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2019年10月 1日 (火)

3四半期連続で企業マインドが悪化した日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から9月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは6月調査から▲2ポイント低下して+5を示した一方で、本年度2019年度の設備投資計画は全規模全産業で前年度比+2.4%の増加と6月調査の結果に比べて、わずかながら上方修正されてます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月日銀短観、大企業・製造業DIはプラス5 3期連続で悪化 非製造業は2期ぶりの悪化
日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス5だった。前回6月調査のプラス7から2ポイント悪化した。悪化は3四半期連続となる。
9月の大企業・製造業DIは2013年6月調査(プラス4)以来6年3カ月ぶりの低い水準となった。米中貿易摩擦などを背景にした世界経済の減速傾向が続き、輸出や生産に勢いはみられない。中国の景気減速懸念などを映した、はん用機械や生産用機械の悪化が目立った。原油安などを背景に石油・石炭製品が大幅に悪化した。一方、受注の底入れや消費増税前の駆け込み需要などで電気機械は改善した。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。9月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス2を上回った。回答期間は8月27日~9月30日で、回収基準日は9月10日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス2と悪化する見通し。市場予想の中央値(プラス1)は上回った。世界景気の減速や円高進行への警戒感から、先行きに慎重な姿勢が強かった。
19年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=108円68銭と、6月調査(109円35銭)に比べると円高・ドル安だった。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス21と前回を2ポイント下回った。業況感の悪化は2四半期ぶり。夏場の天候不順や10連休の反動減などが逆風だった。3カ月先のDIは6ポイント悪化のプラス15だった。宿泊・飲食サービスなどで消費増税後の需要減を懸念する雰囲気が出ている。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス21となり、前回(マイナス21)から横ばいだった。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、マイナスは人員不足を感じる企業の割合の方が高いことを表す。
19年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比6.6%増と、市場予想の中央値(6.9%増)を下回った。世界経済の先行き不透明感などから、設備投資の先送りを検討する企業が一部にあったようだ。

やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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確かに、引用した記事が報じる通り、3四半期連続での業況感の悪化なんですが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲5ポイント低下して+2が予想されていましたから、それなりに底堅いと私は受け止めています。大企業非製造業も同様です。業況判断が悪化した要因は、米中貿易摩擦に起因して中国経済の減速をはじめとする世界経済の低迷です。これに加えて、非製造業では消費税率引き上げ前の駆け込み需要があった一方で、ゴールデンウィークの10連休効果の剥落も景況感の押し下げ要因と考えるべきです。ただ、気がかりなのは先行きであり、一部は短観の統計としてのクセもありますが、私には先行きの悪化幅がかなり大きいと見えなくもありません。この不透明感が設備投資の積み増しも思いとどまらせている可能性があり、しかも、海外要因ですから政府の政策対応や個別の企業努力にも限界があり、いっそうの先行き景況感悪化の懸念につながっている気がします。

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続いて、設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。ただ、足元で設備と雇用の生産要素については、不足感が和らぐとまでいわないまでも、不足感の拡大は止まりつつあるようですが、大企業製造業の生産・営業用設備判断DIは6月調査の▲1から9月調査では+1の過剰感に転化し、また、中堅・中小企業製造業でも同様に設備不足感がプラスの過剰感に転ずるところまでいかないにしても、やや和らいでいるのも事実です。ただ、±1~2ポイントの変化はどこまで現実的かは議論あると私は考えています。雇用人員判断DIも本日公表の9月調査では6月調査から製造業では+2~3ポイントほど不足感が和らいでいますが、非製造業で押しなべて不足感が拡大していますし、製造業でも不足感が▲10を軽く超えており、まだまだ人手不足は深刻であると考えるべきです。ただ、何度も繰り返していますが、雇用は生産の派生需要であり、景気が後退局面に入ると劇的に労働への需要が減少する可能性は忘れるべきではありません。当たり前ですが、人口減少社会とはいえ、永遠に人手不足が続くわけではありません。

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日銀短観の最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2019年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で▲2.8%減という水準で始まった後、6月調査では+2.3%増に上方修正された後、9月調査でもわずかながら+2.4%に上方修正されています。通常の都市の胆管であれば、3月調査は前年度比マイナスから始まるとしても、6月調査で上方修正され、さらに、9月調査でも上方修正される、という統計としてのクセがあるんですが、設備不足感がやや和らぐ中、さらに、世界経済の不透明感も払拭されず、やや設備投資の伸びが力強さに欠ける気もします。もちろん、基本は、人手不足も視野に入れつつ実行される設備投資なんですが、いずれにせよ、2019年度の設備投資計画は前年度比で増加する見込みながら、それほど力強く上向くという実感はないかもしれません。

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最後に、本日は、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも8月の統計です。失業率は前月と同じ2.2%とバブル経済崩壊直後からほぼ四半世紀ぶりの低い水準にあり、有効求人倍率も前月と同じ1.59倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。いつものグラフだけ、上の通りです。

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