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2020年9月30日 (水)

早くも回復が鈍化し始めた鉱工業生産指数(IIP)と6か月連続で前年比マイナスが続く商業販売統計!!!

本日は月末日ということで、重要な政府統計がいくつか公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)が、また、商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。まず、鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で見て、前月から+1.7%の増産を示した一方で、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲1.9%減の12兆4190億円、ただし、季節調整済み指数では前月から+4.6%増を記録しています。7~8月は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染再拡大が見られましたが、生産は大きな落ち込みから徐々に回復を示す一方で、回復が早くも鈍化し始めた兆しがあり、消費の代理変数となる小売販売はCOVID-19の感染再拡大で伸び悩むという結果が出ています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

8月の鉱工業生産1.7%上昇、回復に鈍さ
経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数速報(2015年=100、季節調整済み)は前月比1.7%上昇し88.7だった。新型コロナウイルスで停滞していた経済活動が再開し、3カ月連続でプラスとなった。経産省は基調判断を「生産は持ち直している」に上方修正したが、回復の足取りはなお鈍い。
鉱工業生産指数は7月に8%台の上昇となるなど大幅な減産から回復が進むものの、2月(99.5)や3月(95.8)の水準にはまだ届いていない。経産省の担当者は「戻りは鈍く、新型コロナ前の水準に回復するには時間がかかる」とみる。
業種別では15業種中10業種が上昇した。自動車は前月比8.9%上昇した。国内外で需要が回復し、新型車の生産開始なども貢献した。自動車部品の需要が増えたのに伴って鉄鋼・非鉄金属も6.5%上昇した。半導体メモリーなどを含む電子部品・デバイス工業は4.6%上昇した。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、9月は前月比5.7%、10月は2.9%の上昇を見込む。経産省は「ウイルス感染が再拡大する可能性もあり、引き続き注意が必要だ」としている。
在庫指数はマイナス1.4%の97.9と5カ月連続で低下した。4月まで高い水準が続いていたが、企業の生産調整が進み在庫の積み上がりは回避できているもようだ。鉄鋼・非鉄金属や化学工業で低下が進んだ。
小売販売額、8月1.9%減 6カ月連続マイナス
経済産業省が30日発表した8月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年同月比1.9%減の12兆4190億円となった。新型コロナウイルスの感染拡大により6カ月続けて前年実績を下回った。コンビニエンスストアなどが持ち直し、2.9%減だった7月よりは減少幅が縮んだ。
前年水準を6カ月連続で下回るのは、2016年10月まで前年割れが8カ月続いたとき以来の長さとなる。季節調整した指数を前月と比べると4.6%高まった。上昇は2カ月ぶり。経産省は小売販売の基調判断を「緩やかに持ち直している」に上方修正した。
業態別に前年同月比をみると、百貨店が21.3%減と7月の19.8%減より減少幅が大きくなった。コンビニは5.6%減と7月の7.9%減から持ち直した。家電大型専門店は9.5%増と4カ月連続のプラスとなった。「8月は猛暑でエアコンの売れ行きが良かった」(経産省)という。
品目別にみると、自動車が14.1%減、織物・衣服・身の回り品が17.4%減と2桁減が続いている。

ふたつの統計を取り上げていますのでやや長くなってしまいましたが、いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生産は+1.5%の上昇との見込みで、レンジでも▲1.0%~+4.2%でしたので、大きなサプライズはない結果となっています。また、製造工業生産予測調査による先行き見通しについては、前月比で見て、9月+5.7%、10月も+2.9%のいずれも増産の見込みと報告されていますが、バイアスを補正すると9月+2.8%増と試算されており、まずまず、緩やかながら回復が続くという結果が示されています。生産を業種別に少し詳しく見ると、我が国のリーディング・インダストリーである自動車工業が+8.9%増のほか、鉄鋼・非鉄金属工業+6.5%増、電子部品・デバイス工業+4.6%増などが増産となっており、他方で、生産用機械工業▲9.8%減、電気・情報通信機械工業▲3.7%減、パルプ・紙・紙加工品工業▲3.3%減などが減産となっています。製造工業生産予測調査による先行き見通しは、すべての業種で9月は増産が予想されていますが、特に、輸送機械工業、生産用機械工業、電気・情報通信機械工業の3業種が上げられており、我が国経済を牽引する産業であり、付加価値も大きい産業群であることから、COVID-19による景気後退後の回復が期待されます。ただし、現在の景気局面は基本的に pent-up demand が中心であり、次に取り上げるように、消費の代理変数となる小売販売はまだまだ本格回復にはほど遠いことから、回復局面はかなり緩やかになる可能性が高いと覚悟すべきです。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期であり、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで認定している点については、鉱工業生産指数(IIP)のグラフを同じです。生産が今年2020年5月を底に何とか上昇に転じたのとは対象的に、消費の代理変数である小売販売は一進一退の動きとなっています。統計作成官庁である経済産業省では、6月統計の小売販売の基調判断を5月の「下げ止まりがみられる」から「持ち直している」に上方修正し、7月統計では「緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」と小幅に下方修正し、さらに、引用した記事にもある通り、本日公表の8月統計で「緩やかに持ち直している」と小幅に上方修正を繰り返しており、これは基調判断ではなく落ち着きのない毎月判断であって、基調判断を放棄しているように見えます。いずれにせよ、生産も、もちろん、小売販売も先行きはCOVID-19次第ということで、下のグラフはYahoo!の特設サイトから国内新規感染者数の推移を引用しています。緊急事態宣言下の4月半ばと大きな違いのない数字が読み取れるかと思います。

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2020年9月29日 (火)

リクルートジョブズによる8月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

来週9月1日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる8月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。

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アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響などにより、ジワジワと停滞感を増していますが、他方、派遣スタッフの方は5月以降のデータが跳ねています。上のグラフの通りです。現時点で判断するのはややムリで、何があったのかは私には判りかねます。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は+2%台の伸びながら、人手不足がメディアで盛んに報じられていた昨年暮れあたりの+3%を超える伸び率から比べるとジワジワと低下してきています。三大都市圏の8月度平均時給は前年同月より+2.0%、+21円増加の1,084円を記録しています。職種別では「専門職系」(+37円、+3.2%)、「事務系」(+26円、+2.3%)、「製造・物流・清掃系」(+20円、+1.9%)、「営業系」(+31円、+2.4%)、「販売・サービス系」(+4円、+0.4%)の5職種で前年同月から増加し、「フード系」(▲12円、▲1.2%) だけは減少となっています。地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアで前年同月比プラスを記録しています。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、昨年2019年7月統計から先月2020年4月統計まで10か月連続でマイナスを続けた後、5月度以降給は前年同月から大きく増加し、8月も+4.2%、68円増加の1,704円に増加しています。職種別では、「医療介護・教育系」(+62円、+4.3%)、「IT・技術系」(+74円、+3.6%)、「クリエイティブ系」(+39円、+2.2%)の3職種が前年同月比プラスとなり、マイナスは「営業・販売・サービス系」(▲8円、▲0.6%)、「オフィスワーク系」(▲27円、▲1.8%)の2職種にとどまっています。また、地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。1年近く前年同月比マイナスを続けてきた派遣スタッフの時給が5月からジャンプしたのですが、アルバイト・パートの時給上昇率はジワジワと停滞し始めていますし、2008~09年のリーマン・ショック後の雇用動向を見た経験からも、COVID-19の経済的な影響は5月ころに底を打ったように見えるものの、雇用については典型的には失業率などで景気動向に遅行するケースが少なくないことから、先行き、非正規雇用の労働市場は悪化が進む可能性がまだ残されていると覚悟すべきです。同時に、相反することながら、意外と底堅いという印象もあります。

そして、後者の底堅い印象については、本日取り上げた非正規雇用だけでなく、我が国の正規雇用も含めた雇用全般の要因として、私は以下の4点が重要と考えています。
(1) 雇用調整助成金の支給による企業内での雇用保蔵
(2) 休業者を失業とカウントしない統計制度
(3) 労働時間による調整=すなわち、労働時間の減少、ないし、よくいえば、ワークシェアリング
(4) 縁辺労働者の就業意欲の低下
順序は逆ですが、日本の場合、1980年代から(4)の要因が強いといわれていました。すなわち、中核労働者=我々のような中年男性ですね、の雇用を守りつつ、縁辺労働者、すなわち、パートの主婦とか学生アルバイトが雇用の調整弁として職を失い、景気が悪い中で就業意欲を喪失して労働市場に再参入することなく失業者にならない、というのがありました。逆の面から見て、日本では、中年男性雇用者がメンバーシップ的な企業への帰属意識もあって、無限定無制限に近い長時間労働をこなし、反対側で、専業主婦が家庭を守って家事をこなすとともに、育児や高齢者介護も受け持つ、という家庭像です。でも、今では派遣労働やいわゆる非正規雇用の拡大により、この要因はなくなってはいないものの弱まっていると私は考えています。(1)に戻って、これも従来からある制度ですが、今回のコロナ禍で期間が延長されているハズです。詳細はフォローしていませんが、私よりもgoogleの方がよく知っていると思います。(2)は、割と最近の『東洋経済』の記事「日本の失業率『2.9%のはずはない』という根拠」で野口悠紀雄さんが労働力調査の雇用者減と法人企業統計の人員減との比較をして、そのギャップについて解説していました。私は雑誌の紙媒体で読みました。(3)は第一生命経済研のリポート「新型コロナで労働時間が急減」で、総務省統計局の労働力調査の統計に基づいて、2月の労働時間が急減したと報告されています。もっとも、私はその後、フォローはしていません。このあたりは、お手軽にブログに書いてお終いにするんではなく、もう少しよく調べて紀要論文にでも取りまとめた方がいいのかもしれません。

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2020年9月28日 (月)

日銀短観予想に見る企業マインドは4-6月期に底を打ったか?

今週木曜日10月1日の公表を控えて、シンクタンクから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画はもちろん今年度2020年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、いつもの通り、足元から先行きの景況感に着目しています。ただし、先行きについては新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の終息次第という面があり、一部にとても長くなってしまいました。それでも、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)▲34
▲17
<▲0.8%>
n.a.
日本総研▲24
▲9
<▲2.3%>
先行き(12月調査)は、全規模・全産業で9月調査対比+2%ポイントの小幅上昇を予想。新型コロナにより経済活動停滞の長期化が懸念されるため、先行きの景況感も慎重な見方が続く見込み。
大和総研▲27
▲13
<▲1.0%>
9月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(先行き)は▲22%pt(最近からの変化幅: +5%pt)、大企業非製造業では▲11%pt(同: +2%pt)といずれも小幅な改善を予想する。
足元で新型コロナウイルスの感染拡大が鈍化傾向にあることが先行きの業況判断を改善させよう。ただし、一定の感染拡大防止策が引き続き実施されていることや、感染再拡大への懸念も強いことから上昇幅は小幅に留まるとみている。
みずほ総研▲22
▲9
<▲0.6%>
製造業・業況判断DIの先行きは6ポイント改善を予測する。国内外の緩やかな景気回復に伴い、引き続き自動車を中心に生産や輸出が増加するとみられることから、自動車工業や鉄鋼、非鉄金属などの素材業種の業況改善が見込まれる。また、テレワークの拡大に伴うサーバーやPCなどの需要増のほか、底堅い5G関連投資を背景に、情報関連業種の業況が改善するだろう。一方で、企業収益の悪化による世界的な設備投資の減少が下押し要因となり、生産用機械やはん用機械の業況改善は遅れ気味になるとみられる。
非製造業・業況判断DIの先行きは4ポイント改善を見込む。堅調なテレワーク関連需要や感染予防を目的とした非接触対応のソフトウェア投資の増加等を追い風に、情報通信サービスが改善するだろう。宿泊・飲食サービスや対個人サービスも改善するとみられるが、インバウンドの回復が見込まれないことや各種感染予防策(消毒や座席数の削減、入場制限等)の継続が業績改善の妨げとなることから、改善は小幅にとどまるだろう。総じてみれば、非製造業の業況は改善するものの、一部業種の戻りが弱いことが重石となり、製造業に比べて緩やかな改善となる見込みだ。
ニッセイ基礎研▲26
▲12
<▲2.5%>
なお、先行きの景況感については、総じて持ち直しが示されると予想。新型コロナの早期根絶は困難だが、政府が経済活動と感染抑制の両立を図っていることから、今後もイベント等の制限緩和や経済対策による景気の回復が見込まれるためだ。また、海外経済も経済活動再開の動きが継続することで回復が期待される。ただし、今後も内外での感染拡大に対する警戒が続くうえ、訪日客の回復も目途が立っていない。また、米中の対立激化や米国での追加経済対策の遅れといった海外経済を巡る下振れリスクも燻っていることから、先行きの景況感改善は限定的に留まるだろう。
とりわけ、中小企業はもともと先行きを慎重に見る傾向が強いだけに、製造業では大企業よりも景況感の改善幅が小幅となり、非製造業では悪化が示されると予想している。
第一生命経済研▲24
▲4
<大企業製造業+5.2%>
短観での注目点は、企業の慎重な見方が、2020年度あるいは2020年度下期にどのように表れているかという点にある。確かに、マインド面では最悪期を越えたことへの安心感が示されるだろうが、これで大丈夫という感覚にはほど遠いだろう。なぜならば、多くの企業は、今後の需要回復が鈍いとみると考えられるからだ。
三菱総研▲30
▲10
<▲0.6%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業は▲32%ポイント、非製造業は▲12%ポイントと、いずれも悪化を予測する。ワクチンや特効薬が一般に普及するまでは、新型コロナの感染拡大を防ぐために、一定の防疫措置を講じた上での経済活動を余儀なくされるだろう。冬場にかけて一段と感染が拡大するおそれもある。また、世界的な雇用・所得環境の悪化が内外需の重しとなる見込みだ。先行きの業況に対する不安は、製造業・非製造業を問わず強いとみられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲23
▲13
<大企業全産業▲0.6%>
日銀短観(2020年9月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、前回調査(2020年6月調査)から11ポイント改善の-23と、新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、11四半期ぶりに改善すると予測する。先行きについては、感染抑制に配慮しつつ経済活動が再開されてきたことで、経営環境の改善が続くことへの期待感が高まり、8ポイント改善の-15となろう。

見れば明らかな通り、短観のヘッドラインとなる大企業製造業はもとより、大企業非製造業の業況判断DIも、9月調査では6月調査よりも上向くと予想されています。統計のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは▲20台といったところが多数意見のような気がします。ただし、改善とはいえまだDIの水準はマイナスのままであり、悪化の回答が改善を上回っているのは変わりありません。DIですから水準よりも方向が重視されるべきではありますが、まあ、メディアはマイナスである点を大きく報じそうです。なお、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスも、ヘッドラインの大企業製造業の業況判断DIを△23と報じています。なお、先行きについても、企業マインドが改善するとしても緩やかなものにとどまり、場合によって悪化する可能性も示唆されています。第一生命経済研のリポートでは大企業非製造業はわずかながら先行き悪化を予想していますし、三菱総研では大企業製造業・大企業非製造業とも先行きは悪化するとの見通しを明らかにしています。このあたりは、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大がどのくらいのペースで終息に向かうか、あるいは、終息しないのか、次第ですので、何ともいえません。また、設備投資計画についても下方修正の見方が決して少なくないようです。
最後に、下のグラフは日本総研のリポートから業況判断DIの推移を引用しています。

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2020年9月27日 (日)

後期授業が始まる今週は季節が進む!!!

