝に寝そべった金子文子の写真も見た記憶があります。残念ながら、特に印象には残っていません。サフラジェットというのはたぶん、suffrage から派生していて、過激な女性参政権論者、アクティビストのようです。最後に、アイルランドのイースター蜂起は事件として知っているだけで、マーガレット・スキニダーについては皆目知りませんでした。いずれ3人とも恵まれない境遇から国家に反旗を翻した100年前の女性たちです。金子文子については、皇太子爆殺未遂の容疑なんですが、爆弾も用意せずに頭の中で計画を巡らせただけで、おそらくは、朝鮮人とともにという偏見もあって、それだけで有罪になったんですから、現在からは考えられもしません。でも、これら3人の女性が国家や権力と対決しつつも、前を向いて時代を生き抜く力の尊さについての温かい眼差しを感じることができました。ただ、金子文子の部分はともかく、先ほどのサフラジェットもそうなんですが、外国語をそのままカタカナにした文章表現は、やや読みにくく流暢な文章というカテゴリーからかなり遠いような気がしました。私はそれほどでもありませんが、それだけで嫌になる読者もいそうな気がします。着目した内容とアンリ・ルソーの雰囲気をたたえた表紙がよかっただけにやや残念です。

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最後に、望月麻衣『京都寺町三条のホームズ 10』、『京都寺町三条のホームズ 11』、『京都寺町三条のホームズ 12』(双葉文庫) です。個の私のブログでは、昨年2018年5月半ばに8巻と9巻の読書感想文をアップしています。その続きの10巻、11巻、12巻を読みました。10巻ではとうとう主人公の葵が5月3日ゴールデンウィーク真っ最中に20歳の誕生日を迎え、清貴と九州を走るJR九州のななつ星、だか、その架空バージョンに乗って婚前旅行、だか、婚約旅行をするストーリーです。そして、11巻は少し小休止で過去を振り返ったりします。このシリーズには第6.5巻というのがあったりしましたから、11巻というよりも10.5巻なのかもしれません。そして、12巻は清貴の修行シリーズに戻って、探偵事務所編です。どこまで続くんでしょうか。あるいは、私はどこまで付き合うんでしょうか?

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今日は私の誕生日!!!

今日は、私の誕生日です。
昨年が還暦の60歳で今年の3月末日には役所を定年退職し、今年の誕生日で61歳になります。すっかりジーサンです。時に、私と同じおとめ座の生まれで、8月29日に21歳の誕生日を迎えていた下の倅のお誕生日ブログをアップするのをすっかり忘れていました。まだボケているわけではないと思うんですが、誠に遺憾千万です。いつものくす玉を置いておきます。誕生日祝にクリックして割っていただければ幸いです。

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2019年9月13日 (金)

打線が効果的に得点して中日に快勝し西投手8勝目!!!

  RHE
阪  神004101010 7110
中  日000010000 170

中日に快勝でした。先発高橋投手が7回を1失点と快投を繰り広げれば、打線も序盤から中盤にかけて着実に得点を上げ、終盤の継投もラクなものに見えました。鳥谷選手は8回代打に立ち、フォアボールを選びました。

明日も、
がんばれタイガース!

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人手不足の解消で活用される人材やいかに?

人手不足が広がる中で、昨日9月12日に帝国データバンクから「人手不足の解消に向けた企業の意識調査」の結果が明らかにされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果のサマリーを5点引用数rと以下の通りです。

調査結果
  1. 従業員が「不足」している企業が半数超にのぼるなか、不足している部門・役割は、「生産現場に携わる従業員」(57.2%)が最も高く、「営業部門の従業員」(47.7%)や「高度な技術を持つ従業員」(37.0%)も高い
  2. 人手不足による影響は、「需要増加への対応が困難」が50.5%で半数を超えトップとなり、五輪関連などによる旺盛な需要が続く『建設』や、荷動きが活発な『運輸・倉庫』などで高水準となった。次いで、「時間外労働の増加」(36.6%)、「新事業・新分野への展開が困難」(31.7%)などが続いた
  3. 企業において多様な人材を活用することが注目されているなか、今後最も積極的に活用したい人材は「シニア」が29.2%で最も高く、「女性」も27.9%と近い水準で続き、「外国人」は13.7%、「障害者」は1.1%となった
  4. 人手不足の解消に向けての取り組みでは、「賃金水準の引き上げ」が38.1%でトップとなった。特に「中小企業」で数値が高く、人材の確保や定着に向けた方法として賃上げが重要視されている様子がうかがえる。次いで、「職場内コミュニケーションの活性化」(36.7%)、「残業などの時間外労働の削減」(35.0%)が続いた
  5. 企業が望む人手不足の解消に向けて社会全体が取り組むべきことは、ハローワークなどの「職業紹介機能の強化・充実」が32.6%でトップとなった。他方、「職種別採用の拡大」は9.9%、「オファー型採用の拡大」は4.8%となり、採用方法の多様化は1ケタ台にとどまった

調査結果の概要というよりも、そのままというカンジのまとまりのないサマリーなんですが、私なりの着目点は下のグラフの通り、活用したい人材です。結局、お上の政府のいうように、シニアと女性なんですかね。もっと若い世代を積極的に雇おうという気はないんでしょうか。また、上のサマリーの4点目で、人手不足の解消に向けての取り組みでは、「賃金水準の引き上げ」がトップに上げられていますが、ホントなんでしょうか。

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現時点では、人手不足で雇用の不安が小さくなっているような気もしますが、あくまで、雇用は生産の派生需要であり、政府の経済政策運営よろしく、また、ほかの要因もあって、現在は景気がいいので雇用は堅調ですが、世界経済の減速などから国内景気が後退局面に入れば、人手不足は急速に雇用過剰に転ずる可能性もあります。人手不足が景気を牽引しているわけではありません。その逆であって、景気が悪化すれば雇用の過剰感が出て失業率も上昇する恐れが十分あります。それが、資本主義的な景気循環というものです。マルクスやケインズが景気後退局面における悲惨な状態を問題視した理由がここにあります。

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2019年9月12日 (木)

先発高橋遥投手が8失点でヤクルトにボロ負け!!!

  RHE
ヤクルト300500040 12143
阪  神000000200 281

ヤクルトにボロ負けでした。先発高橋投手が8失点ですから、どうしようもありません。打線は相変わらず、サウスポーを打てません。横浜と広島がゲーム差なしで2位と3位を占め、巨人のマジックは着実に減っていきます。そろそろ、阪神はクライマックスシリーズも終戦です。
鳥谷選手は8回ウラ代打に立ちましたが、セカンドゴロに終わりました。

明日の中日戦は、
がんばれタイガース!

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緩やかな増加基調の機械受注と大きく下落した企業物価(PPI)!!!

本日、内閣府から7月の機械受注が、また、日銀から8月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比▲6.6%減の8,969億円を示しており、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲0.9%の下落と、6月統計で前年同月比上昇率がマイナスに転じてから、今日発表の8月統計まで3か月連続でマイナスが続いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の機械受注、前月比6.6%減 前月の大型受注の反動減
内閣府が12日発表した7月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比6.6%減の8969億円だった。減少は2カ月ぶり。市場予想の中央値(9.9%減)は上回った。内閣府は「6月に非製造業の運輸業・郵便業で鉄道車両の大型受注案件があり、7月はその反動で減少した」と分析した。
基調判断は「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。「大型案件を除いたベースでみると、動きに変化はないと判断した」(内閣府)という。
7月の受注額は製造業が5.4%増の3841億円だった。増加は3カ月ぶり。その他製造業で「火水力原動機」や「その他産業機械」の受注が増えた。非製造業は15.6%減の5189億円だった。運輸業・郵便業で大型受注案件がなくなったことに加え、電力業なども受注が減少し、2カ月ぶりの減少となった。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は0.3%増だった。前月比でみた受注総額は0.1%増、官公需の受注は11%増、外需の受注額は6%減だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
8月の企業物価指数、前年比0.9%下落 16年12月以来の下落幅
日銀が12日発表した8月の企業物価指数(2015年平均=100)は100.9と、前年同月比で0.9%下落した。下落は3カ月連続で、減少幅は2016年12月(1.2%下落)以来の大きさだった。米中貿易問題など海外情勢の不透明感を映した、原油や銅などの相場下落が影響した。
前月比では0.3%下落した。ガソリンなどの「石油・石炭製品」や銅地金など「非鉄金属」、エチレンなどの「化学製品」などが低下した。
円ベースでの輸出物価は前年比で5.7%下落と、4カ月連続のマイナスだった。前月比では1.2%下落した。輸入物価は前年比8.3%下落し、4カ月連続のマイナスだった。前月比では0.5%下落した。
日銀の調査統計局は「米中対立の懸念の高まりから、主に石油や銅などの市況性の高い製品が影響を受けた」と説明した。先行きについては「世界的な需要減少や物価の下落要因にならないか注視していく」とした。

