大きく落ち込んだ機械受注と下げ足を速める企業物価(PPI)!!!
本日、内閣府から4月の機械受注が、また、日銀から5月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注のうち、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比▲12.0%減の7526億円と大きな減少を示し、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率も▲2.7%の下落を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
4月の機械受注、12.0%減少し5年ぶり低水準 設備投資手控え
内閣府が10日発表した4月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比12.0%減の7526億円だった。2カ月連続で減少し、2015年4月以来5年ぶりの低水準となった。減少率は18年9月以来の大きさだった。QUICKがまとめた民間予測の中央値(8.6%減)以上に落ち込んだ。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、設備投資が手控えられた。3月に大型案件が受注額を押し上げていた反動も出た。
内閣府は基調判断を「足元は弱含んでいる」に下方修正した。下方修正するのは6カ月ぶりとなる。
製造業の受注額は前月比2.6%減の3342億円だった。3カ月連続の減少で、17業種のうち11業種で減少した。工作機械などの「はん用・生産用機械」や、航空機など「その他輸送用機械」で受注減少が目立った。
非製造業は20.2%減の4063億円と3カ月ぶりに減少した。減少率は比較可能な05年4月以降で最大となる。前月に大型案件があった宅配などの運輸業・郵便業で反動減が出た。小売店の休業などで「卸売業・小売業」が減少した。
受注総額は前月比8.3%減だった。外需の受注額は21.6%減と3月(1.3%減)から減少幅を広げた。官公需の受注額は7.2%減だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は17.7%減だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
5月の企業物価指数、3年7カ月ぶり下落率 原油安など重荷
日銀が10日発表した5月の企業物価指数(2015年平均=100)は99.1と前年同月比で2.7%下落した。3カ月連続のマイナスで、下落率は16年10月以来3年7カ月ぶりの大きさだった。新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした原油価格の下落が、物価の重荷となった。自動車の生産が一時中断した影響で鉄鋼などの価格が下落したことも響いた。前月比では0.4%の下落だった。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。円ベースでの輸入物価は前年同月比17.6%下落した。マイナス幅は16年8月以来の大きさだった。原油やナフサなどの値下がりが大きかった。円ベースでの輸出物価は前年同月比で6.5%の下落、前月比で1.2%の下落だった。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。消費増税の影響を除くベースでの企業物価指数は前年同月比で4.1%下落した。下落率は16年7月以来の大きさだった。
やや長くなりましたが、いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で前月比▲8.8%の減少、レンジ下限は▲22.7%減ということでしたので、まあ、こんなものかという気もします。かなり大きな2桁マイナスでしたので、統計作成官庁である内閣府では基調判断を先月の「足踏みがみられる」から「足元は弱含んでいる」に下方修正しています。コア機械受注の外数で先行指標となる外需の受注額は▲21.6%減を記録しています。産業別には、製造業が先月統計から▲2.6%減で踏み止まっているのに対して、船舶と電力を除くコア非製造業は▲20.2%と大きな落ち込みを記録しています。非製造業のうち、運輸業・郵便業は宅配などで業務の増加が見られると私は考えないでもなかったんですが、先月統計の+82.0%増の反動で▲61.0%減となったほか、特徴的なところでは、卸売業・小売業が▲17.9%減、建設業が▲11.6%減、また、製造業ながら航空機などを含む「その他輸送用機械」が▲30.5%減となっています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で先行き不透明感が大きくなり、設備投資にもマイナスとなって現れるのは当然といえます。

続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、機械受注のグラフと同じで、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前年同月比▲2.4%の下落、レンジの下限が▲2.7%ということでしたので、まさにその下限ということになります。上のグラフのうちの上のパネルで輸入物価が大きく下げているのは原油価格の下落の影響が大きいと私は考えています。2015=100の季節調整していない原系列の指数で原油価格は、今年2020年に入って1~2月は117.3だったのですが、3月96.8、4月63.9、5月32.2と大きく下げています。国内物価にも一定のラグを伴って波及すると考えるべきです。
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