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今週は、関西では季節が進むようです。上の週間予報の画像は日本気象協会のサイトから引用しています。ここ数年の季節のめぐりの特徴のひとつとして、私が感じるのは、暑い夏と寒い冬が長くなって、過ごしやすい春と秋がとても短い、ような気がします。今年の夏は猛暑でしたが、冬はどうなんでしょうか?

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2020年9月26日 (土)

今週の読書は話題の経済書をはじめとして新書も含めて計5冊!!!

今週の読書は、サンスティーン教授らの行動経済学のナッジに関する経済書をはじめとして、やっぱり、新書も含め計5冊です。久しぶりに読んだ宮部みゆきの時代小説だけは生協で買いました。ほかは京都市図書館と大学の図書館で借りています。

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まず、キャス・サンスティーン + ルチア・ライシュ『データで見る行動経済学』(日経BP) です。著者のうち、サンスティーン教授は米国ハーバード大学教授であり、専門分野は法制度から行動経済学までいろいろとやっています。米国オバマ政権では行政管理予算局情報・規制問題室(OIRA)室長を務めたリベラル派の研究者です。また、ライシュ教授はコペンハーゲン・ビジネススクールの教授であり、専門は消費者政策と健康政策に関わる行動経済学的研究です。パッと見の名前だけで、クリントン政権で労働朝刊だったライシュ教授かも、と考えなくもなかったんですが、専門分野が違うようです。英語の原題はで Trusting Nudges あり、2019年の出版です。なお、阪大の大竹教授が冒頭の解説を書いています。ということで、前置きが長くなったんですが、本書の評価は分かれると思います。高い評価としては、行動経済学について独自データを取っての分析を実施している点が主になろうかという気がします。ただ、オンライン調査ですし、ほかに行動経済学のデータがないわけではありません。主として国別のデータであるというのが重要なのだろうと思います。すなわち、国別に本書第4章p.89にある15のナッジに関するデータです。もちろん、日本も含まれています。とても予算のかかった力作であることは確かです。ナッジの原則を抽出し、多くの人が合意できる内容の操作性低いナッジへの酸性が幅広く観察されています。こういった原則を定量的に確認するのは大いに意味のあることだと私は考えます・ただし、逆に低い評価となるのは、まあ、いってしまえば、単なるメタレベルの研究成果であるに過ぎない、という点です。さらに、私自身もそうですし、本書第7章で「誤解」として紹介されているように、ナッジに対する批判が大きい点です。特に、第7章で最後に挙げられているように、私はナッジというのは周辺の小さな問題しか解決できない、と常々考えています。喫煙量を減らすとか、肥満を防止するのも選択の科学としての経済学の大事な役割であることは決して否定しませんが、貧困や不平等、あわせて、途上国の開発、さらに、雇用の最大化、物価の安定、景気循環の平準化、などなど、経済学が取り組むべき課題はいっぱいあります。そういったさまざまな課題に取り組むのが経済学に必要とされた役割であると考えるエコノミストは私だけではなさそうな気がします。ついでながら、日本は国別調査結果の中で、特にナッジに対する疑問が大きい例外として「慎重型ナッジ支持国」に無理やり分類されています(p.145)。政府に対する信頼感が特に低いことが要因のひとつと指摘されています。ただし、最後に、本書のスコープには明らかに含まれませんが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のもとでのロックダウン、あるいは、日本的な自粛のスムーズな運営のためには、ナッジの応用が求められる可能性が高まっています。本書では、何らCOVID-19に関する諸問題が含まれていませんが、今後の課題かもしれません。

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次に、朴勝俊・シェイブテイル『バランスシートでゼロから分かる 財政破綻論の誤り』(青灯社) です。著者は、関西学院大学の研究者とブログやツイッターで情報発信をしている貨幣論研究者だそうです。本書では、基本的に、現代貨幣論(MMT)に近いラインで反緊縮財政の議論を展開しています。もちろん、その主眼はタイトルから理解できるように、貨幣発行権があって変動相場制を取っている主権国家が財政破綻する可能性はとても低い、ということを論証しようと試みています。それを、バランスシートの観点から議論を展開しているんですが、私は前々から指摘しているように、MMTのような議論は特に必要でもなく、従来からの主流派経済学の立場から、例えば、ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授も認めているように、国債利子率が成長率を下回って、動学的効率性が喪失されている、ないし、動学的非効率に陥っている場合は、財政のサステイナビリティは何ら問題ない、と考えています。もちろん、動学的に非効率なんですから問題がないわけではなく、資本が過剰に蓄積されているわけで、資本生産性が動学的に効率的な場合よりも低くなっていて、従って、資本ストックを取り崩すことによりパレート効率が取り戻せるわけですが、まあ、財政が破綻しない方が重要という価値判断も大いにあり得ます。というか、私はその方が重要ではないかと考えます。本書を私のような主流派エコノミストが読んだ際の問題点は2つあり、ひとつは財政破綻の定義が9項目上げられていますが、通常、主流派エコノミストはポンジー・ゲーム禁止条件(NPG)を定義にしそうな気がします。ただ、NPGは政府債務返済とほぼほぼ同義ですから、本書の立場からは詰まんないのかもしれません。もうひとつは、開放経済への拡張が無視されている気がします。というのは、日本はまだまだ大国ですが、小国を仮定した場合、マンデル・フレミング的なモデルでは、小国は変動相場制下では独立した金融政策を失う可能性があります。すなわち、国内金利が国際的な金融市場における金利に一致するからです。もちろん、そもそも国際的な金利なんてあるのか、という疑問は大きいです。小国の場合、どうして国内金利が国際金利水準まで上昇してしまうのかといえば、国内金利を低位に保つ、特に、成長率よりも低位に保つなら、資本逃避が生じて資本の希少性が増して、そのレンタル・プライスたる利子率が上昇するからです。国際金融のトリレンマのうちの2つまで放棄するハメになると、かなり政策運営が厳しそうな気がしますが、モデル的にはそうなります。ということで、モデルが非現実的なんではないか、という見方も成り立ちますが、理論経済学はいくつかのほかの科学と同じでモデルを基に研究する学問であることは忘れるべきではありません。もちろん、私なんぞは頭の回転が鈍くて理論は難しいので、実証経済学に重きを置く場合、適当にいろいろやってみた上で、試行錯誤が中心になったりする場合もあります。まあ、それも科学のひとつの方法論といえます。

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次に、ラッデル・マックフォーター & ゲイル・ステンスタット[編]『ハイデガーと地球』(東信堂) です。著者は、本書pp.327-29に10人余り紹介されています。当然ながら、哲学や環境学の研究学が多くなっています。本書の原題は Heideggar and the Earth であり、2008年にトロント大学出版局から刊行されています。基本は、原書は英語で出版されているんですが、チャプターによってはドイツ語を英訳して収録した論文もあるようです。2008年はハイデガー生誕120年であり、その記念出版かという気もします。ということで、いくつか論点があるんですが、住まうということ(dwelling)などの視点から地球について、さらにやや牽強付会ながら地球環境についてのハイデガーの論考を考察しています。ただし、拙宅化してくれた京都市図書館には申し訳ないながら、久々に失敗読書だった気がします。ひとつは、読み終えた後、この読書感想文を書くために出版社のサイトで検索したところ、まったく同じ出版社から、まったく同じ書名で、10年前にも邦訳書が出版されています。『ハイデガーと地球』です。まあ、10年前に同じ書名の哲学書が出ていて、どうも、2008年のハイデガー生誕120年に近いわけですから、二番煎じなのか、それとも、新訳というべきなのか、いずれにせよ、10年前の本ではなかろうか、との疑問が生じます。次に、かなり難しい内容であることは確かなのですが、私にはサッパリ理解できなかったことです。私もキャリアの公務員を定年退職して、今の大学で教授職にあるわけですから、それほど知的レベルが低いとは思わないのですが、それでも、サッパリ理解できませんでした。「存-在 be-ing」と「存在 being」の違いは、判る人には判るんでしょうが、私には理解することの意味すら理解できませんでした。私の知性の限界、というか、私の知性の向かう方向とかなり角度が違うんだろう、という気がします。一般的に多くの人にオススメできる本ではありませんが、本当にしっかりと熟読して理解するようにがんばれれば、とても知的水準がアップしそうな気がしないでもありません。ほとんど理解できなかった私が何ら保証することはできませんが、ハイデガーや地球環境に強い興味があり、粘り強い読書ができる人にはオススメかもしれません。でも、一般的に多くの人は敬遠しておいた方がいいかもしれません。

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次に、宮部みゆき『きたきた捕物帖』(PHP研究所) です。時代小説のミステリ仕立てで、短編4話というか、連作長編4章という見方もできます。私が聞き及んだウワサでは、これから先もシリーズ化されるようです。ということで、主人公は北一という岡っ引き千吉親分の手下で、千吉親分の本業である文庫の振り売りをしています。しかし、いきなり冒頭で千吉親分がふぐに当たって亡くなってしまいます。その後、千吉親分おおかみさん松葉や貸家や長屋の差配人の富勘こと勘右衛門らとともに、広い意味での事件を解決していきます。そして、第3話では湯屋の長命湯の釜焚きの喜多次とペアを組んで事件解決に当たるようになります。北一と喜多次でタイトルの「きたきた」の2人となるわけです。インドネシア語のジャラン=道とジャランジャラン=旅行を思い出してしまいました。なお、主要登場人物としては、北一、喜多次、松葉、富勘に加えて、旗本椿山家別邸である欅屋敷の用人を務める青海新兵衛という侍も、なかなか見事な脇役です。人物投函図を出版社のサイトから引用すると以下の通りです。

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4章それぞれのあらすじを簡単に記しておくと、第1章ふぐと福笑いでは、福笑いの祟りを盲目の松葉が見事に解決します。第2章双六神隠しでは、子供3人が拾ったすごろくで遊んだことから神隠しにあったように行方不明になった謎を北一が解き明かします。第3章だんまり用心棒では、喜多次が長命湯の釜焚きとして登場し、男女の色恋の仲裁役になった富勘が道楽息子にお灸をすえたものの、意趣返しでさらわれた富勘をきたきた2人で助け出します。第4章冥土の花嫁では、なんと、盲目の松葉が謎を解決して大活躍します。この4章だけ人死にが出ます。なお、宮部作品の過去の本からのお楽しみがあるようで、主人公の北一が千吉親分の死後に住むようになる富勘長屋は、『桜ほうさら』の主人公である笙之介が住んでいたのと同じ長屋ですし、『<完本> 初ものがたり』で登場した「謎の稲荷寿司屋」の正体が明らかになります。もっとも、後者の『<完本> 初ものがたり』は私はまだ読んでいません。ということで、この新シリーズの先行きも楽しみなんですが、ぼんくらシリーズはどうなったんでしょうか。私はコチラも楽しみに待っています。

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最後に、隈研吾・清野由美『変われ!東京』(集英社新書) です。著者は、建築家であり、東大教授をついこの3月いっぱいで退任された研究者です。東京オリンピックのメイン競技場の設計者としても人口に膾炙しています。その隈教授とジャーナリストの対談集です。本書の前に、同じ集英社新書で同じ著者2人の対談集で『新・都市論TOKYO』と『新・ムラ論TOKYO』という本が公刊されているようですが、私は不勉強にして読んでいません。ということで、著者、というか、主として隈教授は、都心の超高層オフィスビル群を「オオバコ」と称し、郊外の住宅を「ハコ」と読んでいます。ここから、東京の建築というのはは人々が通勤という形で「オオバコ」と「ハコの間を往き来することとなり、それが東京に関する都市建築論の基礎となるっています。ただ、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のためテレワークが普及し始め、「オオバコ」は不要な建築になりつつあります。隈教授がかかわりを持った建築として、シェアハウス、トレイラー、吉祥寺の焼鳥屋、バラック、木賃アパートなどの「ハコ」を、どうも、著者2人で見て歩いての対談が繰り広げられています。サライーマンと昔の武士との対比、というか、何らかの連続性については、私はよく理解できませんでした。まあ、しょうがないんですが、すべてが東京中心で、COVID-19の感染拡大の前に東京を逃げ出して、故郷の関西に移り住んだ私なんぞは、それなりに理解できなくもないものの、根っから東京をよく知らない、という人には少し不親切な東京論のような気もします。もちろん、東京も少子高齢化とともに小規模化するんでしょうが、地方はさらに東京を上回って小規模化、あるいは、ひどい場合には消滅する可能性もあるんですから、何事も、東京中心となるようです。東京ならざる地方に住むカギカッコ付きの「田舎者の僻み」かもしれません。

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2020年9月25日 (金)

緊張の切れた消化試合に入ってクラスター発生しヤクルトに逆転負け!!!

  RHE
阪  神110100000 390
ヤクルト10020120x 6100

消化試合に入って緊張感もなく、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のクラスターを発生させた唯一の球団ですので、ヤクルトに大敗も当然かも知れません。でも、私自身はCOVID-19感染者やその濃厚接触者をバッシングするのは筋違いだと考えています。カッコ悪いのは野球の本筋でジャイアンツに負け続けている点であって、本業の野球以外についてはカッコ悪いと思う必要はありません。

ゆっくり来シーズンに備えて、
がんばれタイガース!

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8月統計の企業向けサービス価格指数(SPPI)は消費税率引上げの影響を除けばマイナス幅拡大!!!

