企業向けサービス物価指数(SPPI)は6年余りに渡って前年同月比プラスが続く!
本日、日銀から8月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て+0.6%を示しています。前月の+0.6%と同じ上昇率となっていて、引き続きプラスの伸びを続けています。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率もヘッドラインと同じ+0.6%でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
8月の企業向けサービス価格、前年比0.6%上昇 74カ月連続のプラス
日銀が25日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は102.9で、前年同月比で0.6%上昇した。前年同月比での上昇は2013年7月以来74カ月連続。土木建築業や警備サービスを中心に人手不足による人件費の高騰が指数上昇の主因となった。
前月比では横ばいだった。人手不足による人件費が高騰する一方で原油価格の低迷に伴う貨物輸送価格の下落などが影響した。日銀は「値上げに一服感があり伸び率は縮小しているが、指数が堅調に推移しているという基調は変わっていない」とみている。
同指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の146品目のうち価格(消費税の影響を含む)が前年比で上昇したのは87品目、下落は31品目、上昇から下落の品目を引いた差は56品目と、7月(確報値)から6品目増加した。
いつものように、コンパクトながら包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
先月統計と大きな違いはないんですが、前年同月比で見て、土木建築サービスなどの諸サービスが上昇率を高めた一方で、情報通信、運輸・郵便、広告、不動産などが伸び率を低下させています。運輸関連では国際商品市況における石油価格の下落の影響が出ているほか、土木建築サービスが典型的なんですが、引き続き、人手不足によるコストアップの影響も残っています。ただ、一般的な景気状況が従来ほど強い拡張局面でなくなったこともあり、引用した記事にもあるように、値上げに一服感が出ているようです。景気動向次第という気もしますが、引き続き、SPPIの上昇基調には大きな変化はないものと私は考えています。ただ、雇用統計などでも繰り返し指摘していますが、雇用はあくまで生産の派生需要であり、人手不足が景気を牽引しているわけではありません。好景気が人手不足の背景にあるわけですので、景気が悪化すれば雇用が大きく悪化して人手不足から一気に人員過剰に転化する可能性も、決して忘れるべきではありません。
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