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2019年10月 4日 (金)

9月の米国雇用統計は減速を示し金融政策は利下げを模索中!

日本時間の今夜、米国労働省から9月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+136千人増とやや伸びが鈍り物足りない結果に終わったものの、失業率は先月からさらに▲0.2%ポイント低下して3.5%という半世紀ぶりの低い水準を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の8パラを引用すると以下の通りです。

Employers added just 136,000 jobs in September while unemployment hits a new 50-year low
Hiring slowed in September as employers added 136,000 jobs, fueling recession concerns and possibly raising the odds of another Federal Reserve rate cut this month.
The unemployment rate fell from 3.7% to 3.5%, a new 50-year low, the Labor Department said Friday.
Economists expected 145,000 job gains, according to a Bloomberg survey.
Partly offsetting the weak showing: Job gains for July and August were revised up by a total 45,000. July's additions were upgraded from 159,000 to 166,000 and August's from 130,000 168,000.
Average wages, however, fell.
The jobs numbers were released amid mounting concerns that the economy may be heading toward a recession. A manufacturing index this week showed a contraction in activity for a second straight month in September and at the briskest pace in 10 years. Producers cited the toll taken by President Trump's trade war with China and a sluggish global economy.
Of even greater concern is that the much larger service sector is also faltering. An index of activity among services firms revealed expansion last month but at the slowest pace in three years. The service sector makes up 80% of the economy and had been bolstered by steady consumer spending. But U.S. tariffs on Chinese imports are nudging up store prices and dampening retailers' confidence.
Meanwhile, some temporary factors were poised to boost the September jobs numbers. Goldman Sachs expected government hiring for the 2020 census to add 15,000 temporary jobs to the total. And with workers in short supply, the research firm expected businesses to bring on holiday staffers earlier.

やや長く引用してしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門と失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ということで、引用した記事にもある通り、ブルームバーグの調査によれば、市場の事前コンセサスは+145千人増でしたので、やや物足りない結果と受け止められています。前月の雇用増+168千人増から9月の雇用統計は減速し、トランプ米国大統領の重視する製造業は就業者数が減少に転じました。米中間の貿易摩擦が米国雇用を下押しし始めており、米連邦準備理事会(FED)が10月末に3会合連続の利下げを決断する可能性が大きいと私は予想しています。9月の就業者数の伸びが市場の事前コンセンサスを下回っただけでなく、直近3か月の増加幅は月平均157千人にとどまり、2018年通年の+223千人から大きく減速しました。2019年に入ってからの1~9月で見ても、雇用増は平均で+161千人にとどまっており、雇用拡大にはブレーキがかかりつつあると私は受け止めています。目先の焦点は、これらの雇用の伸びの鈍化を受けてのFEDの金融政策運営です。FEDは10月29日~30日に米国連邦公開市場委員会(FOMC)を開く予定となっており、7月のFOMCから2会合連続で利下げを決断しているところですが、次のパラで取り上げる物価上昇の減速も相まって、今月10月末のFOMCでも利下げが決定されるものと私は予想しています。それだけの景気下支えが必要な気がします。

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ただ、景気動向とともに物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。米国雇用がやや減速を示し、賃金上昇率も労働市場の動向に合わせるように鈍化し、9月は前年同月比で+2.9%の上昇と、昨年2018年8月に+3%の上昇率に達して以来、久し振りに+3%を割り込みました。でも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いている一方で、雇用に現れた景気動向から利下げが模索されるのも、左派エコノミストを自称する私から見れば、当然と受け止めています。

なお、遅ればせながら、本日気づいたんですが、国際通貨基金(IMF)のサイトに、秋のIMF世銀総会に合わせて「世界経済見通し」World Economic Outlook についてのアナウンスがあり、Analytical Chapters である第2章と第3章が10月9日の米国東部時間の午前に公表される予定とのことです。また、公表後の適当な時期に取り上げたいと思います。

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