3か月連続でマイナス続く機械受注と景気ウォッチャーと経常収支を読み解く!!!
本日、内閣府から9月の機械受注と10月の景気ウォッチャーが、また、財務省から9月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比▲2.9%減の8502億円を示しており、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲10.0ポイント低下の36.7を、先行き判断DIは逆に+6.8ポイント上昇の43.7を、それぞれ記録しています。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆6129億円の黒字を計上しています。まず、とても長くなりますが、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
9月の機械受注、2.9%減 基調判断は引き下げ
内閣府が11日発表した9月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比2.9%減の8502億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値(0.7%増)を下回り、3カ月連続の減少となった。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」へと引き下げた。基調判断を引き下げるのは2018年12月分以来となる。19年4月分から「持ち直しの動き」としていた。
製造業の受注額は前月比5.2%減の3604億円だった。2カ月連続の減少で、17業種のうち7業種で減少した。「非鉄金属」や「石油製品・石炭製品」の分野で落ち込みが顕著だった。
半面、非製造業は2.6%増の4898億円と、3カ月ぶりの増加に転じた。「通信業」や「情報サービス業」などの増加が寄与した。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は5.1%増だった。受注総額は4.9%減、外需の受注額は7.3%減、官公需の受注は26.3%減だった。
7~9月期では前期比3.5%減と、2期ぶりに減少した。製造業は0.9%減、非製造業は7.3%減だった。10~12月期は前期比3.5%増の見通しで、製造業は2.8%増、非製造業は3.7%増を見込んでいる。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
10月の街角景気、現状判断指数は3カ月ぶり悪化
内閣府が11日発表した10月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は36.7で、前の月に比べて10.0ポイント低下(悪化)した。悪化は3カ月ぶり。家計動向、企業動向、雇用が悪化した。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は43.7で、6.8ポイント上昇した。上昇は4カ月ぶり。家計動向、企業動向が改善した。
内閣府は基調判断を「このところ回復に弱い動きがみられる」に据え置いた。
経常収支、9月は1兆6129億円の黒字
財務省が11日発表した9月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆6129億円の黒字だった。黒字は63カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆6846億円の黒字だった。
貿易収支は11億円の黒字、第1次所得収支は1兆8054億円の黒字だった。
同時に発表した4~9月期の経常収支は10兆3382億円の黒字だった。貿易収支は241億円の赤字、第1次所得収支は11兆3079億円の黒字となった。
長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、電力と船舶を除くコア機械受注の季節調整済みの系列の前月比は+0.9%増であり、レンジでは▲9.5~+2.1%でしたから、予測の中央値は前月比プラスとはいえ、リスクを考慮したレンジは下方に広かった、と考えるべきで、もともとが単月の振れの激しい指標ですので、予想と符合が違っていたものの、市場には大きなサプライズはなかった、と私は受け止めています。特に、四半期データが利用可能となり、7~9月期の四半期ベースでは前期比▲3.5%減だった一方で、10~12月期は前期比+3.5%増の見通しとなっていますので、先行き見通しのバイアスをどこまで見込むのかにもよりますが、単純に考えると2019年後半の2四半期をならせばコア機械受注は横ばいということですので、米中貿易摩擦に起因して世界経済が大きく減速している中で、「こんなもん」という相場観ではないか、という気もします。加えて、3か月前の6月統計公表時の7~9月期の予想は▲6.1%減でしたから、この予想からすれば上振れ下、ということにもなります。ただ、3か月連続でのコア機械受注の前月比マイナスですので、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を半ノッチ下げて「持ち直しの動きに足踏み」としています。また、コア機械受注の外数ながら官公需を見ると、8月+36.8%増の反動の要素は考慮しても、9月▲45.2%減を記録しており、経済対策によるテコ入れがなされる予定とはいえ、消費税率引き上げ直前の公共事業の執行姿勢に疑問を持たざるを得ません。緊縮財政を転換することが必要です。
続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。現状判断DIは家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてがマイナスを示し、先行き判断DIはほぼ逆で家計動向関連、企業動向関連ともにプラスながら雇用関連だけがわずかにマイナス、ということになっています。消費税率引上げに起因する動きですので、現状判断DI/先行き判断DIとも家計動向関連のうちの小売り関連が飛び抜けて大きな動きを示しています。まあ、当然です。消費税率引上げ前後の動きとしては、前月の段階で駆込み需要があって現状判断DIが上昇する一方で、先行き判断DIが低下し、消費税率引上げの当月は反動減などから現状判断DIが低下する一方で、先行き判断DIが上昇する、という典型的な動きを示しました。2014年の3~4月とまったく同じでした。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、「回復に弱い動き」で据え置かれています。
最後に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。いずれにせよ、仕上がりの8月の経常収支は最近ではやや大きな黒字なっており、海外からの第1次所得収支の黒字が大きな部分を占めている点については変わりありません。経常収支の背景について見ると、国際商品市況における石油価格の動向にもかかわらず、貿易収支が赤字化しているのは、我が国の景気局面と我が国貿易相手国の景気局面に差が生じ始めた可能性を示唆していると私hは受け止めています。すなわち、我が国国内経済の減速はかなりの程度に実感されているところですが、輸出入の動向を見ると、世界経済の減速は我が国以上にもっと進んでいる可能性があると、私は受け止めています。その意味で、貿易収支の動向にも注視が必要かもしれません。
最後に、どうでもいいことながら、私は天皇制については退職した国家公務員、というか、日本国民として、かなり少数派に属する考えを持っていることは自覚していて、昨日の祝賀パレードには何の興味もありませんでした。そして、我が家で購読している朝日新聞の本日付け夕刊の「素粒子」で昨日のパレードの国旗についての疑問が呈されていて、誰が費用を負担しているかは詳しく知りませんが、我が家が青山に住んでいたころ、下の倅は東京都心でボーイスカウト活動に参加していたことから、正月一般参賀の折りには皇居に行って、日の丸配布の奉仕活動していた時期があり、当時の財団だか、社団だかの国旗協会から紅白まんじゅうをもらって帰っていました。私は下の倅に「万歳三唱には加わる必要はない」といい置いていた記憶があります。
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