本日、日銀から8月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.0%でした。消費税率引上げの影響をのぞけば、△0.8%の下落でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業向けサービス価格、増税除き0.8%下落 マイナス幅拡大
日銀が25日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は103.8と、前年同月比で1.0%上昇した。19年10月の消費税率引き上げの影響を除くと前年同月比で0.8%下落した。下落は6カ月連続で、下落幅は7月から拡大した。宿泊サービスや国内航空旅客輸送の下げ幅が拡大したことなどが、価格の押し下げ要因となった。
新型コロナウイルスの影響で、都市部を中心に宿泊サービスの需要が減少した。また国内航空旅客輸送では、航空会社の座席の供給量に対して需要が伸び悩んだ。不動産では賃料が売り上げや業績に連動する物件を中心として前年比で価格の下押し圧力となった。
またテレビやインターネットを通じた広告のサービス価格は依然として前年比で大きくマイナスになっている。日銀は「緊急事態宣言の解除後にみられた価格回復が足踏みしている」(調査統計局)状況としており、引き続き新型コロナによる影響を注視する姿勢だ。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。財の企業物価指数(PPI)の国内物価よりも企業向けサービス物価指数(SPPI)の方が下がり方の勾配が小さいと見るのは私だけではないような気がします。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。

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今年2020年に入ってからの企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇率の推移を概観しておくと(カッコ内は昨年2019年10月からの消費税率引上げの影響を除くベース)、2月統計の+2.1%(+0.4%)の後、3月統計の+1.5%(△0.4%)で消費税率引上げを除く、いわば、「実力ベース」で前年同月比マイナスに転じ、4月統計の+0.9%(△1.0%)から5月統計は+0.5%(△1.4%)まで、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で一気に上昇率が縮小しましたが、6月統計では+0.8%(△1.0%)、7月統計でも+1.1%(△0.7%)、そして、本日公表の8月統計では+1.0%(△0.8%)の上昇とやや一服感があります。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率も同じように縮小していましたが、前年同月比上昇率としては5月統計を底に、6月統計から7月統計にかけては消費税率引上げを除くベースで上昇幅が拡大し、あるいは、消費税率引き上げを含むベースでは下落幅が縮小していましたが、わずかに△0.1%ポイントとはいえ、SPPI8月統計では上昇幅の拡大ないし下落幅の縮小の動きは反転しました。まあ、速報ベースですし、±0.1%ポイントの動きは計測誤差範囲といえますから、それほど気にする必要はないのかもしれません。少しだけ、いくつかの項目をピックアップしておくと、先週の消費者物価(CPI)と同じことながら、宿泊サービスがGoToトラベルなどの影響により大きく下げています。消費税率の引上げを含めた前年同月比のベースで、前年同月比で7月の▲34.4に続いて、最新の8月統計でも△37.1%の下落です。大類別では景気に敏感といわれる広告が7月の▲8.0%の下落に続いて、8月も△7.1%の下落、ヘッドラインに対する寄与度でも△0.33%あります。特に、テレビ広告の下落が大きくなっています。

何度か繰り返して書きましたが、10月統計からは物価の前年同月比上昇率は消費税率引上げの影響が剥落して、大きく上昇幅が縮小ないし下落に転じる可能性が高いと考えるべきです。

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2020年9月24日 (木)

第一生命経済研のリポート「携帯料金引き下げの家計への影響再考」やいかに?

予定通りに新総理大臣に就任した菅総理ですが、いろんな経済政策の中で、携帯電話通信料の値下げが注目されています。官房長官のころからの持論で、日本の携帯電話通信料が高すぎるとしばしば指摘してきたのも事実です。その意味で、やや旧聞に属する話題ながら、9月18日に明らかにされた第一生命経済研リポート「携帯料金引き下げの家計への影響再考」を簡単に取り上げておきたいと思います。
というか、その前に、ここ数年、総務省で実施している「電気通信サービスに係る内外価格差調査」というのがあり、この調査結果がそもそも発端となっています。例えば、今年2020年6月30日の公表後の最新結果のうち、各国でシェア1位の事業者の大容量プラン20GBの料金を比較したものであり、総務省の調査結果(概要)から引用しています。

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上のグラフを少しアレンジして、以下のニュースでも取り上げられています。

第一生命経済研のリポートでは、携帯電話通信料は徐々に値下がりしている一方で、消費支出に占める携帯電話通信料はむしろ上昇を示していると主張しています。その根拠となるグラフを第一生命経済研のリポートから引用すると以下の通りです。グラフの通り、平均では2人以上世帯の消費支出に占める携帯電話通信料の比率は3.6%なんですが、当然ながら世代別に差があり、29歳以下では5.6%に達する一方で、30歳代と40歳代は4.4%、50歳代になると4.3%にわずかに低下し、60歳代では3.4%、70歳以上では2.3%に大きく低下しています。これは、携帯電話通信料を消費支出で割っているわけですから、若い世代ほど携帯電話をよく使っているという分子の要因とともに、所得や消費支出が年齢に従って増加するという分母の要因もあります。

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もしも、携帯電話通信料が引き下げられれば「若年層や子育て世帯への恩恵がより大きくなるが、移動通信端末の利用率が低い高齢者層への恩恵が少ない」第一生命経済研のリポートでは指摘しています。シルバー民主主義の時代に支持を得られるかどうかはまた別問題です。ほかに、第一生命経済研のリポートでは、仮に移動通信通話料金が1割安くなると、国民1人当たり年間▲5,300円超、家計全体では▲6,700億円超の負担軽減になると試算しています。ただし、これも当然ながら、所得により携帯電話通信料引き下げの恩恵は異なります。すなわち、世帯主の年収階層別では、年収が650万円以上の世帯では年間▲1.5万円超の負担軽減がある一方で、年収400万円未満では年間▲1万円を下回る軽減にしかならない、とも指摘しています。

いつも、このブログで私が主張している通り、個別の業界の個別の財・サービスをターゲットにして補助金を出したり、あるいは、逆に、料金引き下げを求めるのも、もちろん、それなりの理由はあることなんでしょうが、広く家計一般の購買力を高めるような政策が必要、と私は常々考えています。

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2020年9月23日 (水)

経済協力開発機構(OECD)の「経済見通し中間報告」やいかに?

先週から昨日の4連休まで、論文を書いて紀要に投稿したり、野球を見たり、大学院の学位授与式に出席したりと、いろいろとやっていて、と言い訳しつつ、先週9月16日に公表された経済協力開発機構(OECD)による「OECD経済見通し中間報告」OECD Interim Economic Outlook をすっかり見逃していました。pdfの全文リポートや記者発表時のプレゼン資料などもアップされていて利用可能です。なお、サブタイトルは Living with Uncertainty とされています。不確実性は、もちろん、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に起因しています。まず、OECDのサイトから成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。

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上のグラフは、国名のアルファベット順でソートしてありますが、OECDのサイトにあるのはフラッシュであり、2019~2021の年の成長率でのソートも可能です。ということで、今年2020年の成長率でソートすると、我が日本は▲5.8%のマイナス成長であり、カナダとドイツに挟まれています。世界平均が▲4.5%、なぜか、OECD加盟国平均がないんですが、米国が▲3.8%、ユーロ圏欧州が▲7.9%、G20が▲4.1%ですから、まあ、日本の▲5.8%というのは、やや低いとはいえ、こんなもんか、というところです。

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次に、上の画像は記者発表の際のプレゼン資料から引用しています。今回の経済見通しのキモとなる Key messages です。政策当局はまずまずよくやっていて、ロックダウン措置(confinement measures)は緩和されつつあるものの、まだ経済活動や心理的には弱いままで、政策的なサポートが必要、と結論しています。

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そして最後に、OECD経済見通しのもっとも特徴的なCOVID-19第2波の感染拡大による2番底シナリオのグラフは上の通りです。リポート p.7 の Figure 6. A partial recovery is projected to continue を引用しています。ラインの色や実線・破線は凡例の通りです。今年2020年の10~12月期にもう一度、というか、第2波のCOVID-19の感染拡大の可能性については、私はまったく判りかねます。でも、決してゼロではないんだろうとも思います。

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2020年9月22日 (火)

大学院の学位授与式に出席する!!!

今日は、本来は、春分の日の祝日なのですが、休日出勤をして大学院の学位授与式に出席しました。もちろん、大学・大学院をはじめとする国内の多くの学校の卒業式は3月なんですが、海外からの留学生など秋入学の院生もいて、決して人数は多くないものの、秋卒業の院生への修士学位授与式がありました。留学生が大半ですので、基本は英語での式典進行です。学位を授与された院生代表のスピーチの他に、出席している教員全員なんだろうと思いますが、教員からの贐のスピーチもありました。たぶん、担当院生がいないにも関わらず「枯れ木も山のにぎわい」で出席していたのは私だけのような気がしましたが、私も英語でスピーチをしておきました。長崎大学に勤務していたころから、私はこういった式典には教員として出来るだけ出席するようにしています。
一応、よく考えれば当然ながら、出席した男性教員はほとんどがネクタイにスーツでした。おそらく、自宅ではないかと思われるオンライン出席の教員も、何と、ネクタイにスーツでした。私も、一応、ペラペラのソフトジャケットにネクタイはしていきましたが、相変わらず、服装のリテラシーは一番低かったような気がします。そういえば、その昔の倅の入学式に校長先生がモーニングだったことも思い出してしまいました。教員にとって、入学式や卒業式はそれだけ重要なのだろうと、改めて実感しました。他方、卒業して学位を授与された留学生諸君は、いかにも民族衣装といった趣きの服装の院生も少なくなかったです。ですから、カメラでバチバチ写真をいっぱい撮っている人も少なくなかったのですが、私は、これも倅の運動会などの経験から、そういった写真をネットにアップするのは自粛していますので、ヤメにしておきました。

なお、どうでもいいことながら、秋季の卒業式があるんですから、秋季の入学式もあるんでしょうが、春季の入学式が中止になったのに続き、秋季はごく限られた関係者のみの出席の式典となるようです。

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2020年9月21日 (月)

ついついヒマな休日に消化試合の野球観戦!!!

  RHE
横  浜000120000 350
阪  神10001102x 5100

やっぱり、休日の暇つぶしに最適なのは野球観戦のような気がします。もはや、完全に消化試合ですので勝敗は度外視です。ということで、ボーア選手の豪快なバックスクリーンへの同点ホームランが印象的でした。その昔のブラゼル選手を思い出してしまいました。まあ、バース選手ではないと思います。それにしても、1万人少々とはいえ、観客がこれだけ入るとスタジアムに熱が入るのがテレビ越しにもよく判りました。阪神ファンを離れて、エコノミストとしてはスタジアムに詰めかける観客は、入場料だけでなく弁当や飲み物にグッズまで加えて、やっぱり大きな収益源です。しかも、選手のプレーに熱が入るとすれば、スタジアムの観客抜きではプロスポーツは成り立ちません。特に、甲子園のような大きな入れ物を持っている阪神球団はその傾向が強いと感じました。

後は、ジャイアンツがコケるのを待ちつつ、
がんばれタイガース!

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京都の国勢調査広報ポスターは京アニの「響け!ユーフォニアム」!!!

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今年は国勢調査の年です。国勢調査は5年に一度の悉皆調査です。総務省統計局が解説した国勢調査2020の特設サイトの広報ギャラリーを見ると、広報ポスターなどは全国的には芦田愛菜のようですが、なぜか、京都は違います。上の画像の通りで、京アニ作品「響け!ユーフォニアム」のポスターです。どうしてかというと、京都新聞のサイトから関係する記事を引用して以下の通りの理由です。

 

国勢調査、京アニ作品「響け!ユーフォニアム」でPR 京都府、若者にネット回答呼び掛け
調査票の配布が14日に始まった国勢調査で、京都府は、京都アニメーション(宇治市)制作の人気アニメ「響け!ユーフォニアム」をPRに起用している。若者向けの情報発信が狙いで、特設サイトやチラシを作成した。併せて、新型コロナウイルスの拡大予防で接触機会を減らそうと、インターネットでの回答を呼び掛けている。
「響け!ユーフォニアム」は、宇治市を舞台に吹奏楽に打ち込む高校生の青春を描く作品で、原作者の武田綾乃さんも同市出身。府が過去2回(2010年、15年)の国勢調査で別のアニメをポスターなどの広報媒体に活用したところ、若者を中心に反響があったという。

 

別に、昨年の事件などとは何の関係もなく、すでに10年前の国勢調査から京アニ作品が国勢調査のPRに起用されていると報じられています。一番上に引用した画像は京都府の国勢調査特設サイトから引用しています。我が家の最寄り駅は京都市営地下鉄ですし、地下鉄に乗ると、このポスターをいっぱい見かけます。当然です。
ところで、その10年前といえば、なんと、私は国勢調査のお膝元である総務省統計局に出向していました、国勢調査担当課ではなく消費統計を担当していましたが、国勢調査がいかに一大イベントであるか、ということを統計局勤務で強く実感しました。10月1日に調査が終了してから調査票を回収して、年明けには統計局の北側にプレハブの仮庁舎を建てて集計を始めます。いろいろな観点から集計して膨大な数の報告書を仕上げるわけです。

 

今年は国勢調査が始まって100年の記念の国勢調査です。統計局勤務経験者として、みなさんのご協力を求めます!!!

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2020年9月20日 (日)

暑さ寒さも彼岸まで!!!

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上の画像は、ウェザーニュースのサイトから週間天気を引用しています。
「暑さ寒さも彼岸まで」とはよくいったもので、今週後半には最高気温が20度台半ばまで低下し、最低気温も20度を下回るようになるとの予報です。今夏は猛暑で、私は水分補給が過ぎて体重がむしろ増加してしまいました。通常、夏には汗を書いて体重が減る一方で、冬には寒さに備えて皮下脂肪の充実などで体重が増加するという年間サイクルを描いていたのですが、今夏はそうではありませんでした。風と雨の被害も大きかったですし、これは地球環境の問題なのでしょうか?

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2020年9月19日 (土)

今シーズンの野球は見納めと思いつつもヒマな休日に消化試合の野球観戦!!!

  RHE
阪  神000000001 152
中  日00030010x 463

一昨日の巨人戦で、今シーズンの見納め、ブログも書き納め、と考えていたんですが、やっぱり、時間の余裕ある休日の暇つぶしに最適なのは野球観戦かもしれません。もはや、完全に消化試合ですので勝敗は度外視なんですが、それでも、こういったミスによる負け方は阪神ファンには不愉快そのものでした。その昔、海外勤務だったころにストレス解消を目的にゴルフに行って、かえってストレスをためてしまったようなもんです。

まあ、今シーズンはムリせず来シーズンこそ、
がんばれタイガース!

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今週の読書は左派リベラルの経済書や新書も含めて計4冊!!!

