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2019年9月 7日 (土)

堅調ながら減速しつつある米国雇用統計やいかに?

日本時間の先夜、米国労働省から8月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+130千人増と貿易摩擦などでやや伸びは鈍ったものの、まずまず堅調な推移を見せた一方で、失業率は先月と同じ3.7%という半世紀ぶりの低い水準を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の8パラを引用すると以下の通りです。

Economy added disappointing 130,000 jobs in August, giving Fed another reason to cut rates
Hiring slowed in August as employers added 130,000 jobs, further stoking recession fears and strengthening the Federal Reserve's argument for another cut in interest rates this month.
The unemployment rate was unchanged at 3.7%, just above a 50-year low, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg expected 160,000 job gains.
Further dimming the latest employment snapshot: Payroll gains for and June and July combined were revised down by a total 20,000.
The increase raised concerns of a recession while the unemployment rate was unchanged from 3.7 percent in July.
The Labor Department has tended to undercount August job totals in its initial estimate and then revise the number higher the following months, says economist Jim O'Sullivan of High Frequency Economics. That pattern increased the risk of a disappointing jobs report Friday. But the payroll total was inflated by the federal government's addition of 25,000 temporary workers for the 2020 census. Without those gains, the August number would have been even weaker.
More broadly, payroll growth has slowed to an average monthly pace of 165,000 this year from 223,000 in 2018, though last year's figures are expected to be revised down substantially based on a recent preliminary estimate. A low unemployment rate has made it harder for employers to find qualified workers.
Also, the economy has slowed from its brisk pace last year because of the fading impact of Republican-led tax cuts and spending increases, President Trump's trade war with China and sluggish economies in other nations. The trade fight has also dampened business confidence and investment and hurt manufacturers.

やや長く引用してしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門と失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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何ともビミョーな結果だと私は受け止めています。非農業部門雇用者の前月差での+130千人増は、Broomberg による市場の事前コンセンサスである+150千人増を下回りましたが、決して悪くない数字ですし、景気の遅行指標とはいえ、失業率も3.7%と、およそ半世紀以来の低い水準にありますから、米国雇用は堅調と私は考えています。でも、景気の一致指標である非農業部門雇用者の伸びは、市場の事前コンセンサスを下回るとともに、このところやや縮小気味であることも確かです。その要因は、米国から仕かけたとはいえ、米中間の貿易摩擦による世界経済の減速ですから、その意味で、米国連邦準備制度理事会(FED)は7月に利下げに踏み切って、米国はほぼ10年半振りに金融緩和局面に入ったわけですが、来年の米国大統領選挙を前にホワイトハウスからの金融緩和圧力は継続していますし、現在のトランプ米国大統領に任命されたパウエルFED議長も苦しい判断かという気はします。特に、米国トランプ政権が重視しているメインストリームの製造業では、今年2019年に入って1~8月の就業者の増加幅が月平均+6千人にとどまっており、2018年平均の+20千人増を上回るペースから大幅にスローダウンしています。加えて、日本では企業部門が国内景気を牽引するんですが、米国では家計消費が景気を引っ張るわけで、小売部門の雇用は注目されるところですが、7か月連続で就業者数が減少しています。もちろん、ネット販売がトレンド的に増加していることから、小売業で構造的に雇用が増加しなくなっているのも事実ではありますが、世界経済の減速とどこまでシンクロしているかは不明なものの、米国経済の懸念材料であることは確かです。

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雇用の最大化という景気動向とともに、物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。米国雇用は底堅くて、労働市場はまだ逼迫を示しており、賃金もジワジワと上昇率を高める段階にあります。すなわち、8月は前年同月比で+3.2%の上昇と、昨年2018年8月に+3%の上昇率に達して、1年に渡って3%台の上昇率が続いています。日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですので、金融緩和に転じたりして物価の方は大丈夫なんだろうか、という心配もあるにはあるものの、基本的に、左派エコノミストである私は金融緩和には賛成だったりします。

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