長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、電力と船舶を除くコア機械受注の季節調整済みの系列の前月比は▲9.9%の減少を見込んでいましたので、レンジ内でもマイナス幅が小さい方ですので、統計作成官庁である内閣府が基調判断を「持ち直しの動き」に据え置いたのにも驚きはありません。特に、引用した記事にもある通り、先月統計の非製造業の運輸業・郵便業で鉄道車両の大型受注案件の反動ということであればなおさらです。先月公表の6月統計で前月比+13.9%増の後の▲6.6%減ですから、ならしてみれば増加基調に変化ないともいえます。もっとも、7月統計でも建設業が前月比+113.6%の増加を示しており、何らかの大型案件が特殊要因となっている可能性が想像されますが、私の方に情報はありません。増加業種別には、製造業でやや弱い動きが続いているものの、非製造業では人で不足を背景に合理化や省力化に向けた設備投資が見込まれることから、全体として先行きも横ばいないし緩やかな増加を見込んでます。ただ、コア機械受注の外数ながら先行指標と考えられている外需が7月には前月比で▲6.0%減を記録しており、米中間の貿易摩擦の激化や長期化とともに今後の懸念が残ります。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。繰り返しになりますが、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価については、とうとう6月統計から前年同月比上昇率がマイナスに転じ、今日発表の8月統計まで3か月連続のマイナスを記録しています。ということで、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前月同月比は▲0.8%の下落を見込んでいましたので、レンジ内の想定された動きということになります。季節調整していないながら、前月比▲0.3%の下落の大きな部分を占めるのはエネルギー関連項目であり、寄与度の大きい順に、石油・石炭製品▲0.13%、電力・都市ガス・水道▲0.04%で半分近くが説明できてしまいます。また、輸入物価のうちの石油・石炭・天然ガスも前年同月比で▲5.6%と大きな下落が続いており、国債商品市況の石油価格の下落の影響が見て取れます。加えて、輸出物価でも、化学製品が前年同月比で▲14.3%の下落、金属・同製品が▲6.8%の下落など、米中貿易摩擦とも関連して中国経済の手減速の影響と見られる品目での物価下落が見られます。

国内景気は明らかに景気循環の後半局面に入っており、10月から諸費税率が引き上げられることもあって、エコノミストの中にはやや神経質に指標を見ている向きもあるかもしれません。

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2019年9月11日 (水)

代打鳥谷選手のレフト線ツーベースでダメを押してヤクルトに大勝!!!

  RHE
ヤクルト000012000 370
阪  神00024004x 10130

阪神打線が活発に得点してヤクルトに大勝でした。しかし、先発青柳投手はこれだけ得点してもらっているんですから、もう少し長い回を投げるよう、がんばってもらわないと困ります。それにしても、今季の最低最悪の作戦は、4番大山選手とクローザーのドリス投手だということがよく理解できた一戦でした。
鳥谷選手は今季初打点でダメを押しました。

明日も、
がんばれタイガース!

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足元7-9月期のBSIがプラスを示した法人企業景気予測調査は駆け込み需要によるものか?

本日、財務省から7~9月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は1~3月期▲1.7、4~6月期▲3.7と、2四半期連続でマイナスを付けた後、足元の7~9月期には+1.1とプラスに転じ、先行きの10~12月期▲0.4とふたたびマイナスに転じるものの、来年2020年1~3月期には+1.7と見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況感3期ぶりプラス 7-9月、家電など好調
の景況判断指数(BSI)はプラス1.1だった。プラスは3四半期ぶり。家電販売などが好調な非製造業がプラスに回復。製造業もスマートフォン関連需要の底打ち感などからマイナス幅が縮小した。10月の消費増税を前に景況感の悪化にいったん歯止めがかかった形だが、10▲12月期は再びマイナスの見通しで先行きは不透明だ。
BSIは前四半期と比べた景況判断で「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いた値。前回4▲6月期はマイナス3.7だった。今回の調査時点は8月15日。
大企業のうち製造業はマイナス0.2で4▲6月期のマイナス10.4からマイナス幅が縮んだ。米中貿易摩擦の影響で中国向けの非鉄金属や自動車などは依然さえなかったが、情報通信機器や電気機器がそれぞれ2桁のマイナスだったのが大幅に上向いてプラスになった。超高速の次世代無線規格「5G」や車載向け電子部品の需要が堅調といった声があった。
非製造業はクラウド化などのシステム需要が強いほか、テレビや白物家電の販売が好調でプラス1.8と、2四半期ぶりのプラス。消費増税前の駆け込みについて調査担当者は「白物家電は好調という声が聞かれるが、前回のような大きな需要はみられない」との見方を示した。
大企業全産業で10▲12月期はマイナス0.4と再びマイナスに転じる見込みだ。2020年1▲3月期はプラス1.7の見通しだが、増税後の景況感は不透明だ。

いつもながら、簡潔かつ包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)は足元の7~9月期に+1.1を示しましたが、大企業の産業別内訳では、引用した記事にもある通り、製造業が前期4~6月期の▲10.4という大きなマイナスに対して、マイナス幅は大きく縮小したものの、7~9月期も依然としてマイナスながら、ほぼ横ばいの▲0.2を記録した一方で、非製造業は前期4~6月期ほぼ横ばいの▲0.4から7~9月期は+1.8とプラスに転じています。となっています。大企業製造業のうち、特にマイナス寄与の大きかった産業を詳しく見ると、非鉄金属製造業と自動車・同附属品製造業が上げられており、逆に、情報通信機械器具製造業と電気機械器具製造業がプラス寄与に転じています。やや複雑な様相ながら、米中間の貿易摩擦の深刻化による先行き不透明感が企業マインドに影を落としていることは間違いありません。他方、大企業非製造業でマイナス寄与が大きいのは卸売業と金融業、保険業が挙げられており、情報通信業と小売業はプラス寄与が大きくなっています。また、先行きの景況感について大企業全産業について見ると、10~12月期は消費税率引き上げが実施されますので、▲0.4と少し落ちはするものの、来年2020年1~3月期には+1.7に戻ると見込まれています。先日、短期経済見通しを取り上げた際にも指摘しましたが、マイナス成長は消費税率引き上げの10~12月期の1四半期で済み、来年2020年1~3月期にはプラス成長に回帰するとの見方がかなり多かったわけですから、それと整合的な景気予想と私は受け止めています。BSI以外では設備投資計画(ソフトウェア投資額を含み、土地購入額を除くベース)だけ見ておくと、全規模全産業で前回調査の2019年度計画+9.0%増から、今回調査では+8.3%増にやや下方修正されました。でも、大きな基調的変化ではないものと私は考えています。製造業と非製造業の間には設備投資計画に大きな差はありません。

企業マインドについては、9月調査の日銀短観が10月1日に公表の予定となっています。米中間の貿易摩擦や世界経済の減速は企業マインドにどのように影響するんでしょうか。また、消費税率の引き上げの影響はどうなんでしょうか。注目したいと思います。

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2019年9月10日 (火)

厚生労働省による2017年「所得再分配調

先週金曜日9月6日に、厚生労働省から2017年実施の「所得再分配調査」の結果が公表されています。いつも注目されるのは格差の尺度のひとつであるジニ係数なんですが、3年前の調査と比べて大きな変化は観察されていません。

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上のグラフは再分配前後のジニ係数の推移をプロットしています。上のパネルは世帯ベースで世帯人員数を考慮していません。他方、下のパネルは世帯人員数を考慮に入れた等価所得ベースです。等価所得ベースは2002年調査以降しかデータがありませんが、大雑把な印象として、今世紀に入ってから、再分配前の当初所得の格差は拡大しているものの、社会保障や税制により格差は抑えられており、再分配後の所得格差についてはむしろ縮小している、ということになろうかと思います。世間一般の共通認識としては、何となくの印象として、2000年からの小泉政権の下で規制緩和などの新自由主義的な経済政策が進められた結果、特に、非正規雇用の比率が高まり、所得格差が拡大した、と受け止められているんではないかという気がしますが、前半の非正規雇用比率の増加は、その通りと考えられる一方で、後半の所得格差拡大については、この「所得再分配調査」の結果からは支持されません。私のひとつの解釈なんですが、格差拡大というよりは賃金や所得の伸び悩みが貧困層の増加につながった点を強調すべきではないか、と考えています。もちろん、実態上の貧困と印象上の格差拡大の背景には、高齢化の進展もひとつの要因として存在することは間違いありません。それとも、ウルトラCの解釈ですが、ジニ係数が格差指標として適当ではないとか、あるいは、この「所得再分配調査」が間違っている、という統計処理、あるいは、統計そのものの問題も可能性としてはゼロではないかもしれません。いずれにせよ、「所得再分配調査」の結果から、所得格差はここ20年でそれほど拡大していない、というファクトは読み取れるんではないでしょうか。

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2019年9月 9日 (月)

わずかに下方改定された4-6月期GDP統計速報2次QEと景気ウォッチャーと経常収支!

