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2020年6月11日 (木)

OECD経済見通しは highly uncertain!!!

昨日、経済協力開発機構(OECD)から最新の「経済見通し」OECD Economic Outlook, June 2020 が公表されています。見通しサブタイトルは The world economy on a tightrope とされており、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、従来からの世界経済のパスが大きく下方修正されています。ほかの国際機関などに比べて、この見通しの大きな特徴は、COVID-19がこのまま終息していく「単発シナリオ」single-hit-scenario と今年2020年中に第2波の感染拡大が襲来する「双発シナリオ」double-hit-scenario の両方を分析の対象としていることです。成長率で見て、感染の第2波が避けられる「単発シナリオ」では、今年2020年は▲6.0%の落ち込みの後、来年2021年+5.2%のリバウンドを予想している一方で、第2波により再びロックダウンを招く「双発シナリオ」では今年が▲7.6%のマイナス成長となる上に、来年のリバウンドも+2.8%にとどまる、と見込んでいます。以下、OECDのプレゼン資料OECDの見通し本体のリポートなどからグラフやテーブルを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の画像は成長率見通しの総括表です。OECDのプレゼン資料の p.5 と pp.20-21 を結合しています。一番上のパネルでは従来シナリオの緑のラインとともに、下方修正された「単発シナリオ」の青いライン、さらに、「双発シナリオ」の赤いラインではさらに下方修正されているのが見て取れます。真ん中と下のパネルではG20やOECD加盟国といった国ごとの成長率見通しの計数が示されています。日本は、「単発シナリオ」では2020年▲6.0%のマイナス成長の後、2021年には+2.1%成長にリバウンドすると見込まれていますが、「双発シナリオ」では2020年▲7.3%まで落ち込んだ後、来年2021年も▲0.5%と、マイナス成長を続ける、と見込まれています。この見通しに従えば、「双発シナリオ」で来年2021年もマイナス成長を続けるのは日本とアイルランドだけとの予想です。

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次に、上の画像は日本に関する経済見通しの総括表です。OECDのリポートの国別見通しのうちの日本について「単発シナリオ」と「双発シナリオ」のそれぞれの見通し表を結合しています。「双発シナリオ」では全体的に「単発シナリオ」から下振れしているのは事実なんですが、特に、民間消費と総固定資本形成の下振れが目立っています。

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OECDの「経済見通し」ですから、政策対応なども盛り込まれているんですが、最後に、上の画像は Key policy messages 3点のスライドです。OECDのプレゼン資料の p.18 を引用しています。保健衛生を含めた健康政策、雇用や企業の継続性とデジタル化などの変革に向けた支援、そして、格差是正にも配慮した景気回復策の3点が強調されています。まあ、そうなんですが、何といってもCOVID-19の終息が最大の課題となりますし、その後はワクチンが実用化されてCOVID-19を特に気にすることなく日常生活や経済活動が続けられるのか、あるいは、日本の「新しい生活様式」のように、COVID-19にも気を配りつつの経済活動再開になるのか、にも大いに関係しますので、私には何とも予見し難いものがあります。

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