血液型O型は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)にかかりにくいのか?
やや旧聞に属する話題かもしれませんが、米国の遺伝子解析会社、ないし、検査キット販売会社から6月8日付けで "23andMe finds evidence that blood type plays a role in COVID-19" と題するリポートが明らかにされています。要するに、血液型O型は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)にかかりにくい、という解析結果が示されています。我が国でも、いくつかのメディアで取り上げられましたが、私が見たのは以下の時事通信と日経新聞です。我が国メディアはやや慎重な取り扱いのようです。
まず、その23andMeのサイトから75万人を対象に実施した調査結果のポイント6点を引用すると以下の通りです。
a first blush look
- The preliminary data suggest that O blood type appears to be protective against the virus when compared to all other blood types.
- Individuals with O blood type are between 9-18% percent less likely than individuals with other blood types to have tested positive for COVID-19, according to the data.
- There appeared to be little differences in susceptibility among the other blood types.
- These findings hold when adjusted for age, sex, body mass index, ethnicity, and co-morbidities.
- Although one study found the blood group O only to be protective across rhesus positive blood types, differences in rhesus factor (blood type + or -) were not significant in 23andMe data. Nor was this a factor in susceptibility or severity in cases.
- Among those exposed to the virus - healthcare and other front line workers - 23andMe found that blood type O is similarly protective, but the proportion of cases within strata is higher.
すなわち、やや順序を入れ替えて、専門外の私にも判りやすくすると、血液型O型の人、実は、我が家では私と上の倅がそうですが、O型は他の血液型に比較してウィルスに対して"protective"であり、COVID-19への罹患率は9-18%低くなっている一方で、他の血液型には差は見られない、と結論しています。そして、この結果は、年齢、性別、BMIで計測した肥満度、民族、他の併存症を考慮しても成り立つ、ということのようです。私はまったくの専門外で、この結果を評価することはできませんが、薬学ではいわゆる「作用機序」というものを重視し、薬がどのように効くのかという因果関係の順序を解明しようとするのに対して、医学では因果関係よりも大量の観察に基づく相関関係に頼る場合が多いような気がします。実は経済学もそうだったりするんですが、科学的な見地からはバックグラウンドとなるモデルが無視されている気もします。でも、開発が急がれているCOVID-19のワクチンないし特効薬に関する貴重な情報かもしれません。というのは、"with corona" という表現を目にするようになりましたが、私はコロナウィルスと共存するなどはあり得ないと考えています。人類が現時点で撲滅した伝染病は天然痘だけですので、COVID-19が完全に地上から消え去ることはないと思いますが、他の伝染病、例えば、赤痢とか、チフスとか、コレラとかは、天然痘のように撲滅されないまでも、通常の日常生活や経済活動には大きな支障を及ぼさない段階まで抑え込まれています。かつては日本の国民病だった結核もそうです。COVID-19についても、これらのレベルまで抑え込むことが必要であり、日本の厚生労働省が提唱するような「新しい生活様式」による"with corona"は、少なくとも、現時点では長い将来に渡る選択肢ではない、というか、少なくとも有力な選択肢にすべきではない、と感じています。
最後に、その23andMeのサイトからグラフを引用すると以下の通りです。
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