三菱総研による特別定額給付金の消費押し上げ効果の試算結果やいかに?
一昨日8月4日に三菱総研から特別定額給付金の消費押し上げ効果につき、経済効果は3.5兆円程度あり、GDP比で+0.7%ポイント程度押し上げ効果があるとの試算結果が明らかにされています。
上の図表は三菱総研のリポートから引用しています。上半分のテーブルは三菱総研が実施した「生活者アンケート」の特別定額給付金の使徒の分類であり、消費押し上げ効果の列の○×が消費押し上げ効果の有無を示しています。そして、左下のグラフの「特別定額給付金の使途内訳」にある通り、給付額のうちの58.1%程度が貯蓄に回り、27.2%程度が消費に回ったと想定しています。右下のグラフから、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大により収入が減少した1501世帯では、赤の破線で囲ってある部分、すなわち、給付金の有無に関係なくおこなわれる②-3の消費の割合がやや高いことから、収入減少世帯では収入を補填する形で特別定額給付金が利用されたとみられる、と指摘しています。そして、これらの結論として、繰り返しになりますが、約3.5兆円、GDP比で+0.7%ポイント程度の押し上げ効果が見込まれるものの、事業費を除く予算規模12.7兆円と比較すれば3割程度にとどまり、費用対効果は低い、とし、加えて、3割程度に上る収入減少世帯への所得補償としては不十分であり、雇用・所得環境は飲食等のサービス業や非正規雇用者を中心に悪化していることから、困窮した世帯への集中的な支援が必要、と指摘しています。
私も、早期にユニバーサルな特別定額給付金を支給することは大いに意味があったと考えていますが、今回のCOVID-19のもっとも重要な経済的帰結のひとつは不平等の拡大であり、不安定所得や低所得の世帯のいっそうの貧困化である、と考えています。そのための経済政策はGoToトラベルではない、と私は考えています。
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