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2020年8月31日 (月)

増産を示す鉱工業生産指数(IIP)と小売販売が減少する商業販売統計!!!

本日は月末日ということで、重要な政府統計がいくつか公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)が、また、商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも7月の統計です。まず、鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で見て、前月から+8.0%の増産を示した一方で、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲2.8%減の12兆4360億円、季節調整済み指数でも前月から▲3.3%減を記録しています。7~8月は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染再拡大が見られましたが、生産は大きな落ち込みから徐々に回復を示す一方で、消費はCOVID-19の感染再拡大で伸び悩むという相反した結果が出ています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

7月の鉱工業生産8.0%上昇 経済再開で2カ月連続プラス
経済産業省が31日発表した7月の鉱工業生産指数速報(2015年=100、季節調整済み)は前月比8%上昇の86.6となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で停滞していた経済再開の動きが国内外で広がり、2カ月連続でプラスとなった。経産省は基調判断を「生産は持ち直しの動きがみられる」とした。
比較可能な13年1月以来では最大の上げ幅となった。緊急事態宣言が解除された後の6月は前月比1.9%上昇の80.2だった。大幅な生産調整からの回復が進むが、新型コロナの感染が拡大し始めた20年2月(99.5)や同3月(95.8)の生産水準にはなお届いていない。
業種別では15業種中12業種が上昇した。自動車は前月比38.5%上昇した。国内外で需要が回復し、乗用車などの生産を増やした。ゴム製品を含む「その他工業」は9%の上昇で、鉄鋼・非鉄金属は9.7%上昇した。経産省はタイヤなど自動車部品の生産増が幅広い業種の生産回復に貢献したとみている。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、8月は前月比4%、9月は1.9%の上昇を見込む。経産省は「5月に底を打ち、当面は持ち直しの動きが続くと期待される」との見方を示した。
出荷指数も6%上昇で85.3となり、2カ月連続で13年1月以降では最大の上昇幅を更新した。その結果、鉄鋼・非鉄金属や化学工業などで在庫減が進み、在庫率はマイナス8.8%となった。
7月の小売販売額2.8%減 感染再拡大で回復足踏み
経済産業省が31日発表した7月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年同月比2.8%減の12兆4360億円となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で5カ月連続で前年を下回った。4月の13.9%減を底に、6月には1.3%減まで持ち直していたが、再び減少幅が大きくなった。百貨店やコンビニエンスストアの減少率が6月より拡大した。
業態別では、百貨店が19.8%減、コンビニが7.9%減と大きく減った。6月は百貨店が18.5%、コンビニが5.1%の減少だった。
品目別では、織物・衣服・身の回り品が18.9%減った。6月の6.3%減から悪化した。自動車は15.3%の減少だが、6月より減少幅が縮小している。
7月に入り新型コロナの感染が再び拡大したことや、キャッシュレス決済のポイント還元が6月末に終わったことが響き、消費の回復は足踏みしている。

いくつかの統計を取り上げていますのでとても長くなってしまいましたが、いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生産は+5.8%の上昇との見込みで、レンジでも+3.1%~+7.2%でしたので、上限をやや超える増産となっています。また、製造工業生産予測指数についても、8月+4.0%増、9月+1.9%増と見込まれていますが、バイアスを補正すると8月▲1.7%減と試算されており、このまま一直線に回復するとは必ずしも考えられません。もちろん、COVID-19感染拡大前の今年2020年1月の生産指数の水準が99.8であったのに対して、7月の実績が86.6ですので、生産や出荷の水準がまだまだ低い上に、方向性としても必ずしもプラスではないわけで、COVID-19後の景気拡大の足取りはかなり緩やかにならざるを得ない、と覚悟すべきです。ただ、明るいトピックとしては、7月統計を産業別で見て大きく上昇した寄与度最大の業種が自動車産業であるという点です。何といっても、我が国のリーディング・インダストリーであり、ウェイトも決して小さくない業種ですので、我が国景気を牽引する期待が持てます。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期であり、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで認定している点については、鉱工業生産指数(IIP)のグラフを同じです。生産が今年2020年5月を底に何とか上昇に転じたのとは対象的に、消費の代理変数である小売販売は一進一退の動きとなっています。統計作成官庁である経済産業省では、先月6月統計の小売販売の基調判断を先々月の「下げ止まりがみられる」から「持ち直している」に上方修正したばかりなんですが、本日公表の7月統計では「緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」と落ち着きなく小幅に修正しています。もっとも、足元の8月はかなりの猛暑でしたので、季節商品の売上の増加につながったと考えるのが素直な予想なんですが、あるいは、ひょっとして、猛暑で外出を手控えたことがマイナスの結果をもたらすことも否定できません。いずれにせよ、小売販売についてもCOVID-19の影響から脱するにはそれ相応の時間がかかり、回復は緩やかなものとなる点は覚悟したほうがよさそうです。

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そかに、本日は内閣府から8月の消費者態度指数が公表されています。本年2020年5月の底を暫定的に認定した景気を少しリードして、マインド指標らしく4月に21.6で底を打った後、5月にやや回復を示して24.0、6月28.4から、7月29.5、8月29.3と、COVID-19の感染に再拡大に歩調を合わせるように変動を示しています。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を先月の「依然として厳しいものの、持ち直しの動きが続いている」から、今月統計を見て「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正しています。グラフは上の通りです。

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2020年8月30日 (日)

延長戦を制して広島にもカード勝ち越しで甲子園に戻る!!!

  RHE
阪  神3000000002 561
広  島0000300000 370

広島を振り切って延長戦で勝利でした。最後は、大山選手が延長10回に勝ち越しタイムリーでした。大山選手はこのところ冴えた打撃が見られなかったんですが、なんとか勝利に貢献してくれました。勝ち投手は2日連続で岩貞投手でした。ツキが回ってきたのかもしれません。

次にヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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今日もまた猛暑か?

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毎日暑いんですが、今日もまた猛暑で35度を超えるようです。
みなさま、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)とともに熱中症にもご注意ください。
上の画像は、ウェザーニュースのサイトから引用しています。

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2020年8月29日 (土)

粘る広島をなんとか振り切って5割に戻す!!!

    R H E
阪  神 0 3 2 0 0 0 0 1 0   6 11 0
広  島 0 0 0 1 3 0 0 0 1   5 8 3

 

粘る広島を振り切っての勝利でした。藤浪投手は5回ツーアウトまで行ったんですが、まあ、あれが限界でしょうね。交代は仕方ない気がします。打つ方では、やっぱり、大山選手が冴えません。でも、序盤の先制パンチを守り切った阪神らしい試合展開でした。やっぱり、先行逃げ切りが勝利の近道だと思います。

 

明日は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書を中心に計3冊!!!

今週の読書は、経済書を中心に以下の3冊です。MMTについて勉強をし始めているわけですが、やや残念な入門書でした。でも、網羅的に取りまとめ、体系的な情報を提供しようとしている姿勢はいいんではないでしょうか?

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まず、野口旭『経済政策形成の論理と現実』(専修大学出版局) です。著者は、専修大学経済学部の研究者であり、リフレ派のエコノミストです。私がジャカルタにいるころですから、世紀の替わり目付近で日銀を速水総裁が率いていたころ、本書の著者の野口教授が、いわば、リフレ派のスポークスマンのような立ち位置で、私が記憶する範囲では、それほど上品でもない論争を日銀とリフレ派の間で繰り広げ、リスレ政策の選択に至らなかった、というのが歴史的な経緯ではなかろうかという気がします。ただ、私はジャカルタにいましたので、詳細な部分は把握していません。ですから、私のゲスの勘ぐりでは、著者の意図はそこにお話を持っていこうとしているんではないか、という気がしなくもないんですが、自由貿易が実際の政策としてはなぜ採用されないのか、といったカギカッコ付きの「周辺議論」もふんだんに取り入れています。ケインズ的な経済政策が、現在のネオリベラルなエコノミストの元祖的なフリードマンやルーカスなどからの批判を取り入れて柔軟に発展し、現在でも十分に生き残っている、というのは、その通りだと私も考えています。ただ、私の極めて素直な感想として、本書については私の目から見ていくつか問題点があります。私の独特の表現ながら、第1に、評価関数が明確ではありません。政策目標としては、マクロ経済の安定に加えて、適切な雇用、所得、物価の達成、といったホワッとした言及があるだけです。マクロ経済政策ながら、どうしてもリフレ政策が底流に流れていて、格差是正とかはまったく視野に入っていないようですし、別の意味で、オピニオンリーダーたる政治家やメディアが経済政策の専門家と異なる評価関数を持っている可能性はかなり大きいと考えるべきです。例えば、著者自身も、「黒田以前の日銀は、その政策上の優先順位を、明らかにデフレの克服よりは伝統的金融政策の枠組みをできるだけ守ることの方に置いていた。」(p.299)と指摘しているわけですし、昨今のGoToトラベルなんて、ホントに新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響を受けた観光業界への救済を目指しているのか、それとも政治家の利権確保が主たる眼目なのか、やや怪しいところもあります。要するに、著者ご自身の評価関数も、自分の考えが実行される点が、高い優先順位となっている可能性が疑われます。加えて、第2に、第1の点とも関連して、前の日銀との論争でもこの著者の悪いところであったと私は考えているんですが、専門知と称して上から目線を示して、世間知を極めて低く見ている点です。私は長らくの公務員としての経験から、いろいろあっても、主権者が投票で示した評価関数に従って経済政策を企画立案するのが公務員に課せられたマンデートであり、長期的に見れば、主権者は正しい選択を示すものである、という信念を持って仕事をしていました。本書の著者とはかなり見方が異なると自覚しています。というか、そう考えないと、お仕事を進める意欲をなくしそうな場合もありました。かつて、IMFのエコノミストが博士号を持った専門家の意見が正しいような発言をして批判されたと記憶していますが、少なくとも国内の経済政策を考える場合、主権者たる国民の支持なくして、専門知を振りかざすだけでは、政策的な成果を上げられるとは、私にはとても思えません。

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次に、望月慎『最新MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本』(秀和システム) です。著者は、「経済学101」というサイトに所属する翻訳者です。私はこの「経済学101」というサイトでは、VoxEUの邦訳を探したりすることもあります。著者は、昨年『立命館経済学』第68巻第2号に「Modern Monetary Theoryの概説」という講演会議事録が寄稿されたのが冒頭に掲載されており、我が所属大学だけに私もこの起用論文は拝読しています。ただ、本書については、かなり当たり前で正統的な経済学でも当然視されているような内容を、クドクドといかにもMMTを主流派経済学から差別化しようとするような印象で取り上げており、やや疑問に感じます。例えば、第6章のストック・フロー一貫モデルなんぞは、MMTの独自の視点でもなんでもなくて、現在の主流派経済学はもとより、おそらく、マルクス主義経済学でも当然のように受け入れられていると思いますし、その他のいくつかの論点についても、MMTとほかの、主として主流派の経済学の差を大きく見せたいのは、本書の立場からして理解できなくもないのですが、やや本末転倒です。MMTの解説については、私が見た範囲では、上に取り上げた野口教授が、これも昨年の『News Week 日本語版』で6回に渡って繰り広げた「MMT (現代貨幣理論) の批判的検討」のコラムが圧倒的に判りやすく、主流派経済学との異同に関して学術的にも正確であったと考えています。確かに、MMTが批判するいわゆる「主流派経済学」は、本書で特に強い批判の矛先を向けられているマネタリズムや貨幣を半ば無視する新古典派経済学だけでなく、それらの成果を批判的に取り入れて構築された広義のニュー・ケインジアン経済学も含むわけでしょうし、新しい経済学として注目されたいのであれば、既存の主流派経済学を強く批判して存在感を示すことも重要ですが、ハッキリいって、ややヤリ過ぎの感を持つ読者もいそうな気がします。単なるいい換えとか、言葉遊びに見えかねない部分も少なくありません。私はMMTに対してそれほど大きな偏見を持っているわけではありませんが、官庁エコノミストとしての役割もあった公務員を定年まで勤め上げた経験から、Job Guarantee Program (JGP) の運用が難しそうな気がします。やや言葉遊びに近い一例として、裁量的財政政策を否定し、機能的財政政策により維持されるJGPなんですが、どこまでdecentなjobを準備できるか、政府のJGPと民間雇用の間でどのような流動性が確保されるのか、おそらく、我が国の財務官僚は私なんぞの不出来だった公務員からかけ離れて優秀ですから、何とかしそうな気がしなくもないんですが、実際の実務面の運用が私には気がかりです。ただ、本書で評価すべきは、断片的な情報にとどまるネット上のMMTに関する情報を、体系的な記述に格段に優れて網羅性も高い書籍として出版された点は大いに有益だと私は考えます。特に、邦文による出版は決して多くないだけに、私のように参考文献として読むエコノミストも少なくないものと期待します。最後に、本書ではなく、寄稿いただいた『立命館経済学』第68巻第2号「Modern Monetary Theoryの概説」の p.200 において、我が国の財政が破綻しない理由について、「なぜ現代日本において横断性条件の"破れ"があるのか?」との問いを提起しています。私は「横断性条件」というのは聞いたことがなかったので、「日本の財政が破綻しない」という意味だろうと解釈して僭越ながらご回答申し上げると、日本経済が動学的非効率に陥っているから、あるいは同じことで、動学的効率性を喪失しているから、と回答しておきます。例えば、とうことで、次の書評と長崎大学のころの私の紀要論文をご覧ください。

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最後に、ジャレド・ダイアモンドほか『コロナ後の世界』(文春新書) です。著者は、ダイアモンド教授のほか、順に、マックス・テグマーク、リンダ・グラットン 、スティーブン・ピンカー、スコット・ギャロウェイ、ポール・クルーグマンの計6人です。インタビュー結果を文章に取りまとめています。まあ、ハッキリいって、各著者のそれまでの論調を繰り返しているに過ぎないとも見えますし、特に、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関係しないトピックの方がボリュームとしてはずっと多くなっているのも事実です。これが、2008年のリーマン・ショック後の金融危機とそれに続く大不況(Great Recession)の時期であれば、それまでの自分自身の論調をお菊変更するエコノミスト、典型的には中谷教授などがいたんですが、今回のCOVID-19関係では自己の主張を補強する論点が多く主張されているような気がします。もっとも、それはウィルス感染症という、必ずしも、エコノミストや心理学者などの社会科学を専門分野とする論者からかけ離れた原因だからというのもありますが、まだ、時間がそれほど経過していない、というのもありそうな気がします。数年を経過した後では、また、論調が変化している可能性もあります。いろんな議論があって、すべてを紹介することも出来ないんですが、ひとつだけクルーグマン教授飲み方を示すと、基本的に、私と同じですが、経済のためにはビッグプッシュが必要、という結論を示しています。そのためには金融政策だけでなく、いかにもケインズ政策的な財政政策による景気押上げ策が必要としているんですが、財政収支については、なんと、私と同じ見方を示しています。すなわち、p.173で「国の借金は問題ではありません。金利が成長率よりも低ければ、最終的にはGDPに対する借金の割合は徐々に減っていきます。」と答えています。従来から私が主張している動学的非効率、もしくは、動学的効率性の喪失と同義です。今まで、財政赤字に関して動学的非効率を根拠にしていたエコノミストは私しかいなかったように受け止めていたんですが、とてつもない強敵が現れたと認識しています。

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今日は下の倅の誕生日!!!

今日は我が家の下の倅の誕生日です。もう20歳を超えて、まだ大学生だったりします。この倅を追いかけるように、私とカミさんは関西に引越したわけです。
いつものくす玉を置いておきます。

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2020年8月28日 (金)

最終回に追いつくもリリーフ投手が打たれて広島にサヨナラ負け!!!

  RHE
阪  神000010101 381
広  島120000001x 461

広島にサヨナラ負けでした。最終回に追いつきましたが、リリーフの岩崎投手が打たれてしまいました。昨夜の中日柳投手はなんとか打ち崩しましたが、やっぱり、いい投手が出て来ると打てません。特に、陽川選手が哀れに見えました。

明日は、
がんばれタイガース!

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リクルートジョブズによる7月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

来週9月1日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる7月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。

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アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響などにより、ジワジワと停滞感を増していますが、他方、派遣スタッフの方は5~7月のデータが跳ねています。上のグラフの通りです。現時点で判断するのはややムリで、何があったのかは私には判りかねます。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は+2%台半ばの伸びながら、人手不足がメディアで盛んに報じられていた半年くらい前の+3%を超える伸び率から比べるとジワジワと低下してきています。三大都市圏の7月度平均時給は前年同月より+2.4%、+25円増加の1,083円を記録しています。職種別では「専門職系」(+40円、+3.4%)、「事務系」(+34円、+3.1%)、「製造・物流・清掃系」(+23円、+2.2%)、「営業系」(+31円、+2.4%)の4職種で前年同月から増加し、「販売・サービス系」(0円、0%)では前年同月から横ばい、「フード系」(▲2円、▲0.2%) だけは減少となっています。地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアで前年同月比プラスを記録しています。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、昨年2019年7月統計から先月2020年4月統計まで10か月連続でマイナスを続けた後、5~7月度平均時給は前年同月から大きく増加し、7月も+5.0%、82円増加の1,720円に増加しています。職種別では、「医療介護・教育系」(+64円、+4.4%)、「営業・販売・サービス系」(+53円、+3.8%)、IT・技術系」(+54円、+2.6%)、「クリエイティブ系」(+11円、+0.6%)の4職種が前年同月比プラスとなり、マイナスは「オフィスワーク系」(▲37円、▲2.4%)だけにとどまっています。また、地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。1年近く前年同月比マイナスを続けてきた派遣スタッフの時給が5月からジャンプしたのですが、アルバイト・パートの時給上昇率はジワジワと停滞し始めていますし、2008~09年のリーマン・ショック後の雇用動向を見た経験からも、COVID-19の経済的な影響は5月ころに底を打ったように見えるものの、雇用については典型的には失業率などで景気動向に遅行するケースが少なくないことから、先行き、非正規雇用の労働市場は悪化が進む可能性がまだ残されていると覚悟すべきです。同時に、相反することながら、意外と底堅いという印象もあります。

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2020年8月27日 (木)

消化試合に入って絶好調の阪神打線が中日投手陣を粉砕!!!