今週の読書は、テミン教授の米国の二重構造をルイス・モデルというややトリッキーな方法論で解明を試みた経済書、社会学でオリンピックと戦後の東京を論じた教養書、いろいろ読んで以下の4冊です。どうも、この週4冊というのがボリューム的に定着したような気がするのですが、以前の東京のころから冊数としては減っています。この季節は、野球観戦と教科書で時間が取られているのかもしれません。でも、できるだけ新書は読むようにしています。

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まず、ピーター・テミン『なぜ中間層は没落したのか』(慶應義塾大学出版会) です。著者は、御存知の通り、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)で長らく経済史の教授を務めたエコノミストであり、極めてリベラルないし左派の立場をとっていることでも知られています。本書の英語の原題は The Vanishing Middle Class であり、2017年の出版です。ただし、現行が入稿されたのは2016年9月だそうで、米国大統領選挙の直前のようです。邦訳タイトルはほぼほぼ直訳のように見えます。慶應義塾大学出版会からの刊行ですから、学術論文に近い印象ですが、中身はそれほどの高い難易度ではないように私には見受けられました。著者は、私も参照したことのある二重経済をモデル化したルイス・モデルを米国の階層分化に応用しています。私はびっくりしました。経済学的にはルイス・モデルの二重経済を基礎にし、政治学的にはファーガソン教授の「政治への投資理論」investment theory of party competition、すなわち、政治資金と得票数には正の相関関係があるとする理論、を用いて、米国における不平等の拡大やフタコブラクダのような所得分配などを解明しようと試みています。政治学的な方面はともかく、経済学的なルイス・モデルの応用については、私は疑問を感じないわけではありませんが、まあ、考えられないわけでもないんだろうと受け止めています。ルイス・モデルについては本書にも簡単な説明がありますが、高所得の資本家部門と低所得の生存部門があり、生存部門から資本家部門に労働が移動することにより生産性が上昇し、成長が促されるとするものです。詳しくは、英語論文ながら、私がジャカルタで書いたディスカッションペーパーがあります。それはともかく、現代米国において、金融・技術・電子部門=FTE部門を高所得部門と設定し、ただし、低所得部門から高所得部門に移行するのはかなり難しい、と分析しています。米国では世代間の移動可能性も欧州よりも低くなっているくらいですから、そうかもしれません。また、所得階層を上げるための大学進学も学費の観点から低所得家庭の子弟が大学に進学する困難さも分析されています。ただ、やや物足りなかったのは、FTE部門がどうして小さな政府を要求するか、についてもう少し詳細な分析が欲しかった気がします。単に、FTE部門税金を払いたくないから、だけでは、特に日本ではみんな税金を払いたくないでしょうから、説明になっていないような気がします。この政府の大きさも含めて、低所得部門の分析は豊富なのですが、高所得のFTEbumonnnobunsekigaもう少し欲しかったと私は受け止めています。コーク兄弟だけでは少し物足りません。

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次に、吉見俊哉『五輪と戦後』(河出書房新社) です。著者は、東大教授であり、社会学・文化研究・メディア研究を専門としています。おそらく、著書は多数あるんだろうと思いますが、私は初めて読んだかもしれません。タイトルから想像されるように、本来、今年2020年に開催される予定だった東京オリンピックを念頭に置きつつ、実は、1964年の東京オリンピックを論じています。第Ⅰ章でオリンピックの舞台となる東京という都市を舞台として取り上げ、第Ⅱ章でオリンピックを盛り上げる演出について、主として聖火リレーに着目して、それほど大きな注目を集めていなかったオリンピックの注目度が以下にして上がったか、を考察し、第Ⅲ章ではそういった舞台や演出に基づいて、いかに演技が演じられたか、マラソンの円谷と女子バレーを題材に議論され、最後の第Ⅳ章では東京に続くソウルや北京と行ったアジア都市でのオリンピックの開催を再演として捉えています。私は専門外なのでよく理解していないながら、ドラマトゥルギーという概念から上演論的なアプローチが取られています。戦前の東京というのは、帝都というよりも、軍隊が広く展開された軍都であったと指摘し、戦後はそこに米軍が進駐し、そういった軍事施設をスポーツをはじめとする文化に対して転用ないし開放するという発想からオリンピックが考えられ、当然ながら、戦後1950年代あたりからの高度成長を背景に、戦後日本の平和国家としてのアピールの場となったわけです。著者は、オリンピックだけでなく、1970年の大阪万博まで視野に入れてこういった点を論じています。聖火リレーについては沖縄を走ったという点は私も記憶に残っているほどですから、国民にはとても印象的であったのだろうと軽く想像されます。ただ、記録映画の出来について、国会議員からは高速道路や新幹線、さらに、競技会場などのインフラやハコモノに重点を置くべしという意見があったのは知りませんでした。興味深い点でした。円谷と自衛隊の関係に焦点を当てていますが、私の記憶が正しければ、重量挙げの三宅も自衛隊ではなかったかという気がします。円谷と三宅の違いはどこから生まれたかについても論じて欲しかった気がします。でも、夏季も冬季も開発一点張りだった五輪開催が、少なくとも冬季については環境や自然保護の観点が入り始めるのは、とても時代の流れなんだろうという気がします。もっとも、それをいうなら、著者の指摘するアマチュアリズムからコマーシャリズム、というのも時代の流れのような気がします。

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次に、日本推理作家協会[編]『沈黙の狂詩曲』(光文社) です。推理作家協会の選によるアンソロジーです。昨年の出版です。収録作品は、青崎有吾「三月四日、午後二時半の密室」、秋吉理香子「奇術師の鏡」、有栖川有栖「竹迷宮」、石持浅海「銀の指輪」、乾ルカ「妻の忘れ物」、大山誠一郎「事件をめぐる三つの対話」、織守きょうや「上代礼司は鈴の音を胸に抱く」、川崎草志「署長・田中健一の執念」、今野敏「不屈」、澤村伊智「などらきの首」、柴田よしき「迷蝶」、真藤順丈「蟻塚」、似鳥鶏「美しき余命」、葉真中顕「三角文書」、宮内悠介「ホテル・アースポート」の15作品で、作家の50音順に並べてあります。さすがに、私はすべて未読というわけでもなく、「事件をめぐる三つの対話」と「美しき余命」は別のアンソロジーで読んだ記憶があります。でも、複数のこういったアンソロジーに収録されているということは、それだけレベルの高い作品ということもできようかという気がします。加えて、私の場合はかなり乱読ですので、ミステリながら結末は忘れているケースも少なくなく、興味を持ち続けて読み進むことができました。ともかく、アンソロジーですから、必ずしも本格推理小説ばかりではなく、ユーモア作品や、本格ファンからすればミステリではないようなホラー超の作品まで、いっぱい収録されており、繰り返しになりますが、とても水準高い作品ばかりです。2段組で400ページを超えるボリュームですから、私でも読了には丸々2日かかりました。通常であれば、1週間かけて読んでもおかしくない分量です。あえて、私なりにベストは柴田よしき「迷蝶」を上げておきます。還暦前後の年齢の近い登場人物というのもありますが、小説らしく日常生活ではありえない偶然です。「事実は小説より奇なり」という言葉がありますが、「そんなことあり得ない」というくらいのフィクションを展開するのが小説だと私は考えています。

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最後に、十川陽一『人事の古代史』(ちくま新書) です。著者は慶應義塾大学准教授で、我が国の古代史を専門分野とする歴史の研究者です。タイトル通りの内容で、我が国古代の人事をテーマにしています。もちろん、古典古代には今のような会社組織はあり得ませんから、律令制下の官人、すなわち、今風にいえば公務員の人事史ということになります。日本の場合、特に中国と比較しての特徴は、政権の交代はあっても王朝の交代はなく、まあ、私は決して好きな表現ではありませんが、いわゆる万世一系の天皇家が続いているという点と、もうひとつは、科挙のような一般公募の選抜試験ではなく世襲による官位・官職の継続がなされてきた点です。本書の著者も指摘しているように、世襲という言葉には北朝鮮的な好ましくない雰囲気があるんですが、学校教育も十分ではなく、ましてや、インターネットで手軽に情報を検索できるわけでもなかった古典古代の当時としては、家に蓄積された情報というのはとても重宝されたんだろうと想像できます。その上で、一位、二位といった官位と太政大臣や大納言といった官職との二重の官位官職制度のもとでの散位など知らないこともいっぱいでした。でも、人事のお話ですので、人事で職位職階が異動した際に、何が起こるのか、もちろん、摂政関白太政大臣なんて、位人臣を極めた大貴族のお話もさることながら、もっと一般庶民に近い下級貴族の精励恪勤振りも焦点を当てて欲しかった気がします。まったく出世しなかった公務員定年退職者のひがみかもしれません。最後に、私は大学で経済よりもむしろ歴史を勉強したかったんですが、就職のことを考えて妥協して経済史という分野を先行して、結局、今では経済史とは何の関係もなく教職にあるわけですが、日本の古代史は古文書の解読に明け暮れていると聞きましたが、もしそうだとすれば、私には適性がなかったかもしれません。

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2020年9月18日 (金)

GoToトラベルの値引きより8月の消費者物価(CPI)上昇率はマイナスに転じる!!!

本日、総務省統計局から8月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率はとうとうマイナスに転じて▲0.4%を示した一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は▲0.1%でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価3カ月ぶり下落 8月、GoToで宿泊料下がる
総務省が18日発表した8月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、変動の激しい生鮮食品を除く総合指数が101.3となり、前年同月から0.4%下落した。マイナスは3カ月ぶり。政府の観光支援事業「Go To トラベル」で宿泊料が32.0%下落し、指数を押し下げた。
「Go To トラベル」はホテルや旅館の宿泊費用の35%を割り引く制度で、総務省は割引後の価格をもとに消費者物価指数を集計した。同省の試算では事業がない場合、宿泊料は前年同月比7.1%の下落だったが、事業の影響でさらに24.9%下落した。
宿泊料の下落だけで指数を0.42ポイント押し下げた。同事業の影響を除いた指数は前年同月から横ばいだった。
宿泊料以外では電気代が2.5%、ガソリン代が6.3%下落した。原油価格は春以降持ち直したが、年初の原油価格急落の影響が半年ほど遅れて電気代に反映された。幼児教育・保育の無償化も、引き続き物価上昇の重荷となった。
生鮮食品を含む総合指数は102.0で、前年同月から0.2%上昇した。7月までの日照不足や長雨、8月の猛暑など天候不順が続き、生鮮野菜・果物がほぼ全面高となった。レタスは91.1%、ナシは20.0%上昇した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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コアCPIの前年同月比上昇率は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲0.4%でしたので、ジャストミートしたといえます。大雑把にいって、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、国際商品市況における石油価格が低迷していることに加え、7月22日から始まったGoToトラベルによる値引きで宿泊料が大きなマイナス寄与を示しています。具体的に数字を上げると、電気代やガソリン代をはじめとするエネルギーが▲0.27%の寄与を示し、先月7月統計の▲0.35に比べればマイナス寄与の幅は縮小しましたが、依然として大きなマイナスです。宿泊料は、8月統計では前月比▲18.4%、前年同月比▲32.0%の大きなマイナスで、前年同月比に対する寄与度も▲0.42%に上っています。宿泊料ほどのウェイトはありませんが、外国パック旅行費も▲0.02%の寄与度を示しています。まあ、7月下旬からGoToトラベルが多くの反対を押し切ってはじめられ、10月には東京発着にも拡大される、といった動きの中で、旅行や宿泊などの対人要素の強いサービスはCOVID-19の影響が海外旅行も含めて残っているような気がします。なお、引用した記事にある通り、総務省統計局の資料において、前年同月比で▲32.0%の下落となった宿泊料は、GoToトラベルの影響で▲24.9%、それ以外で▲7.1%との分解結果の試算が示されています。加えて、これも引用した記事にもある通り、幼児教育・保育の無償化も物価にマイナスの影響を及ぼしています。他方、コアCPIの外数ですが、猛暑の影響で生鮮食品が値上がりし、私もスーパーなどで見るにつけ野菜や果物の価格が高いと実感しています。消費者物価(CPI)に限らず、物価指標については、何度過去のブログでも繰り返しましたが、10月統計になると昨年2019年10月の消費税率引上げの影響が剥落します。ですから、来月の9月統計はともかく、消費者物価(CPI)についても、年末にかけて前年同月比上昇率のマイナス幅が拡大することは覚悟しておかねばなりません。

最後に物価を離れて、10年余り前のリーマン・ショックの後の景気後退期には、政権交代後の民主党内閣で家電エコポイントとエコカー減税という耐久消費財の代表格の家電と自動車に補助金を出しました。そして、今回のCOVID-19ショックでは自公政権がGoToトラベルでサービス分野の旅行業界に補助金を出しています。私はエコノミストとして、こういった個別業界への補助金ではなく、特定給付金のような家計の購買力を向上させる経済政策が必要と考えています。そういった左派リベラルの経済政策は出てこないもんでしょうか?

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2020年9月17日 (木)

ジャイアンツに勝って今シーズンの野球は見納め!!!

  RHE
阪  神320001104 11140
読  売000000000 043

今シーズンの野球の見納めでした。ジャイアンツは余裕綽々なんでしょうね。今日の試合が開幕戦でできないのがタイガースの弱いところなんでしょう。弱きをくじいて強きを助け、ジャイアンツの独走を強く強くアシストしただけのシーズンでした。虎ブロも書き納めです。

来シーズンこそ、
がんばれタイガース!

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訪日外国人客やインバウンド消費の決定要因を分析した論文を書き上げる!!!

4月から今の大学に再就職して半年が経ち、ようやく、1本だけ学術論文を書き上げました。「訪日外国人客数およびインバウンド消費の決定要因の分析: VAR過程に基づく状態空間モデルの応用」と題して、その名の通り、訪日外国人客数やGDP統計であるSNAベースのインバウンド消費の決定要因を分析しています。今まで、インバウンド消費といえば、そもそも実態把握すらそれほど進んでいなかった分野ですので、第1に、マイクロな購買活動分析で、何が買われているのかから始まって、そういったマイクロな分析はそれなりに蓄積があります。次に、インバウンド消費が地域経済活性化のひとつの起爆剤となりうることから、第2に、波及効果を含めた広い経済効果の分析、というか、試算もいっぱい蓄積されています。そして、政策分析、というか、第3に、受入れ側の日本における政策対応、特に、VISAの要件緩和に関しても研究が進められていました。過去形です。しかし、私のやったような観光客の送出し国における所得の伸びがどれだけ寄与しているのか、あるいは、決定要因になっているのか、という第4のタイプの研究はそれほど多くありません。ということで、やってみました。


 


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やってみて判ったんですが、経済学の伝統的な考えに従って、所得要因と価格要因で回帰分析したのですが、価格要因で回帰モデルに入れた実質実効為替レートはほとんど有意性を持ちません。従って、所得要因だけで分析を進め、実績としての訪日外国人客数やインバウンド消費をもたらす所得要因を状態空間モデルから推計しています。いわゆる観測不能変数の推計です。その試算された観測不能な所得と実績の観測された所得の差分をプロットしたのが上のグラフです。上の青線が訪日外国人客数ベースで、下の赤線がSNAのインバウンド消費ベースです。
四半期データの対数1階階差でモデルを組んでいるので、リバウンドが目立つ場合もあります。四半期データを用いたのは、中華圏の春節が1月になったり、2月になったりするので、月次データを不適当と判断したからです。実績と推計値で乖離が目立っているのは以下の4期間です。すなわち、第1に、2008年ころからの尖閣諸島問題などに関して、中国世論に起因すると考えられる下振れです。第2に、2011年3月の東日本大震災と福島第一原発事故の直後の2011年4~6月期に大きく落ち込んでいます。第3に、その後、2013年ころから周辺アジア諸国の所得の伸びを上回るような順調な上振れ期間が観察されます。この間に、平均的な所得の伸びよりも訪日するような富裕層の所得の伸びが上回っていた可能性があります。そして、第4に、直近2020年1~3月期の大きな落ち込みです。いうまでもなく、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響です。これは、2011年の東日本大震災の影響を上回っています。


 


加えて、データ、モデルの定式化、推計アルゴリズムに関する将来課題も提示していますが、かなり学術的に難しい内容です。いずれにせよ、関西に戻ってインバウンド消費の重要性が今さらながらに実感できましたので、それを取り込むとともに、加えて、足元の経済社会的な大問題である新型コロナウィルス感染症(COVID-19)にも少しだけながら言及することを心がけました。一応、学内の紀要に収録していただくべく、然るべき方面に提出しておきました。

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2020年9月16日 (水)

消化試合に入って巨人が駒を落としても東京ドームで勝てないタイガース!!!

