企業物価(PPI)の下落も5月統計で下げ止まったか?
本日、日銀から7月の企業物価 (PPI) が公表されています。企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲0.6%の下落を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
7月の企業物価指数、前月比0.6%上昇 石油製品など回復
日銀が13日発表した7月の企業物価指数(2015年平均=100)は100.2と、前年同月比で0.9%下落、前月比で0.6%上昇した。7月は新型コロナウイルスの感染拡大で停滞した経済活動の再開が広がった。石油・石炭製品や銅価格が回復したことで、企業物価は上昇が続いた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。農林水産物では、外食の需要が戻りつつあることが前月比での価格押し上げに寄与した。
円ベースでの輸入物価は前年同月比12.6%下落した。前月比では1.9%上昇した。円ベースでの輸出物価は前年同月比で3.2%下落し、前月比では0.8%上昇した。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。消費増税の影響を除くベースでの企業物価指数は前年同月比で2.4%下落、前月比では0.6%上昇した。
企業物価は前月比では上昇しているものの、前年から比べると低い水準で推移している。「新型コロナが実体経済に与える影響を注視し、企業物価をしっかり把握していきたい」(日銀)という。
いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。
まず、PPIのうち国内物価の前年同月比上昇率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で▲1.2%の下落、レンジ上限は▲0.9%下落ということでしたので、下落とはいえ上限を上回る結果といえます。国内物価の季節調整していない原系列の前月比+0.6%への寄与度を見ると、石油・石炭製品が+0.34%、電力・都市ガス・水道が+0.18%、非鉄金属が+0.10%と、とこの3類別でほとんどを説明できてしまいます。類推するに、中国をはじめとする新興国が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの最悪期を脱した影響が大きいと考えるべきです。おそらく、我がブログの暫定景気日付もそうなんですが、日本国内の景気動向も4~5月ころが底だったと考えられますから、需給ギャップから見ても6~7月統計で下げ止まりを示すのは自然な流れと私は受け止めています。ですから、世界経済、というか、先進国経済を中心とする世界経済における需給ギャップも考慮すれば、国内物価だけでなく、輸出物価も輸入物価も、そして、需要段階別で見ても、素原材料も中間財も最終財も、すべてのカテゴリーで下げ止まっているのが上のグラフから見て取れます。しかし、他方で、いま上げたすべてのカテゴリーの企業物価上昇率が前年度月比で見て、いまだにマイナスであるのも事実ですし、PPIターゲットではなくCPIターゲットとはいえ、+2%の日銀の物価目標からはほど遠い、という点も決して忘れるべきではありません。
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