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2020年5月29日 (金)

新型コロナウィルスの影響で急速に悪化する経済指標のうち、大きな懸念は休業者急増の雇用統計!!!

本日は月末最終の閣議日ということで、重要な政府統計がいくつか公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、内閣府から消費者態度指数が、それぞれ公表されています。消費者態度指数が5月の統計である以外はすべて4月統計です。まず、鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で見て、前月から▲9.1%の減産を示し、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲13.7%減の10兆9290億円、季節調整済み指数でも前月から▲9.6%減を記録しています。失業率は前月から+0.1%ポイント上昇して2.6%、有効求人倍率は前月から▲0.07ポイント低下して1.32倍と、雇用も悪化しています。いずれも新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によるものと考えられます。ただ、5月の消費者態度指数は4月から+2.4ポイント上昇して22.4となり、5か月振りで前月を上回りました。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

コロナ、生産・雇用直撃 鉱工業過去最大の9.1%低下
新型コロナウイルスの感染拡大による影響で生産や雇用、消費指標が大きく落ち込んだ。経済産業省が29日発表した4月の鉱工業生産指数速報(2015年=100、季節調整済み)は前月比9.1%低下し87.1だった。比較可能な13年1月以降で最低の水準を記録した。有効求人倍率は約4年ぶりの低水準で、小売業販売額は前年同月比13.7%減の10兆9290億円だった。
4月の鉱工業生産は過去最大の下げ幅だった。経産省は基調判断を「生産は急速に低下している」に下方修正した。
15業種中14業種が低下した。自動車は前月比33.3%低下した。国内外で需要が低迷し、部品調達の停滞や工場の稼働停止も影響した。自動車メーカーの減産などが波及し、鉄鋼・非鉄金属工業も14.3%低下した。航空機部品を含む輸送機械工業は25%低下した。
一方、半導体製造装置などの生産用機械工業は2.5%上昇した。大きく低下した3月から戻った要素が大きい。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、5月は前月比4.1%の低下、6月は同3.9%の上昇を見込む。輸送機械工業などを中心に増産が予想されている。経産省は「先行きを見通すのは難しく、少なくとも6月までは低い生産水準で推移するだろう」と分析している。
雇用指標も悪化した。厚生労働省が29日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.32倍で前月から0.07ポイント低下した。16年3月以来、4年1カ月ぶりの低水準となった。景気の先行指標となる新規求人は前年同月比で31.9%減と09年5月以来、10年11カ月ぶりの下げ幅となった。
総務省が29日発表した4月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で前月から0.1ポイント悪化した。就業者数(同)は前月に比べ107万人減少し、1963年1月以来の下げ幅となった。完全失業者数(同)は178万人で6万人増えた。
新型コロナウイルスの感染拡大で求職活動をしておらず、失業者と統計上みなされていない人は多い。失業率は今後、跳ね上がる可能性がある。
4月の休業者数は597万人と過去最大になった。前年同月比で420万人増えた。リーマン・ショック直後の休業者数は100万人程度で、異例の伸び幅になっている。景気悪化が長引けば、企業は休業者を雇い続けるのは難しくなる。
5月の消費者態度指数、前月比2.4ポイント上昇の24.0
内閣府が29日発表した5月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比2.4ポイント上昇の24.0だった。内閣府は消費者心理の判断を「急速に悪化している」から「依然として極めて厳しいものの、下げ止まりの動きがみられる」に上方修正した。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について、今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と回答すればゼロになる。