  RHE
阪  神000000042 261
読  売01015000x 7110

ジャイアンツにマジックが出て余裕こきまくって、キャプテンや4番打者を落としても、それでもタイガースは東京ドームで勝てないんでしょうか。ハッキリとこの監督ではダメだと感じました。試合が決着してから打つんではなく、試合を決着させるようなホームランを打てる4番打者を育ててください。特に、この先、来季を見据えて、ムダに投手を消耗させることは避けてください!!!

来シーズンこそ、
がんばれタイガース!

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8月貿易統計に見る輸出の回復やいかに?

本日、財務省から8月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列で見て、輸出額は前年同月比▲14.8%減の5兆2326億円、輸入額も▲20.8%減の4兆9843億円、差引き貿易収支は+2482億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

8月輸出14.8%減 自動車など低迷、減少幅は縮小
財務省が16日発表した8月の貿易統計速報によると、輸出の総額は5兆2326億円で前年同月から14.8%減った。新型コロナウイルスの影響による経済停滞で自動車を中心に低迷が続いているが、減少幅は3カ月連続で小さくなった。
経済活動をいち早く再開した中国向けの輸出は1兆2616億円で5.1%増えた。増加は2カ月連続となる。スマートフォン関連の需要を映して半導体などの製造装置が増えた。欧州連合(EU)向けも19.2%減の4762億円となり、減少幅が縮小した。
米国向けの輸出は21.3%減の9368億円。減少幅は前月の19.5%より大きくなった。航空機のエンジン部品や医薬品、建設用・鉱山用機械などが落ち込んでいる。新型コロナの影響で今春から急減していた自動車輸出は4%の減少にとどまった。
貿易収支は2482億円の黒字になった。黒字は2カ月連続で、109億円だった7月から拡大した。黒字の拡大は国内の需要の弱さを反映して輸入の大幅な減少が続いている影響も大きい。8月の輸入額は4兆9843億円で20.8%減った。
輸入の減少は燃料の需要減によるものが大きい。原油はアラブ首長国連邦(UAE)からの輸入を中心に52.5%減った。液化天然ガス(LNG)は44.2%減、石炭も42.3%減と落ち込みが続いている。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲73億円の貿易赤字が予想されていて、レンジはかなり広いながら、黒字の上限が+1500億円でしたので、レンジを超えています。世界経済全体の回復レベルに比較して、我が国の景気の回復が遅れている、ないし、そもそも回復に至っていない可能性が示唆されています。いずれにせよ、輸出入ともに前年同月から減少しているのは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響といえますので、単純に景気局面から考えると、輸出が伸びて、輸入が伸び悩んでいるということですから、COVID-19の感染状況で我が国が世界平均と比べてまだパンデミックにあるとか、ではなく、COVID-19の感染拡大の状況というよりも、むしろ、ロックダウンなどによって感染拡大防止を優先するのか、それとも、経済再開の方に重点を置いているか、に依存する可能性が高いと考えるべきです。ですから、日本はまだ感染拡大への警戒感が強いのか、世界平均と比較して経済再開よりも感染拡大防止に重点が置かれている可能性が示唆されています。ただし、中国については、もともとのepicenterであった一方で、感染拡大についてはピークを過ぎた可能性もあるのは広く知られている通りで、貿易統計にもそれが示されています。すなわち、日本から中国への輸出額を前年同月比で見て先月7月は+8.2%の増加を示した後、直近の8月統計でも+5.1%と伸びを示しています。しかし、輸入額の方は、7月▲9.6%減、8月▲7.0%減とまだ減少を続けています。

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輸出額の前値同月比で見ると、5月が▲28.3%でほぼ直近の底と考えられます。その後、6月▲26.2%とややマイナス幅を縮小し、7月▲19.2%、8月▲14.8%と着実にマイナス幅が縮小しています。ですから、いくつかのシンクタンクのリポートを読んでいると、財務省の公式統計をもとにシンクタンク独自に季節調整した結果は前月比プラスが示されているようです。前年同月比のマイナス幅縮小、あるいは、前月比のプラスを見るにつけ、私の実感では、輸出はかなりの回復を見せています。具体的には、2020年8月統計の輸出数量指数は117.8であり、季節調整していない原系列の統計ですので、単純な比較はできませんが、2018年平均の121.2と2019年平均の112.0の間に収まります。シンクタンクなどでも同様の見方が広がっており、例えば、ニッセイ基礎研のリポートでは、輸出は金額・数量ともに2020年2月のCOVID-19パンデミック前の「9割程度の水準まで回復」した、と結論しています。Guerrieri et al (2020) によるNBER Working Paper でも、今回のCOVID-19の影響による経済の落ち込みはケインズ的な需要ショックではなく、対人サービス部門などで発生した供給ショックの可能性を2部門モデルを用いて論じていますし、そうであれば、対人サービス部門の供給ショックは輸出には影響薄いのかもしれません。

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2020年9月15日 (火)

またまた東京ドームで巨人に負けてセ・リーグは終戦!!!

  RHE
阪  神101010000 390
読  売01010301x 6110

またまた東京ドームで巨人に負けて、阪神は終戦です。要するに、阪神は巨人の独走をアシストするだけでシーズンを終えようとしているわけなんでしょう。今夜の高橋投手もそうですが、特に投手を無駄に使わずに来季の捲土重来を期待します。私も野球観戦は今季はもうしないかもしれません。繰り返しになりますが、矢野監督はすでに続投は難しいでしょうから、今季にムダに選手を消耗させることは避けてください!!!

来シーズンこそ、
がんばれタイガース!

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東京財団政策研究所による第1回中長期経済見通し研究会の議論やいかに?

やや旧聞に属するトピックですが、9月11日に東京財団政策研究所から第1回中長期経済見通し研究会の開催結果が報告されています。主催の東京財団政策研究所はみごとなくらい徹底したネオリベな経済政策を志向しているので、私は何ら興味ないんですが、この研究会だけは私の見知ったエコノミストが何人かご出席で、それなりの経済見通しが示されているような気もします。一応、ごく簡単にフォローしておきたいと思います。

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まず、GDP水準が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の前の水準、直近のピークの2019年7~9月期とに戻るのは、「2024年中のどこかというのがコンセンサスであった」と報告されています。上のグラフは、東京財団政策研究所のサイトから引用していますが、今回のCOVID-19後のGDP水準と以前のリーマン・ブラザーズ破綻などの米国サブプライム・バブル崩壊後を比較しています。まあ、3~4年かかるというコンセンサスは私も共有します。
また、コロナ禍で潜在成長率が低下する可能性が指摘されていて、結局、「高齢化要因などを踏まえると日本の潜在成長率は0%台後半という見通しが研究会メンバーのコンセンサス」と結論しています。私自身はもう少し高いと見ていますが、出席者の中から、「消費増税を含めて、財政の立て直し圧力が出てくると潜在成長率以下に成長が抑えられる」可能性が指摘されていたようです。当然です。ほかにも、日銀の非伝統的金融政策、基礎的財政収支の見通しなんかも議論されており、いかにもネオリベ政策集団という気がします。

なお、8月28日に安倍首相が辞任を表明したのは研究会開催後だったそうですが、政策の継続性などを考え合わせると、「中長期見通しへの影響はなさそう」と結論しています。笑う場面ではないんでしょうが、微笑ましく感じてしまいました。

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2020年9月14日 (月)

インテージによる「新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴う外出自粛による家庭のエネルギー消費への影響分析」やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、先週水曜日の9月9日にインテージから「新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴う外出自粛による家庭のエネルギー消費への影響分析」と題するリポートが明らかにされています。住環境計画研究所との共同調査のようです。まず、インテージのサイトから調査結果のポイントを5点引用すると以下の通りです。

[ポイント]
  • 在宅勤務とエネルギー消費量の関係: 集合住宅に住む単身世帯では、在宅勤務実施がエネルギー消費量に与える影響が大きい
  • 在宅勤務実施世帯の省エネ意識: 在宅勤務日数の増えた世帯では、省エネ意識が高まった世帯と少々緩んだ世帯がそれぞれ若干増加している
  • 在宅勤務実施世帯における負担感・満足度: 在宅勤務日数が増えると、仕事の負担を感じる割合が若干増加している。一方で生活全般については、不満を感じる割合も、満足を感じる割合も若干増加している
  • 在宅勤務と自宅での調理食数: 在宅勤務日数の増えた世帯において、平日昼の調理食数が顕著に増加している
  • 在宅勤務と光熱費の意識: 在宅勤務日数が増えると、光熱費が増えたと感じる割合が高くなり、今夏の光熱費を心配する割合も高くなっている

ということで、ほぼほぼ、これでもう十分という気がします。でも、それでは愛想がなさそうに思いますので、少しグラフを引用しておきます。

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上のグラフは、インテージのサイトから 家庭内エネルギー消費量(電気・ガス合計)2020年2-4月の推移 を引用しています。季節的に、徐々に春うららかとなって、暖房目的をはじめとするエネルギーが減少するんですが、真ん中のパネルの集合住宅に住む単身世帯においては、在宅勤務の日数変化によるエネルギー消費量への影響が大きい、という結果が現れています。在宅勤務が多くなって家にいるために、エネルギー消費の減り方が鈍いわけです。逆に、一戸建てにせよ集合住宅にせよ、2人以上世帯のエネルギー消費に在宅勤務が影響しない方がむしろ不思議な気がするのは、私だけでしょうか?

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上のグラフは、インテージのサイトから 平日昼の世帯員1人当たり調理食数の1月以前からの変化 を引用しています。見れば明らかな通り、在宅勤務日数が増加した世帯では平日昼の調理食数が増加しています。当然です。これまた当然ながら、5日以上増の世帯では世帯員1人当たりの平日昼の調理食数が大きく、0.5人分以上増加した割合が特に大きいセグメントを赤い枠線で囲っています。1月比で見て、4月にはかなり増加を見せている一方で、慣れがあったのか、6月ではそうでもないのが少し不思議な気もします。

もう、もっとも暑い時期は過ぎた気もしますが、今夏のエネルギー事情はどうだったのでしょうか。あくまで一般論ながら、各家庭で個別にエアコンを使うよりも、オフィスで多人数を一気に冷やしたほうがエネルギー効率がいいように、私のようなシロートには思えるます。でも、夏の甲子園野球が中止になったりして、その分、エネルギー消費も少なかった可能性がなくはありませんし、在宅勤務と併せてどのような実態だったのか、やや気にかかるところです。

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今日は私の誕生日!!!

今日は、私の誕生日です。
もうとっくに還暦を超えていますので、めでたくもあり、めでたくもなし、です。あと、何回誕生日を迎えることができるか、なんてことを考え始めるころかもしれません。
いつものくす玉を置いておきます。

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2020年9月13日 (日)

陽川選手のゴリラ・パンチで広島との乱戦を制して4連勝!!!

    R H E
広  島 3 0 0 2 1 0 0 0 0   6 11 0
阪  神 2 0 3 0 0 1 0 1 x   7 11 2

 

消化試合に入って、広島に3タテです。初回から得点入りまくりの乱打戦でしたが、最後に、陽川選手のゴリラ・パンチで決着をつけました。先発の藤浪投手の評価はどんなもんなんでしょうか?

 

東京ドームはどうなることやら、
がんばれタイガース!

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大坂なおみ選手、全米オープン優勝おめでとう!!!

大坂なおみ選手が全米オープン2度めの優勝だそうです。おめでとうございます。
私は我が家で購読している朝日新聞のサイトで知りました。
マスクも印象的でしたね。

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上の画像は、ウェザーニュースのサイトから引用しています。関西は朝から激しい雷雨でした。10時ころまで降り続くようです。

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2020年9月12日 (土)

消化試合に入ってカープに連勝するタイガース!!!

  RHE
広  島000000010 160
阪  神30000000x 380

消化試合に入って、広島に連勝です。相変わらず打てなくて追加点が取れませんでしたが、初回の大山選手のスリーランが効きましたし、秋山投手のピッチングもしっかりしていました。リリーフ陣も失点はしましたが、抑え切りました。秋山投手については、ヒーロー・インタビューがむしろ面白かったです。

明日は藤浪投手先発で、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済と中国について考えさせられる本をはじめとして計4冊!!!