  RHE
中  日200000010 370
阪  神00031110x 690

ジャイアンツに東京ドームで3連敗して消化試合に入ってから、サンズ選手とボーア選手の両外国人を中心に阪神打線が絶好調を維持しているようです。今夜はサンズ選手の逆転スリーランで中日を3タテでした。よく雨の降る先発青柳投手は7回を2失点に抑え、連夜のスタメン小幡内野手もヒット2本をかっ飛ばしました。

明日からの広島戦も、
がんばれタイガース!

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日本政策投資銀行と日本交通公社による「アジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査」の結果やいかに?

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で、訪日観光客が大きく減少しインバウンド消費もほぼ「消滅」した気がしますが、ややお手盛りな結果ながら、日本政策投資銀行と日本交通公社による「アジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査」の結果が先週8月18日に明らかにされています。定期的に調査されているシリーズの最新結果です。また、pdfの全文リポートもアップされています。いくつかのメディアでも取り上げられましたが、旅行については現在の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響が大きい中でありながら、COVID-19感染拡大の終息後においても、海外観光旅行先としての日本の人気は引き続き高く、アジア居住者では56%を占めてトップであり、欧米豪居住者でも24%と2位の人気となっている、との結果が示されています。リポート p.11 から、新型コロナの流行終息後に、観光旅行したい国・地域 のグラフを引用すると下の通りです。

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なお、この8月18日付けのリポートから1週間ほど遅れて、8月24日に日本政策投資銀行関西支店から、リポートを関西向けにアレンジした資料が明らかにされています。上のグラフについてアジア居住者と欧米豪居住者を合計した結果として、新型コロナの終息後に観光旅行したい国・地域として日本が45.6%とトップ、といった結果を収録しています。訪日希望者の訪問先としては、東京、北海道に続いて関西が3番めに入っているなど、関西圏のインバウンドへの期待の高さがうかがえます。私が京都から東京に働きに出た40年近く前でも、京都は国内でもトップクラスの国際観光都市でしたが、関西全体としてここまでの大きなインバウンド依存を今さらながら実感しています。

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2020年8月26日 (水)

ホームラン3発ほかの大量点で中日を圧倒!!!

  RHE
中  日000011010 341
阪  神01000541x 11111

消化試合に入ってとても元気いい阪神打線です。今夜はホームランと長打で中日を圧倒でした。先発ガルシア投手は6回を2失点に抑え、リリーフ陣も大量点に守られて大過なく継投しています。打線は陽川選手の逆転スリーランとボーア選手の2発で投手陣を強力に援護し、大山選手のスリーベースなど長打を効果的に絡めて得点を重ねてた大量点につなげました。

明日もそれなりに、
がんばれタイガース!

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7月統計で上昇幅が拡大した企業向けサービス物価(SPPI)の先行きやいかに?

本日、日銀から7月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+0.8%でした。2月統計の+2.1%まで+2%台をキープした後、3月統計の+1.5%や4月統計の+0.9%から5月統計は+0.5%まで、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で一気に上昇率が縮小しましたが、6月統計では+0.8%、そして、本日公表の7月統計では+1.2%の上昇とやや上昇幅を拡大しています。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率も同じように縮小していましたが、前年同月比上昇率としては5月統計を底に、6月統計から上昇幅が拡大し、7月統計でもさらに拡大して+1.3%を記録しています。いずれも、消費税率引上げの影響を含んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の企業向けサービス価格、増税除き前年比0.6%下落 前月から下げ率縮める
日銀が26日発表した7月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は104.0と、前年同月比で1.2%上昇した。19年10月の消費税率引き上げの影響を除くと前年同月比で0.6%下落した。下落率は6月から縮小した。経済活動の再開が続き、広告や不動産を中心にサービス価格には持ち直しの動きが出ている。
新型コロナウイルスの拡大に伴い企業の間では広告出稿を手控える動きが広がっていたものの、足元ではテレビやインターネットの広告で需要回復の兆しが出ている。不動産では賃料が売り上げや業績に連動する物件を中心に、経済活動再開が賃料の支えになっているという。
もっとも、依然として広告や不動産のサービス価格が前年比で大幅なマイナスになっている状況は変わらない。感染拡大による訪日外国人(インバウンド)需要の蒸発で、宿泊サービスでは価格に持ち直しの動きは出ていない。日銀は「サービス価格への下落圧力が弱まるどうか、不透明感が強い」(調査統計局)としており、引き続き新型コロナによる影響を注視する姿勢だ。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。財の企業物価指数(PPI)の国内物価よりも企業向けサービス物価指数(SPPI)の方が下がり方の勾配が小さいと見るのは私だけではないような気がします。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。

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企業向けサービス物価指数(SPPI)の前年同月比上昇率で見て、6月統計の+0.9%から7月には+1.2%に0.3%ポイントの上昇幅の拡大を見せているわけですが、そのほとんどはテレビ広告やインターネット広告などの広告の寄与度差+0.22%で説明できます。景気に敏感な広告なんですが、もっとも、大類別の広告全体としては7月統計でもまだ▲5.9%の下落を示している点も注意が必要です。ほかの大類別の項目としては、不動産が前年同月比も6月のマイナスから7月にはプラスの上昇に転じ、寄与度差も広告に次いで大きくなっており、加えて、金融・保険、情報通信、リース・レンタルについても上昇幅を拡大しています。他方、運輸・郵便と諸サービスについては上昇幅を縮小させています。特に、後者の諸サービスに含まれる宿泊サービスについては6月統計の▲35.0%から、7月統計でも▲35.6%と大きな下落を示してます。GoToトラベルが7月下旬には始まったとはいえ、まだまだ需要の戻りが十分ではない結果と受け止めています。また、運輸・郵便については石油価格次第という要素があるのかもしれません。いずれにせよ、引用した記事にもある通り、プラスのSPPI上昇率は昨年2019年10月の消費税率引上げの影響を含んでおり、9月統計まではこの影響が残りますが、SPPI上昇率の先行きを考えると、10月統計からはこの消費税による押上げ効果が剥落しますので、大きく上昇幅を縮小、ないし、石油価格次第ではマイナスに転じることになりそうです。

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2020年8月25日 (火)

先発の高橋投手のナイスピッチングで中日に完勝!!!

  RHE
中  日010000000 161
阪  神00201200x 580

消化試合ながら中日に完勝でした。序盤に失点しましたが、先発高橋投手のナイスピッチングが圧巻でした。打線は勝負強いサンズ外野手と3番に入った陽川選手、さらに、目の覚めるようなホームランを放ったボーア選手の活躍で5得点を上げました。間に挟まれた大山選手も1安打でした。

明日もそれなりに、
がんばれタイガース!

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三菱UFJリサーチ&コンサルティング「新型コロナウイルス感染症によって拡大する教育格差」やいかに?

先週金曜日の8月21日に三菱UFJリサーチ&コンサルティングから「新型コロナウイルス感染症によって拡大する教育格差」と題するリポートが明らかにされています。小学生から高校生の子どもがいる世帯の親 2,000人に対して実施した独自のアンケート調査を用いて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が雇用・教育の双方を通じて子どもにどのような影響を与えたのかを明らかにしようと試みています。私も4月から教育の現場に転じて教師として働いていて、リモートのオンライン授業なんぞをやったりしているわけで、COVID-19が教育に及ぼす影響はとても気にかかるところです。50ページ超のそれなりのボリュームあるリポートですので、主としてリポート冒頭数ページの【要旨】からいくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、教育に入る前に、親の雇用との関係で、就業形態別にCOVID-19の感染拡大による離職・転職確率を就業形態別に示したグラフをリポートから引用すると上の通りです。直感的に、というか、常識的に理解できるところですが、非正規・自営・正規の順で離職確率が高くなっています。おそらく、所得についても非正規よりも正規の方が高いのが一般的でしょうから、以降に引用する結果などに照らし合わせても、親の雇用と子供の教育にはそれなりの因果関係があるものと考えるべきです。そうです。おそらく、因果関係であって、相関関係ではありません。子供の教育状況が親の雇用に影響を及ぼすよりは、親の雇用や所得がまずあって、それが子供の教育に影響を及ぼすと考えるべきです。

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次に、世帯年収・世帯構造別と学校の成績を示したグラフをリポートから引用すると上の通りです。これも、直感的に理解できる通り、おおむね所得が高いほど成績もいい、という結果が示されているんですが、年間所得が1500万円を超えるリッチな富裕層よりも、1000万円前後か少し上回るくらいのいわゆるアッパーミドル層の方が子供の成績がいい、と回答しています。そうなのかもしれません。

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次に、世帯年収・世帯構造別とパソコン・タブレットPCをいずれも保有していない割合、および、臨時休校前後での成績別の勉強時間を示したグラフ2枚をリポートから引用すると上の通りです。これも、直感的に理解できる通り、まず上のパネルから、おおむね所得が高いほどパソコン・タブレットPCの所有率が高い、しかしながら、年間所得が1200万円を超えるリッチな富裕層よりも、1000万円前後か少し上回るくらいのいわゆるアッパーミドル層もかなり所有率が高い、との結果が示されています。なお、リポート p.26 には、年間世帯所得別・世帯構造別のICT機器の保有状況のグラフが示されており、年間所得が400万円未満層ではPCよりもスマートフォンの保有率が高い一方で、400万円超層ではこれが逆転してPCの保有率の方が高くなっていることが示されています。引用はしませんが、これも注目の結果のひとつかもしれません。加えて、下のパネルから、真ん中よりも上の成績と回答したグループの勉強時間がかなり長くなっています。

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注目点のひとつとして、臨時休校および所得減少による生涯逸失所得の割引現在価値が試算されているところ、最後に、この所得逸失価値を示したグラフをリポートから引用すると上の通りです。試算式はリポート p.44 に示されているんですが、既存研究から教育年数が1年短くなると賃金が▲9.3%減少すると仮定しています。いくつかのグラフを見ている限り、年間所得1500万円超のリッチな富裕層よりも、むしろ、1000万円前後のアッパーミドル層の方が子供の成績がいいと回答したり、パソコン・タブレットPCといったICT機器の保有状況が高かったりしたんですが、最後の最後で逸失利益を試算すると、差は小さいながら、ほぼほぼ所得が高いほど臨時休校および所得減少による逸失価値も小さい、との結果が示されています。いうまでもありませんが、要するに、親の雇用も含めて、COVID-19の影響による臨時休校などの教育への影響は、現在の格差を拡大する方向で作用する、との結論です。

昨年2019年10月に、文部科学大臣が大学入試への民間英語試験の導入に関して「身の丈」発言をして大きな批判が寄せられたことは、例えば、朝日新聞の記事に見られるように、記憶に新しいところです。COVID-19による教育への影響を考えるにつけ、「身の丈」で対応していては格差が広がるばかりです。もちろん、教育については所得の観点からだけ評価されるべきではありませんが、少なくとも、少人数学級やICT機器への補助など、考えられる政策はいくらでもあります。

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2020年8月24日 (月)

4-6月期GDP統計1次QEを受けた短期経済見通しやいかに?

先週月曜日8月17日に内閣府から公表された4~6月期GDP統計速報1次QEを受けて、シンクタンクや金融機関などから短期経済見通しがボチボチと明らかにされています。四半期ベースの詳細計数まで利用可能な見通しについて、今年度2020年度いっぱい、すなわち、2021年1~3月期くらいまで、さらに、2020~2021年度について取りまとめると以下の通りです。なお、下のテーブルの経済見通しについて詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。計数の転記については慎重を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、各機関のリポートでご確認ください。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名2020/4-62020/7-92020/10-122021/1-3FY2020FY2021
actualforecast
日本経済研究センター▲7.8
(▲27.8)
+3.2
(+13.5)
+1.2
(+4.7)
▲0.6
(▲2.2)
▲6.5+4.2
日本総研(+14.9)(+8.8)(+3.6)▲5.4+3.4
大和総研(+13.0)(+5.2)(+4.5)▲6.0+3.4
みずほ総研+3.5
(+14.9)
+0.9
(+3.8)
+0.9
(+3.7)
▲6.0+3.4
ニッセイ基礎研+3.1
(+13.1)
+1.8
(+7.4)
+0.9
(+3.6)
▲5.4+3.6
第一生命経済研+3.6
(+15.4)
+0.5
(+2.0)
+0.7
(+2.8)
▲6.1+3.4
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+3.0
(+12.8)
+1.0
(+3.9)
+1.7
(+7.0)
▲6.5+4.2
三菱総研+2.7
(+11.2)
+1.0
(+4.1)
+0.8
(+3.3)
▲6.6+3.3
SMBC日興証券+2.8
(+11.6)
+1.9
(+7.8)
+1.1
(+4.3)
▲6.0+4.8
農林中金総研+3.7
(+15.5)
+0.1
(+0.3)
+0.2
(+0.9)
▲6.7+2.5
東レ経営研+2.7+0.8+0.5▲6.7+2.8

各列の計数については上段のカッコなしの数字が季節調整済み系列の前期比で、下段のカッコ付きの数字が前期比年率となっています。4~6月期までは内閣府から公表された1次QEに基づく実績値、7~9月期からは見通しであり、すべてパーセント表記を省略しています。なお、いくつか、前期比のみとか、前期比年率のみの公表のシンクタンクがありますが、カッコのあるなしで見分けられることと思います。ということで、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により今年2020年4~6月期が大きなマイナス成長となったのに続き、7~9月期にはリバウンドがあるものの、その先の10~12月期から2021年1~3月期まで含めても、4~6月期のマイナスには届きません。従って、2020年度については、▲6%台のマイナス成長と見込むシンクタンクが多いようです。2021年度にはリバウンドが見られるんですが、これも2020年度のマイナスに届かない見込みが示されています。先行きの回復は緩やかなものとなりそうです。
下のグラフは、ニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2020年8月23日 (日)

結局リリーフ陣が失点してヤクルトに惜敗!!!

  RHE
阪  神100010000 262
ヤクルト11000011x 490

消化試合ながらヤクルトに惜敗でした。終盤、リリーフ陣が失点したんですが、それまでに得点できない打線が問題なんでしょう。毎年、同じことながら、キャンプの失敗だと思います。

次の中日戦もそれなりに、
がんばれタイガース!

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2020年8月22日 (土)

消化試合に強い阪神タイガース!!!

  RHE
阪  神300310000 7110
ヤクルト000000140 580

消化試合に入ってヤクルトに連勝でした。ジャイアンツに3連敗してシーズンの優勝争いは終わりましたが、個人記録や監督・コーチ陣の雇用確保に向けて、それなりにがんばらねばなりません。それにしても、私はジャイアンツの実力がタイガースを上回ることものすごいのかと思っていたのですが、昨日今日の広島戦の結果を見ると、ジャイアンツがすごいというよりもタイガースが不甲斐ない、ということなんだろうと結論できました。

まあ、明日も、それなりに、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書に村上春樹『一人称単数』など計5冊!!!

