6か月連続で「悪化」の基調判断続く景気動向指数をどう見るか?
本日、内閣府から1月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から▲0.7ポイント下降して90.3を、CI一致指数は前月から+0.3ポイント上昇して94.7を、それぞれ記録し、統計作成官庁である内閣府による基調判断は、6か月連続で「悪化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
1月の景気動向指数、基調判断は6カ月連続「悪化」
内閣府が6日発表した1月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.3ポイント高い94.7と、4カ月ぶりに上昇した。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を6カ月連続で「悪化」に据え置いた。08年6月から09年4月まで11カ月連続で「悪化」となって以来の長さとなる。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち5項目が指数のプラスに寄与した。自動車や二輪車の生産が堅調で「耐久消費財出荷指数」が伸びた。米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」のサポートが1月に終了したのを受けてパソコンの需要が膨らみ「商業販売額(小売業)」も伸びた。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比0.7ポイント低下の90.3だった。低下は2カ月ぶり。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比0.4ポイント低い103.4と、3カ月ぶりに低下した。
指数公表にあわせて西村康稔経済財政・再生相が談話を発表した。「新型コロナウイルスの影響が世界全体に広がりつつあり、我が国経済にも相当の影響をもたらしてきている」としたうえで「流行を早期に収束させ得ることが最大の課題」との認識を示した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

まず、CI一致指数について月別の推移を見ると、消費税率引上げのあった昨年2019年10月から12月まで3か月連続で下降した後、本日公表の今年2020年1月統計では+0.3ポイントの上昇を示しましたが、昨年2019年10月の100.7から12月の94.4まで▲6.3ポイントの下降そ示した後の1月統計での+0.3ポイントの戻りですから、まったく力強さに欠けているとしかいいようがありません。このペースで上昇しても、2019年9月の水準に戻るには20か月以上かかることになってしまいます。その上、本日公表されたのは1月統計ですから、基本的に、景気の自律的な推移だけでこの動きを示していて、というのはややおかしいんですが、ハッキリいって、新型コロナウィルス(COOVID-19)の経済への影響はほぼほぼ含まれていないと考えられますので、COVID-19の影響が現れ始めると考えられる2月統計では、さらに景気動向指数の水準が下降するものと覚悟すべきです。1月統計のCI一致指数では、耐久消費財出荷指数や商業販売額(小売業)(前年同月比)などの消費関連指標のプラス寄与が大きく、昨年2019年10月の消費税率引上げのダメージから少しずつ復活の兆しが見え始めていたんですが、COVID-19ですべて吹き飛んだ気がします。私が今日見かけた大和総研のリポート「【改訂】新型肺炎拡大による日本経済への影響度試算」では、短期終息でもGDPは▲4.5兆円程度の減少を示す可能性が示唆されていましたし、webにはアップされていない顧客向けニュースレターながら、SMBC日興証券のリポートでも同様に、感染拡大の期間が2~4月の3か月間にとどまったとしても、経済へのダメージはGDP比で▲0.9%、もしも、感染拡大の期間が2~7月の6か月間で、加えて、オリンピックが中止にでもなればリーマン・ショック並みの大きなインパクトの可能性を指摘しています。そうならないことを願うばかりです。
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