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2020年6月27日 (土)

今週の読書は経済学の学術書をはじめとして計4冊!!!

ようやく今週に至って、本格的な学術書の経済書も含めて週4冊までピッチが上がりました。らいしゅうも少なくとも1冊は経済書をすでに借りてありますが、ペースは少し落ちそうな気もします。

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まず、古川顕『貨幣論の革新者たち』(ナカニシヤ出版) です。著者は、我が母校である京都大学経済学部の名誉教授であり、経済学史、特に金融史がご専門のようです。ジョン・ローやJ.S.ミルから始まって、私のような中途半端なエコノミストには知られていないような貨幣論者を取り上げています。ジョン・ローなんかは、私には例のバブルの語源にもなった「南海泡沫事件」でしか知りませんが、スコットランドに貨幣が足りないという主張についても、私は不勉強にして知りませんでした。貨幣の起源に関する議論は私には興味ないんですが、貨幣が資本に転化するというマルクス主義的な見方も登場すれば、銀行が貨幣を創造するという、今でいえば、MMTの「キーストローク」マネーのような見方まで、幅広い貨幣論を取り上げ、預金を受け入れて信用を創出する銀行により貨幣が生み出されるように、経済そのものが進化するとともに、経済理解の進化もうかがえます。ただ、本書でも主張されているように、実際の歴史を振り返れば、物々交換経済なんてものはなかったでしょうし、信用は貨幣に先立って経済活動の仲介を始めているのは間違いないと私は考えています。その点で、MMT学派が主張するように、政府が税金を収めるために貨幣を負債として発行する、というのは難点が大きいと思っています。自然発生的だったのは信用であり、その信用が貨幣という形になったのだろうと私は考えています。いずれにせよ、完全に学術書だと考えるべきですが、貨幣や信用、さらにひいては銀行活動などの理解に役立つと思いますが、私には、むしろ、その貨幣をヴェールとしてしか扱わなかった古典派経済学の考えこそが不思議で、なぜそうなったのかにも興味あります。

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次に、岡部直明『分断の時代』(日経BP) です。著者は、日経新聞のジャーナリストであり、2016年の米国大統領選挙と英国のBREXIT国民投票の少し前からの世界的な国際政治の潮流を概観しようと試みています。ジャーナリストらしく、米国のトランプ政権のポピュリズム路線にはとても批判的で、「米国ファースト」をかかげた分断よりも協調と連合を目指す姿勢はとてもいいんですが、これまたジャーナリストらしく、具体的に何を目指して、どのような道筋で進めるかについては、ほとんど言及ありません。本書の立場ではないかもしれませんが、ジャーナリズムのひとつの立脚点として、時の権力に対しては、一定の緊張感を持って対応し、「何でも反対」とまではいわないとしても、一定の冷めた反対意見を提示するのも必要そうな気がしています。その点で、本書の内容は今の米国や欧州の分断の時代に一石を投じていて、それなりの価値はあります。加えて、私がこういった時代の流れを解説した本に求めているのは、今の流れは一時的、というか、循環的なものなのか、それとも、かなり一直線に進むのか、という点です。例えば、今は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で人の流れが止まっているのかもしれませんが、いわゆるグローバル化という流れは押し止めることのできない一直線なものであるのに対して、本書で焦点を当てている分断化というのは、このグローバル化の流れに抗した一時的・循環的な揺り戻しに過ぎないのではないか、という視点を私は持っています。もちろん、だからといって放置すれば元のグローバル化や世界協調の時代に戻るとは考えていませんし、キチンと反対の声を上げることはとても重要だとは思いますが、本書の視点はちょっと違うような気がします。

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次に、金敬哲『韓国 行き過ぎた資本主義』(講談社現代新書) です。著者は日本への留学経験のある韓国出身ジャーナリストです。初等中等教育のころはいわゆる偏差値の高い大学進学を目指し、大学入学後は大企業への就職を目指し、就職した後も会社内での強烈な競争に勝ち抜くことを目指し、なかなか日本人からは想像もできない韓国の強烈な競争社会をルポしています。私は教員ですので、ついつい、大学を目指した競争や大学生の就活の一環としての競争などに目が行きましたが、エコノミストとして、ここまで不毛の競争をすことに何の意味があるのか、という観点は本書には抜けています。少なくとも私が本書を読んだ範囲では、おそらく、教育投資の平均リターンはマイナスでしかないでしょうから、こういった競争は経済活動として成り立ちません。ですから、社会的に不毛の競争は参加者が減少するしかないと思いますが、そうなっていないようです。また、私が経営学のケーススタディに疑問を持つ点として、成功した企業の裏側に大量の失敗企業があるハズ、というのがありますが、その逆で、ここまで強烈な競争をするからには、人い斬りながら成功者がいるのではないか、と想像するわけですが、その方面の実態は本書からはうかがいしれません。ジャーナリストのケーススタディですので、経営学と同じで、都合のいい事例だけを取り出しているような気がしないでもありませんが、もう少し幅広い取材が必要だったのではないか、やや一面に偏りが見られる、と感じる読者もいそうな気がします。

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最後に、守屋淳『『論語』がわかれば日本がわかる』(ちくま新書) です。著者はよく判らないんですが、「大手書店勤務後、中国古典の研究に携わる」とありますので、いわゆる市井の研究者的な存在かもしれません。最近、大学時代の友人から、私の読書感想文を見て読書会のオススメを問われて、小説の好みであれば青山七恵の純文学、お勉強モノなら宮崎市定先生の中国史とかアジア史、とオススメしておきましたが、まあそういった分野なのでしょう。ということで、私は数年前に、どこかの新書で出版された『論語と算盤』を読んだ記憶がありますが、本書でも、新しい一万円札を飾るにふさわしい渋沢栄一翁の思想もひも解きつつ、日本人の『論語』性に考えを巡らせています。長幼の序とか、空気を読むとか、『論語』に起源ある日本人の気質とか組織運営とかに加えて、本書では、論語になく日本的な要素として男尊女卑を加えたいくつかのポイントを『論語』的価値観として列挙して、学校生活、職業生活、などなどをひも解こうと試みています。ただ、比較対象が米国を始めとする西欧ですので、中国や韓国なんかはどうなのだろうか、と疑問に感じる読者は私だけではないと思います。特に、私の場合は、直前に感想文をおいた韓国事情の新書も読んでいますのでなおさらでした。でもまあ、何となく、「日本あるある論」としては説得力ある内容ではないかと思わないでもありません。『論語と算盤』も併せて読みたい気がします。

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