今週の読書は、経済書が2冊に話題の村上春樹の新刊まで、以下の通りの計5冊です。村上春樹『一人称単数』だけは買い求めました。それにしても、書店で本を買うことがすっかりなくなってしまい、今では生協の一割引きでしか本を買っていません。

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まず、小黒一正『日本経済の再構築』(日本経済新聞出版) です。著者は、財務省ご出身で今は法政大学の研究者です、現時点での日本経済の問題点について、人口減少、低成長、貧困化の3点に絞って、とはいいつつ、極めて広範な「再構築策」を展開しています。章立てで見ても、ご出身母体の財務省という観点からしても、財政、金融、年金、医療、地方、成長、社会保障などなど、極めて広範囲に渡っています。ただし、かなり視野は狭くて、例えば、ほぼほぼ閉鎖経済で議論が展開されており、世界経済とのリンケージ、例えば、中国を含むアジア経済の中で日本がどのようなニッチを占めるべきか、といった議論は無視されています。加えて、「抜本的改革」かもしれないんですが、現状からすればできそうもない方策が並んでいるような気がします。例えば、エコノミストの中でも何人かの主張があるものの、現状の賦課方式の年金をその昔にも出来ていなかった積立方式の年金にするのは、いうのは簡単かもしれませんが、実際の移行過程などとともに論じないと無責任とも見えます。その昔の野党の中には「何でも反対党」、のような存在があり、圧倒的な与党の圧力の前ではそれなりに存在意義もあったように感じなくもありませんし、「青臭い」といわれつつも、現実から離れた理想論w展開する意義も私は認めるものの、エコノミストとしてはもっと地に足ついた議論が必要と考えなくもありません。特に、本書では貧困対策や格差是正にはそれほど重点が置かれておらず、私は物足りない気もするんですが、逆に、財務省ご出身だからといって、緊縮財政や均衡財政一点張りというわけでもなく、テーマ別にはそれなりにバランスは取れていると理解しますが、中には精粗区々な議論が展開されており、まあ、どちらかといえば「粗」な議論が多いような印象です。ただし、繰り返しになりますが、日本経済が到達すべきひとつの姿を大づかみに把握しようという向きには、それなりに参考になりそうな気もします。その際は、細かな部分を無視して読み進む方がいいんではないかと思います。そうでなければ、すなわち、細かな点まで読みこなしたいのであれば、かなりの専門的なバックグラウンドを必要とします。この点は無視できません。

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次に、伊藤誠『マルクスの思想と理論』(青土社) です。著者は、東大名誉教授であり、かの宇野先生の後継としてマルクス主義経済学を東大で教授した大先生です。本書は、一昨年2018年がマルクス生誕200年であった記念に、月刊誌『科学的社会主義』に連載されていたものを取りまとめています。第2章の唯物史観から始まって、第3章の『共産党宣言』、第4章の『資本論』などなど、マルクスの主要な論点を極めて効率的、というか、手短に取りまとめています。宇野先生の後継ですから、おそらく、いわゆる労農派であって、私のような講座派の歴史観ではないものと考えますが、唯物史観としては大きな違いはないかもしれません。私も経済学部に所属する教員として、マルクスといわれればついつい『資本論』になりがちなんですが、その根底にある唯物史観については、ある意味で、マルクス主義のもっとも重要な根底をなす理論かもしれないと考えています。その意味で、本書では唯物史観を仮説的な存在として、この先も修正あり得べき理論として取り扱っているのはやや疑問が残ります。もちろん、20世紀のソ連的な社会主義が破綻した後で、こういった留保が必要そうな気はしないでもありませんが、それとこれとはまた別のお話であるように私は考えています。私は本書の立場と少し違うのかもしれませんが、国家が、というか、国家を主導するエリートが生産手段を国有化した上で生産をコントロールするのが社会主義なのではなく、階級としての現場で働く労働者が、生産手段を所有する資本家に代わって生産を指揮監督=コントロールするのが社会主義ないし共産主義であリ、加えて、そういった生産物の配分がなされる体制である、と理解しており、ソ連型のカギカッコ付きの「社会主義」は、その階級としての労働者をエリートのグループたる共産党が指導する体制であり、かなり本質的に違っていると感じています。その違いは歴史的な発展経路にも依存します。中国的な「社会主義」は単なる一党独裁制による資本主義に近く、その独裁政党がたまたま共産党を名乗っているだけであり、ほとんど社会主義の体をなしていないような気がします。いずれにせよ、私のような専門外のエコノミストでも理解しやすく工夫されており、一般的なマルクス主義経済学の入門書としても役立ちそうな気がします。大学低学年生や若いビジネスパーソンにもオススメです。

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次に、坂靖『ヤマト王権の古代学』(新泉社) です。著者は、博士号を持ち、奈良県立博物館勤務などを経験した市井の研究者といえます。本書では、いわゆる「記紀」などの歴史書の史料に基づく歴史学というよりも、考古学的な歴史へのアプローチを試みています。もちろん、その対象はヤマト王権であり、「万世一系」と称して現在の天皇家に連なる系譜であることはいうまでもありません。もっとも、8世紀という遅い時期にに編纂された「記紀」はほとんど史料としては用いられていない一方で、中国の歴史書についてはそれなりに典拠しています。考古学的な考察の対象となるのは、いわゆる古墳であり、その埋葬品も含めています。特に、三角縁神獣鏡については章を立てて考察を加えており、刻まれた年号が実際に作成された年とは異なる可能性なんて、私は考えもしませんでした。本書では、当時のニュースの伝わるタイムラグを考慮して、皇帝の死んだ年が鏡に刻まれていて、その年が1年くらい遅れて伝わっても不思議はない、と指摘しています。そんなシロートの私でも興味あるのは、ヤマト王権成立前の邪馬台国や卑弥呼なんですが、著者は奈良県ローカルの人にもかかわらず、奈良説ではなく北部九州説を取っています。その理由は、邪馬台国の時代の近畿地方に中国との直接の交渉を示す根拠がない、ということになります。ただ、これは奈良説を否定できても、北部九州説を肯定できる積極的な根拠ではないように私には思われます。でも、決定的な証拠なんてないんだろうという点は理解します。いずれにせよ、ヤマト政権成立から遣隋使や遣唐使を送っていた我が国の古典古代の時代には、中国や朝鮮などの大陸文化はとても先進的なものであり、その名の通りの極東に位置する我が国は文化的には大きな後進性を有していたものと考えられます。なお、先ほどの伊藤先生の本にあるマルクス主義の基本となる唯物史観ではないんですが、本書の著者も中国や我が国、さらに、我が国の中の各地方の生産力というものをとても重視して、生産力と先進文化の受容性という関係を無視できないリンケージと考えている様子が細かないくつかの記述からうかがえます。

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次に、村上春樹『一人称単数』(文藝春秋) です。作者は、私ごときが紹介するまでもない著名作家であり、我が国の作家の中でもっともノーベル文学賞に近いと見なされています。久し振りの単行本であり、8篇の短編が収録されています。「石のまくらに」、「クリーム」、「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」、「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」、「『ヤクルト・スワローズ詩集』」、「謝肉祭(Carnaval)」、「品川猿の告白」、「一人称単数」です。最後の表題作以外は『文學界』で発表されています。大雑把に著者のご経験に基づく自伝的要素を含む小説ないし随筆なんだと思います。その時々の著者の年齢に従って、すなわち、高校生くらいから大学生、大学卒業直後、さらに、結婚後から年令を重ねる順に配置されています。最初の方の青春小説めいたものは別にして、ヤクルト・スワローズに関する短編について注目します。というのは、ここにも書かれている通り、村上春樹は京都に生まれて芦屋などの阪神間で育っていますので、当然に阪神ファンとして成長するのではないか、と考えられるんですが、広く知られている通り、また、本短編でも明らかにされているようにスワローズのファンです。村上春樹の父親は熱心な阪神ファンだったとこの短編でも紹介されており、ご本人も高校生くらいまでは阪神ファンであって、ファンクラブにも入っていた旨が述べられています。それが東京、というか、壮大に入学してスワローズ・ファンになったのは、書かれている通りに解釈すれば、野球とは中継を見て楽しむものではなくスタジアムに応援に行くものであり、その意味で、もっとも生活圏から近い球場をホームグラウンドにしているチームのファンになる、というのは、さすがに自然な気もします。実は、京都本をよく書いている井上先生の説によれば、サンテレビが阪神の試合のフル中継を始めるまでは、関西でも阪神は決してメジャーな球団ではなく、むしろテレビ中継の多い巨人ファンの方が多かった、らしく、団塊の世代で私よりも10歳くらい年長な村上春樹は、この井上説に該当する非タイガース・ファンなのではないか、と勝手に想像していたのですが、やっぱり、年少時は阪神ファンだったと改めて知って、何となく安心したところもあります。その意味で、私は役所の定年後に関西に戻って来て、再び阪神ファンとして残りの人生を楽しみたいと思います。強く思います。

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最後に、上田篤盛『未来予測入門』(講談社現代新書) です。著者は、防衛大学校卒業、防衛省情報分析官を経験したインテリジェンスの専門家です。エコノミストがやるような定量的な経済予測ではなく、インテリジェンスの世界における方向性の分析に役立つ予想ないし予測です。ですから、予測の手法の解説が中心になっており、質問の再設定、アウトサイドイン思考、フレームワーク分席、クロノロジー&マトリックス、シナリオ・プランニングなどの詳細や実際の応用が取り上げられており、最後の方の章では親子の対話というカンジで、実際の応用編が展開されています。マインドマップを描くためのソフトウェア MindManager なども引き合いに出されています。割と近未来的な近い将来の予測が中心ですが、かなり遠大に遠い未来の方向性についても触れられています。私は、エコノミストとして、というか、官庁エコノミストとして政府経済見通しに携わったこともあるんですが、政府見通しなんぞは、本書でいうところのバックワードキャスティングであり、将来時点の目標に近い見通しに向かって、どのような政策を積み上げていくべきか、といった観点から予測しますので、民間シンクタンクのやっているようなフォワードキャスティングな予測とは大きく違っています。ただ、予測について私が従来から考えている点をもう一度確認した気がします。すなわち、例えが判り難いかもしれませんが、米国のカリフォルニアのゴールドラッシュでもっとももうかったのは誰か、という質問に対する回答です。トップはもちろん豊富な金脈を掘り当てた49ersの1人かもしれませんが、実は、平均的にもっとももうけたのは、金脈を掘り当てたかどうかにかかわらず、49ersに対してツルハシなどの採掘用品やそのた生活に必要な日用品なんぞを売りつけた商人である、という別の正解もあります。すなわち、予想に関しては、正確な予想を出来る専門家よりも、正確な予想が出来そうに見える予想手法を解説する専門家が重用される、ということが出来ます。おそらく、本書の著者は正確な予測が出来て、かつ、正確な予想が出来そうに見える予測手法を解説する専門家の両方の資質を兼ね備えているような気がします。

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2020年8月21日 (金)

消化試合に入ってようやく藤浪投手が初勝利!!!

  RHE
阪  神042000020 7101
ヤクルト020010100 460

藤浪投手がようやく初勝利でした。昨日までの試合で、ほぼほぼ今シーズンの優勝はなくなりましたので、今夜からは消化試合と私は考えています。でも、何はともあれ初勝利おめでとうございます。

明日も、
がんばれタイガース!

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先月と同じ横ばい続く消費者物価(CPI)上昇率の先行きやいかに?

本日、総務省統計局から7月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIは前年同月と比べて横ばいを示した一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も前月6月統計と同じ+0.4%でした。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により国際商品市況で石油価格が低迷しているのが、物価上昇率を低く抑えている一因となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の消費者物価横ばい 在宅勤務需要で家電は上昇
総務省が21日発表した7月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、変動の激しい生鮮食品を除く総合指数が101.6と前年同月から横ばいだった。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動に制約が残り、足踏みが続いた。在宅勤務の普及でプリンターが28.9%、デスクトップ型パソコンが19.9%上昇するなど家電は値上がりが目立つ。
多くの品目の価格は7月15~17日に調査した。19年10月の消費増税の影響などで外食が2.5%上昇した。生鮮以外の食品は前年水準を1.0%上回った。19年6月の大手の値下げから1年あまりたった携帯電話の通信料も3.2%高くなっている。
ガソリンは前年比9.2%下落した。足元の店頭価格は上がっているが、年初からの原油安が響いて前年比ではまだ低い水準にとどまる。旅行の減少を受け、宿泊料は4.5%下がった。
一方、生鮮食品を含めた総合指数は101.9と0.3%上昇した。産地の天候不順が響いた生鮮野菜は13.4%上がった。上昇幅は18年10月以来の大きさとなった。上昇率はジャガイモが52.5%、ニンジンは49.1%だった。総務省の担当者は「政府の緊急事態宣言の解除後に給食や外食向けの需要が戻ってきたのも値上がりの要因だ」と話した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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コアCPIの前年同月比上昇率は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+0.1%でしたので、実績は横ばいだったものの、まずまずジャストミートしたといえます。4~5月統計ではコアCPI上昇率がマイナスに落ち込んだ要因としてエネルギー価格の下落が上げられていましたが、6~7月統計で横ばいを続けているのは、そのエネルギー価格の影響が徐々に和らいでいることが大きな要因です。前年同月比への寄与度で見て、6月統計ではエネルギーの寄与度が▲0.42%ありましたが、7月統計では▲0.35%にやや縮小しています。その縮小のほとんどはガソリン価格です。また、生鮮食品及びエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率もプラスを維持していますが、ともに、昨年2020年10月からの消費税率引上げの影響を含んでいますので、いわゆる「実力」としてはまだマイナス圏内にあると受け止めています。引き続き、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による石油をはじめとするエネルギー価格からの影響が大きいとはいえ、消費者物価上昇率も最悪期は脱した可能性があります。ただし、先行きが楽観できるわけでもなく、9月統計までは消費税率引上げの影響が残りますが、単純に考えると、この物価押上げ効果が剥落するため、10月統計からコアCPI上昇率はマイナスの可能性が高い、と私は考えています。加えて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響から景気は上向きつつあるとはいえ、その回復ペースは緩やかなものにとどまり、需給ギャップの観点からも決して物価への上昇圧力は大きくないと考えるべきです。ということで、9月調査の日銀短観を見た後の日銀の次の一手やいかに?

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2020年8月20日 (木)

ジャイアンツの独走をアシストする阪神タイガース!!!

  RHE
阪  神000000000 040
読  売00000101x 260

ジャイアンツにまたまた負けて独走アシストの阪神でした。3試合でまったく得点できないというのも、ちょっと信じがたい実力の差です。春のキャンプからいったい何をやってきたんですかね。まあ、どれだけ負けても、どんなぶざまな負け方でも、選手や監督・コーチをチヤホヤと甘やかし続けてきた我々ファンの責任も小さくない気がします。こんな状態が続くんであれば面白くもありませんし、私は8月いっぱいくらいで野球観戦は打ち止めにしようかと考えています。

明日くらいは、
がんばれタイガース!

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大学生諸君の休学・退学希望の多さにショックを受ける!!!

昨日8月19日付けの立命館学大学新聞の調査結果に驚きました。調査は①秋学期に希望する授業形態、と②休学・退学希望の有無、だったんですが、①の方はさて置いて、②の方で、ここまで休学や退学の希望が多いとは想像もしませんでした。まず、立命館学大学新聞のサイトから、Q.現在、秋学期以降の「休学」を考えていますか、という問いに対する回答は下の通りです。


 


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「本格的に考えている」が5.4%、「どうするか考えている」が20.2%、「考えていない」が74.4%という結果となっています。5回生以上を除けば、低回生の方が休学を真剣に考えているようです。まあ、4回生まで行けば卒業まで残りわずかですので、エコノミストから見ればコスト-ベネフィットは低回生ほど低いといえるのかもしれません。ですから、この傾向は次の「退学」についても同じです。


 


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続いて、立命館学大学新聞のサイトから、Q.現在、秋学期以降の「退学」を考えていますか、という問いに対する回答は上の通りです。「本格的に考えている」が2.3%、「どうするか考えている」が7.5%、「考えていない」が90.2%という結果が示されています。
なお、休学・退学を考えている学生諸君に対して、その理由を可能な範囲で回答を寄せてもらったところ、228件の記述の回答があり、回答から語を抽出し、語と語のつながりを視覚化する共起ネットワークを作成すると、授業形態やその質に対する不満がもっとも多く見られ、続いて、学費についての不満だったと指摘しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響による経済面での不安がどこまであるのかどうかは不明です。でも、いくつかのメディアではCOVID-19の影響に着目している報道も見かけました。私が見た範囲で以下の通りです。東京新聞の記事は共同通信からのキャリーのようです。



 


そうです。立命館大学は私の勤務する大学です。まさか、私が着任したから休学や退学の希望者、というか、考慮者が激増したわけでもないんでしょうが、とてもショックな調査結果でした。

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2020年8月19日 (水)

またまたジャイアンツに大敗して東京ドームでは勝てないのか!!!

  RHE
阪  神000000000 040
読  売20000150x 8140

ジャイアンツにまたまた大敗でした。先発ガルシア投手はそこそこ踏ん張っていたんですが、2番手望月投手が大炎上して大量5点を奪われ、打線は相変わらずゼロ行進でした。ジャイアンツの先発メルセデス投手にアクシデントあってもゼロが続くんですから、2軍と1軍くらいの実力差があるのかもしれないと感じてしまいました。4番打者については特に差が大きい気がします。

明日くらいは、
がんばれタイガース!

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5か月ぶりの貿易黒字を計上した貿易統計と基調判断が下方修正された機械受注!!!

