国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し改定」では新型コロナウィルス感染症の影響により成長率が下方修正される!
日本時間の昨日、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update, June 2020 が公表されています。ヘッドラインとなる世界経済の成長率は、2020年については4月の見通しから▲1.9%ポイント下方修正されて▲4.9%と、さらに大きなマイナス成長となると見込まれている一方で、2021年についても▲0.4%ポイントの下方修正で+5.4%と、リバウンドもやや小さめに修正されています。特に目新しさは感じないものの、国際機関のリポートを取り上げるのは、この私のブログの大きな特徴のひとつですし、pdfの全文リポートとIMFのブログサイトから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、上のテーブルは、IMFのブログサイトから Latest World Economic Outlook Growth Projections と題する成長率見通しの総括表を引用しています。ホントに簡略化された総括表だけですので、リポート p.7 Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections のページだけを抜き出したpdfファイルにリンクを張ってありますから、クリックすると別タブで開くと思います。繰り返しになりますが、ヘッドラインとなる世界経済の成長率は、2020年については4月の見通しから▲1.9%ポイント下方修正されて▲4.9%と、さらに大きなマイナス成長となると見込まれている一方で、2021年についても▲0.4%ポイントの下方修正で+5.4%と、リバウンドもやや小さめに修正されています。先進国の中でも我が日本は、2020年▲5.8%と4月見通しから▲0.6%ポイント下方修正されており、2021年も+2.4%と同じく▲0.6%ポイント下方修正されています。大雑把に、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)については、先進国ではほぼ終息に向かい、中国を別にすれば、途上国や新興国での感染拡大が焦点となっているように感じていましたし、今回のIMF見通しでも、2021年については先進国全体としては上方修正、新興国・途上国では下方修正、という結論です。ですから、別タブで開くリポート p.7 Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections に示された先進国の中で2021年成長率が下方修正されているのは米国と日本だけだったりします。
次に、上のグラフは、IMFのブログサイトから A deeper recession と Output losses の2つのグラフを引用しています。上の棒グラフでは、2000年成長率見通しの修正が見て取れます。COVID-19感染拡大前の1月見通しでは+3.3%成長と見込まれていた世界経済なんですが、感染拡大に対応するロックダウン真っ最中の4月には▲3.0%のマイナス成長と大きく下方修正された後、かなりの程度に先進国でのロックダウンが解除された6月時点でもまだ下方修正されている、ということになっています。
最後に、IMFではベースラインのほかに、上下のリスクを考慮して、Scenario 1: A Second Global COVID-19 Outbreak in Early 2021 および Scenario 2: A Faster Recovery をシナリオ分析しています。上のグラフは、リポートから Scenario Figure 1. June WEO 2020 Alternative Scenarios (Deviation from baseline) のうちの1から4までを引用しています。というのも、さらに下に5以下のグラフが続いて、政府支出は政府債務残高などのグラフもあるんですが、諸般の事情によりカットしました。当然ながら、2021年初頭に第2波の感染拡大を迎えるとするシナリオ1の赤いラインはベースラインを大きく下回りますし、早期終息のシナリオ2の青いラインはベースラインを上回ることになります。
最後の3枚目のグラフからはカットしてしまいましたが、IMFではCOVID-19感染拡大防止や経済活動の下押しによる税収への効果などから、
がまたまた気にかかり始めているような印象もあります。私のように政府部門の経験が長いながら、政府財政に関してはMMT学派並みに楽観的なエコノミストは少数なのかもしれません。| 固定リンク
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