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2020年7月30日 (木)

商業販売統計の小売業販売の急回復はホンモノか、それとも一時的か?

本日、経済産業省から6月の商業販売統計が公表されています。統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲1.2%減の12兆2950億円だった一方で、季節調整済み指数では前月から+13.1%増を記録しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響が徐々に軽減されてきている可能性があります。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

6月の小売販売額1.2%減 基調判断「持ち直し」に上方修正
経済産業省が30日発表した6月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比1.2%減の12兆2950億円となった。自動車の販売不振や石油製品の価格下落などが響き、4カ月連続で減少となった。
業種別で見ると、9業種のうち4業種がマイナスだった。普通自動車などの販売が不振だった自動車は17.2%減、価格下落の影響で燃料小売業は14.6%の減少だった。一方、エアコンや洗濯機、冷蔵庫、パソコンなどの販売が好調で機械器具小売業は15.9%増と4カ月ぶりに増加した。野菜の相場高や内食需要の高まりなどを背景に飲食料品は3.0%増加した。
業態別にみると、大型小売店の販売額では、百貨店とスーパーの合計が2.4%減の1兆6776億円だった。百貨店は新型コロナの影響による催事の縮小、インバウンド需要の減少などが響き、18.4%減の4260億円だった。スーパーは内食需要の高まりで主力の飲食料品が好調だったことが寄与し、4.7%増の1兆2516億円だった。
コンビニエンスストアの販売額は5.1%減の9596億円だった。客単価の増加はみられるものの、オフィス街や繁華街を中心に客数が減ったことが響いた。
政府の緊急事態宣言が5月25日に全面解除され、外出自粛や店舗の休業による影響は和らぎつつある。1人10万円の特別定額給付金の支給もあり、小売業販売額の減少幅は4月(13.9%減)や5月(12.5%減)よりは縮小した。経産省は小売業の基調判断を前月の「下げ止まりがみられる」から「持ち直している」に上方修正した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期であり、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。もう少しすれば、今年2020年5月が底だった、という暫定的な同定をするかもしれません。

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引用した記事の最後にあるように、統計作成官庁の経済産業省では、小売業販売の基調判断を前月の「下げ止まり」から「持ち直し」に上方修正しています。繰り返しになりますが、GDP統計の消費の代理変数となる小売業販売を見ると、季節調整していない原系列の前年同月比は、3月▲4.7%減、4月▲13.9%減、5月▲12.5%減の後、直近で利用可能な6月統計でも▲1.2%であり、確かにマイナス幅縮小していますし、同じ小売業販売の季節調整済み指数の系列の前月比を見ても、4月▲9.9%減から、5月は+2.1%増と小幅なリバウンドを見せ、さらに、6月も+13.1%増を示していますから、この結果を見る限り、基調判断の上方修正はOKなような気がします。もちろん、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的な影響が現れていることは明白で、現状では新たな消費の増大というよりは、外出自粛が解除された効果に過ぎませんが、まだマイナスながら前年同月比でかなりゼロ近いところまで回復しているのは評価すべきという気もします。ただし、グラフなどは取り上げませんが、業態別に売上の前年同月比で見て、百貨店の▲18.4%減はまだ大きく、スーパーの+4.7%増は衣料品が▲4.6%減となった一方で、主力商品である飲食料品が+5.9%増となった結果です。コンビニは在宅勤務が続く中で、オフィス街のある店舗の売上ダウンがあって▲5.1%減を示しています。家電大型専門店販売額は+25.6%増ですから、家電量販店の生活家電、AV家電、情報家電ともに2ケタ増となっています。COVID-19の後の消費のニュー・ノーマルかもしれませんが、家電の大幅増は別としても、エンゲル係数の例にもあるように、日本のような先進国経済の消費が食品販売によって牽引されるとも思えません

いずれにせよ、日本に限らず、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で大きなダメージを受けた世界経済の底は4~6月期である可能性が高いとはいえ、第2波や第3波の可能性も排除できませんし、ひょっとしたら、現状がすでにそうなっている可能性すらあります。何よりも、回復ペースは決してV字ではなく、かなりなスローペースを覚悟する必要がある、というのは多くのエコノミストの緩やかなコンセンサスではないかと私は受け止めています。6月の商業販売統計のうちの小売業販売、特に、季節調整済み系列の前月比2ケタ増は、こういったコンテクストで捉える必要があります。

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