本日、財務省から7月の貿易統計が、また、内閣府から6月の機械受注が、それぞれ公表されています。貿易統計を季節調整していない原系列で見て、輸出額は前年同月比▲19.2%減の5兆3689億円、輸入額も▲22.3%減の5兆3572億円、差引き貿易収支は+116億円の黒字を計上しています。また、機械受注のうち、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比▲7.6%減の7066億円と減少を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

7月の輸出額19.2%減 米国向け自動車で減少続く 対中国は7カ月ぶり増
財務省が19日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額は前年同月比19.2%減の5兆3689億円だった。減少が続いたものの、減少率は2カ月連続で縮小した。新型コロナウイルス感染症の影響による需要減などで米国向け自動車の落ち込みが続いた。一方、中国向けの輸出は半導体製造装置などがけん引して7カ月ぶりに増加し、全体を下支えした。
輸入額は22.3%減の5兆3572億円だった。減少は15カ月連続。中東産などの原粗油の輸入が減った。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は116億円の黒字だった。黒字は4カ月ぶりとなる。
対中国の輸出額は8.2%増の1兆3290億円だった。半導体製造装置のほか、精製銅や自動車が増えた。輸入額は衣類や自動車のホイールなどが減り、9.8%減の1兆4564億円だった。貿易収支は1274億円の赤字だった。赤字は5カ月連続となったが、赤字幅は3カ月連続で縮小した。
対米国の輸出額は19.5%減の1兆914億円と、12カ月連続で減少した。自動車や航空機向け原動機などが落ち込んだ。輸入額は25.5%減の5789億円で、貿易収支は5125億円の黒字だった。前年同月と比べた黒字幅は5カ月連続で縮小した。
対欧州連合(EU)の貿易収支は2124億円の赤字だった。赤字は13カ月連続だった。
6月の機械受注、前月比7.6%減 市場予想は2.0%増
内閣府が19日発表した6月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比7.6%減の7066億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は2.0%増だった。
うち製造業は5.6%増、非製造業は10.4%減だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は22.5%減だった。内閣府は基調判断を「足元は弱含んでいる」から「減少している」へと変更した。
同時に発表した4~6月期の四半期ベースでは前期比12.9%減だった。7~9月期は前期比1.9%減の見通し。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲950億円の貿易赤字が予想されていて、レンジがかなり広いものですから、小幅な黒字というのは十分予想の範囲内と私は受け止めています。ただ、上のグラフを見ても理解できるように、トレンドを把握できる季節調整済みの系列で見れば、まだ貿易収支は赤字が続いており、2018年年央から基調として赤字ということも出来ます。例外となる黒字は、今年2020年2月の中華圏の春節というイレギュラーな要因によるケースを別にすれば、極めて小幅な黒字にとどまっているのもひとつの特徴です。もっとも、7月統計では季節調整済みの貿易赤字は▲300億円余りに縮小しています。世界的に輸出入とも貿易が減少を続けており、当然ながら、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によるものです。詳しく見ると、輸出は季節調整していない原系列の7月統計の地域別の額ベースで、前年同月比でプラスとなったのは中国と台湾くらいのもので、大雑把に、北米向けは▲20%減、EU向けは▲30%減などとなっています。何となく、いち早くCOVID-19の影響から脱したように見える中国と台湾向け以外はほぼほぼマイナスです。品目別でも、化学製品、一般機械、電気機器、輸送用機器などすべてマイナスを示しています。輸入についても、国別・品目別ともほぼほぼすべてマイナスを付けているのは輸出と同じです。特に、引用した記事にもある通り、鉱物性燃料の輸入額が前年同月からほぼ半減しており、輸入額合計の減少▲22.3%減のうちの▲10%超の寄与を示しています。鉱物性燃料の輸入額の減少は、あるいは、貿易収支の黒字化に寄与しているのかもしれませんが、日本経済にとって必ずしもポジティブとは解釈されないような気がします。

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続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています。まず、コア機械受注に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で前月比+2.3%の増加、レンジ下限は2ケタ減ということでしたので、前月比マイナスとはいえ、まあ、こんなものかという気もします。単月での振れの大きい統計です。それにしても、かなり長きに渡って減少が続いており、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府が基調判断を「減少」に下方修正したのも妥当なところかという気がします。先行き見通しとともに四半期データが利用可能となりましたが、昨年2019年7~9月期から直近の2020年4~6月期まで、実績ベースでコア機械受注は4四半期連続の前期比マイナスが続いており、先行きの7~9月期の見通しも▲1.9%減と見込まれていますから、5四半期連続の減少はかなり確度高いものと考えるべきです。設備投資需要を背景とする機械受注の先行きについては、人手不足に起因する合理化ないし省力化投資の増加要因と、COVID-19などに起因する世界的な景気低迷や先行き不透明感のどちらが大きいか、ということなんですが、年内くらいの期間を考えれば、緩やかな減少を示すんではないかと私は考えています。日銀短観なんかも注目したいと思います。

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2020年8月18日 (火)

ジャイアンツ菅野投手に手も足も出ず完敗してますます5割が遠い!!!

  RHE
阪  神000000000 030
読  売00010000x 120

ジャイアンツ菅野投手をまったく打てず完敗でした。7回まで好投した先発高橋投手はジャイアンツ4番の岡本選手の一発に沈みました。タイガース4番の大山選手は今日も4タコでした。

明日は、
がんばれタイガース!

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お盆休みが終わっても夏休みが続く本日の雑感!!!

先週はお盆休みでしたが、教員になって何よりもいいのは夏休みが長いことです。3月末に東京から京都に引っ越して、4月から大学に移って教員になって、大きな環境変化がありました。ほぼほぼ100パーセント私事で、世間一般には何の関係もないことながら、少し振り返っておきたいと思います。
まず、昨年秋ころから抜け毛が進み、髪の毛が一気に薄くなり始めました。もうすぐ「ハゲ」といわれるような段階に近づいている気がします。何がどう悪いのかは、私には判りません。次に、相変わらず、プールで泳いでいます。緊急事態宣言下ではプールが閉まっていて、今でも大学のプールは使えないままなんですが、今では週末ごとに泳ぎに行っています。でも、かつては時々、月に2~3回くらい5キロ泳げたんですが、最近では3キロしか泳げません。還暦を過ぎて、体力の低下を実感しています。自転車にも乗っていますが、先週からの猛暑では自粛中です。8月初めには奈良を目指して国道24号線を南下していると、県境に到達するまでに私の戸籍が置かれてある役所があり、パスポートが失効していること思い出して戸籍抄本を取得して、結局、奈良には行かずにそのままになってしまいました。おそらく、我が家から奈良までは片道で30キロほどですので、大きな無理なく自転車で行けそうな気がしますが、猛暑の下では自粛中です。
仕事の方は、夏休みに入るまでに成績を入力し終え、後期のシラバスの変更点をチェックしました。私の場合は、講義は100パーセント定期試験で評価するつもりだったのですが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)感染拡大防止のために、定期試験を実施しない場合の評価を考える必要があります。もちろん、評価の前に授業をどうするかなんですが、基本的な方向は、ゼミなどの少人数授業は対面で、大規模講義はオンライン、ということになりそうです。まあ、私は新任教員ですので、大学や学部で方向性が示されれば、それに従うことになるような気がします。思っていたほど極端ではありませんが、やっぱり、私学は国立大学よりも学生数が多いような印象があります。

研究については、日を改めたいと思います。なお、つくづく思うのは、私の行動パターンがとても高齢者になったような気がします。平日昼間に出歩きますので、通常のオフィスアワーに働いている人々とは顔を合わせません。10年ほど前に勤務していた当時の長崎大学経済学部の学部長だった先生は、若いころに近所の人から長期失業者と見なされていた、と聞いたことがありますが、私の行動パターンもそれに近いものがあります。近くのショッピングモールのフードコートで読書していたりすると、先週までは高齢者の比率が極めて高く、今週に入ってからは中高生が騒いでいたりします。サラリーマンのころから大きな変化かもしれません。

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2020年8月17日 (月)

内外需すべてが枕を並べてマイナスとなった4-6月期1次QEの結果やいかに?

本日、内閣府から4~6月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は▲7.8%、年率では▲27.8%と、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で大きなマイナス、3四半期連続のマイナス成長でした。まず、日経新聞のサイトから長い記事を引用すると以下の通りです。

GDP実質27.8%減、4-6月年率 戦後最大の下げ
内閣府が17日発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で1~3月期から7.8%、年率換算で27.8%減った。新型コロナウイルスの感染拡大で、リーマン・ショック後の09年1~3月期の年率17.8%減を超える戦後最大の落ち込みとなった。
4~6月期は感染拡大を抑えるため、政府が緊急事態宣言を出し、個人の外出や店舗の営業が制限された。個人消費を中心に経済活動が広く滞り、GDPは統計を遡れる1955年以降でかつてない落ち込みとなった。
日本のGDPは消費税率を10%に上げた19年10~12月期から、すでに減少に転じている。東日本大震災を挟む10年10~12月期から11年4~6月期以来となる3期連続のマイナス成長に沈んだ。年率換算の金額は485.1兆円。12年10~12月期以来、7年半ぶりに500兆円を割った。
実質GDPが前期比7.8%減った要因をみると、個人消費を含む内需が4.8%分、外需が3.0%分押し下げた。新型コロナの影響が国内外で広がり、内需・外需ともに総崩れの厳しい状況となった。
GDPの過半を占める個人消費は前期比8.2%減った。外食や旅行などのサービス消費を中心に急減。8%への消費税率引き上げ直後の14年4~6月期の4.8%減を大きく下回り、過去最悪の落ち込みとなった。
内需のもう一つの柱である設備投資は1.5%減った。マイナスは2四半期ぶり。感染症や世界経済の先行き不透明感から積極的な投資を先送りする動きが強まった。自動車関連の投資の減少が大きい。住宅投資も0.2%減少した。
一方の外需は輸出が18.5%減った。下げ幅はリーマン・ショック直後の09年1~3月期(25.5%減)に次ぐ大きさだった。自動車の輸出減に加え、GDP上はサービスの輸出に区分されるインバウンド(訪日客)消費がほぼ消滅した影響が大きい。
輸入は0.5%減と小幅な落ち込みにとどまった。中国からの輸入が再開したのに加え、マスクやテレワーク用のパソコンなど「コロナ需要」が出た。
収入の動きを示す雇用者報酬は名目の前年同期比で2.7%減った。マイナスは約7年ぶりだ。コロナ禍での雇用環境の悪化を反映している。
4~6月期の米国のGDP減少率は前期比年率32.9%、英国は約60%、ドイツも30%を超え、軒並み過去最悪の落ち込みとなった。米欧の2期連続に対し、日本は3期連続とマイナス成長が長く続いている。
日本経済は4~6月期を底に回復に向かうとの見方が多い。民間エコノミストの予測では、7~9月期は年率10%を超える高い伸びが見込まれる。足元では国内外で新規の感染者数が高止まりしている。感染拡大が続けば、経済の低迷が長引く恐れがある。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2019/4-62019/7-92019/10-122020/1-32020/4-6
国内総生産GDP+0.4+0.0▲1.8▲0.6▲7.8
民間消費+0.7+0.3▲2.3▲0.4▲4.8
民間住宅▲0.2+1.2▲2.2▲4.2▲0.2
民間設備+0.8+0.2▲4.7+1.7▲1.5
民間在庫 *(+0.0)(▲0.3)(+0.0)(▲0.1)(▲0.0)
公的需要+1.2+0.9+0.4▲0.0▲0.0
内需寄与度 *(+0.7)(+0.3)(▲2.3)(▲0.4)(▲4.8)
外需(純輸出)寄与度 *(▲0.3)(▲0.2)(+0.5)(▲0.2)(▲3.0)
輸出+0.2▲0.6+0.4▲5.4▲18.5
輸入+1.8+0.7▲2.4▲4.2▲0.5
国内総所得 (GDI)+0.3+0.2▲1.7▲0.6▲6.8
国民総所得 (GNI)+0.3+0.2▲1.8▲0.6▲6.8
名目GDP+0.5+0.4▲1.5▲0.5▲7.4
雇用者報酬 (実質)+0.8▲0.2▲0.2+0.5▲3.7
GDPデフレータ+0.4+0.6+1.2+0.9+1.5
国内需要デフレータ+0.4+0.2+0.7+0.7+0.0

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4~6月期の最新データでは、前期比成長率が歴史的にも今までなかったくらいの大きなマイナスを示し、GDPの各コンポーネントは軒並みマイナス寄与を示し、中でも、赤の消費と次いで黒の純輸出が大きなマイナスを記録しています。

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まず、先週金曜日のシンクタンクの1次QE予想でもそうですが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、季節調整済みの系列による前期比年率でマイナス30%近くに達し、極めて大きなマイナス成長でしたので、「こんなもん」というのが多くのエコノミストの感想ではなかろうか、と私は勝手に想像しています。この景気落ち込みの大きな要因は、エコノミストの間でほぼほぼ満場一致で新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響であり、国内では拡大防止のための外出や一部ながら経済活動に対して自粛要請が出されましたし、海外についても、中国は先進国に比較して早くにCOVID-19の影響から脱していたとはいえ、4▲6月期についてはまだまだ世界経済はロックダウンによる大きな停滞を示したことから、外需もマイナス寄与を示しています。消費は外出自粛などが直接的な要因でしょうし、設備投資については輸出の落ち込みと先行き不透明感の影響などから減少を続けています。繰り返しになりますが、外需もマイナス寄与を示しています。すなわち、4~6月期については季節調整済みの前期比で見て輸出入ともに減少しているわけですが、輸入の▲0.5%減を上回って、輸出が▲18.5%の減少を記録しています。ですから、COVID-19の感染拡大あるいは終息については、内外のフェーズの違いが透けて見える気がします。先行きについて考えると、本格的なCOVID-19の経済的影響が現れる4~6月期を底として、直観的ながら、日本経済は緩やかに回復に向かう蓋然性がもっとも高いと私は考えています。足元7~9月期ないし年内からのV字回復は望み薄と考えるべきです。例えば、7~9月期は年率+10%くらいのリバウンドを見せる可能性が高い一方で、10~12月期の成長率はゼロ近傍ないしマイナスに再び落ち込むといった予想を持っているエコノミストは少なくないものと私は考えています。もちろん、考えたくもないシナリオながら、COVID-19の感染者数がこのまま増加の一途をたどり、再び何らかのロックダウンに近い措置が取られるとすれば、「景気の谷が今年2020年5月だった」どころのお話ではなくなる可能性が大きいと覚悟すべきです。

最後に、どうでもいことながら、引用した記事の3パラ目にGDPが500兆円を割った旨が報じられていますが、これは2011年基準の固定価格の実質値です。私はこういう場合は名目GDPで見るべきであり、名目値であればまだ500兆円は下回っていない点は付け加えておきたいと思います。

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2020年8月16日 (日)

守りのミスで勝ち試合を逃して5割が遠い!!!

  RHE
広  島0000010100 252
阪  神2000000000 242

守りのミスで勝ち試合を逃して広島と引き分けでした。先発秋山投手は5回まで広島打線をゼロに抑え、6回から早くも継投に入りましたが、これは結果的には失敗でした。守りのミスがあったとはいえ、2点を守り切れませんでした。最強のリリーフ陣といわれていたころが懐かしいです。バッター陣では4番大山選手が2度の併殺とブレーキでした。

次のジャイアンツ戦は、
がんばれタイガース!

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2020年8月15日 (土)

サンズ・ボーアの両外国人が打ちまくって広島に完勝!!!

  RHE
広  島010100000 252
阪  神20102302x 10141

サンズ・ボーアの両外国人選手が大瀬良投手を打ち崩して広島に快勝でした。先発西投手は序盤に失点しつつも、大量援護に守られ8回2失点で岩貞投手にバトンタッチしました。ほぼほぼ完璧な試合運びだった気がします。

明日も、
がんばれタイガース!

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今週の読書もいろいろ読んで計5冊!!!

今週の読書は、開発経済学の入門書のほか、冷戦史、また、社会心理学・教育研究の教養書に加えて、やや期待外れだったテクノロジーに関する新書まで、以下の通りの計5冊です。

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まず、大塚啓二郎『なぜ貧しい国はなくならないのか (第2版)』(日本経済新聞出版) です。数年前に出版された本の第2版です。著者は、かの速水祐二郎先生に連なる研究者で、いくつかの大学に所属した経験豊かなエコノミストですが、当然ながら、農業経済学ルーツのマイクロな開発が専門分野のようです。私も開発経済学を専門分野のひとつと考えているんですが、私の場合はマクロ経済学の応用分野のひとつと考えていますので、ランダム化比較試験(RCT)などについてはほとんど見識ありません。逆に、本書では開発の重点は開発戦略の策定と実行にあり、ほぼほぼそれがすべてとお考えのようです。本書でも議論されていますが、開発経済学のルーツを考える際、本書の著者のように典型的には農業経済学から入って、途上国の農業や他の途上国らしい産業の生産性向上ないし育成を考えるマイクロな見方と、私の場合のように、経済史から入って歴史の流れの中で大局的な経済発展を把握し、普遍的な経済発展から始まって個別国の開発に進もうとするケースがあります。どちらがいいとか悪いとかの観点ではなく、個別ケースの必要に従って考えるべきです。私はそう考えているんですが、本書の著者は自分の見方がすべて正しいとお考えのようで、アーサー・ルイス卿の二重経済における生存部門から資本家部門への労働の移動による経済発展まで否定されるのはいかがなものか、という気もします。経済学の基礎的な知識を不要とするという意味では、本書のようなアプローチも十分理解できるところですが、この方向を極めてしまうと、「開発とは途上国に行って井戸を掘ることである」という見方も成立しかねないので、やや心配ではあります。当然ながら、マイクロな経済学の最大の懸念である合成の誤謬も生じる可能性が排除できません。ただし、繰り返しになりますが、どちらがいいとか悪いとかの観点ではありません。ですから、誰か知り合いから聞いた記憶があるんですが、農業経済学的なマイクロな開発経済学はアフリカに適用可能な一方で、経済の普遍的な歴史の中で開発を考えるのはアジアに適用可能、という説があります。どこまで当たっているかは現時点で何ともいえませんが、本書を読んでいてついつい思い出してしまいました。

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次に、O.A. ウェスタッド『冷戦』上下(岩波書店) です。著者は、ノルウェー出身で現在は米国の大学の研究者をしている歴史学者です。本書の英語の原題は The Cold War であり、2017年の出版です。ということで、1990年前後に終焉を迎えた冷戦に関する世界史です。ただ、副題の「ワールド・ヒストリー」というのが、私にはイマイチ理解できていません。すなわち、通常、日本史とか、世界史という場合の世界史はワールド・ヒストリーなんですが、それに対置する形で、グローバル・ヒストリーとは、従来の王朝史ではなく、地球規模でのリンケージを視野に入れた相互連関を重視するという立場なんですが、本書では、ややそういったグローバル・ヒストリーの要素あるとはいえ、何せ冷戦なんですから、米国とソ連がそれぞれ東西の陣営の先頭に立って世界各国に覇権的な影響力を講師する、わけですので、当然といえば当然の地球規模でのリンケージは分析する必要があります。とはいえ、本書の歴史は極めて広範囲であることが特徴のひとつであり、地域も時代も従来の冷戦観からはかなり広がって理解できる気がします。もっとも、冷戦の終わり方の分析にやや不満が残ります。歴史であるからには何らかの時系列的な方向性ばかりではない因果関係の分析を期待するわけですが、ソ連崩壊とそれに続く東欧衛星諸国の共産党政権崩壊がややバラバラに記述されている印象があります。冷戦という二項対立が終わるとすれば、和解によす対立解消でなければ、とちらの陣営の崩壊しかないわけですが、私のようなエコノミストの理解からすれば、やっぱり、社会主義的なソ連経済の非効率の限界から、米国的な資本主義経済の生産性に敗北した、との理解となります。逆から見れば、生産性が低くてそれなりに非効率であっても、分配が優れていれば経済としてはOKではないのか、という見方がそれほど強力には成り立たなかったわけです。もちろん、北欧諸国の社会民主主義的な経済を見る限り、全体主義的あるいは強権的なやり方ではなく、国民的なコンセンサスに基づく分配重視という経済運営は、十分にサステイナブルとする見方も成り立ちますが、そこまで至るプロセスが各国で異なっていることも確かです。ロシアや東欧のように未発達な資本主義国だった地域においては、一度、強く左に振れてから社会民主主義的な分配重視の経済に戻る、というのが不可能だったのか、それななぜか、というのが私のひとつの疑問です。それからついでながら、日本語版への著者の序文にあるように、冷戦と、というか冷戦終了と我が国の経済的な停滞の間になにか関係があるのか、あるいは、ないのか、という疑問もなかなか興味あります。もちろん、著者のリップサービスですから、本書には何の記述も含まれていません。