本日、内閣府から4~6月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.3%、年率では+1.3%と、1次QEからわずかに下方改定されています。3四半期連続のプラス成長で、4~6月期は前期よりも成長が減速していますが、内需主導で潜在成長率水準をやや上回るまずまずの成長の姿と評価できます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4-6月期のGDP改定値、年率1.3%増に下方修正 設備投資下振れで
内閣府が9日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算で1.3%増だった。速報値(前期比0.4%増、年率1.8%増)から下方修正された。企業の設備投資が速報段階から下振れしたことが影響した。
民間企業の設備投資は実質で前期比0.2%増(速報値は1.5%増)だった。2日発表の4~6月期の法人企業統計でソフトウエアを除く設備投資額(季節調整済み)が前期比でマイナスとなったことを反映した。米中貿易摩擦の影響もあり、半導体含む産業や輸送用機械産業など製造業の落ち込みが大きかった。GDPの1次速報では供給側の統計情報を基に企業の設備投資を推計するが、需要側の統計である法人企業統計の発表を受けて大幅に修正することとなった。
住宅投資も0.1%増と速報値(0.2%増)から小幅に下振れした。不動産仲介料が下方に寄与したという。
個人消費は0.6%増と速報値から変わらなかった。
一方、公共投資は1.8%増と速報値の1.0%増から大幅に上振れした。政府の消費支出も医療、介護費などに関する統計を反映し、1.2%増と速報段階(0.9%増)から上振れした。
内需の寄与度はプラス0.6%と速報段階のプラス0.7%から下振れした。輸出から輸入を差し引いた外需の寄与度はマイナス0.3%と速報段階と同じだった。民間在庫の寄与度はマイナス0.0%と速報段階のマイナス0.1から上方修正された。仕掛かり品在庫が寄与したという。
物価変動の影響を加味した、生活実感に近い名目GDPは前期比0.3%増(速報値は0.4%増)、年率は1.1%増(同1.7%増)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてプラス0.4%と1次速報値から変わらなかった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2018/4-62018/7-92018/10-122019/1-32019/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.5▲0.5+0.4+0.5+0.4+0.3
民間消費+0.3▲0.1+0.4▲0.0+0.6+0.6
民間住宅▲1.8+0.8+1.3+0.8+0.2+0.1
民間設備+3.0▲2.8+3.0▲0.2+1.5+0.2
民間在庫 *(▲0.1)(+0.2)(+0.0)(+0.1)(▲0.1)(▲0.0)
公的需要▲0.2▲0.1+0.4+0.2+0.9+1.3
内需寄与度 *(+0.5)(▲0.3)(+0.8)(+0.1)(+0.7)(+0.6)
外需寄与度 *(+0.0)(▲0.2)(▲0.4)(+0.4)(▲0.3)(▲0.3)
輸出+0.8▲2.1+1.2▲2.0▲0.1▲0.0
輸入+0.8▲1.2+3.6▲4.3+1.6+1.7
国内総所得 (GDI)+0.3▲0.8+0.4+1.0+0.4+0.3
国民総所得 (GNI)+0.4▲0.6+0.5+0.7+0.5+0.4
名目GDP+0.2▲0.5+0.4+1.0+0.4+0.3
雇用者報酬+1.2▲0.4+0.3+0.3+0.7+0.7
GDPデフレータ▲0.1▲0.4▲0.3+0.1▲0.0+0.4
内需デフレータ+0.5+0.6+0.5+0.3+0.1+0.4

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラスを示し、灰色の在庫と黒の外需(純輸出)がプラスの寄与を示しているのが見て取れます。

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ということで、1~3月期GDP統計2次QEは先月の1次QEから大きな変化はありませんでした。法人企業統計などの1次統計の追加と反映を受けて、民間設備投資が下方修正されたのが大きく、それに連れて成長率も下振れしました。ですから、1次QE公表時の景気判断から大きな修正はないものと私は考えますが、ただ、今年2019年に入って1~3月期、4~6月期と2四半期続けて、ややトリッキーな成長が続いていることも確かです。というのは、1~3月期については、内需が振るわない中で、内需の低迷に起因して輸入が減少するという形で外需がプラス寄与しての高成長という予想外の形でしたし、本日2次QEが公表された4~6月期については、消費が成長をけん引して、それだけを見れば望ましい経済の姿といえるんですが、実は、平成から令和への改元に伴うゴールデンウィーク10連休が消費の底上げにかなりの程度寄与していると考えるべきです。そうそう10連休を設定するのはサステイナブルな政策ではありませんし、その上、厚生労働省の毎月勤労統計が信頼性欠く中で統計的な裏付けが難しいものの、賃金、というか、所得の向上なくお休みで消費が増えても、その後の反動が予想されますし、特に、現在のタイミングでは10月1日からの消費税率引き上げが消費減速につながる可能性が十分ありますから、足元の7~9月期はまだしも、目先の10~12月期からの景気が万全とはいいがたく、何ともいえない漠たるものながら懸念があることは確かです。国内的には、消費税率引き上げ前の駆け込み需要は大きくない実感あるものの、他方で海外経済に目を転じると、米中間の貿易摩擦そのものの影響は決して大きくないにしても、これに起因する世界経済の減速は無視できない影響を及ぼすでしょうし、いずれにせよ、10月以降の景気動向は決して楽観できない、と考えるべきです。ハードな経済の動向に加えて、ソフトなマインドの問題もあります。後に取り上げるように、供給サイドの景気ウォッチャー8月統計の結果は冴えないものでしたし、需要サイドの消費者態度指数も下降を続けています。この上、来月10月に入って景気動向指数の基調判断が「悪化」に下方修正されたりすると、さらにマインドが冷え込む恐れもなしとしません。

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最後にGDP統計を離れると、本日、内閣府から8月の景気ウォッチャーが、また、財務省から7月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から前月差1.6ポイント上昇の42.8を記録した一方で、先行き判断DIは▲4.6ポイント低下の39.7となっています。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆9999億円の黒字を計上しています。いつものグラフは上の通りです。上のパネルは景気ウォッチャーで、現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。下は経常収支で、青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。これも、色分けは凡例の通りとなっています。

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2019年9月 8日 (日)

終盤の追い上げ及ばず広島に競り負ける!!!

  RHE
阪  神115000000 7120
広  島001100010 3120

広島に競り負けました。終盤に追い上げましたが、一歩及びませんでした。クライマックス・シリーズに向けて、3位と4位の直接対決で、今日の一戦はとても重要だったんですが、これが実力の差というものかもしれません。リーグ優勝はいうまでもなく、クライマックス・シリーズも終戦が近づいているような気がします。鳥谷選手は代打に立ちましたが、併殺打に終わりました。

次のヤクルト戦は、
がんばれタイガース!

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先週の読書は経済書『グローバル・バリューチェーン』や教養書から小説までよく読んで計7冊!!!

昨日に米国雇用統計が入ってしまって、いつも土曜日の読書感想文が今日の日曜日にズレ込んでしまいました。『グローバル・バリューチェーン』や東京大学出版会の学術書といった経済書、さらに、教養書に加えて、道尾秀介の話題の小説まで、幅広く以下の通りの計7冊です。また、いつもの自転車に乗っての図書館回りもすでに終えており、今週の読書も数冊に上りそうな予感です。

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まず、荒巻健二『日本経済長期低迷の構造』(東京大学出版会) です。著者は、その昔の大蔵省ご出身で東大教授に転出した研究者です。本来のご専門は国際金融らしいのですが、本書ではバブル経済崩壊以降の日本経済の低迷について分析を加えています。出版社から考えても、ほぼほぼ学術書と受け止めていますが、それほど難しい内容ではないかもしれません。というのは、著者はが冒頭に宣言しているように、特定のモデルを念頭にした分析ではなく、したがって、モデルを数式で記述する意図がサラサラなく、マクロ統計データを基にしたグラフでもって分析を進めようとしているからです。ですから、各ページの平均的な面積で計測したボリュームの⅓から半分近くが文字ではなくグラフのような気が、直感的にします。あくまで直感ですから、もちろん、それほどの正確性はありません。ということで、まったくエコノミスト的ではない方法論ながら、バブル崩壊後の日本経済の低迷について、国内要因と海外要因、あるいは、供給サイドと需要サイド、財政政策と金融政策、家計部門と企業部門、などなど、いくつかの切り口から原因と対応策を考えた上で、企業部門の過剰ストック、という、エコノミスト的な用語を用いればストック調整が極めて遅かった、ないし、うまく行かなかった、という結論に達しています。いくつかに期間を区切って分析を進めていますが、特に、停滞が激しくなったのは1997年の山一證券、三洋証券、拓銀などが破綻した金融危機からの時期であるとするのは、衆目の一致するところでしょう。しかし、結局、「マインドセット」という耳慣れない原因にたどり着きます。それまでの統計を並べた分析とは何の関係もなく、企業部門の行動パターンの停留にある毎度セットに原因を求める結論が導かれた印象です。あえて弁護するとすれば、あらゆる可能性を統計的には叙すれば「マインドセット」が残る、といいたいのかもしれません。でも、わけの判らない結論だけに制作的なインプリケーションがまったく出てきません。あえてムリにこじつけて、本書ではデフレ対策の意味も兼ねて、ストック調整を無理やりに進めて供給サイドのキャパを削減することを指摘しています。かつての nortorious MITI のように各社に設備廃棄を行政指導したりすることが念頭にあるとも思えず、苦笑してしまいました。確かに、私もかつてのリフレ派のように「金融政策一本槍でデフレ脱却」というのは、ここまで黒田日銀が異次元緩和を続けてもダメだったんですから、そろそろ考え直す時期に来ているというのは理解します。しかし、本書がその意味で役立つとはとても思えず、「やっぱり、現代貨幣理論(MMT)ですかね」という気分になってしまいました。ちゃんと勉強したいと思います。

