リーマン・ショック時以来の2019年7-9月期の倒産増加率をどう見るか?
上のグラフの引用元である東京商工リサーチによれば、今年2019年7~9月期のの倒産件数は2,182件で、前年同期比+8.1%増に上り、+13.4%増を記録したリーマン・ショック直後の2009年1~3月期以来の高い倒産増加率だったようです。
こういった倒産件数の増加の兆しは、東京商工リサーチが指摘している通り、すでに日銀「金融システムレポート」でも信用コストの増加として取り上げられており、その背景として、「金融システムレポート」(2019年10月)概要の p.22 から2点引用すると、①金融機関との取引履歴が比較的長い、一部の業況不芳先における経営再建の遅れ、②近年、金融機関が貸出増加に取り組んできたもとでの一部審査・管理の引き緩み、を上げています。
なお、現在では、景気動向指数に採用されていませんが、倒産件数は逆サイクルで景気先行指標と考えられています。その昔の1960年代には、当時の経済企画庁の景気動向指数のうちの先行指数に採用されていましたし、私の知る限りでやや記憶は不確かなんですが、兵庫県統計課が作成・提供している兵庫県域の景気動向指数の先行系列にも逆サイクルで倒産件数が採用されているんではないかと思います。ですから、もしも、あくまで、もしも、ですが、倒産がジワジワと増加を示しているのであれば、あるいは、あくまで、あるいは、なんですが、景気後退局面がジワジワと近づいているのかもしれません。
まったくどうでもいいことながら、日銀「金融システムレポート」を少しばかり読んでいて、長らくエコノミストの仕事をして来ていながら、定年退職したとはいえ、また、金融分野はそれほど詳しくないとはいえ、「業況不芳先」とか、「引き緩み」という用語は不勉強にして初めて見ました。もちろん、「引き締め」というのは使ったこともあるんですが、その逆が「引き緩み」とは知りませんでした。この先、エコノミスト的な職に復帰する際には、もっと本格的な勉強が必要かもしれません。
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