いくつかの統計を取り上げていますのでとても長くなってしまいましたが、いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生産はわずかに▲5.4%の低下にとどまるとの見込みながら、レンジでは▲10.5%~▲1.8%でしたので、まあ、何とかギリギリ2ケタ減産には達しなかった、という受け止めをすればいいんでしょうか。引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では、基調判断を先月の「生産は低下している」から「生産は急速に低下している」に下方修正しています。4月実績の2ケタ近い減産に続く5~6月の製造工業生産予測指数を見ると、5月はまだ前月比で▲4.1%の減産が続くとはいえ、マイナス幅はやや縮小し、6月は+3.9%の増産に転じるという見込みが示されていますが、もともとが大きな信頼性を寄せられる統計ではない上に、現在の経済社会の状況からして、少なくとも6月から増産に転じるという先行き見通しは、やや怪しいといわざるを得ません。ただ、私の住む関西圏に続いて、東京都をはじめとする首都圏においても、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大防止を主眼とする非常事態宣言が解除されましたし、徐々に経済社会が正常に戻るとすれば、確かに、生産については足元の5月が底という可能性も十分あります。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期であり、このブログのローカルルールは上の鉱工業生産指数と同じです。消費の代理変数となる小売販売額を見ると、繰り返しになりますが、季節調整していない原系列の前年同月比は▲13.7%減の10兆9290億円、季節調整済みの系列で見て前月比▲9.6%減を記録しています。広く報じられている通り、私の実感としても、食料品をはじめとしてスーパーは人出あったように感じられましたが、百貨店は食料品売場などの一部を除いて閉店を余儀なくされたケースもあり、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、スーパーは3月+2.6%増に続いて、4月も+3.6%の増加を示した一方で、百貨店は3月▲32.6%減のあと、4月はとうとう▲71.5%減となっています。ただ、全体として増加したスーパーの4月統計でも、食料品は+12.3%の増加を示した一方、衣料品は半減の▲52.6%減となっています。こういった業態別、あるいは、商品別の統計は、COVID-19の影響を強く示唆している、と私は考えています。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。景気局面との関係においては、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と、エコノミストの間では考えられています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、ほかと同じように、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、失業率は3月の2.5%から4月は2.7%に上昇するという見込みだったところ、2.6%で踏みとどまった、といったところかもしれません。ただ、引用した記事にもあるように、懸念されるのは休業者の急増です。すなわち、総務省統計局から「就業者及び休業者の内訳」なる追加参考表が明らかにされていて、休業者が今年2020年に入ってから急増し、1月194万人、2月196万人だった後、3月には249万人、4月はとうとう597万人に達しています。4月の休業者は1~2月の水準からほぼ+200万人の増加となっており、4月統計における完全失業者はまだ200万人を下回っているとはいえ、急増した休業者がもしも失業者に転じれば、失業率は一気に上昇しかねない、と考えるべきです。企業が雇用保蔵をしていたり、あるいは、COVID-19のために求職活動に乗り出せない人などが多いと見られますが、統計上の実績値としての失業率はまだ2%台半ばとしても、休業者の今後の動向によっては失業率が5%を上回る水準に達する可能性も十分あります。加えて、何度か書いたことがありますが、上のグラフに取り上げた雇用統計の指標について景気とのシンクロは、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人は倍率にせよ求人数にせよ先行指標、と多くのエコノミストに見なされています。ですから、休業者の急増と失業率の遅行性を考慮すると、先行きさらに失業率が上昇する可能性は大きいと考えられます。

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続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影を付けた期間は景気後退期であり、このブログのローカルルールは上の鉱工業生産指数や商業販売統計や雇用統計と同じです。5月統計の消費者態度指数を4つのコンポーネントで前月4月との差を少し詳しく見てると、すべてのコンポーネントが改善を示し、「暮らし向き」が3.1ポイント上昇し25.0、「耐久消費財の買い時判断」が3.0ポイント上昇し26.3、「雇用環境」が1.8ポイント上昇し16.8、「収入の増え方」が1.5ポイント上昇し27.8となりました。消費に直結する「雇用環境」と「収入の増え方」の上昇幅が小さくて少し気がかりながら、引用した記事にあるように、統計作成官庁の内閣府が基調判断を「急速に悪化している」から「依然として極めて厳しいものの、下げ止まりの動きがみられる」に上方修正した気持はよく判ります。消費者態度指数のようなマインド指標のソフトデータは明らかにハードデータに先行しますから、生産動向と合わせて見て、この4~6月期がCOVID-19の影響を脱して、景気が底を打った可能性はあると私は考えています。ただ、もしそうであっても、V字回復ではなくL字に近い可能性の方が大きいと覚悟すべきかもしれません。

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