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次に、猪俣哲史『グローバル・バリューチェーン』(日本経済新聞出版社) です。著者はJETROアジア経済研究所のエコノミストです。途上国経済の分析や開発経済学の専門家が集まっているシンクタンクですが、実は、本書の副題も「新・南北問題へのまなざし」とされていて、単純にサプライチェーンを新たな呼び方で分析し直しているわけではありません。ただ、本書はほぼ学術書と考えるべきで、一般的なビジネスパーソンにも十分読みこなせるように配慮されていますが、それなりにリファレンスにも当たって読みこなす努力があれば、各段に理解が深まるように思います。もちろん、モデルを説明するのにはビジュアルな図表を用いて数式はほぼ現れない、という配慮はなされています。ということで、本書のタイトルではなく、一般名詞としてのグローバル・バリュー・チェーン(GVC)については、本書でも参照されているように、PwCのリポートでデジタル経済におけるサプライチェーンの特徴づけがなされていて、従来のような直線的な調達・生産・流通といったルートから顧客に届けるんではなく、それぞれの段階に応じてサプライチェーンを管理する必要性が指摘されています。ただ、本書はそういったマネジメントや経営学的なサプライチェーンではなく、もっと純粋経済学的な理論と実証の面からGVCを分析しています。その観点はいくつかありますが、第1に、産業連関表というマクロ経済の鳥観図の観点からの分析です。付加価値ベースで、どの国でどの産業の製品をアウトプットとして製造しているか、そのためにどの産業の製品をインプットとして用いているか、関連して雇用なども把握できる分析ツールが産業連関表であり、本書では世界経済レベルの連結した国際産業連関表をベースにした議論がなされています。第2に、最新の貿易理論の視点です。古典的ないし新古典派的な経済学では、リカードの比較生産費説に始まって、サムエルソン教授らが精緻化を図りましたが、本書でも指摘されているように、モデルのいくつかの前提を緩めて現実に近づけていく中で、クルーグマン教授らの新貿易理論、さらに、メリッツ教授らの新・新貿易理論に到達し、さらに、GVCの分析から新・新・新貿易理論まで展望しています。第3に、途上国や新興国の経済開発に関する視点です。従来は、直接投資などで外資を受け入れ、垂直的な向上生産を丸ごと途上国や新興国に資本や技術を移転するという観点でしたが、GVCでは生産の部分的な貢献により先進国から技術やマネジメントの導入が可能となり、比較優位がさらに細かくなった印象を私は持ちました。その昔、リカードは英国とポルトガルで綿織物とブドウ酒の例で比較優位に基づく生産の特化をモデル化しましたが、すでに、1990年代には半導体の前工程と後工程の分割など、生産の細分化により世界中で幅広く生産を分散化するという例が見られています。本書冒頭では、アップルのiPhpneが米国カリフォルニアでデザインされ、中国で生産された、という、それはそれで、少しややこしい生産ラインについて言及していますが、いろんなパーツを持ち寄ってアッセンブルするという生産が決して例外ではなくなっています。そして、最後に、そういった生産工程の一部なりとも自国に取り込むことにより、工学的なテクノロジーや経営的なマネジメントなどの導入を通じて途上国や新興国の経済開発に寄与する道が開かれたわけです。こういった幅広い観点からGVCの理論的・定量的な分析が本書では進められています。ただ、その前提として自由で公正な貿易システムが不可欠です。現状の米中間の貿易摩擦はいうに及ばず、世界的に自国ファーストで政治的・経済的な分断が進む方向はエコノミストとして、特に、私のように自国の経済はもとより、途上国や新興国の経済発展にも目を配る必要を感じているエコノミストには、とても疑問が大きいと考えています。

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次に、本川裕『なぜ、男子は突然、草食化したのか』(日本経済新聞出版社) です。著者は、統計の専門家で「統計探偵」を自称し、財団だか社団だかのご勤務の傍ら、ネット上の統計グラフ・サイト「社会実情データ図録」を主宰しているんですが、私の記憶が正しければ、役所からはアクセスできなかったです。理由はよく判りません。その昔は、マンキュー教授の Greg Mankiw's Blog にもアクセスできませんでしたから、私が文句をいって見られるようになったこともありました。どうでもいいことながら、私が役所に入った際に上司の局長さんは「景気探偵」を自称し、シャーロッキアンだったりしました。今年亡くなられたところだったりします。ということで、前置きが長くなったのは、本書の中身にやや疑問がないわけではないためで、特に、タイトルにひかれて社会生態学的な若者論を期待した向きには残念な結果となりそうで、本書はひたすら統計をグラフにして楽しんでいる本です。ただ、統計のグラフからその原因を探ろうとしているところが「探偵」を自称するゆえんなんだろうと思いますが、因果関係にはほとんど無頓着なようで、タイトルになった「草食化」についてはいくつか統計的なグラフを示した後、その原因は統計やグラフとは何の関係もなく世間のうわさ話や著者ご自身の思い込みから類推していたりします。しかも、著者の主張する「草食化」の原因たるや、原因か結果かが極めて怪しいものだったりします。2つのグラフを書いて見て時期が一致いているから、というのが理由のようです。もちろん、経済学の分野ではグレンジャー因果という概念があって、先行する事象をもって原因と見なす計量分析手法が一定の地保を占めていて、実は私の査読論文もこれを使ったりしているんですが、それならそれで明記すべきですし、時系列の単位根検定などもあった方がいいような気もします。また、エンゲル係数の動きの解釈なんか、私から見ればムリがあるような気がしないでもありません。加えて、統計以外のトピックから持って来るとすれば、高齢者就業率なんかはいわゆる団塊の世代の特異な動向にも言及する必要があるような気がするんですが、そのあたりはスコープにないのかもしれません。ですから、何かの経済社会的な現象についての原因を探るよりは、その経済社会的な現象そのものが世間の見方とは少し違う、という点を強調するしかないようで、世間一般の見方、すなわち、常識と少し違うという主張が本書の主たる内容であると考えるべきです。半年ほど前の今年2019年3月30日付けの読書感想文で、ゲアリー・スミス『データは騙る』を取り上げましたが、本書で解説されているうちのいくつかが該当しそうな気すらします。マーク・トウェインの有名な言葉に、「ウソには3種類ある。ウソ、真っ赤なウソ、そして、統計である」という趣旨の格言がありますが、ひょっとしたら、ホントかもしれない、と思わせるものがありました。少なくとも、今はポストトゥルースの時代ですし、平気で情報操作がなされるわけですから、世間一般に解釈されている内容と別の事実が統計から浮かび上がってくるのであれば、まず、それを健全なる常識に照らし合わせて疑ってみるべきです。もう少し、通説とか、一般教養とか、健全なる常識というものをしっかりと持った上で、統計的あるいは計量的にそれを裏付ける努力をすべきであり、悪質な改ざんや意図的なごまかしとは違う次元で、本書はそれなりに問題を含んでいる可能性があることを指摘しておきたいと思います。私の学生時代にブルーバックスから出た古い古い本で『統計でウソをつく法』というのをしっかり勉強する必要があるのかもしれません。少なくとも、統計から得られる事実を、自分の思い込みや世間のうわさ話で解釈するのはムリがあるような気がします。その典型が「草食化」なのかもしれません。

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次に、ジャスティン・ゲスト『新たなマイノリティの誕生』(弘文堂) です。著者は米国ジョージ・メイソン大学の研究者であり、米英における白人労働者階級の研究が専門のようです。英語の原題は The New Minority であり、2016年の出版です。邦訳書のタイトルはかなり直訳に近い印象です。ということで、訳者あとがきにもあるように、原書が出版された2016年とは英米で2つの国民投票におけるポピュリズム的な結果が世界を驚かせた年でした。英国のEU離脱、いわゆるBREXITと米国の大統領選挙でのトランプ候補の勝利です。これらの投票結果を支えたのが、本書でいうところの白人労働者階級であり、民族的にも人種的にも、かつては英米で多数を占めていたにもかかわらず、現在では新しい少数派になっている一方で、少なくとも2016年の英米における国民投票では大きな影響力を発揮した、ということになります。その英米両国における白人労働者階級について、英国の首都ロンドン東部と米国のオハイオ州においてフィールドワークを行い、計120人、うち約3割の35人はエリート層から選ばれた対象にインタビューを実施するとともに、定量的な分析も実施しつつ、いろんな面からの英米両国における白人労働者階級の実態を明らかにしようと試みています。ですから、というわけでもありませんが、本書はほぼほぼ完全な学術書です。第2章ではかなり広範囲な既存研究のサーベイがなされていて私もびっくりしましたし、フィールドワークのインタビューでも、定量分析でもバックグラウンドにあるモデルがよく理解できます。というか、少なくとも私には理解できました。そして、これらの白人労働者階級をアンタッチャブルで剥奪感大きなクラスとして見事に描き出しています。ポピュリズムの分析で、特に、英米の白人労働者階級にスポットを当てたものとして、この私のブログの読書感想文でも数多くの文献を取り上げていますし、訳者あとがきにも取り上げられていますが、本書は遅れて邦訳されたとはいえ、第一級の内容を含んでいて、通俗的ともいえるナラティブで一般読者を納得させる上に、きちんとモデルを背景に持った学術的な分析も十分に含んでいます。最後に、本書からやや離れるかもしれないものの、私が従来から強く思うに、こういった白人労働者階級は、かつてミドルクラスであり、特に英米両国に限らず欧米各国では広くマジョリティであったわけですが、その階層分解の過程で、20世紀初頭のロシアにおける農民層分解と同じように、何らかの左派のリベラル勢力がスポットを当てて、白人労働者階級の利益を代表して政策を打ち出すことが出来ていれば、ひょっとしたら、右派的なポピュリズムとは逆の目が出ていた可能性があるんではないか、という気がします。繰り返しになりますが、強くします。現在の英国労働党におけるコービン党首の打ち出している方向とか、米国民主党のサンダース上院議員の政策が、それを示唆しているように私は受け止めています。金融政策では為替動向を見据えつつ緩和を推進するとともに、財政政策では反緊縮でしょうし、企業の法人税を引き下げるのではなく、国民の雇用を確保して所得増を目指す方向です。