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次に、クロード・スティール『ステレオタイプの科学』(英治出版) です。著者は、米国でも有数の社会心理学者・教育研究者であり、アフリカ系米国人です。英語の原題は Whistling Vivaldi であり、2010年の出版です。英語の原題は「ヴィヴァルディを口笛で吹く」くらいの意味であり、本書を読めばわかりますが、著者の出身地でもあるシカゴ近郊のエピソードで、暴力的と見なされて敬遠されがちな黒人男性が口笛でクラシック音楽をとても上手に奏でたところ、行き交う人々の警戒心が大きく減じたとの著者の友人の実話から取っているのではないかと私は想像しています。ということで、周囲からの差別や偏見がなくても、「女性は理数系に弱い」とか、「黒人男性は暴力的」とかの社会的な刷り込みがあると、無意識のバイアスが生じて、行為者本人のストレスとなって、ネガなステレオタイプの脅威によりいい結果が残せない、というケースを特に教育・学習で実証的に研究した成果を取りまとめています。繰り返しになりますが、「女性は理数系に弱い」といわれた上で、成績を出すということになれば、そのステレオタイプに近い結果が示されるのは、学校で示されるスティグマによる下層化圧力に起因するとの研究成果です。ですから、学力測定の目的と明示されると、そういうスティグマを持つグループの成績は低くなり、そうでなく、学力測定ではなく研究目的とされると、そういったスティグマはないわけですので、成績低下の効果はない、という例が多数示されます。ほかにも、マイノリティを克服するためにはクリティカルマスを満たすことが重要であり、そのためのアファーマティブ・アクションの重要性などにも言及しています。とても説得的な研究成果が多数示されています。その上、第9章ではそういったバイアスを減少させる方策がいくつか示されており、決して事実のファクト・ファインディングだけでなく、実践的な解決方法まで幅広く研究された成果が本書には含まれています。私もエコノミストとして現状判断は出来るものの、それに対する処方箋が書けない場合が少なくなく、現在の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による経済のダメージからの回復もそうです。そういった意味で、処方箋の重要性も確認させられた気がします。

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最後に、山本康正『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社現代新書) です。著者は、よく判らないんですが、いくつかの先端技術会社での勤務経験があるようです。第1章がまるまるパーソナル・ヒストリーに当てられています。気軽な新書とはいえ、こんな構成はほとんど見たこともありません。「次のテクノロジー」として想定されているのは、上の表紙画像にあるように、5GとAIとクラウド・ビッグデータの三角形なんですが、「次」ではなく「今」ではなかろうかという気もします。本書で本格的に展開されているのはAI+ロボットくらいで、5Gとクラウド・ビッグデータはそのためのインフラといった位置づけのようです。ということで、気軽な新書とはいえ、かなり物足りない内容だったので、本書冒頭のはじめにと序章の50ページくらいをパラパラと立ち読みすれば十分、という気がしないでもありません。もちろん、私のように図書館で借りるのも一案です。

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2020年8月14日 (金)

広島にまったく歯が立たずに大敗!!!

  RHE
広  島301002000 6100
阪  神000000000 020

藤浪投手が打ち込まれて、しかし、打線は2安打で完封され、まったく広島に相手にもされずに大敗でした。ジャイアンツの2軍が中央大学相手に大敗したという報道を見かけましたが、それと同じくらいに力量の差だったのかもしれません。こういうときはすぐに忘れて、明日に向けて前進です。

明日こそ大瀬良投手を攻略して、
がんばれタイガース!

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4-6月期GDP統計1次QEの予想はかつてない大きなマイナス成長が並ぶ!!!

7月末の鉱工業生産指数(IIP)や商業販売統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろって、来週月曜日の8月17日に4~6月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で、3四半期連続のマイナス成長、しかも、歴史的な大きさのマイナス成長は確定ながら、どこまでマイナス幅が大きくなるかも注目です。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元から先行きの景気動向について重視して拾おうとしていて、今回は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響が、おそらく最大となるであろう4~6月期を景気の底として、足元の7~9月期の回復がどのくらい力強いか、に焦点を当てています。下のテーブルに並べた8機関のうち、一番下の三菱系の2機関を除けば、ほとんどのシンクタンクが7~9月期以降の見通しに触れています。中には、需要項目別の見通しも含めて、長々と引用したシンクタンクもあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

 

機関名 実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研 ▲7.8%
(▲27.9%)
7~9月期を展望すると、内外の活動制限緩和を受けて持ち直しに転じるものの、V字回復は期待薄。7月入り後の感染再拡大を受けて、国内の小売・娯楽施設への人出の回復が頭打ちとなるなど、消費の回復力は脆弱。入国制限の緩和は当面、一部の国からのビジネス目的に限られるとみられるなか、インバウンドも実質ゼロの状況が続く見通し。さらに、進捗ベースで計上される住宅や建設などは、今後一段と悪化する見込み。
大和総研 ▲7.7%
(▲27.3%)
先行きの日本経済は、2020年7-9月期に前期比年率 10%超の高いプラス成長が見込まれる。しかしその後の回復ペースは緩やかなものに留まり、コロナ・ショック前の水準に戻るまでには相当な時間を要するだろう。
個人消費は、経済活動の再開や特別定額給付金などが追い風となり、7-9月期に急回復することが見込まれる。ただし感染再拡大への懸念から、対面や移動を伴うサービスの回復は限定的であろう。また、景気回復の足取りが重いことが見込まれる中、雇用・所得環境の悪化が懸念されるものの、短期的にはそれによる消費の腰折れは避けられるとみている。家計の貯蓄は、活動自粛による消費の抑制と各種給付金による所得の大幅増で積み上がっており、それが個人消費を下支えするだろう。
住宅投資は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う雇用・所得環境の不確実性の高まりが投資を下押しし、弱い動きが続くと考えられる。
設備投資は内外経済の先行き不透明感が高まる中、低迷するだろう。人手不足に対応した合理化・省人化投資や研究開発投資など、一部の費目では増勢を維持する可能性があるものの、能力増強投資は先送りされるとみられる。
公共投資は、前述した「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」や「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(2019年12月閣議決定)に下支えされ、高水準での推移が続くとみている。
輸出は、世界的な経済活動の再開に伴い、緩やかに増加することが見込まれる。感染再拡大が懸念されている欧米向け輸出は本格回復にかなりの時間を要すると見込まれる一方、当面は中国向けが輸出全体を下支えする構図が続くだろう。
みずほ総研 ▲7.5%
(▲26.8%)
7~9月期は、国内の緊急事態宣言が解除され、主要国でロックダウンが緩和されたことを受け、プラス成長に戻るだろう。前期の大幅な落ち込みの反動もあり、現時点では消費・輸出を中心に年率二桁の伸びになるとみている。
個人消費は、感染再拡大への懸念が残存するためサービス消費の回復ペースは引き続き緩慢なものとなるほか、財消費についても7月以降は家電等の伸びが鈍化すると見込まれるが、6月の持ち直しによるゲタの影響で7~9月期は高い伸びとなるだろう。
輸出についても、海外のロックダウン解除に伴う需要の回復を受け、自動車関連を中心に増加が見込まれる。情報関連財も、自動車販売の持ち直しやリモートワーク需要を受けて回復するだろう。ただし、米欧での設備投資需要の減少を受け、資本財輸出は弱含みが続くとみている。
10~12月期以降の日本経済の回復ペースは緩慢なものとなる見通しだ。①企業収益の悪化を受けて賃金・設備投資の調整が進むこと、②Withコロナ期は外食・旅行・娯楽などの消費活動が一部制限されること、③感染第二波を巡る不確実性が家計・企業の活動を委縮させることが主因である。
ニッセイ基礎研 ▲8.1%
(▲28.8%)
7-9月期は高い発射台からスタートすることもあり、4四半期ぶりのプラス成長となる可能性が高い。ただし、飲食、宿泊などのサービス消費の持ち直しが限定的にとどまっていること、7月に入り新型コロナウィルスのPCR陽性者数が再び増加していることもあり、経済活動の正常化は遅れている。現時点では、7-9月期の実質GDPは前期比年率10%程度と4-6月期の落ち込みの半分以下の伸びにとどまると予想している。
第一生命経済研 ▲7.8%
(▲27.8%)
いずれにしても4-6月期のGDPが記録的な落ち込みとなることは間違いない情勢である。緊急事態宣言下の日本経済の落ち込みがいかに大きかったかが改めて示されることになるだろう。
伊藤忠総研 ▲6.6%
(▲24.0%)
4月以降の経済指標は、個人消費を中心に底入れを示すものが出始めており、7~9月期はプラス成長に復することが期待される。しかしながら、最近のコロナ感染再拡大を受けて政府は行動制限を再強化する動きを見せ始めているほか、消費者のマインドも再び慎重化しているため、コロナ感染が早期にピークアウトしなければ 7~9月期の日本経済も低迷が続く可能性は十分にあろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング ▲7.5%
(▲26.9%)
リーマンショック時のマイナス幅を大きく上回り、過去最大の落ち込み幅を更新する見込みである。新型コロナウイルスの感染拡大が経済に及ぼした影響の深さを改めて確認することになりそうだ。
三菱総研 ▲7.4%
(▲26.6%)
遡れる1980年以降で最大のマイナス成長を予測する。国内外での新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、内需や輸出が総じて大きく減少したとみられる。

 

何と申しましょうかで、前期比年率▲20%超、それも伊藤忠総研を別にすればおしなべて▲20%台後半の大きなマイナス成長が見込まれています。いうまでもありませんが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響です。
もう私はこれ以上論ずることはありませんので、少し世間一般における理論的な展開をサーベイしておきたいと思います。例えば、NBERワーキングペーパーNo.26918で興味深い分析がなされています。すなわち、不完全市場と消費者の流動性制約があり、さらに、COVID-19の影響を受けたセクターではシャットダウンにより雇用者が解雇ないし一時帰休されるとともに財・サービスが提供されなくなる一方で、影響受けないセクターとの2部門モデルを考えると、COVID-19の経済的影響は、総供給-総需要のケインズ型のモデルとは異なり、下振れの影響は供給サイドから始まり、需要サイドに波及すると論じています。まあ、そうなんでしょうね。参照先は以下の通りです。

 

最後に、下のグラフはいつもお世話になっているニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

 

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2020年8月13日 (木)

企業物価(PPI)の下落も5月統計で下げ止まったか?

本日、日銀から7月の企業物価 (PPI) が公表されています。企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲0.6%の下落を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の企業物価指数、前月比0.6%上昇 石油製品など回復
日銀が13日発表した7月の企業物価指数(2015年平均=100)は100.2と、前年同月比で0.9%下落、前月比で0.6%上昇した。7月は新型コロナウイルスの感染拡大で停滞した経済活動の再開が広がった。石油・石炭製品や銅価格が回復したことで、企業物価は上昇が続いた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。農林水産物では、外食の需要が戻りつつあることが前月比での価格押し上げに寄与した。
円ベースでの輸入物価は前年同月比12.6%下落した。前月比では1.9%上昇した。円ベースでの輸出物価は前年同月比で3.2%下落し、前月比では0.8%上昇した。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。消費増税の影響を除くベースでの企業物価指数は前年同月比で2.4%下落、前月比では0.6%上昇した。
企業物価は前月比では上昇しているものの、前年から比べると低い水準で推移している。「新型コロナが実体経済に与える影響を注視し、企業物価をしっかり把握していきたい」(日銀)という。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。

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まず、PPIのうち国内物価の前年同月比上昇率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で▲1.2%の下落、レンジ上限は▲0.9%下落ということでしたので、下落とはいえ上限を上回る結果といえます。国内物価の季節調整していない原系列の前月比+0.6%への寄与度を見ると、石油・石炭製品が+0.34%、電力・都市ガス・水道が+0.18%、非鉄金属が+0.10%と、とこの3類別でほとんどを説明できてしまいます。類推するに、中国をはじめとする新興国が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの最悪期を脱した影響が大きいと考えるべきです。おそらく、我がブログの暫定景気日付もそうなんですが、日本国内の景気動向も4~5月ころが底だったと考えられますから、需給ギャップから見ても6~7月統計で下げ止まりを示すのは自然な流れと私は受け止めています。ですから、世界経済、というか、先進国経済を中心とする世界経済における需給ギャップも考慮すれば、国内物価だけでなく、輸出物価も輸入物価も、そして、需要段階別で見ても、素原材料も中間財も最終財も、すべてのカテゴリーで下げ止まっているのが上のグラフから見て取れます。しかし、他方で、いま上げたすべてのカテゴリーの企業物価上昇率が前年度月比で見て、いまだにマイナスであるのも事実ですし、PPIターゲットではなくCPIターゲットとはいえ、+2%の日銀の物価目標からはほど遠い、という点も決して忘れるべきではありません。

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2020年8月12日 (水)

最終回辛くも逃げ切って横浜に連勝!!!

  RHE
阪  神010500100 7111
横  浜210002001 6130

青柳投手が勝ち頭の5勝目を上げ横浜に連勝でした。4回打者一巡2ホーマーのビッグイニングを生かして逃げ切りました。

次の広島戦も、
がんばれタイガース!

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お盆休みの読書やいかに?

私はまとまったお休みがあると、古典的な名著を読みたくなる傾向があり、これまでも海外勤務の際の一時帰国や長崎大学の時の夏休みの機会などを捉えて、何冊か読んでいました。ブルクハルト『イタリア・ルネサンスの文化』、バジョット『ロンバード街』、ハルバースタム『ベスト・アンド・ブライテスト』、リースマン『孤独な群衆』、ガルブレイス『新しい産業国家』、フリードマン『選択の自由』、などなどです。ただ、知り合いからバジョットは『ロンバード街』ではなく、むしろ、『イギリス憲政論』の方が世界的に知名度が高い、と指摘されたことがあります。ほかに、チリ勤務の際にはガルシア-マルケスの『百年の孤独』Cien años de Soledad のスペイン語原書に挑んだこともあります。我が家の本棚にはそれなりに立派な本が並んでいます。
今週のお盆休みの読書計画に選んだのは以下の5冊で、すでに半分くらい読んでしまいました。2冊めのエスピン-アンデルセンの『福祉資本主義の三つの世界』以外は読んだ記憶があります。

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まず、ロバート D. パットナム『孤独なボウリング』(柏書房) です。米国の社会関連資本=Social Capitalが20世紀の終わりの⅓、すなわち、1960年代半ばくらいから失われていく社会的な現象について分析を加えています。非常に有名な事実なんですが、同じタイトルの "Bowlin Alone" という学術ジャーナルの論文が1995年に出版されていて、書籍は2000年の出版です。論文出版のころは社会関係資本の喪失の原因はテレビ、としていましたが、書籍を上梓するころには世代論に重点を置くように変化しています。

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次に、G. エスピン-アンデルセン『福祉資本主義の三つの世界』(ミネルヴァ書房) です。これも有名な本です。福祉レジームについて、アングロ-サクソン諸国の自由主義レジーム、北欧諸国の社会民主主義レジーム、そして、大陸欧州諸国の保守主義レジームにカテゴライズして論じています。私が知る限り、2012年版の「厚生白書」第4章の冒頭で私のようなシロート向けの解説があります。また、1980年代の失業の高まりへの対応として、同じ3分割の政策論を展開した『転換期の福祉国家』も有名です。1980年ころからの失業の増加に対して、アングロ-サクソン諸国では最低賃金や公的扶助を切り下げて労働市場を柔軟化させるアプローチを取り、大陸欧州諸国では早期退職のパスを整備して労働供給を減少させるアプローチを取り、スカンジナビア諸国では福祉などの公的部門の雇用を拡大して労働需要を増加させるアプローチを取った、とされています。

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最後に、葉室麟『いのちなりけり』、『花や散るらん』、『影ぞ恋しき』(文春文庫・文藝春秋) です。いわゆる「いのち」3部作です。第1巻『いのちなりけり』と第2巻『花や散るらん』はすでに文庫本が出ており、第3巻『影ぞ恋しき』はまだ単行本だけです。藩主に対して「天地に仕える」と広言する柔道と剣の達人雨宮蔵人と名門出身で教養豊かな才色兼備の咲弥の夫婦、そして、第2巻の『花や散るらん』から新たに家族に加わる娘の香也、その脇を固める「葉隠」の著者である山本常朝や後に出家する深町右京などなど、藩内政治だけでなく、幕府と朝廷を巻き込む陰謀めいた出来事に加え、これも第2巻の『花や散るらん』では、赤穂浪士の討ち入りに立ち会います。私はこの第2巻が一番好きです。第1巻はもちろん、第3巻もいいんですが、最後の第3巻では忍びの連中が余りに出過ぎる気がします。

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2020年8月11日 (火)

打線がしっかり援護してガルシア投手今シーズン初勝利!!!

  RHE
阪  神100002105 9100
横  浜100000010 271

打線がガルシア投手を援護して、遅まきながら今シーズンの初勝利でした。それにしても、サンズ外野手の得点圏打率は驚異的です。5割を超えているんですから、感覚としては常に得点を入れている感じかもしれません。それにしても、馬場投手は相変わらず不安定で、今夜も失点しています。他の投手はいないんでしょうか?