今週の読書は、ノーベル経済学賞受賞者による経済学に関するエッセイと中国経済についての評価に関する経済書、ほか新書2冊の計4冊です。このブログで取り上げる経済書は難しいという意見もあって、また、大学生諸君にもっと手軽に読めるようにという配慮もしつつ、最近では新書を多く取り上げるように心がけています。

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まず、アビジット V. バナジー/エステル・デュフロ『絶望を希望に変える経済学』(日本経済新聞出版) です。著者は、ともにマサチューセッツ工科大学の研究者であり、いうまでもなく、昨年2019年ノーベル経済学賞受賞者です。英語の原題は Good Economics for Hard Times であり、Good Economics の方はともかく、Hard Times の方はディケンズを踏まえているのは明らかでしょう。それはともかく、2019年の出版です。私の感覚では、スティグリッツ教授やサックス教授の一連のリベラルな経済書、あるいは、おそらく、直接には2018年10月7日の読書感想文で取り上げたティロル教授の『良き社会のための経済学』、あるいは、2019年7月13日に取り上げたバルファキス教授の『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』などのラインと同じにあるような気がします。ただ、途上国を専門領域とする開発経済学者ですので、ついつい、移民のお話からはじめてしまい、結論が出ないという経済学特有のわかりにくさを露呈してしまっていて、もう少しスパッと割り切れるお話から始めるという戦略を取った方がいいんではなかったか、という気がします。いずれにせよ、ティロル教授やバルファキス教授の本からは、やや落ちるのは確かです。開発経済学にもそれなりに関心ある私の直感からすれば、この著者の両教授は開発経済学に大きな貢献をして、ノーベル機材楽章を受賞したのは当然なんですが、やっぱり、RTCやそれを適用するマイクロな開発経済学の方に注目を集め過ぎたきらいがあるような気も同時にします。経済学の研究では、経済社会や国民生活にとって意味あるテーマよりも、手法で研究テーマを志向するエコノミストは少なくないわけですが、開発経済学ではジャーナルの査読を通るために、ものすごくRTCを採用するエコノミストが多くなった印象を私は持っています。当然ながら、マクロの経済状態はRCTには乗らず、実験的な手法は取れない可能性が高いことから、マイクロな開発経済学で、表現は申し訳ないながらチマチマした開発が主流になってしまいそうで、私はやや心もとない感覚を持っています。ということで、こういったラインの経済書は、年末のベスト経済書に入りそうなんですが、本書はそれほど高いランクではなさそうな気がします。

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次に、芦田文夫・井出啓二・大西広・聽濤弘・山本恒人『中国は社会主義か』(かもがわ出版) です。著者は、日本共産党の幹部経験者のほかは、ほぼほぼ経済学者のようで、しかも、過半は我が母校の京都大学経済学部のOBのように見受けられます。本書は、著者たちが見解書を出した上で、シンポジウムで意見を交換し合った上で、その見解書や議事録を基に作成されているようです。私は同じように京都大学経済学部のOBで、経済学を専門としているにしても、まったく専門外で理解ははかどりません。ただ、社会主義化資本主義化はあくまで生産関係により識別することが必要であり、中国のように核保有したり、拡張主義的で、まるで資本主義の帝国主義段階にあるような軍事行動を取るのかは、生産関係の下部構造から、時々の、あるいは、周辺事情により、同じ下部構造でも上部構造は異なることがあるわけで、上部構造まで含めて社会主義か資本主義かを問うのは、少し趣旨が違うような気もします。その上で、社会主義と資本主義を識別する大きな判断基準は、私は資源配分のあり方だと考えています。すなわち、中央司令に基づく計画経済か、それとも、分散型の市場による資源配分か、です。それに付随する上部構造で、所得再配分とか軍備への考え方などは、市場経済の資本主義社会でも社会主義よりも、国民本位の所得再配分とは核廃絶により熱心だったりする可能性があります。一例を考えると、我が日本の所得配分のジニ係数が中国よりも小さくて、格差が小さいのはよく知られている通りです。その上で、専門がいながら私の目から見て、中国では資源配分は中央司令に沿って実施されているわけではなく、おそらく、市場で配分がなされているように見えます。その意味で、中国は少なくとも社会主義ではないような気がします。自信はありません。

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次に、エマニュエル・トッド『大分断』(PHP新書) です。著者は、ベストセラーを何冊か生み出している知識人で、人類学者という触れ込みです。ここ2-3年のインタビューを基にした本書では、地域的な分断ではなく、もっとマルクス主義的な階級分断が教育に応じて引き起こされる、と主張しています。ただし、私が読んだ範囲では、それほどの論理的な立論がなされているわけではありません。教育を受けたエリートが経済格差が拡大する中で有利になることはいうまでもありませんが、そのエリートが社会の分断を進めているという主張には、私は同意しません。本書の見方からすれば、それなりの名門大学を卒業して上級職の公務員や大学教授をしている私なんぞは、まさに、エリートに入りそうな気がしますが、決して経済的に格差の上に位置しているわけではないように実感しています。まあ、個人的な見方はさて置き、繰り返しになりますが、本書では、教育の有無がマルクス主義的な生産手段所有の有無と同じように階級分断をもたらすと指摘しています。可能性は否定しないものの、土地や生産手段とは違って、教育の場合は、特に日本では、それなりに万人に門戸が開かれているような気がするだけに、少し違うとも感じます。英国などでは、貴族に男の子が生まれるとイートン港に手紙を書いて入学の「予約」をする、という都市伝説を聞いたことがありますが、日本ではむしろ貧困から脱出する手段としての大学進学を、私なんぞは推奨しています。ただ、日本の出版社に対するインタビューから構成されていて、それだけに、教育による分断はともかく、家族構造に起因して日本では女性の地位が低くなりがちで、それが人口減少に直結する、との指摘は考えさせられるものがあります。日本と同じような家族構造のドイツではせっせと移民を受け入れており、日本も移民受け入れを推奨していて、天皇陛下が移民についてスピーチを行い、東南アジア諸国からの移民を積極的に受け入れる、なんてのは実現性が極端に低いだけに、無責任な発言とも取られかねないリスクがあります。でも、欧州人の著者は日本が世界最大の人口大国にとても近くて、日本が移民を受け入れた途端、かの人口大国から大量の移民が押し寄せかねないリスクを無視しているような気がします。

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最後に、吉田敦『アフリカ経済の真実』(ちくま新書) です。著者は、基本的に開発経済学の研究者なんではないかと見ていますが、むしろ、経済に限定されずに、アフリカ地域の専門家なのかもしれません。というのは、タイトルにひかれて読んでみたんですが、それほど経済の話題を取り上げているわけでもなく、アフリカの政治や社会も含めて幅広く解説しています。実は、私も南米チリの日本大使館で経済アタッシェをしていた際に感じたことで、平均的な日本人はチリの経済事情には関心ないのもさることながら、ほとんど情報がなく、現地の一般情報、テレビや新聞で当たり前に報じられている情報を日本に伝えるだけで、それなりの仕事になったりします。チリよりもアフリカはもっとかもしれません。恥ずかしながら、本書で展開されているアフリカ事情は、私なんぞはほとんど知らないことばっかりでした。伝統的に、地域的な距離感からして、日本はアジア、米国は中南米、そして、アフリカは欧州が開発に協力する場面が多そうな気がします。私自身はアフリカに足を踏み入れたことはありませんが、アジアの中のジャカルタではそれなりの経済開発への貢献をしてきたつもりです。ただ、本書を読んでいると、アジアは中国をはじめとしてそれなりの経済開発に成功し、所得の増加を見せていますが、資源大国でありながら経済開発からは取り残されたアフリカに対する強力に、我が国もさらにリソースを投入する必要があるのかもしれません。でも、よく判りません。

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2020年9月11日 (金)

消化試合に入って西投手の完封で広島に完勝!!!

  RHE
広  島000000000 041
阪  神10100101x 470

西投手の完封で広島に完勝です。消化試合に入っても冴えない阪神だったんですが、今日はがんばったようです。もっと早くにエンジンがかかっていればよかったのにね!

明日からの消化試合も、
がんばれタイガース!

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マイナス幅を縮小させつつある企業物価指数(PPI)上昇率の先行きやいかに?

本日、日銀から8月の企業物価 (PPI) が公表されています。企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲0.5%の下落を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業物価指数、前月比0.2%上昇 石油製品など寄与
日銀が11日発表した8月の企業物価指数(2015年平均=100)は100.4と、前月比で0.2%上昇した。上昇は3カ月連続。新型コロナウイルスの感染拡大で抑制されていた経済活動が徐々に再開する中、商品市況の回復が企業物価を押し上げた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。類別では、石油・石炭製品や非鉄金属の物価上昇への寄与度が大きかった。
ただ、企業物価を前年同月比でみると0.5%下落と、3月から下落が続いている。新型コロナが企業物価の重荷となっている状況は変わっていない。
円ベースでの輸出物価は前月比で0.4%上昇、前年同月比では1.5%下落した。円ベースでの輸入物価は前月比で1.2%上昇、前年同月比で10.9%下落した。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。消費増税の影響を除いた企業物価指数は前月比で0.2%上昇、前年同月比で2.1%下落した。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。

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まず、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、中央値で前月同月比▲0.5%の下落、ということでしたので、まさにジャストミートしました。企業物価(PPI)も、いずこも同じ新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、昨年2019年10月からの消費税率引き上げの影響がまだ残っているにもかかわらず、国内企業物価の前年同月比で見て、3月▲0.5%とマイナスに転じ、4月にはマイナス幅を拡大して▲2.5%、そして、5月に▲2.8%で最大のマイナス幅を記録した後、6月▲1.6%、7月▲0.9%、そして、本日公表の直近で利用可能な8月統計では▲0.5%までマイナス幅が縮小してきています。ですから、各種経済指標とともに、企業物価(PPI)についても、今年2020年5月で底を打った可能性が高いと考えて差し支えありません。加えて、現在の国内景気だけから考えると、9月統計ではさらにマイナス幅を縮小させる、あるいは、プラスに転じる可能性も小さくないと私は期待しています。
ただし、企業物価(PPI)の先行きを考えると、第1に、何分、我が国の物価は石油価格に影響される部分が大きく、その意味で、国際商品市況に依存しています。例えば、8月統計の国内物価の前月比上昇率+0.2%への寄与を見ると、ガソリンをはじめとする石油・石炭製品の寄与が+0.23%に上っており、この石油・石炭製品で前月比上昇率を超えてしまいます。その意味で、国際商品市況次第で物価上昇率が振れる可能性も否定できません。加えて、第2に、9月統計ではインフレ目標に近づくとしても、10月には昨年の消費税率引上げの影響が剥落します。指数レベルではともかく、前年同月比上昇率では大きく下振れすることが確定しているわけです。何とも、物価の先行きについては評価し難いと考えざるを得ません。

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2020年9月10日 (木)

予想外に増加を示した7月の機械受注はそろそろ底を打つか?

本日、内閣府から7月の機械受注が公表されています。機械受注のうち、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比+6.3%増の7513億円と、まだまだ受注額は小さく低水準ながら、かなり大きな伸びを示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の機械受注、前月比6.3%増 製造・非製造ともに増加
内閣府が10日発表した7月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は、前月比6.3%増の7513億円だった。増加は2カ月ぶりで、増加率は昨年11月(11.9%)以来8カ月ぶりの大きさ。QUICKがまとめた民間予測(中央値)は1.9%増だった。製造業、非製造業ともに増加した。
内閣府は基調判断を「減少している」から「減少傾向にある」に表現を変更した。
製造業の受注額は前月比5.0%増の3131億円だった。2カ月連続の増加で、17業種のうち11業種で増加した。「窯業・土石製品」で建設機械関連がけん引し62.5%増えた。「造船業」はエンジンなどが増え35.4%増加した。
非製造業は3.4%増の4430億円と、2カ月ぶりに増加した。「不動産業」(56.1%増)や「金融業・保険業」(17.0%増)がけん引した。一方、「卸売業・小売業」(17.4%減)や「通信業」(15.2%減)は受注額が減った。
受注総額は7.0%増えた。外需は建設機械やエンジンなどがけん引し13.8%増と5カ月ぶりに増加した。一方、官公需の受注額は中央政府や独立行政法人などからの受注が減り30.4%減だった。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は16.2%減だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。

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まず、コア機械受注に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で前月比+1.5%の増と報じられています。もっとも、レンジはかなり広くて▲2.6減~6.2%増、ということでした。それでも、ホンの少しだけ上限を突き抜けたプラスを記録しています。製造業と非製造業で見ると、製造業は先月6月の+5.6%増に続いて、2か月連続の増加です。非製造業は、先月6月が▲10.4%と大きく落ち込んだ後のリバウンドで、今月7月は3.4%増を記録しました。でも、6月のマイナスに比べればまだまだリバウンドが小さいと考えるべきです。コア機械受注の伸びが大きいので、統計作成官庁である内閣府では、引用した記事にもある通り、基調判断を「減少している」から「減少傾向にある」に表現を変更しています。半ノッチの上方修正といえるかもしれません。報道では見かけませんが、私が注目しているのはコア機械受注の先行指標となる外需です。3月▲1.3%減と減少に転じた後、4月は▲21.6%減と大きく落ち込み、5月も▲18.5%減、6月も▲3.9%減とマイナスが続いた後、7月になってようやく+13.8%増と、5か月ぶりに前月比での増加を示しました。ただし、7月の受注額でもまだ2月の▲10%超の減少なんですが、自動車などの生産が堅調な中国からの受注がけん引しているとの情報もあり、先行きは明るいかもしれません。特に、自動車・同部品が6月+7.8%増、7月+6.2%増となっており、我が国のリーディング産業が復活しつつある可能性が示唆されています。先日の景気動向指数を見ても、家計部門を差し置いて企業部門が先に新型インフルエンザ感染症(COVID-19)の影響から脱する可能性が見られており、その意味で、機械受注の底打ちも近い可能性があります。ただし、家計部門の回復が企業に比べて遅れているだけに、我が国景気の本格回復は先のお話で、それだけに、景気回復がかなり緩やかであるとのコンセンサスもありますから、企業業績や先行きの不透明感の払拭なども含めて、設備投資をはじめとする企業活動が本格的に回復軌道に回帰するのはかなり先になると考えるべきであり、それほど楽観はできません。

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2020年9月 9日 (水)

第一生命経済研リポート「アベノミクス総点検」と左派リベラルのアベノミクス評価やいかに?

やや旧聞に属する話題のような気がしますが、先週金曜日の9月4日に第一生命経済研から「アベノミクス総点検」と第するリポートが明らかにされています。

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いろんな論点があるんですが、私はアベノミクスについてはそれなりに評価しています。上のグラフは第一生命経済研のリポートから引用していますが、円安で株価以上に雇用が増加しているのが見て取れます。もちろん、非正規雇用が多くを占めるんではないかと軽く想像されますが、それでも雇用が増える方が減るよりいいに決まっています。私は官庁エコノミストであったころには最左翼の位置を占めていたんではないかと自負していますが、少なくとも、アベノミクスの経済政策は左派リベラルから見ても評価すべきものであったと考えています。加えて、アベノミクスの3本の矢の別枠ながら、賃上げを企業に要請したり、同一労働同一賃金などの評価できる雇用政策もあります。
ですから、今日の「しんぶん赤旗」の記事で昨日公表のGDP統計速報2次QEが下方修正された主因として設備投資を取り上げ、「安倍晋三政権が実施してきた大企業優遇政策の失敗を浮き彫り」と評価しているのは何とも理解に苦しみます。慶應義塾大学経済学部でマルクス経済学などの授業を担当している大西教授が昨年2019年11月号の『日本の科学者』に寄稿した「先鋭化する階級対抗と実現可能な経済政策」と題する小論で、左翼は一般的に政権党の逆を行って、世の趨勢に逆行するという特性がある旨が指摘されています。私は政権党のすべてを否定すればいいというものではないと考えます。アベノミクスの経済政策を左派リベラルがきちんと評価できないと、まだまだ2009年の政権交代後の混乱の記憶を持ち続けている国民は、安心して次の政権交代の意志を示すことが出来ないのではないか、と私は心配になってしまいます。もう一度、政権交代を強く強く待ち望んでいる左派エコノミストの切なる願いです。

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2020年9月 8日 (火)

下方修正された4-6月期GDP統計2次QEから何を読み取るか?