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次に、マーティン・プフナー『物語創世』(早川書房) です。著者は、米国ハーバード大学の演劇学や文学の研究者です。英語の原題は The Written World であり、2017年の出版です。地政学という言葉は人口に膾炙していますが、最近では経済地理学というのもありますし、本書はそういう意味では地理文学ないし地文学、ともいえる新しいジャンルを切り開こうとするものかもしれません。というのは、著者が著名な文学、ないし、英語の現タイトルのように書かれた記録に関する場所を訪れた経験を基に、その書かれた記録がひも解かれているからです。取り上げる対象は、聖書から始まって、「ハリー・ポッター」まで、本とか書物と呼ばれるモノなんですが、中身によって宗教書のようなものから、もちろん、小説がボリューム的には多くの部分を占めるんでしょうが、新聞やパンフレット、あるいは、宣言=マニフェストまで幅広く対象としています。それらの対象となる書物の中から、著者は「基盤テキスト」というものを主張し、これこそが世界に幅広くかつ強い影響力を及ぼす、と考えているようです。その典型例はいうまでもなく「聖書」であり、キリスト教政界にとどまらず、幅広い影響力を有しています。影響力が強すぎて、さすがに、地動説こそ広く受け入れられましたが、例えば、宇宙や世界の始まりに関するビッグバン、あるいは、ダーウィン的な進化論を否定するような非科学的な考え方すら一部に見受けられる場合もあったりします。これらの基盤テキストとして、本書では聖書に加えて、古典古代の『イリアス』や『オデュッセイア』。『ギルガメッシュ叙事詩』、さらに、やや宗教色を帯びたものも含めて、ブッダ、孔子、ソクラテス、『千夜一夜物語』、中世的な騎士道を体現しようとする『ドン・キホーテ』、などが解明され、我が国からは世界初の小説のひとつとして『源氏物語』が取り上げられています。異色な基盤テキストとしては「共産党宣言」が上げられます。これらの基盤テキストの著者に本書の著者のプフナー教授がインタビューした本書唯一の例が、第15章のポストコロニアル文学に登場するデレク・ウォルコットです。セントルシア出身の詩人であり、1992年にノーベル文学賞を授賞されています。ちょうど、私が在チリ日本大使館の経済アタッシェをしていて、ラテン・アメリカに在住していた時期であり、しかも、1992年とはコロンブスの新大陸発見からまさに500年を経た記念すべき年でしたので、私もよく記憶しています。当時、チリ人とついついノーベル文学賞の話題になった折り、「日本人でノーベル文学賞受賞者は何人いるか」という話題になり、1995年の大江健三郎の受賞前でしたから川端康成たった1人で悔しい思いをした記憶があります。というのは、その時点でチリ人のノーベル文学賞受賞者は2人いたからです。情熱的な女流詩人のガブリエラ・ミストラルと革命詩人のパブロ・ネルーダです。ウォルコットもそうですが、日本で的な短歌や俳句を別にすれば、我が国の詩人の詩が世界的に評価されることは少ないように私は感じています。詩に限らず小説も含めて、スペイン語や英語といった世界的に広く普及している国際言語を操るラテン・アメリカ人と違って、日本人や日本語のやや不利なところかもしれないと感じたりします。やや脱線しましたが、本題に戻って、小説や詩といった文学に限定せず、世界的に影響力大きい基盤テキストについて、地理的な要素を加味しつつ、それらが「書いたもの」として記録された意味を考える本書はなかなかに興味深い読書でした。今週一番です。

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次に、須田慎太郎『金ピカ時代の日本人』(バジリコ) です。著者は報道写真家であり、本書の期間的なスコープである1981年から1991年の約10年間は、主として、我が国における写真週刊誌第1号として新潮社から1981年に発効された「フォーカス」の専属に近い写真家であったような印象を私は持ちました。我が国では、写真家の先達として、賞にもなっている木村伊兵衛と土門拳があまりにも有名ですが、本書の著者は報道写真ということですから、後者の流れをくんでいるのかもしれません。というのは、木村伊兵衛はどちらかといえば、ということなんですが、人物や風景などのポートレイトが多いような印象を私は持っているからです。現在では、写真の木村賞といえば、小説の芥川賞になぞらえられるように、写真家の登竜門として新人写真家に対して授与され、他方、土門賞といえば、小説の直木賞のように、報道も含めてベテランで大衆的な写真家に授与されるような傾向あるものと私は理解しています。なお、「フォーカス」のような写真雑誌としては、海外では Life などが有名ですし、我が国では考えられないんですが、社交誌のような雑誌も発行されていたりします。実は、私が1990年代前半に在チリ日本大使館に勤務していた折、当地の Cosas という社交誌にチリの上院議員とともに収まった写真が掲載されました。今でも記念に持っていたりします。さらに、著者は定年退職したばかりの私の1年年長であり、本書の時期的なスコープがほぼほぼ私の社会人スタートと重なっています。しかも、タイトルに「金ピカ時代」、たぶん、英語では Gilded Age と呼ばれ、特に米国では南北戦争終了後の1870~80年代の急速な発展期と目されていますし、本書でも1981~91年はバブル経済の直前とバブル経済の最盛期と見なしているようです。まあ、いろんな視点はあるわけで、日銀的に、その後のバブル崩壊のショックまで視野に入れて、バブル期を評価しようとする場合もあるんでしょうが、私のようにその時代を実体験として記憶している向きには、華やかでそれなりに思い出深い時期、と見る人も少なくないような気もします。その後、我が国のバブルは崩壊して、私も海外の大使館勤務で日本を離れたりします。しかも、本書では写真家が著者ですので、著述家や作家と違って、被写体がいるその場に臨場する必要があるわけですから、とても迫力があります。もちろん、バブル経済直前とその最盛期の日本ですから、本書でも言及されているロバート・キャパ、あるいは、マン・レイのように戦場の写真はまったくありません。日本人でも沢田教一のように戦場の写真を撮り、戦場で死んだ写真家もいましたが、まあ例外なのかという気はします。架空の写真家としては吉田修一の小説の主人公である横道世之介がいますが、写真家としての活躍はまだ小説にはなっていません。本書では、上の表紙画像に採用されているようなAV女優に囲まれる村西とおる監督とか、あるいは、当時のトップレス・ノーパン喫茶の取材などの際の写真、といったくだけたものから、政治家や財界人などの写真、あるいは、山口組3代目組長の妻や4代目組長の写真などなど、歴史的な背景の記述とともに写真も幅広く収録されています。ただ、私の目から見て、なんですが、経済は人が出て来ませんので写真になりにくい恨みはありますが、スポーツの写真がかなり少ない印象でした。報道写真としてはスポーツも必要で、特に本書のスコープの中には1985年の阪神タイガース日本一が含まれますので、やや残念な気はします。