明日は久々のカード勝ち越し目指して、
がんばれタイガース!

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持ち直しつつある景気ウオッチャーの先行きやいかに?

本日、内閣府から7月の景気ウォッチャーが、また、財務省から6月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+2.3ポイント上昇して41.1を示し、先行き判断DIは▲8.0ポイント低下して36.0を記録しています。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で1675億円の黒字を計上しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

7月の街角景気 現状判断は改善、先行きは悪化 コロナ再拡大を警戒
内閣府が11日発表した7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、3カ月前と比べた足元の街角の景気実感を示す現状判断指数(DI、季節調整済み)は41.1と前月から2.3ポイント上昇した。改善は3カ月連続。一方、2~3カ月後の景気の良しあしを判断する先行き判断指数(同)は前月比8.0ポイント低下の36.0で、3カ月ぶりに悪化した。景況感は足元で改善しているものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大への警戒感から先行きには慎重な様子が浮き彫りになった。
足元では、指数を構成する家計と企業動向、雇用のうち、これまで改善が鈍かった企業動向と雇用で改善した。企業動向では「自動車各社の工場の稼働が進み、関連業界の先行きに明るさが出てきているが、採算ラインに乗るまでには時間が掛かる」(近畿の金属製品製造業)といった声があった。雇用では「ステイホームの状況下であった4月と比較すると、徐々にではあるが、新店舗オープンに伴う人員募集や営業再開に伴う増員募集の依頼が増えてきている」(北海道の求人情報誌製作会社)という。家計動向は前月から横ばいだった。
先行きについては家計、企業動向、雇用のいずれの項目も悪化した。家計では国内旅行の需要喚起策「Go To トラベル」事業について「キャンペーンは始まったが、新型コロナウイルス感染者も増えてきていて、また振り出しに戻らないか怖い」(沖縄の旅行代理店)との声があった。
企業動向では、リモートワークの見直しなどの設備投資需要が増えているとの声がある一方、「まだまだ見通しのつかない状況にあり、生産負荷の減少が続くと考えられる」(九州の精密機械器具製造業)との見方もあった。
6月の経常収支、1675億円の黒字 72カ月連続黒字
財務省が11日発表した6月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1675億円の黒字だった。黒字は72カ月連続だが、前年同月に比べると1兆856億円減少した。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1100億円の黒字だった。
貿易収支は773億円の赤字、第1次所得収支は4264億円の黒字だった。
同時に発表した1~6月の経常収支は7兆3069億円の黒字、貿易収支は1兆976億円の赤字だった。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期なんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気拡大局面入りを認定しています。

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景気ウォッチャーの現状判断DIの3項目のコンポーネントのうち、家計動向関連DIは横ばい、企業動向関連DIと雇用関連DIについては上昇しています。横ばいの家計動向関連DIの中でも、低下を示したのは小売関連だけであり、ほかの飲食関連、サービス関連、住宅関連は上昇していますし、何よりも雇用関連DIが上昇していますので、悪い結果ではないように私は受け止めています。従って、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる」で据え置いています。ただ、先行き判断DIについては、およそすべてのコンポーネントが低下を示しました。3項目のコンポーネント、家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIは3項目ともマイナスですし、それぞれのコンポーネントの中のさらに細かな小売関連とか製造業・非製造業なんかも先行き判断DIはすべてマイナスです。引用した記事にもある通り、じわじわと増加しつつある新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響であることは明らかです。従来から何度もこのブログで主張しているように、「ウィズ・コロナ」なんてのはあり得ません。「ウィズ・ペスト」や「ウィズ・コレラ」があり得ないのと同じです。ですから、本格的にマインドが回復し、そして経済活動が元通りになるためには、ワクチンや特効薬が開発されて、COVID-19を封じ込める必要があると考えるべきです。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、COVID-19の影響は経常収支でも最悪期を脱した可能性があります。内外の景気動向の差に基づく貿易赤字が主因となって経常収支が落ち込んでいますが、季節調整済みの系列で見る限り、まだ貿易収支は赤字で経常収支も低い水準にあるものの、最悪期を脱して回復に向かっている可能性が高いと考えるべきです。

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2020年8月10日 (月)

またまた投手陣が先に失点して横浜とのカード初戦を落とす!!!

  RHE
阪  神010002100 481
横  浜01022001x 6110

またまたカード初戦の横浜戦で敗戦でした。先発岩貞投手が失点して逆転されると早々に投手のリレーに入り、後のリリーフ陣が失点して傷を広げるというよく見かけるパターンです。打線はそこそこ打ったんですが、もともとの得点力がそうあるわけでもなく、投手陣がここまで失点すれば勝ち目はありません。

明日は、
がんばれタイガース!

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2020年8月 9日 (日)

先発秋山投手のナイスピッチングと4番大山選手の2打点でようやく広島に勝利!!!

  RHE
阪  神011000012 560
広  島010000000 131

先発秋山投手のナイスピッチングと4番大山選手の逆転タイムリーで広島に勝利でした。大山選手はシングル1本でサイクルでしたが、9回は惜しくも打順が回りませんでした。昨夜は福留選手が犠牲フライも打てず、藤川投手が失点しての敗戦でしたが、今までの思い込みは年齢とともに通用しなくなりつつあり、中堅ないし若手の実力が伸びたのか、ベテランの衰えなのか、私には判りませんが、そろそろ、阪神も世代交代の時期なのかもしれません。

の横浜戦も、
がんばれタイガース!

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先週の読書は統計の学術書をはじめ計6冊!!!

先週の読書は、スティグリッツ-セン委員会リポートの後継となる統計の専門書をはじめとして計6冊です。そろそろ、本格的な夏休みが始まりますので、読書計画も考えていたりします。

 

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まず、ジョセフ E. スティグリッツ & ジャン=ポール・フィトゥシ & マルティーヌ・デュラン[編著]『GDPを超える幸福の経済学』(明石書店) です。編著者の3人はスティグリッツ教授はノーベル経済学賞受賞者であり、米国を代表するエコノミストの1人ですし、フィトゥシ教授もフランスを代表するエコノミストの1人です。デュラン氏はOECDの統計局長です。本書は、当時のフランスのサルコジ大統領が主導したスティグリッツ-セン委員会の後継グループの研究成果を取りまとめています。英語の原題は For Good Measures: Advancing Research on Well-being Metrics beyond GDP であり、2018年の出版です。英語の全文リポートも Initiative for Policy Dialogue のサイトにアップされています。日本語タイトルは「幸福の経済学』と要約されていますが、その計測についての議論を収録しています。ですから、かなり議論は専門的かつ技術的なものとなっています。その道の専門家でないと読み解くのは難しいかもしれません。いずれにせよ、私のようなマクロ経済ないしマクロ経済の応用分野を専門とするエコノミストにとって、もっとも重要な指標のひとつはGDPであることは確かです。しかしながら、そのGDPは開発が始まってから100年近くが経過しており、そもそも、戦後直後からそれなりの批判あったことも確かです。私の直観からいえば、GDPは製造業を付加価値を生み出す中心的なセクターとする経済指標であり、ペティ-クラークの法則が示す通り、第1次産業から第2次産業、そして、第2次産業から第3次産業へと付加価値生産や雇用が重心を移す中で、どこまで経済の進歩を計測するに耐えられるか、という点からは疑問が出されています。本書でも、第1に、教育や医療などの市場を経由しない社会的取引、第2に、付加価値生産というフローにとどまらないストックの考慮、特に、げんざいのSNA統計でも把握されている生産資本だけでなく人的資本や自然資本の計測、第3に、平均や中央値で捉えるだけではなく分布の重視、といった観点から統計を研究した成果となっています。加えて、GDPなどの経済統計はあくまでひとつの数値として結果が示されますが、そういった従来的な統計値ではなく、幸福度などにおけるダッシュボードの採用の可能性なども議論しています。その上で、邦訳タイトルにあるように、幸福指標を考慮し、経済的安定性や不安定性、さらに、SDGsに整合的な経済的持続可能性の考慮などなど、新たな経済統計の進むべき方向が示されています。実は、私のシェアリング・エコノミーに関する研究成果も幅広い意味では、こういった研究の一環なんですが、はなはだ研究水準に不満が残り、分野も限定されている、というのは今後の課題としておきます。

 

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次に、日本経済新聞社[編]『NEO ECONOMY』(日本経済新聞出版) です。上の表紙画像にも見られるように、PHISICAL→INTANGIBLE とあり、有形資産から無形資産へ、あるいは、もっと俗な表現をすれば、ハードからソフトへ、という経済社会の変化をいろいろとデータを織り交ぜながら解き明かしています。書籍として面白い試みと感じたのは、本書冒頭でINTRODUCTIONとしてSECTION 4まで主としてグラフを並べて導入部としています。ほとんど出典がないので、私の学生なら辛めの点をつけますが、まあ、学術書ではないので、それほど気にする必要はないのかもしれません。その昔から、ペティ・クラークの法則というのを高校で教えていて、経済社会の歴史が進むにつれて、1次産業から2次産業へ、そして、2次産業から3次産業へと生産も雇用もシフトする、という経験則があります。本書ではこれを進化と捉えているようで、私も異論ありません。そして、富や付加価値に近い概念だろうと思いますが、いわゆる経済的な効用がモノというか、財ではなく、ソフトなサービスからより多く得られる経済社会に変化しているという認識です。そして、そういった経済的な効用を生み出す資本についても、機械や建物のような物的な資本から、ソフトな資本にシフトしている、というわけです。本書の副題は『世界の知性が挑む経済の謎』となっていて、問題は、そういった経済活動を計測する不法がまだ確立しておらず、従って、先週の読書感想文で取り上げた『EBPMの経済学』のように、エビデンスがまだ得られていませんので、政策対応も出来かねている、という現状に対して世界の知性が挑んでいる、ということなのだろうと思います。我が国の統計では、ほぼほぼGDP統計中心に公的統計が整備される方向で進められていますが、本書で議論されているように、現在、いっそう大きな経済的な効用を生み出すようになったソフトな生産物とその生産手段たるソフトな資本をどう計測するか、については、まだ手を付けられてすらいません。というか、私も官庁エコノミストだったころに、あくまで部分的ながら、シェアリング・エコノミーの計測を試みましたが、おそらく、本書で議論しているようなソフトな経済的効用については、GDPとは異なる概念で計測するべきと考えています。それを幸福度と呼ぶかどうかはまた別のお話ですが、少なくとも、こういった経済社会の歴史的な方向に、例えば、労働条件や物価などの面から少なからぬ異論や異議が出るであろうことも確かです。私も疑問は大いに持っていますし、おそらく、現在の先進国に蔓延しているネオリベラルな経済理論や政策では対応、というか、制御できかねる部分が多々あろうという気はします。おそらく、キチンと限界生産性に従った価格付けがなされ、財貨やサービスの希少性が減じて行くに従って、今のように企業の利益が増加するだけでなく、賃金上昇はいうまでもなく国民生活全般の豊かさにつなげることの出来る経済理論と政策が求められているのであろうと私は受け止めています。私の同僚の中には、それを本来の社会主義、あるいは、共産主義と呼ぶ人もいそうな気がします。

 

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次に、斎藤恭一『大学教授が、「研究だけ」していると思ったら、大間違いだ!』(イースト・プレス) です。著者は、千葉大学工学部の化学系の教授を定年退職した研究者です。本書のタイトルから明らかな通り、通常、大学教授とは研究と教育に携わるんですが、それに加えて、主として、受験者集めを目的とする広報活動と大学運営、というか、経営も含めた4つの活動について、ほぼほぼ著者の経験から解き明かそうと試みています。私も基本的に著者の同業者ですから、内情はそれなりに理解します。ただ、現在の私学では新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響もあって、対面授業がほとんどなく、リモート授業が圧倒的ですし、10年ほど前にも私は大学教授をやっていた際には出向教員ということで、学部や大学の広報や運営にはほぼほぼ携わらなかったものですから、かなり新鮮な部分が多かった気がします。私は広報活動というのはカギカッコ付きの「営業」だと考えているんですが、確かに、10年ほど前は私が出向していた長崎大学経済学部の前期入試の受験倍率が2倍に近づいて、もっと倍率をあげないと優秀な学生を取れない、という危機的な状況を見た記憶もあります。ただ、本書の著者も国立大学教員ですし、決して国立大学だけではなく、現在は私学も政府からの助成金がかなりの割合を占めていますから、公務員と同じように「親方日の丸」というのは国立大学も私学もほぼほぼ共通しています。でも、少なくとも、著者が受験生集めの「営業」に精を出して、いわゆる拡大均衡の方向に持って行こうとしている姿はとても好感が持てました。学生の質を確保するために入試倍率を上げようとすれば、入学定員を削減するという方向もあるからです。その昔の文部科学大臣で、大学、あるいは、大学生の希少性を維持しようと、新規の大学や学部の設立に待ったをかけようと試みた政治家がいましたが、それはそれで希少性を維持できるとしても、本書の著者とは逆の縮小均衡の方向です。なお、どうでもいいことながら、私は経済学部の大学教員ですので、それほどの不人気学科ではないような気もしますが、少人数教育の演習=ゼミの学生募集では大いに苦戦しており、不人気ゼミの教員ですから、それなりに共感するところはありました。

 

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次に、酒井敏ほか『京大変人講座』『もっと!京大変人講座』(三笠書房) です。よく私には判らないんですが、京都大学が一般市民向けの公開講座のような形で「変人講座」という講演会を開催しているようで、その講演録のようなものではないかと思います。その講座を主宰している酒井先生は一昨年だと記憶していますが、集英社新書で『京大的アホがなぜ必要か』という本も書いています。京大は我が母校であり、当然のように東大と比較される唯一の存在と考えていいと思いますが、もちろん、本書にもあるように、そもそもの成り立ちが東大と京大で異なっていて、東大はまさに政府機関の職員=公務員の養成学校であり、京大はその東大的なものは極めて少なくなっています。反骨自由の精神といったもので、私のようにキャリア国家公務員になる卒業生は決して多くありません。でも、私の知る限りでも、京大だけでなく東大にも変人はいっぱいいます。もちろん、「変人」の定義にもよるわけですが、京大の変人講座に登場する研究者だけで見れば、むしろ、東大の方が変人は多そうな気すらします。繰り返しになりますが、「変人」の定義によります。普通、自分の所属する極めて狭い世界ではOKかもしれないものの、いわゆる世間一般とはズレのある人物ではないか、と私は考えており、霞が関の官庁街にはいっぱいいましたし、東大や京大に限らず大学をはじめとする研究機関にもいっぱいいます。どうしてかというと、それ以外の世界を知らないからです。例えば、もう亡くなった私の京大の恩師は、オギャーと生まれて18歳で高校を卒業して京大に入学し、その後、大学院、京大の教員、もちろん最後は教授になり、その間、持ち回りのように経済学部長まで務めましたが、逆に、卒業生の多くが就職するようなサラリーマンの世界はまったく知らなかったんではないか、という気がします。ですから、テレビのワイドショーで、芸能人やスポーツ界から引退したコメンテータがサラリーマンの、例えば、非正規雇用なんてどこまで理解しているかは疑問だと私は考えていましたが、実は、私のように社会人採用から大学教員になった例外は別にして、多くの大学教授もサラリーマンはやったことがなく、最低賃金やホワイトカラー・エグゼンプションなんて、議論できるだけの素地があるのか、という疑問すらあります。とまでいうと極端ですが、別の観点からは、世間一般と同じ見方・考え方をしている人たちだけで世間が構成されているというのも、私は恐ろしいいお話だと考えます。一応、多様性という観点から、無害な変人は許容されるべきである、というのが私の考えです。

 

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最後に、小林雅一『仕事の未来』(講談社現代新書) です。著者は、技術系の研究所の研究者であり、ITやライフ・サイエンスなどの専門家だそうです。サブタイトルを見ても理解できるように、「仕事」という切り口からまったく異質な2つの観点を提示しようと試みていて、私は成功しているかどうかは疑問です。ひとつは仕事をやる上で、AIやロボットの果たす役割、ないし、人間労働との代替の可能性です。GAFAのうちのGoogleとAmazonを特に取材して、必ずしもテレワークが順調に行っていない点や創業者の個性とも照らし合わせながら、従業員ないし経営層が協調的か、あるいは、論争的か、といった視点からの経営の質的な見方を打ち出しています。もうひとつは、日本でもUberEatsの自転車を見かけるようになりましたが、ギグワーカーのお仕事が雇用者ではなく独立した自営業者として行われているために何の雇用の保護も受けられない、などの働き方の問題です。昨年2019年10月にローゼンブラット『ウーバーランド』の読書感想文を取り上げましたが、まさにその観点からの批判的な検討がなされています。どちらの観点も重要ですが、私自身はAIやロボットによる人間労働の置換については、著者ほど楽観的には見ていません。典型的には、マルクス主義的な疎外が重大化し、まさに、物神化=フェティシズムの果てまで行ってしまう可能性が十分あると恐れています。まったく同様に、現在のようなネオリベ的な経済政策の下で、企業向けには各種の優遇策を打ち出しながら、そこで働く雇用者には生産性向上などに向けた「自己責任」を強調するわけですので、企業に雇用されないギグワーカーがいっそうの「自己責任」を課されることは間違いなく、かつて、派遣社員やその他の形態の非正規雇用を「新しい働き方」であるかのごとくに推し進めようとした反省を、このギグワーカーには応用すべきと考えています。

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2020年8月 8日 (土)

リリーフの藤川投手が失点して広島に連敗!!!

