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2019年9月11日 (水)

足元7-9月期のBSIがプラスを示した法人企業景気予測調査は駆け込み需要によるものか?

本日、財務省から7~9月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は1~3月期▲1.7、4~6月期▲3.7と、2四半期連続でマイナスを付けた後、足元の7~9月期には+1.1とプラスに転じ、先行きの10~12月期▲0.4とふたたびマイナスに転じるものの、来年2020年1~3月期には+1.7と見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況感3期ぶりプラス 7-9月、家電など好調
の景況判断指数(BSI)はプラス1.1だった。プラスは3四半期ぶり。家電販売などが好調な非製造業がプラスに回復。製造業もスマートフォン関連需要の底打ち感などからマイナス幅が縮小した。10月の消費増税を前に景況感の悪化にいったん歯止めがかかった形だが、10▲12月期は再びマイナスの見通しで先行きは不透明だ。
BSIは前四半期と比べた景況判断で「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いた値。前回4▲6月期はマイナス3.7だった。今回の調査時点は8月15日。
大企業のうち製造業はマイナス0.2で4▲6月期のマイナス10.4からマイナス幅が縮んだ。米中貿易摩擦の影響で中国向けの非鉄金属や自動車などは依然さえなかったが、情報通信機器や電気機器がそれぞれ2桁のマイナスだったのが大幅に上向いてプラスになった。超高速の次世代無線規格「5G」や車載向け電子部品の需要が堅調といった声があった。
非製造業はクラウド化などのシステム需要が強いほか、テレビや白物家電の販売が好調でプラス1.8と、2四半期ぶりのプラス。消費増税前の駆け込みについて調査担当者は「白物家電は好調という声が聞かれるが、前回のような大きな需要はみられない」との見方を示した。
大企業全産業で10▲12月期はマイナス0.4と再びマイナスに転じる見込みだ。2020年1▲3月期はプラス1.7の見通しだが、増税後の景況感は不透明だ。

いつもながら、簡潔かつ包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo

法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)は足元の7~9月期に+1.1を示しましたが、大企業の産業別内訳では、引用した記事にもある通り、製造業が前期4~6月期の▲10.4という大きなマイナスに対して、マイナス幅は大きく縮小したものの、7~9月期も依然としてマイナスながら、ほぼ横ばいの▲0.2を記録した一方で、非製造業は前期4~6月期ほぼ横ばいの▲0.4から7~9月期は+1.8とプラスに転じています。となっています。大企業製造業のうち、特にマイナス寄与の大きかった産業を詳しく見ると、非鉄金属製造業と自動車・同附属品製造業が上げられており、逆に、情報通信機械器具製造業と電気機械器具製造業がプラス寄与に転じています。やや複雑な様相ながら、米中間の貿易摩擦の深刻化による先行き不透明感が企業マインドに影を落としていることは間違いありません。他方、大企業非製造業でマイナス寄与が大きいのは卸売業と金融業、保険業が挙げられており、情報通信業と小売業はプラス寄与が大きくなっています。また、先行きの景況感について大企業全産業について見ると、10~12月期は消費税率引き上げが実施されますので、▲0.4と少し落ちはするものの、来年2020年1~3月期には+1.7に戻ると見込まれています。先日、短期経済見通しを取り上げた際にも指摘しましたが、マイナス成長は消費税率引き上げの10~12月期の1四半期で済み、来年2020年1~3月期にはプラス成長に回帰するとの見方がかなり多かったわけですから、それと整合的な景気予想と私は受け止めています。BSI以外では設備投資計画(ソフトウェア投資額を含み、土地購入額を除くベース)だけ見ておくと、全規模全産業で前回調査の2019年度計画+9.0%増から、今回調査では+8.3%増にやや下方修正されました。でも、大きな基調的変化ではないものと私は考えています。製造業と非製造業の間には設備投資計画に大きな差はありません。

企業マインドについては、9月調査の日銀短観が10月1日に公表の予定となっています。米中間の貿易摩擦や世界経済の減速は企業マインドにどのように影響するんでしょうか。また、消費税率の引き上げの影響はどうなんでしょうか。注目したいと思います。

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