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最後に、道尾秀介『いけない』(文藝春秋) です。著者は、なかなか流行しているミステリ作家であり、私も大好きな作家の1人です。作品の8割方は読んでいると自負しています。この作品は、私の目から見て、「xxしてはいけない」という各賞タイトルが付いた3章の中編ないし短編集と考えています。連作短編集です。ただ、最後のエピローグも含めて4章構成の連作短編集とか、あるいは、全部ひっくるめて長編と考える向きがあるかもしれません。全体を通じて、この作家特有の、何ともいえない不気味さが漂い、ややホラー仕立てのミステリに仕上がっています。特に、第1章は倒叙ミステリではないかもしれませんが、実に巧みに読者をミスリードしています。そして、この第1章だけは蝦蟇倉市のシリーズとして、アンソロジーに収録されていて、私も読んだような記憶がかすかになくもなかったんですが、なにぶん、記憶容量のキャパが小さいもので、実に新鮮に読めたりしました。ただ、第2章以降も含めて、十王還命会なる宗教団体を中心に据えたミステリに仕上げた点については、疑問に思わないでもありません。もちろん、ホックの短編「サイモン・アーク」のシリーズと同じように、いかにも、近代科学では説明できない超常現象のように見えても、近代科学の枠を決して超えることはなく、その近代科学と論理の範囲内で謎が解ける、という点については高く評価するものの、宗教団体、特に、新興宗教というだけで、何やら胡散臭いものを感じる私のような読者もいることは忘れて欲しくない気もします。特に、本書の殺人事件は警察レベルではすべてが未解決に終わるんですが、その背後に宗教団体がいては興醒めではないでしょうか。ただ、読後感は決して悪くなく、上手く騙された、というか、何というか、各章最後の10ページほどで真実が明らかにされ、大きなどんでん返しが体験できます。私自身は、どちらかというと、ディヴァー的なものも含めて、ラストのどんでん返しよりも、タマネギの皮をむくように、徐々に真実が読者の前に明らかにされるようなミステリ、例えば、最近の作風では有栖川有栖の作品などが好きなんですが、こういったどんでん返しも、本書のように読後感よくて上手く騙された感がありますので、いいんではないかという気がします。実は、オフィスから帰宅の電車で読み始め、家に帰りついてから夕食も忘れて一気読みしました。250ページほどの分量というのも適当なボリュームだった気がします。なお、先週の読書のうち、本書だけは買い求めました。借りようとしても待ち行列があまりに長かったからで、加えて、来月から消費税率が引き上げられますので、小説ばかり何冊か買い求めたうちの1冊でした。本書を含めて5冊ほど早大生協で買い求めましたので、少しずつ読んでいこうと考えています。

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2019年9月 7日 (土)

序盤3回のビッグイニングを生かして広島にボロ勝ち!!!

  RHE
阪  神115000000 7120
広  島001100010 3120

序盤3回一挙5得点のビッグイニングを生かして、広島にボロ勝ちでした。投手陣は、先発西投手が8回3失点で藤川投手につなぎ、危なげなく逃げ切りました。クライマックス・シリーズ出場のためには、明日はなんとしても勝たねばなりません。鳥谷選手は9回ツーアウト満塁で代打に立ちましたが、センターフライに終わりました。

明日はジョンソン投手を打ち崩して、
がんばれタイガース!

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堅調ながら減速しつつある米国雇用統計やいかに?

日本時間の先夜、米国労働省から8月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+130千人増と貿易摩擦などでやや伸びは鈍ったものの、まずまず堅調な推移を見せた一方で、失業率は先月と同じ3.7%という半世紀ぶりの低い水準を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の8パラを引用すると以下の通りです。

Economy added disappointing 130,000 jobs in August, giving Fed another reason to cut rates
Hiring slowed in August as employers added 130,000 jobs, further stoking recession fears and strengthening the Federal Reserve's argument for another cut in interest rates this month.
The unemployment rate was unchanged at 3.7%, just above a 50-year low, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg expected 160,000 job gains.
Further dimming the latest employment snapshot: Payroll gains for and June and July combined were revised down by a total 20,000.
The increase raised concerns of a recession while the unemployment rate was unchanged from 3.7 percent in July.
The Labor Department has tended to undercount August job totals in its initial estimate and then revise the number higher the following months, says economist Jim O'Sullivan of High Frequency Economics. That pattern increased the risk of a disappointing jobs report Friday. But the payroll total was inflated by the federal government's addition of 25,000 temporary workers for the 2020 census. Without those gains, the August number would have been even weaker.
More broadly, payroll growth has slowed to an average monthly pace of 165,000 this year from 223,000 in 2018, though last year's figures are expected to be revised down substantially based on a recent preliminary estimate. A low unemployment rate has made it harder for employers to find qualified workers.
Also, the economy has slowed from its brisk pace last year because of the fading impact of Republican-led tax cuts and spending increases, President Trump's trade war with China and sluggish economies in other nations. The trade fight has also dampened business confidence and investment and hurt manufacturers.

やや長く引用してしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門と失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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何ともビミョーな結果だと私は受け止めています。非農業部門雇用者の前月差での+130千人増は、Broomberg による市場の事前コンセンサスである+150千人増を下回りましたが、決して悪くない数字ですし、景気の遅行指標とはいえ、失業率も3.7%と、およそ半世紀以来の低い水準にありますから、米国雇用は堅調と私は考えています。でも、景気の一致指標である非農業部門雇用者の伸びは、市場の事前コンセンサスを下回るとともに、このところやや縮小気味であることも確かです。その要因は、米国から仕かけたとはいえ、米中間の貿易摩擦による世界経済の減速ですから、その意味で、米国連邦準備制度理事会(FED)は7月に利下げに踏み切って、米国はほぼ10年半振りに金融緩和局面に入ったわけですが、来年の米国大統領選挙を前にホワイトハウスからの金融緩和圧力は継続していますし、現在のトランプ米国大統領に任命されたパウエルFED議長も苦しい判断かという気はします。特に、米国トランプ政権が重視しているメインストリームの製造業では、今年2019年に入って1~8月の就業者の増加幅が月平均+6千人にとどまっており、2018年平均の+20千人増を上回るペースから大幅にスローダウンしています。加えて、日本では企業部門が国内景気を牽引するんですが、米国では家計消費が景気を引っ張るわけで、小売部門の雇用は注目されるところですが、7か月連続で就業者数が減少しています。もちろん、ネット販売がトレンド的に増加していることから、小売業で構造的に雇用が増加しなくなっているのも事実ではありますが、世界経済の減速とどこまでシンクロしているかは不明なものの、米国経済の懸念材料であることは確かです。

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雇用の最大化という景気動向とともに、物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。米国雇用は底堅くて、労働市場はまだ逼迫を示しており、賃金もジワジワと上昇率を高める段階にあります。すなわち、8月は前年同月比で+3.2%の上昇と、昨年2018年8月に+3%の上昇率に達して、1年に渡って3%台の上昇率が続いています。日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですので、金融緩和に転じたりして物価の方は大丈夫なんだろうか、という心配もあるにはあるものの、基本的に、左派エコノミストである私は金融緩和には賛成だったりします。

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2019年9月 6日 (金)

先発高橋投手が序盤に崩れて広島にボロ負け!!!

  RHE
阪  神000003000 360
広  島015000000 691

先発高橋投手が序盤に崩れて広島にボロ負けでした。打力に問題ある阪神ですから、表ローテのしかも一番手の高橋投手が序盤から崩れては勝ち目ありません。6回に相手守備の乱れを突いて3点を取ったので打ち止めでした。クライマックス・シリーズ出場を争う3位と4位の直接対決なんですが、実力の差というほかありません。鳥谷選手は代打で登場しましたが、凡退に終わりました。

明日は、
がんばれタイガース!

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景気動向指数は7月統計の戻りが小さく来月公表の8月統計で再び「悪化」に基調判断が下方修正される可能性も!!!

本日、内閣府から7月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から横ばいで93.6を、CI一致指数は+0.3ポイント上昇して99.8を、それぞれ記録し、基調判断は「下げ止まり」に据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の景気一致指数、0.3ポイント上昇 基調判断「下げ止まり」で据え置き
内閣府が6日発表した7月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.3ポイント上昇の99.8と2カ月ぶりに上昇した。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「下げ止まりを示している」に据え置いた。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち5系列が指数のプラスに寄与した。車載用蓄電池など自動車関連の生産が伸びたことで「生産指数(鉱工業)」「鉱工業用生産財出荷指数」が堅調だった。半導体製造装置や掘削用機械を含む「投資財出荷指数(除輸送機械)」も伸びた。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比横ばいの93.6だった。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比0.2ポイント上昇の104.8と4カ月ぶりに上昇した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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従来から、このブログでも指摘している通り、CI一致指数は鉱工業生産指数(IIP)との連動性が極めて高いんですが、本日公表の7月統計でもその通りでした。すなわち、6月のCI一致指数は前月から▲2.9ポイントの下降でドカンと落ちた後、7月の戻りはわずかに+0.3ポイントの上昇にとどまり限定的でした。それでも、有効求人倍率(除学卒)と商業販売額(小売業)(前年同月比)が下降に寄与した以外、鉱工業用生産財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、生産指数(鉱工業)、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)といった幅広いコンポーネントがプラスに寄与しています。「下げ止まり」に据え置かれ、メディアで注目の基調判断なんですが、「『CIによる景気の基調判断』の基準」に従えば、「下げ止まり」と「悪化」の違いは3か月後方移動平均と前月差でかなり機械的に決められており、「原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が下降」かつ「当月の前月差の符号がマイナス」の2つの条件で「悪化」が定義されています。先月の6月統計の3か月後方移動平均は▲0.50の下降、7月統計でも▲0.60の下降ですから、すでに2か月連続での下降となっており、繰り返しになりますが、先ほど「ドカン」と表現した6月統計の前月差▲2.9ポイントの落ち方に比べて、その後の7月統計の戻りが+0.3ポイントと小さく、さらに来月の8月統計で前月差がマイナスだと、またまた基調判断が「悪化」に下方修正される可能性があります。そうすると、来月の景気動向指数の公表日は10月7日であり、消費税率引き上げ直後のタイミングも相まって、メディアが基調判断の「悪化」を大きく取り上げる、ということにもなりかねません。まあ、エコノミストの中には、どこまで本質的な意味があるか疑問に受け止める向きがあるかもしれませんが、私自身はそれなりに象徴的な意味があり、マインドへの影響が小さいながらも無視できない可能性がある、と考えています。

実は、このブログでは先週8月30日付けで7月統計の鉱工業生産指数(IIP)ほかを取り上げており、製造工業生産予測指数について先行き見通しの予測誤差の加工を行った補正値で8月は▲0.7%の減産と試算されていたりします。もしも、これが正しいと仮定すれば、景気動向指数の基調判断はふたたび「悪化」に下方修正される可能性が高いと考えられます。いずれにせよ、月末公表の鉱工業生産指数(IIP)8月統計を注視したいと思います。

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2019年9月 5日 (木)

来週月曜日9月9日公表予定の4-6月期GDP統計2次QEは小幅な下方修正か?