  RHE
阪  神010000000 161
広  島10000001x 250

昨夜は投手陣が崩壊し、今夜も藤川投手が打たれて広島に連敗でした。私は屋の監督のように、ジタバタと手を替え品を替えて、いろいろと試みる姿勢は大好きなんですが、それでも、打てる可能性の小さい代打を送って、失点する可能性の大きなリリーフ陣に後を託すのは、決していい采配ではないと受け止めています。特に、JFK以来、阪神は伝統的にリリーフ陣の信頼が厚かったんですが、今年はサッパリです。藤川投手や能見投手に明らかに衰えが見え始めています。かつてのJFKのように、「ハイ次、ハイ次」というようなわけには行きませんから、ちゃんとその日その日で投手や代打といった控え選手の状態や調子を見分けられるコーチが必要です。今までの思い込みは年齢とともに通用しなくなりつつあるのかもしれません。

明日は、
がんばれタイガース!

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徐々に回復が鈍化する米国雇用統計の先行きやいかに?

日本時間の昨夜、米国労働省から7月の米国雇用統計が公表されています。新型コロナウィルス(COVID-19)の影響から、非農業雇用者数は4月の大幅減の後、5月統計からはリバウンドして7月には+1,763千人増を記録しています。同じく、失業率も一気に悪化した4月からのリバウンドが見られ、10.2%に改善しています。でも、まだ、10%を超える水準です。いずれも季節調整済みの系列です。まず、やや長くなりますが、USA Today のサイトから統計を報じる記事を最初の9パラを引用すると以下の通りです。

1.8M jobs added in July, unemployment falls to 10.2% as some states halt reopening, others press ahead
The U.S. added 1.8 million jobs in July as payroll growth slowed amid a split-screen economy that had employers stepping up hiring in parts of the country that continued to let businesses reopen, even as COVID-19 spikes forced Sunbelt firms to pull back and lay off workers.
The unemployment rate fell to 10.2% from 11.1% in June, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated that 1.5 million jobs were added last month.
Starting in late June, nearly half the states paused or reversed reopenings because of surges in coronavirus cases, a rollback that particularly hit Texas, Arizona, Florida and California. Those losses were more than offset by net job gains elsewhere in the country as states relaxed restrictions.
Forecasting employment in July was a crap shoot, with some economists expecting upwards of two million gains and others anticipating losses.
Government added 301,000 jobs as payrolls were artificially inflated by 215,000 gains in local education. Since many school staffers were furloughed in April because of the pandemic, there were far fewer job reductions than normal in July, an anomaly that resulted in strong employment gains because of seasonal adjustments.
Besides the reopenings, job gains in the spring were juiced by forgivable federal loans to small businesses as long as they retained or rehired employees. Of the 22 million U.S. jobs shed in the early days of the pandemic, the economy recouped 2.7 million in May and 4.8 million in June, but after July's additions payrolls are still at less than half their pre-pandemic level.
Clawing back the 13 million remaining lost jobs is likely to be a tougher slog as employers grapple with infection outbreaks and depleted cash. Many businesses have exhausted their federal loans, forcing some struggling firms to lay off workers a second time. Morgan Stanley foresees a "significant risk" of job losses in August.

やや長くなりましたが、まずまずよく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。先々月の6月9日付けのブログで取り上げたように、NBERでは今年2020年2月を米国景気の山と認定しています。ともかく、4月の雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。

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米国の失業率については、4月統計で14.7%と一気に悪化した後、5月13.3%、6月11.1%そして、昨夜公表の7月10.2%と、リバウンドの方も徐々に減衰してきた気がします。米国非農業部門雇用者の伸びも、4月に前月差で▲2000万人超の減少を見た後、5月+2725千人増、6月+4791千人増、そして、7月+1763千人増と、失業率の改善幅も、非農業部門雇用者の増加幅も、6月が大きかったのは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対する米国の対応に起因するんだろうと思います。いずれにせよ、先は長そうです。例えば、ロイターのサイトでは、Reuters Poll に基づいて、"Nearly two-thirds of economists, or 35 of 56 who responded to an additional question, said it would take two or more years for the U.S. economy to reach its pre-COVID-19 levels." と、COVID-19前の水準への米国経済の回復には2年以上かかる、と見るエコノミストが⅔近い多数派と指摘しています。基本的に日本でも同じで、いわゆるV字回復はありえないのであろうと覚悟すべきです。それどころか、現在の日本は緊急事態宣言が発せられた時よりもCOVID-19感染者数が多くなっており、第2波、あるいは、さらに第3波の感染拡大があれば、2番底の可能性も否定できないと私は考えています。

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2020年8月 7日 (金)

青柳投手以下の投手陣が崩壊して広島にボロ負け!!!

  RHE
阪  神001030200 6100
広  島24002300x 11151

投手陣が崩壊して広島にボロ負けでした。ここまでタイガースでもっとも安定したピッチングを続けてきた青柳投手が3回5失点では、今のタイガース打撃陣の得点力ではどうしようもありません。近本外野手に当たりが戻った一方で、クリンナップがさっぱり打てなくなっているような気がします。

明日は、
がんばれタイガース!

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景気動向指数はやっぱり2020年5月が底か?

本日、内閣府から6月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から+6.7ポイント上昇して85.0を、また、CI一致指数も前月から+3.5ポイント上昇して76.4を、それぞれ記録しています。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、11か月連続で「悪化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の景気動向指数、一致指数が5カ月ぶりに上昇
内閣府が7日発表した6月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比3.5ポイント上昇の76.4となった。緊急事態宣言が全国で解除されたことなどを背景に、5カ月ぶりに上昇した。
緊急事態宣言が5月下旬に全面的に解除されたことや1人10万円の特別定額給付金の支給などを背景にした「商業販売額(小売業)」の回復や、自動車の出荷が戻りつつある「耐久消費財出荷指数」などが寄与した。「鉱工業用生産財出荷指数」や「生産指数(鉱工業)」も伸びた。
一致指数の動きから機械的に求める景気動向指数の基調判断は、11カ月連続で「悪化」となった。基調判断が11カ月連続で「悪化」となるのは、08年6月からの11カ月連続以来となる。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比6.7ポイント上昇の85.0と、2カ月連続で上昇した。「消費者態度指数」や「最終需要財在庫率指数」などが寄与した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比0.8ポイント上昇の93.3と11カ月ぶりに上昇した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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一昨日の8月5日付けのブログで取り上げた第一生命経済研のリポートでは、CI一致指数を前月から+3.4ポイントの上昇と予想していたんですが、実績では+3.5ポイントの上昇でした。統計作成官庁である内閣府では景気動向指数の利用の手引として、統計の作成方法まで詳細に公開していて極めて透明性は高いんですが、どうも合わないもののようです。「外れ値」処理なのかという気もしますが、新たな「外れ値」処理手法の詳細も公開されていますし、どうして合わないのか、私にはよく判りません。ということで、CI先行指数は2か月連続での上昇、CI一致指数は5か月ぶりの上昇となりました。わずかに1か月ながら、先行指数が一致指数に先行しているわけで、それなりに信頼感ある指数だという気がします。CIの場合はDIとことなり、一定のボリューム感も把握できるんですが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大に連動して、2月前月差▲0.1ポイントとマイナスに落ち込んだ後、3月▲4.9ポイント、4月▲10.1ポイント、5月▲6.4ポイントの後の6月+3.5ポイントですから、上のグラフを見ても明らかなように、COVID-19感染拡大前の水準に戻るのにはかなりの期間を要することは明らかです。2~5月の落ち込み幅が4か月分合わせて▲21.5ポイントですから、6月のリバウンド+3.5ポイントが続くとしても半年かかるという単純計算になります。でも、今日の東京都における感染者数も500人近いように報じられていますし、そう単純に進むとはとても思えません。速報公表の現時点で算入されているCI一致指数のコンポーネント10系列のうち、商業販売額(小売業)(前年同月比)、耐久消費財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)などのプラスの寄与度が大きくなっています。いずれにせよ、暫定的ながら、景気の谷は2020年5月だったような気がします。でも、繰り返しになりますが、COVID-19の感染拡大は終息にほど遠く、2番底の可能性も否定できません。

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最後に、本日、厚生労働省から6月の毎月勤労統計が公表されています。従来からのサンプル・バイアスとともに、調査上の不手際もあって、統計としては大いに信頼性を損ね、このブログでも長らくパスしていたんですが、先月からグラフだけお示ししています。統計のヘッドラインとなる名目の現金給与総額は季節調整していない原数値の前年同月比で▲1.7%減少の44万3875円となっています。ただし、雇用者数はパートは前年同月に比べて減少している一方で、フルタイムの一般労働者は増加しており、人口減少下の人手不足もあって底堅い印象です。先月もそうだったんですが、今月も景気動向指数のトピックに隠れて、こっそりと持ち出しておきたいと思います。

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2020年8月 6日 (木)

高橋投手の快投でようやく巨人から1勝!!!

  RHE
読  売000000000 031
阪  神00130007x 1191

高橋投手の好投で巨人に快勝でした。3戦目でようやく1勝です。こういった1戦で、調子に乗ってバカスカ打ちまくるのはいいですが、巨人が投手を出し惜しんで野手をマウンドに送ったのに4番が打ち取られるのは情けない限りです。11点取っても打線はまだ本調子ではないのか、と思ってしまいます。でも、高橋投手はナイスピッチングでした。

次の広島戦も、
がんばれタイガース!

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三菱総研による特別定額給付金の消費押し上げ効果の試算結果やいかに?

一昨日8月4日に三菱総研から特別定額給付金の消費押し上げ効果につき、経済効果は3.5兆円程度あり、GDP比で+0.7%ポイント程度押し上げ効果があるとの試算結果が明らかにされています。

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上の図表は三菱総研のリポートから引用しています。上半分のテーブルは三菱総研が実施した「生活者アンケート」の特別定額給付金の使徒の分類であり、消費押し上げ効果の列の○×が消費押し上げ効果の有無を示しています。そして、左下のグラフの「特別定額給付金の使途内訳」にある通り、給付額のうちの58.1%程度が貯蓄に回り、27.2%程度が消費に回ったと想定しています。右下のグラフから、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大により収入が減少した1501世帯では、赤の破線で囲ってある部分、すなわち、給付金の有無に関係なくおこなわれる②-3の消費の割合がやや高いことから、収入減少世帯では収入を補填する形で特別定額給付金が利用されたとみられる、と指摘しています。そして、これらの結論として、繰り返しになりますが、約3.5兆円、GDP比で+0.7%ポイント程度の押し上げ効果が見込まれるものの、事業費を除く予算規模12.7兆円と比較すれば3割程度にとどまり、費用対効果は低い、とし、加えて、3割程度に上る収入減少世帯への所得補償としては不十分であり、雇用・所得環境は飲食等のサービス業や非正規雇用者を中心に悪化していることから、困窮した世帯への集中的な支援が必要、と指摘しています。

私も、早期にユニバーサルな特別定額給付金を支給することは大いに意味があったと考えていますが、今回のCOVID-19のもっとも重要な経済的帰結のひとつは不平等の拡大であり、不安定所得や低所得の世帯のいっそうの貧困化である、と考えています。そのための経済政策はGoToトラベルではない、と私は考えています。

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2020年8月 5日 (水)

実力の差を見せつけられて巨人に連敗!!!

  RHE
読  売001003000 440
阪  神000000010 151

何から何まで、巨人に歯が立たずに連敗でした。高校野球のころの藤浪投手であれば、「よくやった」とお褒めの言葉も出るかもしれませんが、プロなんですから結果に重きが置かれるのは当然です。不用意に先頭打者をフォアボールで出したり、エラーで相手投手を出塁させたりすれば、悪い結果しか出ないのは当然です。打線もジャイアンツを上回るヒット数ながら、要するに、チャンスでここ一本が出なかったわけです。4番の大山選手が打点を上げたらチームの勝率が高いらしいんですが、勝ってる試合でダメ押しの打点を上げているような気もします。

明日は、
がんばれタイガース!

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イソジンのうがいはどこまで効果あるか?

我が家で購読している朝日新聞の本日8月5日付けの朝刊の社会面にポビドンヨードを含むイソジンなどのうがい薬により、唾液の検査で陽性となる割合が減リ、唾液中のウイルス量を減らすことで重症化が抑制される可能性を示唆したとの内容でした。大阪府と大阪市と府立病院機構大阪はびきの医療センターによる共同研究の成果だそうです。長くなるので記事全文の引用はせず、以下にリンクだけ示しておきます。おかげで、我が家の近くのドラッグストアでイソジンは売切れでした。明日から高齢者が営業開始前の朝早くに並んだり、そのうちに、転売禁止品リストに入ったりするんでしょうか?

フォローしている人たちの傾向に従って、SNS上では批判的な意見ばかりを私は見ていますが、正確には、何とでもいえる結果のような気がします。記事2つのうちの上の方の記事から引用すると、「研究は府内で宿泊療養している軽症や無症状の患者41人を対象に実施。ポビドンヨードを含んだうがい薬で1日4回うがいした人の唾液のPCR検査の陽性率は、1日目は56.0%で、4日目は9.5%に減った。うがいをしなかった人は、それぞれ68.8%、40.0%だった」ということらしく、41人というサンプル数もさることながら、殺菌作用のあるうがい薬で唾液の殺菌が出来るのは明確な事実でしょうから、それで陽性率が低下するのは当然、という気もします。加えて、イソジンを売り出しているのはシオノギだと思うんですが、日経新聞の記事によれば、そのシオノギの人が取材に応じたようで、「重症化予防の効果があると現時点では言えない」と回答しているようです。加えて、WHO神戸事務所のツィッターにあるINFOGRAPHICは下の通りです。ただ、これはやや誤解・曲解があるようで、私が報道で見た範囲では、唾液の陽性率が低下し、従って、重症化しない可能性が示唆されていただけで、感染予防まで踏み込んだ発言ではなかったような気がします。

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医療や医学において、いわゆる「民間療法」というのがあります。例えば、ホメオパシーです。でも、10年ほど前に日本学術会議がホメオパシーに関する会長談話を明らかにして、全面的に効果を否定し、「ホメオパシーのような非科学を排除」するべきとの見解を明らかにしているのはよく知られた通りです。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関連しても、ガソリンで手を洗うとか、消毒液を注射するとか、いろいろとあった一方で、当初は効果低いとされていたマスクの着用が後になって推奨されたことも事実で、かなり混乱が見受けられます。ひるがえって、私の専門分野である経済学でも同様のトンデモ学説はいっぱい見かけます。物理学や化学やといった小難しい、というか、客観性の高い純粋科学と違って、医療や経済はより国民生活に身近だから、かえって、科学的な根拠なく、いろんな「俗説」が流布されるんだろうと私は受け止めています。それだけに、大学という高等教育機関で経済学を教える教員として、身を引き締めて取り組みたいと考えています。

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やっぱり、景気の谷は今年2020年5月か?

先週金曜日7月31日に、第一生命経済研から「景気動向指数(2020年6月)の予測」と題するリポートが明らかにされており、副題は「景気の谷は2020年5月か」となっています。リポートの中で、景気動向指数のうちの一致指数について前月差+3.4ポイントの上昇、5か月ぶりの上昇と予想しています。その上で、鉱工業生産指数(IIP)とともに公表される製造工業生産予測指数において7月、8月とぞうさんが予想されていることから、CI一致指数が5月でボトムをつけた可能性を示唆し、「感染急拡大による景気腰折れといった事態が避けられるのであれば、2020年5月が景気の谷になるだろう」と結論しています。

 

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上のグラフは、第一生命経済研のリポートから引用しています。内閣府による「CIによる景気の基調判断」の基準に従えば、現在、5月統計まで10か月連続の「悪化」が「下げ止まり」に変更されるためには、当月の前月差の符号がプラスであることに加えて、3か月後方移動平均(前月差)の符号がプラスに変化し、かつ、プラス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分以上、必要となります。4~5月の落ち込みが大きかっただけに、そう簡単に基調判断は変更されないものと私は考えていますが、「悪化」の判断の際にはメディアなどがそれなりに取り上げましたし、「下げ止まり」に上方修正された際にも、それなりにマインドの改善が見られそうな気がしなくもありません。密かに期待しています。

 

最後に、CIにせよ、DIはもっとながら、内閣府では景気動向指数の作成方法はかなり透明に公表しています。私も10年ほど前の長崎大学の紀要論文 "Identifying Trough of Recent Recession in Japan: An Application of Stochastic Business Indicator" で、確率的景気指標とともに取り上げた記憶があります。それでも、その昔には、シンクタンクの中には計算を間違うところがあったのも事実です。まあ、5月が底という結論に大きな影響はないものと思いますが、金曜日8月7日の統計公表を待ちたいと思います。

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2020年8月 4日 (火)

馬場投手が試合を壊して巨人にボロ負け!!!

  RHE
読  売101010040 780
阪  神000002000 282

まあ、菅野投手が先発でしたから、そうそう勝てるとは思っていませんでしたが、ガルシア投手がポロポロ失点し、馬場投手が試合を壊して巨人にボロ負けでした。菅野投手相手でしたら、打つ方はこんなもんでしょう。サンズ選手のツーランは立派なものです。リリーフ陣は馬場投手は極めて不安定ですし、能見投手もサウスポーがいないしとか、の中で、望月投手が2イニングスをピシャリと抑えてくれたのが収穫でしょうか。リリーフ陣は、勝ちパターン、負けパターンとかを固定せずに、調子によって投入を決めるというのはダメなんでしょうか?

明日は、
がんばれタイガース!

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IMF Blog に見る新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による不平等問題!!!