本日、内閣府から4~6月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は▲7.9%、年率では▲28.1%と、1次QEの前期比▲7.8%減から下方修正され、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で大きなマイナス、3四半期連続のマイナス成長でした。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

4-6月GDP改定値、実質年率28.1%減に下方修正
内閣府が8日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比7.9%減、年率換算では28.1%減だった。速報値(前期比7.8%減、年率27.8%減)から下方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比8.0%減、年率28.5%減と、速報値から下振れするとみられていた。
生活実感に近い名目GDPは前期比7.6%減(速報値は7.4%減)、年率は27.2%減(同26.4%減)だった。
実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比7.9%減(同8.2%減)、住宅投資は0.5%減(同0.2%減)、設備投資は4.7%減(同1.5%減)、公共投資は1.1%増(同1.2%増)だった。民間在庫の寄与度はプラス0.3%分(同マイナス0.0%分)だった。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス4.9%分(同マイナス4.8%分)、輸出から輸入を引いた外需はマイナス3.0%分(同マイナス3.0%分)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてプラス1.3%(同プラス1.5%)だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2019/4-62019/7-92019/10-122020/1-32020/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.4+0.0▲1.8▲0.6▲7.8▲7.9
民間消費+0.6+0.1▲3.2▲0.5▲6.5▲6.5
民間住宅▲0.2+1.2▲2.2▲4.0▲0.2▲0.5
民間設備+0.8+0.2▲4.7+1.7▲1.5▲4.7
民間在庫 *(+0.0)(▲0.3)(+0.0)(▲0.1)(▲0.0)(+0.3)
公的需要+1.1+0.9+0.4▲0.0▲0.0▲0.3
内需寄与度 *(+0.7)(+0.3)(▲2.3)(▲0.3)(▲4.8)(▲4.9)
外需寄与度 *(▲0.3)(▲0.2)(+0.5)(▲0.2)(▲3.0)(▲3.0)
輸出+0.2▲0.6+0.4▲5.4▲18.5▲18.5
輸入+1.8+0.7▲2.4▲4.2▲0.5▲0.5
国内総所得 (GDI)+0.3+0.2▲1.7▲0.6▲6.8▲6.9
国民総所得 (GNI)+0.3+0.2▲1.8▲0.6▲6.8▲6.9
名目GDP+0.5+0.4▲1.5▲0.5▲7.4▲7.6
雇用者報酬+0.8▲0.2▲0.2+0.5▲3.7▲3.8
GDPデフレータ+0.4+0.6+1.2+0.9+1.5+1.3
内需デフレータ+0.4+0.2+0.7+0.7+0.0▲0.1

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4~6月期の最新データでは、前期比成長率が歴史的にも今までなかったくらいの大きなマイナスを示し、売行き不振で積み上がった在庫を別にすれば、GDPの各コンポーネントは軒並みマイナス寄与を示し、中でも、赤の消費と次いで黒の純輸出が大きなマイナとなっているのが見て取れます。

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もはや、何も書き足すことはありませんが、緊急事態宣言に基づく自粛、というか、ロックダウンに近い状態が4~6月期には続きましたので、この四半期のGDP成長率が大きくダウンするのは当たり前としかいいようがありません。リーマン・ブラザーズ破綻後の2009年1~3月期に記録した前期比年率▲17.8%を超えて、現在のGDP統計が利用可能な範囲で最大の減少率を更新したことになります。たぶん、空前絶後ではないかと思います。少なくとも、空前であるのは確かですし、絶後であって欲しいと私は強く願っています。1次QEから下方修正されたのは、上のテーブルで見る限り、1次QE時の▲1.5%減から、2次QEでは▲4.7%減に改定された設備投資の影響が大きいようです。ただし、消費については1次QE時の▲8.2%減から▲7.9%減にマイナス幅が縮小されています。我が家も同じですが、外出自粛の中でもせっせと食品などを買っていたような気がします。先行きについては、7~9月期は明らかにリバウンドがあり、それも前期比年率換算で2ケタのプラスとなるとのコンセンサスがエコノミストの間であります。ただ、4~6月期が▲30%近い落ち込みでしたので、数字的にはその半分のリバウンドがあればいい方という気がするだけに、回復に力強さは欠けます。加えて、年末から来年にかけて徐々に成長率は低下する可能性が高いと私は考えています。日本経済だけでなく、世界経済全体でも回復は力強さに欠け、かなり緩やかなものとなりそうです。

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なお、GDP統計2次QEのほかに、本日、内閣府から8月の景気ウォッチャーが、また、財務省から7月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、8月の景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+2.8ポイント上昇の43.9を示し、先行き判断DIも+6.4ポイント上昇の42.4を記録しています。7月の経常収支は、季節調整していない原系列で+1兆4,683億円の黒字を計上しています。貿易収支が黒字となっており、原粗油の輸入が量も価格も落ち込んでいるようです。いつものグラフは上の通りです。

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2020年9月 7日 (月)

またまたジャイアンツに負けて今シーズンの終戦!!!

  RHE
読  売001110000 3110
阪  神000000101 262

ジャイアンツに負けて今シーズン終戦です。何度も、このブログで繰り返しましたが、ここまでスタートダッシュが悪いということは、キャンプの失敗ではないかと疑われます。すなわち、選手もさることながら、監督以下の責任です。この先は消化試合ですから、これ以上選手を責めたり、ムリな使い方をせず、来シーズンを見据えた試合運びを期待します。ただ、私も後期の授業の準備などがあり、そろそろ野球観戦は疎遠になりそうな気がします。

明日からの消化試合も、
がんばれタイガース!

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12か月連続で基調判断「悪化」が続く景気動向指数は消費減税の必要性を示唆!!!

本日、内閣府から7月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から+3.1ポイント上昇して86.9を、また、CI一致指数も前月から+1.8ポイント上昇して76.2を、それぞれ記録しています。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、12か月連続で「悪化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の景気一致指数、2カ月連続上昇 基調判断「悪化」は12カ月連続
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.8ポイント上昇の76.2となった。上昇は2カ月連続。新型コロナウイルス感染症の影響で停滞していた経済活動を再開させる動きが国内外で徐々に広がっていることが指数を押し上げた。
乗用車や自動車関連部品の出荷などが伸び、一致指数を構成する「生産指数(鉱工業)」や「鉱工業用生産財出荷指数」、「耐久消費財出荷指数」の持ち直しが続いた。「輸出数量指数」の伸びも寄与した。一方で、新型コロナの再拡大や長雨などの影響で「商業販売額(小売業)」などが低調で、一致指数の上昇幅は前の月よりも縮小した。
一致指数の動きから機械的に求める景気動向指数の基調判断は12カ月連続で「悪化」となった。現行の方法で基調判断を出している08年4月以降では最長となった。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比3.1ポイント上昇の86.9と、2カ月連続で上昇した。「鉱工業用生産財在庫率指数」や「最終需要財在庫率指数」などが寄与した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比1.3ポイント低下の91.9と、2カ月ぶりに低下した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に認定しています。

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何とか、CI一致指数は2ヶ月連続の前月さプラスを記録しています。7月統計でプラス寄与の大きかった系列は、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業) 、鉱工業用生産財出荷指数、輸出数量指数、などとなっています。他方、6月統計では全系列がプラス寄与を示したのですが、直近で利用可能な7月統計では有効求人倍率(除学卒)や商業販売額(小売業) (前年同月比)は再びマイナス寄与に戻ってしまいました。まあ、景気回復局面ではどうしようもないのかもしれませんが、海外や企業部門が景気を牽引する一方で、雇用は家計部門はまだまだ停滞を示しています。これから、輸出や企業部門の回復が雇用を通じて家計に、どれくらいのタイミングでどれくらいの力強さで波及するか、が大きなポイントになります。新自由主義的な経済政策で、家計を犠牲にして企業を優遇するような方向では、景気回復の恩恵が格差解消につながったり、家計が景気回復の恩恵にあずかれずに、苦しい国民生活が続くことになりかねません。その意味で、7月27日付けのこのブログで取り上げたように、英国やドイツをはじめとするいくつかの先進国で実施されている時限的な消費減税が日本でも有効と私は考えています。
最後に、上のグラフでは、2020年5月を暫定的な景気の谷と仮置していますが、第一生命経済研のリポートによれば、来月公表予定の8月統計でさらにCI一致指数が上向けば、基調判断が「下げ止まり」に上方修正される可能性が高い、と指摘しています。ご参考まで。

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2020年9月 6日 (日)

台風10号に警戒!!!

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大型で非常に強い台風10号が九州西方をかすめて北上しつつあります。新幹線が計画運休するなど、災害発生リスクに備えた行動が取られています。関西地方でも大雨への備えが必要そうです。上の画像はウェザーニュースのサイトから引用しています。
昨年10月には、私が関西に行った際に東海道新幹線が計画運休し、一泊の予定をキャンセルして帰京した記憶もあります。
どうか大きな被害が出ませんように!!!

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2020年9月 5日 (土)

乱調の藤浪投手が幕を引いてセリーグはほぼほぼ終戦か?

  RHE
読  売025040000 11100
阪  神000000101 262

藤浪投手の乱調がすべてでした。なすすべなくジャイアンツに大敗して、セリーグは終戦のようです。私も後期の授業の準備などがあり、そろそろ野球観戦は疎遠になりそうな気がします。

明日からの消化試合も、
がんばれタイガース!

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今週の読書は後期授業のテキストの通読など計4冊!!!

今週の読書は、やや反則気味ながら、後期の授業で取り上げる予定の教科書、ほか、新書が3冊と計4冊です。亜紀書房からご寄贈いただいて、水曜日に取り上げた『教養のための経済学 超ブックガイド88』は別勘定です。今週から本格的に大学に通い始めて、後期の授業の資料作成、あるいは、大学院生の指導のためにプログラミングを始めたりと、やや忙しくなり始めましたので、読書量は少なめな気がします。悪しからず。

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まず、浅子和美・飯塚信夫・篠原総一[編]『入門・日本経済[第6版]』(有斐閣) です。後期の授業で使う予定なので通読してみました。10年ほど前に長崎大学で同じような授業をしていたころは本書の第3版を教科書として指定して使っていて、今年に入って1月か2月にシラバスを入力する際に、第5版を教科書として指定したところ、3月に第6版が出てシラバスを書き換えたところです。大学の授業ですから、大雑把に、15回の授業で全体を終えるように編集されています。オンライン授業になりますし、私自身は新任教員ですから、どれだけの受講者が集まるかは未知数ですし、さらに、その中で教科書を買う学生がどれだけいるかはさらに未知数です。でも、私は、文科大臣の「身の丈」発言とは違う意味で、大学生はそれなりに本を買って読むべきだと考えています。もちろん、教科書もそうです。大学の授業では、教員がレジュメを配布する場合も少なくなく、それはそれで、授業をする教員自身がオーダーメードで作成するわけですから、私のようにレディメードの一般出版物を教科書に指定するよりも、授業にもっともよく合致する内容や順序ですので、学生にも有益だと考えなくもありません。でも、逆に、レジュメをもらってそれをファイルして授業を聞いたつもりになってしまう欠点もあります。もちろん、教科書を買って本棚にしまって授業を聞いたつもりになるリスクもあります。それではどちらがいいかというのは、一概には判断できませんが、少なくとも私のように、大学生はもっと本を読むべきと考える教員は一定数いるものと私は考えています。私自身は、学生諸君の、というか、親御さんの金銭的な負担に応えるだけの教科書を指定しているつもりです。

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次に、Voice編集部[編]『変質する世界』(PHP新書) です。月刊誌『Voice』の編集部がインタビューしたり、寄稿を求めたりした、悪くいえば、細切れの原稿をつなぎ合わせています。ですから、論者によっては相矛盾する内容が含まれていたりしますし、編集が雑だと感じさせる部分も少なくありません。でも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が、政治経済、国際関係、人々の価値観にどのように変質をもたらしたのか、について、可能な限り早い時期に様々な見方を1冊の本にして提供するという観点からは、容認できる欠点だという気がします。すなわち、インターネット上の情報が断片的にしか提供されないのに対して、書籍で提供される情報は体系的・網羅的・包括的である点に大きな特徴があると私は考えており、異なっていたり、相反する意見であっても、それを1冊の本に取りまとめるのは意義ある作業だと私は考えます。ということで、掲載順に、安宅和人、長谷川眞理子、養老孟司、デービッド・アトキンソン、エドワード・ルトワック、ダロン・アセモグル、劉慈欣、御立尚資、細谷雄一、戸堂康之、大屋雄裕、苅谷剛彦、岡本隆司、宮沢孝幸、瀬名秀明の各氏が、専門分野の観点から、あるいは、別の観点も含めて、さまざまな見方を提供しています。これからの世界、私は「ウィズ・コロナ」ではなく、ポストコロナ、ないし、アフター・コロナだと考えているわけですが、この先の世界をどう取り戻すか、あるいは、今までの世界からどう変質しているのか、変質しているとすれば、どのような対応が考えられるのか、などなど、あるいは、COVID-19に関連薄い点まで含めて、幅広い議論が展開されています。私自身はアセモグル教授のパートが参考になりましたが、多くの読者にも何らかの得るところがありそうな気がします。でも、それほど多くのものを期待するのは酷かもしれません。

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次に、藤原正彦『本屋を守れ』(PHP新書) です。著者は数学の研究者であり、お茶の水大学の名誉教授で、2005年の『国家の品格』がベストセラーになっていたりします。私自身は、この著者の論点の多くに反する意見を持っているんですが、本を読む重要性という論点はかなりの程度に賛同していますし、その観点から、ロードサイト店ではなく街中の、特に駅前通り商店街の本屋を守るという本書の論点は大賛成です。繰り返しになりますが、私のこのブログもご同様ながら、提唱者ご自身の裁量でアップしているインターネット上の情報が断片的で、時には不正確なものも少なくない中で、本というもは編集者のスクリーニングを経ているわけで、それなりの正確性が保証されている上に、断片的ではなく体系的・網羅的・包括的である点に大きな特徴があります。正確性という観点からは、編集者のスクリーニングだけでなく、専門家のピアチェック、すなわち、査読がある方がさらに正確性の向上に資するわけで、学術雑誌であっても査読がなければ「ソーカル事件」のようなお店もある可能性が残されます。ただ、本書に戻ると、随所に「自ら本に手を伸ばす子供」という言葉が出てきますが、それを実現させるための手段がスマホの禁止である点はお寒い限りですし、その他の著者の国家観や民族観などについては、私はまったく同意できません。ただ、本を読むという読書の重要性については著者の論点に賛成します。特に、私は日々接する学生諸君は、もっと読書すべきであると考えています。その点から、今週の読書で多く取り上げた新書をサラリと読むのも一案かもしれません。