今週月曜日9月2日に公表された法人企業統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、来週月曜日9月9日に4~6月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定です。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。いつもの通り、可能な範囲で、足元から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。その中で、みずほ総研、第一生命経済研、伊藤忠総研の3機関はやや長めに、ほかもそれなりに引用しています。従来は2次QE予想は法人企業統計のオマケのような扱いのリポートも少なくなかったんですが、さすがに、消費税率引き上げ直前というのもあって、かなりのリポートが先行きの景気動向に言及しています。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.4%
(+1.8%)
n.a.
日本総研+0.3%
(+1.3%)
4~6月期の実質GDP(2次QE)は、公共投資が上方修正となる一方、設備投資、民間在庫は下方修正となる見込み。その結果、同成長率は前期比年率+1.3%(前期比+0.3%)と、1次QE(前期比年率+1.8%、前期比+0.4%)から下方修正される見込み。
大和総研+0.3%
(+1.3%)
4-6月期GDP二次速報(9月9日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+1.3%と、一次速報(同+1.8%)から下方修正されると予想する。需要側統計の法人企業統計の結果を受けて、設備投資が前期比+0.6%と下方修正されることが主因である。
みずほ総研+0.3%
(+1.2%)
今後の日本経済は、消費増税後の一時的な増減はあるものの、弱い伸びが続くとみている。世界経済の減速が続き、米中製造業が調整局面となるなかで、輸出は当面低迷が続く見通しだ。設備投資は、省力化投資が下支えするものの、機械設備や建設投資における調整圧力の高まりが下押し要因になろう。貿易摩擦などの不透明感の高まりも投資の伸びを押し下げ、今後減速してくとみている。
個人消費は増税前後の一時的なアップダウンはあるものの、均してみれば力強さを欠く見通しだ。足元の雇用環境をみると、雇用のひっ迫は続いているものの、有効求人倍率が3カ月連続で低下するなど、変調の兆しもうかがえる状況だ。生産の停滞や、働き方改革関連法による残業時間規制への対応から、当面賃金の伸びは鈍く、個人消費を押し上げるには至らないだろう。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+0.9%)
9/9公表予定の19年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.2%(前期比年率0.9%)となり、1次速報の前期比0.4%(前期比年率1.8%)から下方修正されると予測する。
第一生命経済研+0.3%
(+1.0%)
4-6月期の成長率を牽引した個人消費については、10連休効果や駆け込みによる耐久財消費増といったイレギュラーな押し上げ要因が大きく、実力以上に上振れている可能性が高い点に注意が必要だ。7-9月期には10連休効果の剥落により下押し圧力がかかりやすいだろう。また、所得が伸び悩むなか、消費者マインドの悪化がこのところ顕著になっている点も懸念材料である。消費を取り巻く環境が上向いているわけではなく、消費の基調は強いとは言い難い。4-6月期のGDP成長率については割り引いて見た方が良いだろう。GDP以外の他の経済指標の動向も踏まえて総合的に判断すれば、景気は引き続き停滞感が残る状況にあると評価すべきと思われる。
伊藤忠総研+0.3%
(+1.1%)
続く7~9月期を展望すると、公共投資が息切れする可能性はあるが、一方で輸出の持ち直しが見込まれる。さらに、個人消費は7月に悪天候の影響を受けて落ち込んだものの、9月にかけて消費増税前の駆け込み需要が衣料品や日用品、雑貨、酒・たばこを中心に、ある程度は発生するとみられ、7~9月期も増勢を維持しよう。設備投資は伸び悩み、住宅投資は減少に転じると見込まれるものの、GDP全体では7~9月期も前期比プラス成長を維持し、少なくとも消費増税までは景気の拡大が続こう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.2%)
2019年4~6月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.3%(年率換算+1.2%)と1次速報値から下方修正される見込みであるが、修正は小幅であり、今回の結果によって景気に対する評価が変わることはないであろう。
三菱総研+0.3%
(+1.1%)
2019年4-6月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.3%(年率+1.1%)と、1次速報値(同+0.4%(年率+1.8%))から下方修正を予測する。

見れば明らかなんですが、先月公表の1次QEで示された4~6月期の成長率である前期比+0.4%、前期比年率+1.8%をすべて下回っており、2次QEでは下方修正されるとの予想が圧倒的です。基本は、今週月曜日の9月2日に公表された法人企業統計の需要サイドの結果に従った修正であり、設備投資の下方修正がもっとも大きく寄与していると私は受け止めています。ただ、修正幅はそれほど大きくなく、いくつかヘッドラインに収録しておきましたが、下方修正とはいえ現在時点での景気判断の修正を迫るものではないと考えるべきです。その上、仕上がりの成長率を前期比年率で見ると、唯一ニッセイ基礎研を例外として、ほかのシンクタンクの予想では+1%に届いており、ほぼほぼ潜在成長率近傍ないし上回る成長率と予想されている点も忘れるべきではありません。もっとも、我が国の景気がとても順調なのかといえば、決してそうでもなく、少なくとも、4~6月期の成長率はゴールデンウィークの10連休でかさ上げされた消費の効果がある点は注意が必要です。逆から見て、足元の7~9月期はこの効果が剥落するわけですから、景気には下押し圧力がかかる可能性があります。それでも、消費税率引き上げ直前の駆け込み需要を私なんぞは予想していたんですが、一昨日のこのブログで取り上げたように、駆け込み需要も大きくないようで、反動減も抑制されることから、それはそれで好ましいわけではあるものの、消費税率引き上げ直後の10~12月期はかなりの確度でマイナス成長でしょうから、そこに向けてジワジワと景気が停滞感を強めることが予想されます。米中間の貿易摩擦などがあって、さらにその先は不確定要因がいっぱいあるものの、少なくとも、8月20日付けで取り上げた短期見通しでは来年2020年1~3月期にはプラス成長に回帰し、マイナス成長は1四半期で終了するとの見方が圧倒的でしたから、2四半期連続のマイナス成長というテクニカルな景気後退シグナルも含めて、景気がこのまま失速して景気後退に向かうというようには見込まれていない、と私は受け止めています。
最後に、下のグラフは、みずほ総研のリポートから引用しています。

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2019年9月 4日 (水)

能見投手が延長10回筒香選手にツーランを浴びて横浜にサヨナラ負け!!!

  RHE
阪  神0040100000 5141
横  浜0010301002x 781

筒香選手のサヨナラツーランで横浜に逆転負けでした。チームの現状を考えると、4回の4点で逃げ切っておかねばなりませんでした。ベンチの継投失敗ともいえます。でも、サムライジャパンの4番に打たれたんですから、実力の差というほかありません。

明日は、
がんばれタイガース!

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老後資金はやっぱり1,000万円くらい必要か?

約3か月前の今年2019年6月3日に金融庁から金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」が公表され、p.16で「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1,300万円、30年で約2,000万円の取崩しが必要」と、老後資金2,000万円の必要性が強調されて物議をかもしましたが、第一生命経済研から一昨日の9月2日付けで「働くシニア世帯の収支状況」と題するリポートが明らかにされ、やっぱり、60代後半から無職となれば老後資金として1,000万円超が必要との試算が明らかにされています。グラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフはリポートから、2人以上高齢者世帯の月間家計収支を引用しています。見れば明らかなんですが、世帯主が60歳後半以降でも、勤労所得のある世帯では貯蓄を積み増しているわけです。以下、リポートに従えば、毎月の黒字額はというと、世帯主が65歳以上では80,476円、70歳以上でも69,122円の黒字を積み増しています。うち、世帯主が65歳以上の収入面を見ると、以下すべて月額平均で見て、「実収入」が420,064円、うち公的年金給付等が150,112円と⅓強を占める一方で、収入の柱は「勤め先収入」の254,479円となっています。さらに、世帯主の年齢が70歳以上の高齢勤労者世帯で見ても、「実収入」は380,100円と減るものの、そのうち公的年金給付等が159,218円にやや増加する一方で、「勤め先収入」もまだ209,748円に上ります。長らく国家公務員として働いて定年退職し、もうすぐ61歳になる私の目から見ても、「ホンマかいな」というくらいに恵まれた高齢者の世帯なんですが、総務省統計局の実施している家計調査に基づく統計的な事実のようです。
このように、とても収入に恵まれた高齢者世帯でも、リポートの試算によれば、世帯主が60代前半まで働いて60代後半から無職になり、その後30年間生活すると仮定すれば、今後の年金支給額が不変としても、65歳時点で1,029万円の貯蓄が必要になる一方で、60代後半の5年間も就業を続ければ480万円の貯蓄ができるものの、それでも65歳時点では549万円の貯蓄が必要、という結論のようです。我が家のような、こういった家計調査の対象世帯の平均的な姿に追いつかない場合、もっと膨大な貯蓄を積み上げておくか、それとも、老後の生活を大幅に切り詰めるか、の選択になるのかもしれません。

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2019年9月 3日 (火)

消費税率引き上げ前の駆け込み需要はどうなっているのか?

