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2020年5月14日 (木)

大きなマイナス成長を見込む1-3月期1次QE予想!!!

先月末4月28日の雇用統計や4月30日の鉱工業生産指数(IIP)と商業販売統計など、ほぼ必要な指標が利用可能となり、来週月曜日5月18日に1~3月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定で、すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元から先行きの景気動向について重視して拾おうとしていて、今回は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための緊急事態宣言などに基づく外出自粛の経済的影響などに注目が集まっています。COVID-19の本格的な影響は、むしろ、4~6月期にこそ現れるとのみ方もあり、テーブルの下3機関以外はほぼ正面から先行きを取り上げています。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研▲1.2%
(▲4.8%)
4~6月期の成長率は、リーマン・ショック後の2009年1~3月期(前期比年率▲17.8%)並みの落ち込みとなる見込み。緊急事態宣言の発令で国内の消費・投資活動が一段と縮小するほか、海外での活動制限の広がりを受けて輸出の減少幅もさらに拡大。もっとも、米欧ほど厳しい活動制限を講じていないため、米欧ほどの落ち込み(前期比年率▲30%程度)にはならない見通し。
大和総研▲1.5%
(▲5.8%)
先行きの日本経済は新型コロナウイルス感染拡大の影響6を受け、急速な悪化が見込まれる。
個人消費は新型コロナウイルスによる活動自粛の影響を受け、旅行・レジャー関連の消費を中心に当面は厳しい状況が続くだろう。感染収束後は、経済対策による消費の下支えが期待されるものの、可処分所得の減少や雇用環境の悪化が下押し要因となり、消費がコロナショック前の水準に戻るまでには時間を要するだろう。
住宅投資は、緊急事態宣言を受けて一部の住宅メーカーの工事が中断されていることが下押し要因となろう。こうした供給制約が剥落した後も、新型コロナウイルス感染拡大に伴う雇用・所得環境の不確実性の高まりが投資を下押しし、弱い動きが続くと考えられる。
設備投資は内外経済の先行き不透明感が高まる中、低迷するだろう。人手不足に対応した合理化・省人化投資や研究開発投資など、一部の費目では増勢を維持する可能性があるものの、それ以外の投資は先送りされるとみられる。
公共投資については、緊急事態宣言を受けてゼネコン各社が一部工事を中断していることが下押し要因となろう。こうした供給制約が剥落した後は、前述した「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」や「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(2019年12月閣議決定)に下支えされ、高水準での推移が続くとみている。
輸出は、世界経済の急速な悪化に伴い落ち込むことが見込まれる。4-6月期は特に欧米向けを中心に大幅に減少するだろう。一部地域ではロックダウンを緩和する動きが出始めているものの、世界経済の本格的な回復はいまだ見通せず、輸出も弱い動きが続くだろう。
みずほ総研▲1.1%
(▲4.3%)
1~3月期の日本経済は、3月末にかけて新型コロナウイルスの影響が強まり、大幅なマイナス成長になった模様である。さらに、消費活動や生産活動に対する新型コロナウイルスの影響が本格化する4~6月期の実質GDPは、年率2桁のマイナス成長となりそうだ。
国内では4月7日に7都府県を対象に緊急事態宣言が出され、外出自粛の要請に加え、娯楽施設などを対象に休業要請がなされた。4月16日には緊急事態宣言の対象が全国に拡大されており、4~6月期の個人消費が1~3月期以上に落ち込むことは避けられそうもない
3月調査時点の日銀短観では企業が設備投資計画を大きく修正する動きはみられなかったが、足元の内外需要の急減を受けて資金繰りに懸念が生じている企業も多く、投資行動は急速に慎重化しているとみられる。4~6月期は設備投資のマイナス幅も大きく拡大するであろう。
新型コロナウイルス感染防止のためのロックダウンは、先進国だけでなく、アジア・南米・中東・アフリカなどの新興国にも拡大している。そのため、4~6月期の輸出は1~3月期を上回るマイナスになる可能性が高い。
ニッセイ基礎研▲0.9%
(▲3.6%)
4月以降は、緊急事態宣言の発令とそれに伴う休業要請を受けて、民間消費、住宅投資、設備投資の大幅減少が不可避とみられることから、経済活動の縮小ペースは一段と加速する可能性が高い。現時点では4-6月期の実質GDPは前期比年率▲30%台のマイナス成長になると予想している。
第一生命経済研▲1.2%
(▲4.6%)
新型コロナウイルスの感染拡大による悪影響が大きくなり始めたのは2月末以降であり、1-3月期の結果には悪影響の一部しか反映しきれていない。4-6月期は悪影響がフルに効いてくる上、4月に発令された緊急事態宣言後、経済活動の抑制度合いが一層強まったことから、景気は急激な悪化となる可能性が高い。4-6月期は前期比年率で2割を超えるマイナス成長になると予想している。
なお、足元における悪化はサービス業を中心とした非製造業に集中しているが、今後は製造業でも悪化が加速する可能性が高い。感染拡大抑制のためのロックダウンの影響により海外経済が急激に悪化していることから、日本からの輸出も今後大幅な悪化となることは確実な情勢である。輸出減を受けて国内でも工場の操業停止等の動きが広がっており、生産は今後急速に悪化するだろう。内外需ともに状況は非常に厳しく、下支え役不在のなか、日本経済は全面的な落ち込みとなる可能性が高い。
伊藤忠総研▲0.2%
(▲1.0%)
今回実施された推計方法の修正でも3月の落ち込みは十分に織り込まれていないとみられ、2次速報では下方修正される可能性が高い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲1.7%
(▲6.5%)
2020年1~3月期の実質GDP成長率は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて内外需要が急速に冷え込んでおり、前期比-1.7%(年率換算-6.5%)と2四半期連続で大幅なマイナス成長に陥ったと予測される。新型コロナウイルスの感染による経済への打撃の大きさを、改めて確認することになりそうだ。
三菱総研▲1.3%
(▲5.1%)
2020年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比▲1.3%(年率▲5.1%)と、2四半期連続の大幅なマイナス成長を予測する。国内外での新型コロナウイルスの感染拡大により、内需や輸出入が総じて減少したとみられる。

ということで、各シンクタンクとも2四半期連続のマイナス成長は確定というカンジです。当然ながら、主因は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的な影響であり、足元の4~6月期にはさらにマイナス幅が拡大して、3四半期連続のマイナス成長がほぼほぼ確定です。焦点はどこまで4~6月期のマイナス幅が拡大するか、というような気すらします。ただ、5月末までの緊急事態宣言の延長とはいいつつも、13の特別警戒都道府県はともかく、徐々に経済活動再開の動きも見え始めていることも事実です。その昔に、COVID-19拡大防止が達成されたら、あるいは、ひょっとして、V字回復の可能性もなくはなかったような議論もあったんですが、そういった楽観的な見方は吹き飛びました。ワクチン開発が進まなければ、私の直観ながら、「自粛と感染拡大沈静化」のセットと「自粛解除と感染拡大再発」のセットという循環が徐々に減衰しつつ繰り返されるんではないかという気がします。繰り返しになりますが、ワクチン開発が進まなければ長期戦なのかもしれません。いずれにせよ、私には先行きは見通せません。
下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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