とても旧聞に属するトピックながら、IMF Blog で7月下旬に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響による経済的な不平等の記事がいくつか出ています。先月7月は、私のこのブログでもいくつかの国際機関、すなわち、OECDやIMFやUNCTADのリポートを引いて、COVID-19に起因する雇用や所得の不平等に関して着目しましたが、その続きです。グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、7月21日付け IMF Blog の The COVID-19 Gender Gap と題する記事から引用しています。COVID-19による男女格差の拡大については、第1に、女性は男性よりも社会的セクター、すなわち、サービス業、小売業、観光業、ホスピタリティなど対面での接触が必要なセクターで働いている可能性が大きく(First, women are more likely than men to work in social sectors - such as services industries, retail, tourism, and hospitality - that require face-to-face interactions)、第2に、低所得国では女性は男性よりもインフォーマル・セクターで雇用されている可能性が高く(Second, women are more likely than men to be employed in the informal sector in low-income countries)、第3に、女性は男性よりも無償の家事労働を多く行う傾向、正確には、1日あたり2.7時間多くなっている(Third, women tend to do more unpaid household work than men, about 2.7 hours per day more to be exact)と3つの理由を上げています。上のグラフは、理由の2番め、すなわち、低所得国においてインフォーマル・セクターで女性がより多く働いている現状を表しています。横軸は1人あたりのGDP、縦軸はインフォーマル雇用の男女比であり、1.0を上回ると女性の方が多いということになります。もう日本ではほとんど見かけなくなったメイドさんなどと考えられます。

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次に、上のグラフは、7月23日付け IMF Blog の Unemployment in Today's Recession Compared to the Global Financial Crisis と題する記事から引用しています。ソースとなる研究成果は先月7月16日付けのこのブログの記事と同じですが、今回のCOVID-19パンデミックによる景気後退局面と、前回のいわゆるリーマン・ブラザーズ破綻時の金融危機後の景気後退局面と、テレワーク=在宅勤務については事情は同じであり、対面での接客などを必要とするソーシャル・セクターに比べて、テレワークが出来る職業には高スキルで教育程度の高い雇用者が就いており、いずれの景気後退局面でも低賃金労働者は上位所得層よりも悲惨である(During both recessions, low-income workers have suffered more than top-income earners)と結論しています。

何度でも繰り返しますが、今回のCOVID-19パンデミックに起因する景気後退局面における最大の課題のひとつは格差問題です。もちろん、重症化しやすい感染症ですので、命のみならず健康を守ることが最大の優先課題であることは、専門外のエコノミストでも理解していますが、経済的には不平等の拡大を重視すべきであり、かつてのワシントン・コンセンサスを推し進めた国際機関ですらこうなのですが、格差問題にまったく注目していない我が国の現状をとても不思議に思っています。

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2020年8月 3日 (月)

内閣府による「中長期の経済財政に関する試算」と財政のサステイナビリティやいかに?

先週金曜日の7月31日に開催された経済財政諮問会議に内閣府から「中長期の経済財政に関する試算」が提出されています。

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主な試算結果のうち、国・地方のPB(対GDP比)及び国・地方の公債等残高(対GDP比)をリポートのp.5から引用すると上の通りです。緑色で明示してありますが、2025年度にプライマリー・バランス(PB)ゼロを目標としているわけですが、現在進行中の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)対策のための財政支出がかなり膨大なものとなり、基礎的財政収支の均衡達成はほぼほぼ不可能との試算結果です。
何度過去のブログにも書きましたが、長崎大学に出向した際に私が最初に書いた紀要論文のひとつが財政の持続可能性に関するもので、財政のサステナビリティに関する時系列分析方法をサーベイしています。ただし、この論文でも強調していますが、無条件に財政がサステイナブルになるケースが2つあります。ひとつは、バロー的なリカード等価定理が成立する場合です。リカード等価定理が成立している場合には、家計はもちろん、企業などの政府以外の他の経済主体の行動が政府の財源調達とは独立となり、何らの影響を受けることがありません。すなわち、政府が租税により政府支出の財源を調達しても、公債により調達しても、政府以外の経済主体の経済行動に影響を与えませんから、財政は無条件に持続可能となります。これは明白です。もうひとつが、動学的効率性が満たされない場合、もしくは、同じことながら、動学的非効率に陥っている場合です。すなわち、公債金利が成長率を下回っている場合であり、直感的には、無限先の将来における1人当たり、あるいは、GDP比で見た公債残高が発散するほど大きくなることはないという意味で、財政は持続可能となります。私自身は、後者の意味で、すなわち、日本経済は動学的非効率に陥っており、その結果として、財政が持続可能となっていると考えています。逆にいえば、成長率がさらに低下したり、あるいは、公債金利が上昇して、その結果として、動学的効率性が満たされるようになれば、日本も財政の持続可能性を回復する政策に本格的に取り組む必要があります。この点は忘れるべきではありません。
別の観点として2点付け加えれば、まず、現代貨幣理論(MMT)については、私はまだちゃんと勉強していないので、MMTのバックグラウンドにあるモデルについて十分な知識はありませんが、自国通貨を発行できる中央銀行があればインフレにならない限り財政赤字は問題とならないとしているようですから、動学的効率性の観点から日本の財政が持続可能であると考える私の結論は、このMMTの見方とは違います。次に、私が紀要論文でサーベイした財政の持続可能性に関する検定の中で、ある意味、もっとも緩やかな検定はボーン教授の検定なんですが、直観的にはプライマリー・バランスが赤字でも、その赤字幅が縮小していれば持続可能と判断されます。ですから、上のグラフのうちの上のパネル、すなわち、国・地方のPB(対GDP比)を見る限り、2009年度から2018年度にかけては、日本は財政が持続可能であったと考えられるかもしれませんし、加えて、2022年度以降も同じことです。その意味で、プライマリー・バランスの均衡を政策目標とするのかどうかについても、もう一度議論する必要があるのかもしれません。場合によっては、プライマリー・バランスの赤字幅の縮小も政策目標となり得るんではないか、と私は考えています。もちろん、純粋に経済学の理論的な考えであり、見方によっては「目標後退」とした反対論が持ち上がる可能性は十分あります。

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2020年8月 2日 (日)

4番大山選手の逆転打をリリーフ陣が守り切ってタイガース連敗脱出!!!

  RHE
横  浜100000000 161
阪  神00000201x 370

4番大山選手の逆転タイムリーの2点をリリーフ陣が守り切って連敗脱出でした。昨夜と同じ7安打3得点ながら、今夜は先発岩貞投手が横浜打線をスミ1に抑え、リリーフ陣も虎の子の1点差で逃げ切りました。8回ウラには追加点を上げて、最終回はスアレス投手がピシャリと3人で切って取りました。

次のジャイアンツ戦も、
がんばれタイガース!

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2020年8月 1日 (土)

先発西投手が横浜のホームラン攻勢に沈んで阪神3連敗!!!

  RHE
横  浜100121101 7130
阪  神000200010 371

横浜のホームラン攻勢で3連敗でした。西投手がもろくも沈み、リリーフ陣もゼロには抑え切れませんでした。完敗といえます。

明日は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書に直木賞受賞の『熱源』もあり計5冊!!!

今週の読書は、大学の図書館で借りた経済書に加えて、前から買ってあったものの、大阪の大学生の倅に貸していた直木賞受賞作『熱源』を読みました。これはなかなかの歴史小説で感動しました。ほかに、日本史を取り上げた新書と時代小説の文庫本を合わせて以下の計5冊です。何となく、週に5冊読むその昔のペースに戻りつつあるのかもしれません。もっとも、週5冊がいいのかどうかは定かではありません。

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まず、大橋弘[編]『EBPMの経済学』(東京大学出版会) です。著者は、各チャプターごとに、東大を中心とする研究者が本論のペーパーを書いて、それに対して政策を所管する役所からコメンテータを出す、というシステムになっています。EBPMとは Evidenced Based Policy Making の頭文字を取っているわけですが、実は、私は少し前に授業向けの動画をキャンパスで撮影した際に、この通りに発言したところ、、最後の"M"は"Making"ではなく"Management"ではなかったか、と後ほど自信がなくなったんですが、ちゃんとあっていました。でも、しつこいようですが、その昔は"Management"で「証拠に基づく政策運営」だったんですが、今では"Making"で「証拠に基づく政策立案」になったような気がします。なお、本書では「基づく」ではなく「重視する」の方が適当としています。なお、エビデンスに基づかない、あるいは、重視しない、その昔の政策立案は何だったのかというと、エピソードに基づいていたりしたわけです。ということで、本書は6章立てで、教育、労働、医療・介護、交通・インフラ、課税、エネルギーの6分野を取り上げてEBPMを論じています。何らかの意味で市場の失敗が生じている分野といえますが、その原因は、情報の非対称性だったり、公共財だったり、限界費用低減産業だったりします。私も公務員としてのキャリアの最後の方で、このEBPM重視への転換を経験しましたが、もちろん、基本的な方向としては大賛成ながら、いくつか問題点がまだ残されていると感じていました。そして、本書を読んでもその問題点は解消されませんでした。第1に、評価関数の問題です。例えば、単純なコスト-ベネフィットを考えるとしても、政治的なプロセスで利権をどう評価するのかがまったく考慮されていません。GoToキャンペーンだって、どなたかの観光利権だと密かに報じられていましたし、交通インフラについて建設費はコスト計上されるだけで、利権として誰かのポケットに入る分はカウントされていません。第2に、経済学の研究者が多いにもかかわらず、あまりにも部分均衡的な思考でEBPMを実行しようとしている点です。限られたスコープで見る限り、それはそれでいいのかもしれませんが、エコノミストこそより幅広く一般均衡的な視点を主張すべきではないかと感じています。特に、映画の「マネーボール」ではないのですから、新自由主義的な市場での評価にすべて還元する味方には賛成できません。最後に、第2の点とも共通しますが、EBPMの先進例がすべて英米から取られていて、ほぼほぼ新自由主義的な政策決定を代表しているようにしか受け取れない点です。その昔、エスピン-アンデルセンは福祉国家/福祉レジームの類型として、アングロサクソン的な自由主義レジーム、スカンジナビア的な社会民主主義レジーム、大陸ヨーロッパ的な保守主義レジームを提示し、本書や他の文献でもアングロサクソンの英米自由主義、というか、新自由主義以外の分析がどこまで進んでいるのか、極めて疑問です。英米的な新自由主義の研究に終止していると、かつての徒花だったNPM=New Public Managementのような上滑りな議論で終わる可能性が高い、と心配するのは私だけでしょうか。もしも、こういった上滑りな議論だけで終われば、統計やデータの整備にEBPMを換骨奪胎して、役所の予算獲得、ポスト獲得に終わってしまうような気がします。でもまあ、ホンキになって新自由主義的なEBPMが進んでしまえば、市場で評価されないながらホントに国民生活に重要な政策がビシバシと切り捨てられるような気がしますので、上滑りな議論で終わって役所や公務員の焼け太りで済むのも一案、というか、ひょっとしたら、その方が国民にはいいのかもしれません。

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最後に、どうでもいいことながら、上の画像は、本書p.47でも引用されていますが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポート「エビデンスで変わる政策形成」(2016年2月) p.4 の 各種手法のエビデンスレベルと具体例 です。まだデータが集まっていないとはいえ、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関するエビデンスは、まだもっとも質が低いと見なされているレベル4にとどまっているんでしょうか。

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次に、神野真敏・安岡匡也 [編著]『歴史と理論で考える 日本の経済政策』(中央経済社) です。編者は、経済学の研究者であり、基本的に、大学の学部レベルの経済政策のテキストを目指して編集されています。2部構成となっており、第1部が基礎的分野として主として所得格差を取り上げ、第2部で応用分野として財政政策、金融政策、労働政策、年金政策、環境政策、の各分野については、本書のタイトルに沿って、歴史と制度、そして、理論の2章に分けて解説し、医療・介護政策と児童福祉政策については章を分けずに歴史・制度と理論を論じています。経済政策ですから、その昔は市場の失敗から始まって、外部経済、情報の非対称性、公共財、などなどが論じられていたんですが、最近では電力などの費用逓減産業は入らないようです。また、基礎的分野として所得格差が冒頭に置かれているのはかなり画期的で、私は大いに支持するんですが、やや戸惑う先生方もいる可能性はあります。また、冒頭に社会的厚生関数として経済学で伝統的に暗黙の前提となっているベンサム的な功利主義的な厚生関数とサンデル教授の議論で取り上げられたロールズ的な厚生関数が示されています。これはいいんではないかという気がします。ただ、アロー的な不可能性定理による推移律の不成立による社会的厚生関数の不可能性についても取り上げておきたいところです。というか、熊谷先生の議論(熊谷尚夫, 1973「経済学の範囲と方法」、『季刊 理論経済学』第24巻第1号)でも示されているように、あくまで教育的な目的である点はもう少し配慮して欲しかった気もします。さらに、加えてよければ、本書のスコープがやや狭い気がします。すなわち、これだけの執筆陣を集めて200ページあまりで終わるのもやや期待外れです。せめて、農林水産政策と貿易政策は歴史的な経緯も含めて取り上げておくべきではないかと感じました。

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次に、川越宗一『熱源』(文藝春秋) です。ご存じ、第162回直木賞受賞作品です。地理的には日本名樺太、ロシア名サハリンを、そして、アイヌ民族を、舞台の中心に据えて、とても時間的スパンの長い雄大な小説です。樺太とアイヌに対比させて、祖国を失った時代のポーランドとリトアニア生まれのポーランド人も、見事に対比させています。たぶん、歴史小説といってもいいくらいのタイムスパンであり、加えて、地理的な広がりも素晴らしく、別の観点からは、司馬遼太郎翁の後を継ぐような雄大なスケールの小説です。タイトルは「生きるためのエネルギー」くらいの意味でしょうか。主人公はアイヌ人ヤヨマネフクであり、サブとしてポーランド人ブロニスワフ・ピウスツキが配されていると私は考えているんですが、もはや、時代的にも地理的にもスケールが大きすぎて主人公を特定することも難しい気がします。明治維新後の日本は、熱に浮かされたように近代化=西洋化を進め、同時に、帝国主義的な時代背景もあって、近隣の朝鮮、台湾、樺太にも日本と同じように近代化を押し付けて回ったりしたわけですが、そういった歴史の流れを、社会的・民族的・地理的な広がりだけで学問的にペダンティックに語るのではなく、その時代を生きた個々人の視点から捉えようと試みています。さまざまな要素が盛り込まれていますので、読者の読み方もさまざまでしょうが、教師の私には教育の大切さを訴えている点が印象に残りました。もちろん、主人公に据えた無名のアイヌ人やポーランド人もいれば、時の総理大臣まで務めた早稲田の大隈重信、言語学者の金田一京助、南極探検の白瀬中尉、ロシア革命の主導者であるレーニンなどなど、実在した歴史上の人物も実に巧妙に組み合わせながらストーリーが展開されます。表現はまだ荒削りで、長いストーリーだけに、一部に雑な展開も見受けられますし、第三者の視点なのか、誰の一人称なのか、などなど、読みこなす方にもそれなりの読解力が求められますが、アイヌというカギカッコ付きの「滅びゆく民族」を一方の主人公に据えながらも、決して、物悲しい小説ではありません。力強く、その時その時を精一杯生きる人々を称える物語です。ただし、繰り返しになりますが、それなりの長さの難しげな歴史小説ですし、読みこなす読解力も必要です。ある程度は上級者向けの読書となることは覚悟すべきかもしれません。でも、さすがの直木賞受賞作で、オススメです。

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次に、本郷和人・井沢元彦『日本史の定説を疑う』(宝島社新書) です。著者は、東大史料編纂所の研究者と作家です。古代編、中世編、近世・近代編の3章構成で、卑弥呼から始まって明治維新で終わっています。著者のお二人が何度か強調しているのは、「史料絶対主義からの決別」めいたお考えなんですが、まあ、判らなくもありませんが、史料を解明するのが歴史学の真髄なのではなかろうか、という気もしますので、史料ではなくご自分の判断が優先するのであれば、研究者レベルのお話ではなく、まさに、フィクションとしての小説家レベルになってしまう気がします。歴史は、あくまで、時系列的なイベントの流れを同時代的なリンケージとともに分析し、出来る限り、その時代の解明だけでなく将来予想にも役立つような研究が求められます。とはいえ、新書の歴史モノですから、そこまで追求するのも野暮かもしれません。新しい視点を提供いただいただけで十分なのでしょう。いくつか注目の論点はありますが、やっぱり、NHK大河ドラマではないですが、日本史最大の謎は本能寺の変なんでしょう。定説すらないので、思い切った見方が示されるかと期待しましたが、やっぱり、難しいんでしょうね。

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最後に、佐伯泰英『おこん春暦』(文春文庫) です。新・居眠り磐音シリーズの4冊目であり、磐音の妻となるおこん、その今津屋に奉公に出る前の時期にスポットを当てた中編くらいの長さの小説2篇を収録しています。ただ、第1篇の「妹と姉」は新たに書き下ろされたようですが、後半の「跡継ぎ」はその昔の『居眠り磐音 江戸双紙読本』に収載されていた同じタイトルの短編を少し改変してあるだけで、特にどうということもなく、私は買うほどのことはないと判断して借りて読みました。もっとも、今日の読書感想文に取り上げた5冊のうち買ったのは『熱源』だけで、あとの4冊は図書館で借りています。新・居眠り磐音シリーズはこの読書感想文でも取り上げた通り、『奈緒と磐音』、『武士の賦』、『初午祝言』と読み進んできましたが、悪いですが、ハッキリいって、段々とレベルが落ちてきた気がします。磐音の嫡男である空也を主人公に据えた空也十番勝負シリーズも当初の予定の10冊に達しないうちに取りやめになったようですし、私もそれほど面白くもないので読み進みませんでした。そろそろ、この作者の限界なのかもしれません。

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