「OECD経済見通し」新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で大きく下方修正!!!
昨日、経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し中間評価」OECD Economic Outlook, Interim Report March 2020 が公表されています。副題は Coronavirus: the world economy at risk となっており、そのものズバリです。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。リポートのヘッドラインとなる世界経済の今年2020年の成長率は昨年2019年11月時点から▲0.5%ポイント引き下げて、+2.4%に下方修正しました。いうまでもなく、新型コロナウィルスの影響による下振れです。まず、OECDのサイトから経済成長率見通しの総括的なグラフを引用すると以下の通りです。
繰り返しになりますが、ほぼほぼ新型コロナウィルス(COVID-19)の影響により、世界経済の成長率見通しは下方修正されています。具体的な数字をお示しすれば、今年2020年+2.4%と昨年2019年11月時点の見通しから▲0.5%ポイント下方修正されています。2020年の成長率見通しを前回2019年11月時点の見通しとの比較でもう少し国別に細かく見ると、米国はわずかに▲0.1%ポイント下方修正の+1.9%成長、ユーロ圏欧州も▲0.3%ポイント下方修正で+0.8%成長、と見込まれている一方で、日本は▲0.4%ポイントの下方修正で+0.2%とギリギリプラス成長と見込まれ、震源地の中国は▲0.8%下方修正の+4.9%成長と+5%を割り込む予想となっています。上のグラフでも、新興国の方が先進国よりも下方修正幅が大きくなっているのが見て取れます。
しかし、今回の見通しではベースケースのシナリオについて、2020年1~3月期が流行のピーク epidemic peak で、その後は徐々に回復すると見ていますので、2021年見通しは逆に上振れる可能性が示唆されています。すなわち、2021年成長率見通しを前回2019年11月時点と比較すると、世界経済全体では+0.3%ポイントの上振れで+3.3%成長が見込まれており、国別では日本とユーロ圏欧州については前回見通しから変化ないものの、米国は+0.1%ポイント上振れ、中国に至っては+0.9%ポイントの上方修正を見込んでいます。このあたりは、COVID-19の流行の広がりと終息時期によりますから、何ともいえませんが、当然ながら、早期にCOVID-19の流行が終息すればV字回復の可能性もあり得る、ということなのだろうと私は考えています。いずれにせよ、先行き経済見通しは現時点では極めて不透明としかいいようがありません。

本日、内閣府から2月の消費者態度指数が公表されています。2人以上世帯の季節調整済みの系列で見て、前月から▲0.7ポイント低下して38.4を記録しました。上のグラフの通りです。なお、ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。`消費者態度指数を構成するコンポーネントで詳しく見ると、4項目すべてが前月統計から低下している中で、もっとも大きな落ち込みを示したのが▲2.4ポイント低下の雇用環境でした。コンポーネントは別に収入などがあるとはいえ、GDP需要項目の中で最大のシェアを占める消費の基礎となる雇用に関するマインドが低下したのは気がかりです。なお、統計作成官庁である内閣府による基調判断は「足踏み」で据え置かれています。
| 固定リンク
コメント