2か月連続で改善を示した2月の景気動向指数は激落ちの前の過去の統計!!!
本日、内閣府から2月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から+1.6ポイント上昇して92.1を、CI一致指数も前月から+0.6ポイント上昇して95.8を、それぞれ記録し、統計作成官庁である内閣府による基調判断は、7か月連続で「悪化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
2月の景気一致指数、0.6ポイント上昇 買いだめで小売販売額など増加
内閣府が7日発表した2月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.6ポイント上昇の95.8と、2カ月連続で上昇した。小売販売額の増加などが寄与した。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を7カ月連続で「悪化」に据え置いた。08年6月から11カ月連続で「悪化」となって以来の長さ。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち5項目が指数のプラスに寄与した。新型コロナウイルス感染症の影響によるマスクや除菌製品などの買いだめを反映して「商業販売額(小売業)」が伸びた。海外向けの電子部品・デバイスなどの出荷が堅調で「鉱工業用生産財出荷指数」も伸びた。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比1.6ポイント上昇の92.1で2カ月ぶりに上昇した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比2.7ポイント低下の101.0と、4カ月ぶりに低下した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

CI一致指数をもう少し詳しく見ると、消費税率の引上げが実施された昨年2019年10月のドンと下がった後も、11~12月まで3か月連続で下降を示した後、今年に入って1~2月と2か月連続で上昇しています。本日公表の2月統計では、鉱工業用生産財出荷指数や商業販売額(小売業)(前年同月比)などのプラス寄与が大きかった一方で、有効求人倍率(除学卒)は大きなマイナス寄与となっています。鉱工業用生産財出荷は海外からの需要の増加ですし、商業販売額(小売業)のプラスはマスクは品薄としても、除菌製品やほかの日用品の買いだめ行動を反映している部分が少なくないものと考えています。むしろ、まだ1倍を越えているとはいえ、有効求人倍率の悪化が雇用の悪化を象徴しており、リーマン・ショックときと同じように、派遣などの不安定な非正規雇用から雇用が悪化する可能性が高いと考えるべきです。いずれにせよ、2月の景気動向指数が1月に続いて2か月連続で改善を示したのは、もはや参考値にもならず、まるで「遠い昔の過去の数字」のような気すらします。4月下旬から3月の経済活動を示す統計が出始めますが、この3月統計から4月統計にかけては、新型コロナウィルス(COVID-19)の影響により、昨年2019年10月の消費税率引上げを上回るような大きな経済的なショックが記録されているものと覚悟すべきです。
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