もう1か月を割って、10月1日に消費税率が現行の8%から10%に引き上げられる予定となっています。以前の税率引き上げ時にはかなりのボリュームの駆け込み需要が発生し、同時に、税率引き上げ後の反動減もそれなりに大きかったわけで、特に、2014年4月の8%への引き上げの際にはデフレ脱却に影響を及ぼしたように私は記憶していますが、私自身の生活実感としても、また、経済指標の統計を見ていても、今回は駆け込み需要が大きくないように感じているところ、『第一生命経済研レポート』2019年9月号において、「今回の駆け込み需要の規模はどうして小さい?」と題するコラムが明らかにされています。グラフを引用して、簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフはリポートから引用しており、上から順に、消費税率引上げ前後の民間最終消費支出の推移、消費税率引上げ前後の住宅着工戸数の推移、政府による消費税対策がそれぞれプロットされています。見れば明らかなんですが、現在までに利用可能な統計で見る限り、消費や住宅投資は前々回1997年4月の3%から5%への引上げ、また、前回2014年4月の5%から8%への引上げと比較して、駆け込み需要が大きく抑制されています。まら、リポートでは住宅ほどではないものの大型耐久消費財の典型として自動車販売についても同様である旨が報告されています。
その大きな理由として、リポートでは、3番目のパネルのテーブルに上げられている、政府による駆け込み需要対策による影響が大きい、と指摘しています。同時に、家具・家電などではホントに直前の駆け込み需要の発生の可能性も指摘しています。私は日用品もご同様だと思います。加えて、消費税率引き上げに伴う物価上昇による実質所得の低下は逃れることができません。他方で、軽減税率のように期限のない対策もあれば、キャッシュレス決済に対するポイント還元のように9か月間の起源で来年2020年6月に終了するものもあり、プレミアム付き商品券もいつかは使い終わるわけで、その終了の際に駆け込み需要が一定の大きさで生じる可能性も否定できません。
もちろん、駆け込み需要が小さいものに終われば、その反動減も小さくなる可能性が高く、景気変動の振れが抑制されるとすれば、マクロ経済安定化政策は成功と考えるべきではないかという気がします。

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2019年9月 2日 (月)

製造業の停滞を示す4-6月期の法人企業統計をどう見るか?

本日、財務省から4~6月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は11四半期連続の増収で前年同期比+0.4%増の345兆9,119億円、経常利益は2四半期振りの減益で▲12.0%増の23兆2,325億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで1.9%増の10兆8687億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資についても前期比+1.5%増となっています。なお、設備投資については、以下に引用する記事にもある通り、データの蓄積に伴って、今回からソフトウェアを含むベースに変更されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4-6月期の製造業の設備投資、2年ぶり減 米中貿易摩擦など影響
財務省が2日発表した2019年4~6月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比1.9%増の10兆8687億円だった。増加は11四半期連続。ただ、製造業の設備投資は2年ぶりの減少となった。製造業は経常利益も大幅な減少で、米中貿易摩擦などの影響が出た。
製造業の設備投資は6.9%減の3兆6156億円だった。情報通信機械が43.4%減と大きく落ち込んだのが響いた。半導体需要の減少により、生産能力投資を抑制する動きが出たといい、財務省は「半導体の(低調な)サイクルの中で米中貿易摩擦の影響もあった」と説明した。石油・石炭は、石油精製設備の新設投資をした前年の反動が出て48.7%減となった。
非製造業の設備投資は7.0%増と、11四半期連続で前年同期を上回った。都市部オフィスビルの取得が寄与した不動産業が45.5%増、情報通信機器などリース資産を増やした物品賃貸業が29.4%増だった。
季節調整済み前期比の設備投資額は1.5%増だった。非製造業が4.7%増加し、製造業(4.3%減)の不振を補った。同数値は国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となっているが、ソフトウェアに関するデータが蓄積されたため、今回からソフトウェアを含む数値となった。
全産業ベースの経常利益は12.0%減の23兆2325億円だった。減益は2四半期ぶり。製造業が27.9%減となったことが響いた。情報通信機械業が、米中貿易摩擦によるスマートフォン向け製品の減少などで84.6%減と大きく落ち込んだ。
全産業の売上高は0.4%増と、11四半期連続の増収となった。非製造業は1.0%増だった一方、製造業は1.2%減と10期ぶりの減収だった。
財務省は「緩やかに回復している景気の動向を反映している」と説明した。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や投資動向を集計した。今回の19年4~6月期の結果は、内閣府が9日発表する同期間のGDP改定値に反映される。
同時に発表した2018年度の法人企業統計によると、設備投資額は前年度比8.1%増の49兆1277億円と過去最高だった。売上高は0.6%減の1535兆2114億円と3年ぶりの減少、経常利益は0.4%増の83兆9177億円で過去最高だった。
19年3月末時点の金融業と保険業を除く全産業の内部留保にあたる利益剰余金は3.7%増の463兆1308億円と、7年連続で過去最高だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、やや長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフとベースを同じにして季節調整済の系列で考えると、昨年の我が国企業の動向は、かなりの程度に最近のマクロ経済動向とも一致して、製造業を起点にやや停滞色が強くなりつつあります。すなわち、上に引用した記事では、前年同期比で見て売上高は11四半期連続の増収とされていますが、グラフにプロットした季節調整済みの系列の前期比で見ると、今年2019年に入ってから1~3月期▲0.6%減の後、本日公表の4~6月期も▲0.1%減と2四半期連続の減収を記録しています。経常利益にしても、四半期ごとに増減を繰り返している点は、季節調整していない原系列も季節調整済みの系列も同じで、4~6月期は前期比▲5.0%の減益となっています。設備投資については、繰り返しになりますが、今回からソフトウェアを含むベースに変更され、4~6月期は+1.5%増と前期比プラスを記録したものの、製造業だけを取り出して見れば、1~3月期▲2.0%減の後、4~6月期は▲4.6%減と2四半期連続の2四半期連続の前期比マイナスで、マイナス幅が拡大している点も見逃せません。ただ、非製造業の設備投資が人手不足などを背景に底堅く推移しており、製造業を合わせた全産業では3四半期連続の前期比プラスとなっています。もちろん、製造業の低迷が進んだ背景には世界経済の減速があります。先週金曜日に公表された「月例経済報告」でも国内景気判断は「緩やかに回復」と据え置いた一方で、世界経済については「アジアやヨーロッパの中に弱い動き」を併記して景気判断を半ノッチ下げて、いよいよ政府も世界経済の減速を認めたようですし、米中間の貿易摩擦がヒートアップすれば、製造業はさらに逆風が強まる可能性がある点は注意すべきです。加えて、為替相場における円高の進行も大きなリスクです。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。ソフトウェアを含むベースに今回から再計算しています。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下し上向く気配すらなくまだ下落の気配を見せていますし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は60%を超えて少し上昇のトレンドとも見えますが、まったく力強さに欠けており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけは、グングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善の重要なポイントである賃上げ、あるいは、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。ですから、経済政策の観点から見て、企業活動が回復ないし拡大し、所得低迷の激しい家計との格差が無視できないとすれば、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階、特に、消費税率引き上げを目前にして、何らかの家計に対する所得増加を志向すべきではないか、と私は考えています。

最後に、本日の法人企業統計などを受けて、来週月曜日の9月9日に内閣府から4~6月期のGDP統計2次QEが公表される予定となっています。直感的には下方改定なんでしょうが、改定幅はごくわずかで大きな変化ないんではないか、と私は予想していますが、また、日を改めて取り上げたいと思います。

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2019年9月 1日 (日)

岩貞投手の好投でジャイアンツに快勝!!!

  RHE
読  売000000000 040
阪  神00011000x 260

ジャイアンツが細かく継投を繰り返す中で、阪神先発岩貞投手の好投でジャイアンツに連勝でした。打つ方では三塁打が得点につながっています。スコアとしては、こんなもんだという気がしますが、ジャイアンツに限らず、タイガースが勝てるパターンとしては、投手が抑える中で少ない得点を守っていく、ということなんでしょうね。藤川投手が最終回を締めましたが、場を与えられれば、それなりの活躍ができる、という点については、今夜も出番なかったものの鳥谷選手も同じだと私は考えています。
横浜の結果次第で、ジャイアンツはマジック消灯?

次の横浜戦は、
がんばれタイガース!

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