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2020年3月17日 (火)

新型コロナウィルスの影響緩和のための経済対策を考える!!!

先週金曜日の3月13日付けで、第一生命経済研から「新型コロナウィルスで必要とされる経済対策」と題するリポートが明らかにされています。私のこのブログで何度か書きましたように、一昨年2018年10~12月期を山として、我が国景気はすでに景気後退局面に入っていた上に、昨年2019年10月から消費税率の引上げが実施され、加えて、今年2020年に入ってからは中国発の新型コロナウィルス(COVID-19)により、我が国経済は大幅な景気の停滞を経験しています。第一生命経済研のリポートでは、この景気局面を脱するための経済対策について論じられています。まず、リポートから1ページ目の(要旨)にある5項目のうち第1項と第2講を引用すると以下の通りです。

(要旨)
  • 経済対策の規模については、景気後退+消費増税+新型コロナウィルスの3重苦に対して、大型の補正予算が組まれることが予想される。しかし、景気後退+消費増税に伴うGDPギャップを解消するのに必要な規模の経済対策を前提とするだけでも9.8兆円規模の追加の経済対策が必要になる。
  • 東日本大震災と2014年4月消費増税の時は、GDPの実績がトレンドからそれぞれ▲3.8兆円、▲3.7兆円程度下方に乖離。消費増税の影響も前回はトレンドから▲0.9%の乖離に対し、今回は▲2.3%もトレンドから下方に乖離していることから、すでに新型コロナウィルス緊急対応策に加えて、需給ギャップの解消に必要な需要創出額10兆円以上の財政措置が必要となる。市場の不安を軽減するという意味でも規模は重要。

現在、参議院で来年度予算が審議中ですが、早くも年度が明けて4月に入れば経済対策の策定が予定されています。その規模感と中身の案などをこのリポートでは議論しているところ、簡単に取り上げておきたいと思います。

photo

上のグラフは、リポート p.2 から引用したGDPギャップの推計結果です。「ESPフォーキャスト2月調査」を利用して延伸して推計した結果です。ただし、3月13日付けの内閣府の今週の指標No.1233で「2019年10-12月期GDP2次速報後のGDPギャップの推計結果について」において、2次QEの下方改定に従ってGDPギャップのマイナス幅も拡大したのは織り込まれていません。ですから、経済対策としては軽く10兆円を超える規模が想定されます。ということで、リポートでは、リーマン・ショック後の2009年4月の「経済危機対策」における財政支出の規模15.4兆円に言及しています。
経済対策の中身についてリポートでは、リーマン・ショック後の定額給付金方式では貯蓄に回って需要が顕在化しない可能性があると指摘し、すでに予定されているマイナンバーカードへのマイナポイントに加えて、リーマン・ショック後のエコポイントに近いキャッシュレスポイント還元に加えて、大胆にも、時限措置による消費税率の引下げまで踏み込んで主張しています。さらに、COVID-19対策としての意味もあるリモート設備導入に向けた補助制度の拡充、特に、学校や家庭にリモート学習可能な設備の導入補助の必要性などを論じています。

新しい経済対策が議論される4月になれば、私も私大教員として日本経済に携わる立場に復帰しています。景気も私の立場もともにビミョーな時期ながら、現在の緊縮財政を打破すべく、いろんな議論が行われるのはいいことだという気がします。

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