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2020年5月20日 (水)

わずかな減少にとどまった3月統計の機械受注は過去の数字か?

本日、内閣府から3月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比▲0.4%減の8547億円と2月の増加の後、3月は減少を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の機械受注、前月比0.4%減 市場予想は7.0%減
内閣府が20日発表した3月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比0.4%減の8547億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は7.0%減だった。
うち製造業は8.2%減、非製造業は5.3%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は0.7%減だった。内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
1~3月期の四半期ベースでは前期比0.7%減だった。4~6月期は前期比0.9%減の見通し。
同時に発表した2019年度の受注額は前年度比0.3%減の10兆4036億円だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月比▲7.0%減であり、予測レンジ上限は▲4.0%減でしたから、予想の上限を突き抜けたサプライズ、ともいえますが、予測したエコノミストの方で新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響の織り込みが早すぎたんではないか、という気がします。四半期でならしてみると、1~3月期は製造業が増加した一方で、船舶と電力を除く非製造業がマイナスとなり、コア機械受注合計ではわずかにマイナスの前期比0.7%減を記録しています。そして、4~6月期の見通しはコア機械受注でわずかに▲0.9%減の2兆5,288億円を見込んでいます。在宅勤務のための投資があるかもしれないとは思うものの、これはにわかには信じ難い数字であり、コア機械受注に対する先行指標と見なされている外需が4~6月期に▲13.7%減と予想されている結果に比べて、あまりにも楽観的な数字であはなかろうか、と私は受け止めています。いずれにせよ、本日公表の機械受注統計は実績である3月統計にせよ、部分的ながら、4~6月期の見通しにせよ、早くも「過去の数字」になったように私は受け止めています。

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