またまた基調判断が「悪化」に引き下げられた8月の景気動向指数やいかに?
本日、内閣府から8月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から▲2.0ポイント低下してで91.7を、CI一致指数も▲0.4ポイント上昇して99.3を、それぞれ記録し、基調判断は4か月ぶりに「悪化」に引き下げられました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
8月の景気指数、4カ月ぶり「悪化」 増税前に停滞
内閣府が7日発表した8月の景気動向指数(CI、2015年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月より0.4ポイント低下して99.3となった。海外経済の減速で生産が鈍り、指数を押し下げた。指数の推移から機械的に決まる景気の基調判断は4カ月ぶりに「悪化」となった。10月の消費増税を前にした国内景気の停滞感が改めて浮き彫りになった。
一致指数は生産や消費などにかかわる9項目の統計から算出する。この指数の動きを基準に照らし、「改善」「足踏み」などの基調判断を機械的に示す。「悪化」は大きく5段階のうち最も下の区分で、景気後退の可能性が高いことを示す。
景気指数による判断は米中貿易戦争の影響で生産が年明け以降に急減したことから、3~4月に2カ月連続で「悪化」だった。5月以降は好調な新車販売などが寄与して「下げ止まり」となっていた。ただ貿易戦争の長期化で世界経済の減速が鮮明になり、国内景気も製造業を中心に下押し圧力がかかり続けている。
この間、政府は公式の景気認識を示す月例経済報告で「緩やかな回復」との表現を一貫して使っている。一致指数の動きのほか、企業の景況感など多くの指標を総合的に考慮して判断しているためだ。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)として重視する雇用情勢も足元でなお堅調だ。
一方で政府は消費増税を挟んでの景気の腰折れは避けたい考え。経済財政諮問会議の民間議員からは、景気下振れリスクが顕在化する「兆し」の時点で経済対策を打つよう求める声も上がっている。増税前からの停滞を引きずる日本経済をどう下支えするか、経済財政運営は難しさを増している。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

繰り返しになりますが、8月のCI一致指数は前月から▲0.3ポイント下降し、3か月後方移動平均でも▲1.03ポイントの下降と、3か月連続の下降となりました。内閣府が示している「『CIによる景気の基調判断』の基準」に従えば、「3か月以上連続して、3か月後方移動平均が下降」かつ「当月の前月差の符号がマイナス」に該当し、景気動向指数の基調判断が「悪化」に引き下げられました。商業販売額(小売業)(前年同月比)と投資財出荷指数(除輸送機械)はプラスに寄与したものの、鉱工業用生産財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、生産指数(鉱工業)、有効求人倍率(除学卒)などがマイナスに寄与しています。引用した記事にもある通り、景気動向指数の基調判断は、今年2019年に入って、米中貿易戦争の影響による世界経済の減速などを受けて生産が減産に転じたことから、3~4月に2か月連続で「悪化」だった後、5月以降は「下げ止まり」に戻っていましたが、10月からの消費税率引き上げを前に駆け込み需要も小さかったことから、8月にはまたまた「悪化」に下方修正されています。まあ、先月統計の公表の段階で、私も8月統計が前月差マイナスなら景気動向指数の基調判断が「悪化」にふたたび引き下げられるのは判り切っていましたし、8月の鉱工業生産指数(IIP)が減産でしたから、連動性の高い景気動向指数CI一致指数が前月差マイナスとなる可能性がとても高いのも見えていましたので、それほど大きなサプライズではありませんが、内閣改造後の臨時国会が始まった冒頭での統計公表ですから、メディア的には囃す可能性が高いと思います。これまた、先月の統計公表時のブログに書きましたが、機械的な景気道央指数に関する基調判断とはいえ、消費税率が引き上げられた直後の景気「悪化」に関するニュースですし、メディアもそれなりに取り上げますし、消費者マインドに対する影響は無視できない可能性があると、私は考えています。
ややボ~ッと生きているうちに、10月に入って、ノーベル賞ウィークを迎えました。来週は経済学賞も発表される予定です。9月25日付けで、いつもの Clarivate Analytics から Citation Awards が明らかにされており、経済学分野でも3名の名前が上がっています。また、日を改めて取り上げたいと思います。
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