新型コロナウィルスの影響により石油価格が下落し消費者物価(CPI)の上昇率も縮小!
本日、総務省統計局から2月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月から少し縮小して+0.6%を示しています。また、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も+0.6%でした。いずれも、消費税率引上げの影響を含んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
2月の消費者物価、コロナ影響じわり マスク3.7%上昇
総務省が19日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.9と前年同月比0.6%上昇した。38カ月連続でプラスとなったが、伸び率は前月より縮小した。原油安などを背景に、エネルギー構成品目が2カ月ぶりに下落に転じたことが影響した。
材料費や人件費の高止まりを受け、外食は引き続き物価上昇に寄与した。一方、電気代や都市ガス代などの下落幅が拡大。ガソリン価格の上昇幅も縮小したことから、物価上昇の伸び率は前月(0.8%上昇)から縮んだ。携帯電話の通信料も大手各社の値下げの影響で、引き続き物価の下げ圧力となった。
足元で感染が拡大する新型コロナウイルス感染症のCPIへの影響については「一部の品目で影響が出た可能性があるが、全体に与える影響は小さかった」(総務省)と分析している。
具体的に新型コロナの影響が出た可能性があるものとしては、マスクの価格は前年同月比3.7%上昇した。宿泊料も下落幅が拡大。総務省は「新型コロナの感染拡大を受け訪日客が減少し、宿泊料値下げにつながった可能性もある」とみていた。
2月の生鮮食品を除く総合では397品目が上昇した。下落は106品目、横ばいは20品目だった。総務省は「緩やかな上昇が続いている」との見方を据え置いた。
2月の全国CPIで、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.8と0.6%上昇した。生鮮食品を含む総合は102.0と、0.4%の上昇。暖冬の影響で、キャベツなどの生鮮野菜の出荷水準が高く、野菜価格が高騰していた19年2月に比べると「価格が下がっている」(総務省)という。
総務省は昨年10月の消費税率引き上げの影響を機械的に調整したCPIの試算値も公表した。消費税率引き上げと幼児教育・保育無償化の影響を除いた場合、2月の生鮮食品を除く総合の物価上昇率は0.2%上昇と、1月(0.4%上昇)から伸び率は縮小した。
やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

ということで、新型コロナウィルス(COVID-19)は物価にまで影響をもたらしているのは明らかで、半ば面白おかしく、上で引用した記事でも、「マスク」は値上がりで、「宿泊料」は下げ、ということになっています。加えて、「外国パック旅行」や下げているようです。でも、私が考えるCOVID-19の我が国物価への最大の影響は石油価格を通じた価格押下げ圧力です。現在の国際商品市況における石油価格がかなり大幅に下げていることは広く報じられており周知の事実ですが、これはかなりの程度にCOVID-19の影響を受けたものです。すなわち、COVID-19の感染拡大を防止するため、我が国でも一部の国からの入国制限を設けており、逆に、我が国からの入国制限を課している国も少なくないことなど、ヒトやモノの移動が停滞しており、加えて、株式市場だけでなくマクロ経済の低迷が鮮明になっていることから、石油への需要が大きく減退している上に、産油国の間では価格支持のための減産合意どころではなく、逆に、サウジアラビアが増産するなど、世界的に石油の需給が緩んだことから、日経新聞のサイトで報じられているように、世界的な石油価格の指標となるWTI先物がバレル20ドルの安値を付けていたりします。ですから、かなりの程度に、先行き物価動向もCOVID-19次第の部分があります。
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