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2020年2月 7日 (金)

「悪化」の基調判断が続く景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から昨年2019年12月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から+0.8ポイント上昇して91.6を、CI一致指数は前月と同じ94.7を、それぞれ記録し、統計作成官庁である内閣府による基調判断は、5か月連続で「悪化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の景気一致指数は横ばい 基調判断「悪化」は5カ月連続
内閣府が7日発表した2019年12月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比横ばいの94.7だった。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を5カ月連続で「悪化」に据え置いた。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち3項目が指数のプラスに寄与し、4項目がマイナスに寄与した。台風の影響で部品供給が遅れていたショベル系掘削機械で生産が再開した影響で「投資財出荷指数(除輸送機械)」などが伸びた。半面、自動車工業を含む「鉱工業生産財出荷指数」や家電など「耐久消費財出荷指数」は落ち込んだ。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比0.8ポイント上昇の91.6で8カ月ぶりに上昇した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比2.5ポイント上昇の106.9と、2カ月連続で上昇した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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CI一致指数は前月から横ばいだったものの、3か月後方移動平均は3か月連続の下降で▲1.90ポイント下降しています。繰り返しになりますが、5か月連続で、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「悪化」で据え置かれています。ただし、CI先行指数は昨年2019年4月を直近のピークに11月まで半年余り下降を続けていたんですが、12月統計では上昇に転じました。単月の動きですが、先行きの明るさを見た気が品でもありません。ということで、CI一致指数の前月差への寄与度をみると、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)がプラスを示している一方で、マイナス寄与は耐久消費財出荷指数が▲0.52と圧倒的に大きく、昨年2019年10月の消費税率引上げの影響がまだ残っていることがうかがえます。ほかに、鉱工業用生産財出荷指数、有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(小売業)(前年同月比)の寄与もマイナスなんですが、投資財出荷指数(除輸送機械)がプラス寄与で、鉱工業用生産財出荷指数がマイナス寄与というのも、やや違和感あるものの、いずれにせよ、耐久消費財出荷指数に次いでマイナス寄与が大きい鉱工業用生産財出荷指数でも▲0.17ですから、消費の回復が政策プライオリティから見て最大の課題のひとつと考えるべきです。

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ということで、ついでながら、本日、総務省統計局から昨年2019年12月の家計調査の結果が公表されていますにで、簡単に見ておきたいと思います。ヘッドラインとなる2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり32万1380円で、物価変動の影響を除いた実質の変動調整値で前年同月比▲4.8%減少しています。昨年2019年10月の消費税率の引上げから3か月連続の減少となっています。同時に、統計局から、追加参考図表もいくつか明らかにされており、上のグラフはそのうちから 消費税率引上げ前後における消費支出 (季節調整済実質指数) の推移 を引用しています。3%の消費税導入前後、3%から5%への引上げ前後、5%から8%へに引上げ前後、そして、今回の8%から10%への引上げ前後、のそれぞれの時期の消費支出の推移をプロットしています。今回昨年2019年10月の8%から10%への引上げ時は、前回2014年4月の5%から8%への引上げ時に比べて、引上げ幅が小さいとともに食料品などに軽減税率の適用がなされたこともあり、直前月の駆込み需要は小さかったのですが、その後の反動減はそれほど大きな差はないように見えます。加えて、前回2014年時には消費税率引上げから8か月に渡ってマイナスを続けた点も見逃せません。今回2019年10月の消費税率引上げに対しては、現在の中国における新型コロナウィルスの影響など、経済外要因かつ先行きの極めて不透明な要因も加わっていますが、消費にはかなり大きなインパクトが認められる、と覚悟すべきです。

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