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2019年9月27日 (金)

9月調査の日銀短観に示される企業マインドの予想やいかに?

来週火曜日10月1日の公表を控えて、シンクタンクから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画はもちろん今年度2019年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、足元から先行きの景況感に着目しています。一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)+7
+23
<+2.3>
n.a.
日本総研+2
+25
<+3.4%>
先行き(12月調査)は、全規模・全産業で9月調査対比▲4%ポイントの悪化を予想。米国の保護主義的な通商政策など、海外情勢の先行き不透明感に加え、駆け込み需要の反動による個人消費の落ち込みへの懸念が、業況見通しに反映され、製造業、非製造業ともに悪化する見込み。
大和総研+1
+22
<+3.4%>
先行きの日本経済は、駆け込み需要が発生し得る2019年7-9月期まで成長が続いたのち、①世界経済の減速に伴う輸出低迷に加えて、②在庫調整、③稼働率低下を受けた設備投資の伸び鈍化、④雇用増加ペース鈍化に伴う消費の足踏み、⑤消費増税を背景に、潜在成長率を若干下回る低空飛行が続くとみている。そうした中、9月日銀短観では、製造業と非製造業の業況判断DI(先行き)はいずれも悪化すると見込む。
みずほ総研+1
+21
<+2.7%>
先行きの製造業・業況判断DIは横ばいを予測する。米国の対中制裁第4弾では、スマホやノートPCなどに対する関税引き上げが12月15日に予定されており、これらに係る部材の駆け込み輸出が関税引き上げ前に増加することで、一部の加工業種の景況感が一時的に押し上げられることはあり得る。しかし、米中貿易摩擦やグローバルなIT関連実需の低迷、海外経済の減速は当面継続することが見込まれるなか、全体として製造業の先行きの景況感は改善が見込みづらいだろう。日米交渉についても不確実性が残存している。仮に米国が為替条項の導入について言及してきた場合、急激な円高圧力が生じる可能性も懸念される。
先行きの非製造業については4ポイント悪化を見込む。消費増税による消費の下押し懸念が、小売業や宿泊・飲食サービス業、対個人サービス業などの景況感を押し下げるだろう。各種経済政策が実施されることなどを踏まえると、消費増税による景気への影響は前回増税時と比べて限定的になると考えられるものの、足元の消費マインドが低調であることを受けて、企業の先行きの見方は慎重なものとなると考えられる。実際、2014年増税時は大企業・非製造業の先行き判断(3月調査時)は11ポイントの悪化となっていた(6月調査時の現状判断は5ポイントの悪化)。このほか、幅広い業種について、労働需給のひっ迫に伴う人件費上昇が引き続き重石となることに加え、製造業の不振が非製造業へ波及することへの懸念が下押し要因となるだろう。
ニッセイ基礎研+1
+19
<+2.9%>
先行きの景況感も幅広く悪化が見込まれる。米中通商交渉は一部前向きな動きが見られるものの、依然合意の目処が立っておらず、今後も米国による追加関税発動と中国による報復といったさらなる激化が懸念される。また、英国のEU離脱問題も引き続き混乱が避けられない。事業環境の不透明感が強いことから、製造業の先行きの景況感回復は期待できない。非製造業では、日韓関係悪化の長期化に加え、来月に控える消費増税による影響への懸念から、先行きの景況感が大幅に悪化するだろう。今回の消費増税の悪影響は従来よりも限定的になると予想されるが、過去の消費増税後に起きた大幅な景気悪化がトラウマになっていると考えられる。
第一生命経済研+3
+19
<大企業製造業+13.0%>
10月の増税を前にして、消費産業は先行きをより慎重にみるバイアスが強まり、それが先行きDIにどのように表れるかを注目したい。細かいところでは、飲食サービスはデリバリーによって軽減税率の適用を受ける。キャッシュレス決済による割引は、中小非製造業の反動減対策として実際にどのくらいまで期待されているのか。中小企業の宿泊・飲食サービス、小売・卸売、個人サービスの先行きDIが、それほど大きな反動減を予想していないことがわかれば、そのことは先行きの消費の自信につながる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+4
+24
<大企業全産業+7.7%>
10月1日に公表される日銀短観(2019年9月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、前回調査(2019年6月調査)から3ポイント悪化の4と、3四半期連続で悪化すると予測する。海外経済減速に伴う外需の弱さと円高が下押し要因となったとみられる。先行きについては、2ポイント悪化の2と、海外経済の先行き不透明感と消費増税後の一時的な内需の弱さを警戒し、慎重な見方が示されよう。
三菱総研+4
+21
<+3.0%>
先行きの 業況判断DI(大企業)は、製造業は▲1%ポイント と、業況が悪化し、「悪い」超を予測する。非製造業も+16%ポイントと、業況悪化を予測する。消費税増税による内需の縮小が予想されるほか、米中貿易摩擦の一段の激化、中国をはじめとする海外経済の減速、金融市場のリスク回避姿勢の強まりによる円高や株安などには警戒が必要な局面であり、企業マインドの重しとなるであろう。

ということで、押しなべて、業況判断DIの低下が予想されています。ただ、大企業非製造業で6月時点での業況判断DIから、わずかながら、改善を示すと予想しているシンクタンクも2機関あり、日本総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングなんですが、いずれも消費税率引き上げ直前の駆け込み需要を要因として上げており、決してサステイナブルではありません。というか、消費税率引き上げ後の反動減が大きくなりそうで、多くのシンクタンクが先行きの業況判断DIについては、大企業製造業よりも大企業非製造業の方が落ち込み幅が大きいと予想しています。製造業の景況感悪化は、もちろん、米中貿易摩擦に起因する世界経済の減速です。より詳細に、日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIの先行きに着目すると、大和総研がゼロを予想し、三菱総研も▲1を予想しているものの、他のシンクタンクはすべてギリギリながらプラスを予想しています。私は次の12月調査では大企業製造業の業況判断DIがマイナスになる可能性が高いと予想しており、9月調査の先行きとともに注目しています。最後に、設備投資についても世界経済の先行き不透明感がマイナス要因となりますが、人手不足を背景とする合理化・省力化投資が下支えすることから、非製造業を中心に前年度比プラスが予想されています。
下は、業況判断DI予想のグラフを日本総研のリポートから引用しています。

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