新型コロナウィルスの影響による原油価格低下で企業物価指数(PPI)上昇率はマイナスに落ち込む!!!
本日、日銀から3月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲0.4%の下落と、新型コロナウィルス(COVID-19)の影響による原油価格の大幅下落などから、とうとう、ヘッドラインでもマイナスに転じてしまいました。また、消費税率引上げの影響を除くベースでは▲2.0%の下落と試算されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
3月の企業物価指数、前年比0.4%下落 新型コロナが下押しに
日銀が10日発表した3月の企業物価指数(2015年平均=100)は101.1と、前年同月比で0.4%下落した。下落は5カ月ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な経済活動の停滞や産油国の増産で3月の原油価格が大きく下落し、石油・石炭製品や化学製品で価格が下落した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。円ベースでの輸出物価は前年同月比で5.1%下落した。下落は11カ月連続で、前月比も2.3%下落した。輸入物価は前年同月比7.7%下落し、前月比でも4.7%下落した。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。19年10月の消費税増税の影響を除いたベースでの企業物価指数は前年同月比で2.0%、前月比で0.9%下落し、99.5だった。増税の影響を除いた企業物価指数が100を下回るのは17年11月(99.8)以来だ。水準としては17年10月(99.4)以来2年5カ月ぶりの低さだった。
品目別に見ると3月の原油価格下落を背景に石油・石炭製品や化学製品で下落が目立ったほか、新型コロナの拡大による市況の悪化で非鉄金属やスクラップ類でも価格の下落が大きかった。新型コロナの感染拡大は4月に入っても収束が見通せない状況で、企業が設定する価格には今後も下押し圧力がかかりそうだ。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。
引用した記事にもあるように、新型コロナウィルス(COVID-19)の影響に加えて、産油国の足並みがそろわずに、国際商品市況で石油価格が大きく下げており、例えば、国内物価のコンポーネントのうち、石油・石炭製品が前年同月比で▲10.3%の下落を示しており、加えて、中国経済の落ち込みを反映して、非鉄金属も▲7.6%の下落を記録しています。輸入物価のコンポーネントである石油・石炭・天然ガスに至っては、円建てで▲14.9%のダウンとなり、輸入物価の平均でも▲7.7%の下落を記録しています。これも、COVID-19の影響が大きいんですが、世界的な経済停滞の影響で輸出物価も▲5.1%下落とマイナス幅を拡大しています。従来からこのブログで私が主張している通り、我が国の物価は日銀の金融政策よりも、石油価格によって大きく振れますので、COVID-19の影響により、ここまで石油やエネルギー価格が低下したんですから、我が国の国内物価も総崩れの観があります。
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