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最後に、津堅信之『京アニ事件』(平凡社新書) です。著者は、アニメ史の研究者であり、この本のテーマである京アニ事件からいくつかのメディアへの露出が目立っていたことは私も記憶しています。ですから、第1章はいきなり著者のメディアへの露出についての言い訳から始まったりします。実は、私は関西に引っ越してから京都市営地下鉄の沿線に暮らしており、京アニ事件の現場からほど遠くないわけです。これも実は、で、結婚した25年前は杉並に住まいして、その後に建設されるジブリの森美術館の井の頭公園からそれほど遠くないところで新婚生活を始めたことも記憶しています。というわけで、私はそれほど京アニ作品に詳しいわけではなく、せいぜい、米澤穂信の古典部シリーズを原作とする『氷菓』しか見ていないんですが、私は原作を十分に読みこなしているので、ミステリとしか考えられなかったんですが、本書ではサスペンス作品として取り上げられています。それは無視するとして、本書では、アミニメファンらしく、映画のエンドロールに登場するアニメ作家の名前の重要性と京アニ事件での被害者の実名公表を考えたり、紙媒体にせよ、デジタル化されているデータにせよ、事件の火炎から逃れた作品や関連資料の重要性よりも、むしろ、それらを作成した被害者の命が戻らない点を何度も繰り返して指摘するなど、私には欠けている視点であろうと感じました。それなりに読み応えありますが、エコノミストとして、企業経営の観点から、京アニとパナソニックの類似性を感じるのは私だけかもしれません。

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2020年9月 4日 (金)

大山選手やサンズ選手のホームランで最後は逃げ切る!!!

  RHE
読  売000000220 470
阪  神02000300x 5101

山場の4連戦の初戦で巨人に先勝でした。序盤に大山選手のホームランで先制し、中盤にもサンズ選手のツーランで追加点を上げ、終盤7~8回は追い上げられましたが、得意の先行逃げ切り勝ちでした。巨人とのこの4連戦は4連勝あるのみです。もしも、阪神が負けたら、その瞬間にセ・リーグは終戦となり、事実上、リーグ優勝が決まってしまいます。

明日からも連勝を続けるべく、
がんばれタイガース!

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8月の米国雇用統計で失業率がようやく1桁に低下!!!

日本時間の今夜、米国労働省から7月の米国雇用統計が公表されています。新型コロナウィルス(COVID-19)の影響から、非農業雇用者数は4月の大幅減の後、5月統計からはリバウンドして8月には+1,371千人増を記録しています。同じく、失業率も一気に悪化した4月からのリバウンドが見られ、8月には8.4%に改善しています。でも、まだ、COVID-19の影響の出る前の2月の3.5%や3月の4.4%に比べるととても高い水準です。いずれも季節調整済みの系列です。まず、やや長くなりますが、USA Today のサイトから統計を報じる記事を最初の4パラだけ引用すると以下の通りです。

Economy added 1.4M jobs in August as unemployment fell to 8.4% amid persistent COVID-19 outbreaks
The U.S. economy added 1.4 million jobs in August as businesses shuttered by the COVID-19 pandemic continued to reopen and bring back workers, more than offsetting a fresh wave of layoffs by firms that have exhausted their federal loans.
The unemployment rate fell sharply to 8.4% from 10.2% in July, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated that 1.35 million jobs were added last month.
August's payroll gains were healthy but mark the second straight monthly slowdown in hiring after employers added a record 4.8 million positions in June and 1.8 million in July. That's a troubling sign considering the nation has recouped slightly less than half the unprecedented 22 million jobs wiped out in early spring as states closed down nonessential businesses such as restaurants, malls and movie theaters.

やや長くなりましたが、まずまずよく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。先々月の6月9日付けのブログで取り上げたように、NBERでは今年2020年2月を米国景気の山と認定しています。ともかく、4月の雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。

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米国の失業率については、4月統計で14.7%と一気に悪化した後、5月からは徐々に低下して、今夜公表の8月8.4%と、ようやく4か月かかって1桁に落ち着きましたが、2月3.5%や3月4.4%には遠く及びませんし、リバウンドの方も徐々に減衰してきた気がします。米国非農業部門雇用者の伸びも、4月に前月差で▲2000万人超の減少を見た後、これまた、5月からリウンドが続いており、8月には1,371千人増を記録しています。ただし、失業率の改善幅も、非農業部門雇用者の増加幅も、6月の改善幅がもっとも大きく、7~8月の改善が6月に及ばないのは、COVID-19に対する米国の対応に起因するんだろうと思います。すなわち、日欧のようにロックダウンないしロックダウンに近い状態から徐々に経済活動の正常化を目指すのではなく、米国では一気に旧に復することを目指しましたので、6月時点での短期的な経済活動のリバウンドは大きかったものの、その後のCOVID-19の感染拡大との見合いで、米国のやり方がホントに正しかったのかどうかは、もう少し時間の経過を待つ必要がありそうです。いずれにせよ、先は長そうです。もうひとつ、日本もそうですが、米国も今年は国勢調査の年であり、REUTERSBLOOMBERGのニュースサイトでは、政府の臨時雇用が増加している旨が報じられています。従って、政府部門では7月+253千人増に続いて、8月も+344千人増となっています。もちろん、民間雇用も営業再開に従って、小売業+248.9千人増とか、娯楽・ホスピタリティも+174千人増となっています。ただ、この先、COVID-19の第2波、第3波次第という気もします。そうなると、もはや、エコノミストの予想の領域を超えています。

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2020年9月 3日 (木)

わけの判らないマクガフ投手のエラーでヤクルトに逆転勝ち!!!

  RHE
ヤクルト000200100 3101
阪  神20000020x 461

ヤクルトに逆転勝ちでした。連日の猛暑でやや常軌を逸した行動なのか、相手ヤクルトのマクガフ投手がわけの判らない牽制球を暴投して勝ちを拾いました。それにしても、明日からの巨人戦は4連勝あるのみです。もしも、阪神が負けたらセ・リーグは終戦です。事実上、リーグ優勝が決まってしまいます。

明日からは何としても4連勝すべく、
がんばれタイガース!

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来週公表予定の4-6月期GDP統計速報2次QEの予想は下方修正で決まりか?

一昨日の法人企業統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろって、来週火曜日の9月8日に4~6月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で、1次QEではかつてない大きなマイナス成長を記録しましたが、2次QEでは下方修正され、さらに大きなマイナス成長となるのではないかとの予想が多くなっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、7~9月期の足元から先行きの景気動向について重視して拾おうとしていて、今回は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響が、おそらく最大となるであろう4~6月期を景気の底として、足元の7~9月期の回復がどのくらい力強いか、に焦点を当てています。もっとも、2次QEですので、法人企業統計のオマケの扱いのシンクタンクも少なくなく、正面から先行き見通しを取り上げているのはみずほ総研だけでした。したがって、みずほ総研については長々と引用しています。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE▲7.8%
(▲27.8%)
n.a.
日本総研▲7.8%
(▲27.9%)
4~6月期の実質GDP(2次QE)は、個人消費と公共投資が上方修正となる一方、設備投資と民間在庫が下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率▲28.6%(前期比▲8.1%)と、1次QE(前期比年率▲27.8%、前期比▲7.8%)から下方修正される見込み。
大和総研▲8.1%
(▲28.6%)
4-6月期GDP2次速報(9月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率▲28.3%と、1次速報(同▲27.8%)から下方修正されると予想する。
みずほ総研▲8.2%
(▲29.0%)
7~9月期は、国内の緊急事態宣言が解除され、主要国でロックダウンが緩和されたことを受け、プラス成長に戻ることは確実な情勢だ。前期の大幅な落ち込みの反動もあり、現時点では消費・輸出を中心に年率二桁の伸びになるとみている。
個人消費は、感染再拡大への懸念が残存するためサービス消費の回復ペースは引き続き緩慢なものとなる見通しだ。JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」によると、7月以降のサービス消費は横ばい圏での推移となっている。感染が再拡大する中、「Go toトラベル」キャンペーン事業による押し上げは限定的とみられる。財消費についても家電等を中心に一服感がみられるが、特別定額給付金の支給等を受けた6月の持ち直しによるゲタの影響もあり、7~9月期の個人消費は高い伸びが見込まれる。
輸出についても、海外のロックダウン解除に伴う需要の回復を受け、増加が見込まれる。7月の輸出数量指数は前月比+4.5%と上昇した。米国向けの自動車輸出が大幅に増加したほか、中国向けの半導体製造装置や自動車・同部品の持ち直しが継続している。ただし、米欧での設備投資需要の減少を受け、4~6月期の機械受注・外需は前期比▲32.1%と大幅なマイナスとなっており、資本財輸出のマイナス幅は拡大する見通しだ。
一方、設備投資については、7~9月期にかけて調整が進み、マイナス幅が深まるとみられる。4~6月期の機械受注・民需(除く船舶・電力)は、収益が悪化した自動車や運輸業が下押しし、前期比▲12.9%と大幅なマイナスとなっている。企業収益や設備稼働率の悪化、内外経済の不確実性の高まりなどの影響が本格的に波及するとみられる。
10~12月期以降の日本経済の回復ペースは緩慢になる見通しだ。①企業収益の悪化を受けて雇用・賃金や設備投資の調整が進むこと、②Withコロナ期は外食・旅行・娯楽などの消費活動が一部制限されること、③感染再拡大を巡る不確実性が家計・企業の活動を委縮させることが主因である。
治療薬・ワクチンの普及までに一定の時間を要する中、経済活動の回復は緩やかなものとならざるを得ない。仮に国内外で感染再拡大の影響が広まり、消費や輸出が落ち込むようなことがあれば、10~12月期が再びマイナス成長に転じる可能性もある。当面、内外経済の下振れリスクを意識しなければならない状況が続きそうだ。
ニッセイ基礎研▲8.1%
(▲28.8%)
20年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲8.1%(前期比年率▲28.8%)となり、1次速報の前期比▲7.8%(前期比年率▲27.8%)から下方修正されると予測する。
第一生命経済研▲8.0%
(▲28.4%)
企業の設備投資意欲が減退していることが確認されるだろう。足元での企業業績の急激な落ち込みを踏まえると、当面設備投資は弱い動きが続く可能性が高い。
伊藤忠総研▲8.1%
(▲28.6%)
4~6月期の景気が記録的な落ち込みであったことに変わりはなく、今回の下方修正が、設備投資の調整が続く中で、個人消費のリバウンドや輸出底入れにより景気は既に持ち直し傾向にあるという基調判断を変えるものはない。7~9月期の実質GDP成長率は、コロナ感染再拡大の影響により4~6月期のマイナスを埋め合わせるほどではないが、前期比プラスには転じると見込まれる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲8.1%
(▲28.5%)
2020年4~6月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比-8.1%(年率換算-28.5%)と1次速報値の同-7.8%(同-27.8%)から下方修正される見込みである。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、1次速報の段階で戦後最大のマイナス幅を記録したが、その記録をさらに更新することになりそうである。
三菱総研▲8.0%
(▲28.4%)
2020年4-6月期の実質GDP成長率は、季調済前期比▲8.0%(年率▲28.4%)と、1次速報値(同▲7.8%(年率▲27.8%))から下方修正を予測する。

ということで、私が見た範囲で、すなわち、メールで配信してもらっている情報も含めて、2次QEは下方改定で決まり、というカンジで上方改定という見方はありませんでした。もちろん、今週火曜日に公表された法人企業統計に従った改定が主たる要因であり、中でも設備投資の下方修正の寄与が大きい、との見方が主流であったような気がします。我が家で購読している朝日新聞でも、「GDP、マイナス幅拡大か」と題する記事が目に付きました。
最後に、下の画像はみずほ総研のリポートから引用しています。

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2020年9月 2日 (水)

リリーフの馬場投手が失点して万事休す!!!

  RHE
ヤクルト0110000001 3100
阪  神0000002000 281

馬場投手が延長戦で失点して万事休すでした。昨夜のサヨナラ勝ちの勢いを今夜につなげられず打線が沈黙してしまい、それでも、サンズ選手のホームランで追いついたものの、最後は馬場投手の投入ということは連戦を見据えての捨て試合という采配なんだろうと私は受け止めています。今年の場合、それはそれで仕方ないんでしょう。

明日は、
がんばれタイガース!

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飯田泰之・井上智洋・松尾匡[編]『教養のための経済学 超ブックガイド88』(亜紀書房)をご寄贈いただく!

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先日、亜紀書房の編集者の方から飯田泰之・井上智洋・松尾匡[編]『教養のための経済学 超ブックガイド88』(亜紀書房)をご寄贈いただきました。かんたんに読書感想文を取りまとめておきたいと思います。
ちゃんと数えていないんですが、10人余りの著者がジャンル別に、「景気」、「格差・貧困」、「雇用・教育」、「国際経済」、「社会保障」、「地域経済」、「人口減少・高齢化」、「環境問題」、「先進技術」、「統計」、「経済学史」、「経済理論」のテーマに関するブックガイドを書いています。それに、冒頭に編者3人による対談、さらに、あとがきもあります。本書の場合、あくまでブックガイドですから、収録された新書、というか、私の直感的な印象ながら新書が多く、半分近くを占めそうな気がしますが、収録された本を読者自身が読むためのブックガイドです。別のタイプの紹介本で、古今の名著をダイジェストして、それを読まなくても読んだ気分にさせる、というタイプのブックガイドもありますが、本書はそうではなく、あくまで読者が今後の読書の参考にするためのブックガイドです。でも、本書の読者の中の一定割合は、本書で紹介されている本を読んだつもりになる人がいそうな気がします。
ということで、繰り返しになりますが、紹介され収録されているのは手軽に読める新書の割合が高くなっています。実は、最近、私の読書も出来る限り新書を取り入れようと考えているところでしたので、とてもタイムリーな印象です。もちろん、例外はありまして、アトキンソン教授の『21世紀の不平等』とかの数冊くらいです。上のいくつかのジャンルのうち、私が読了している割合が高かったのが「統計」です。他にも親しんだ本が収録されています。でも、経済学のブックガイドながら、なぜか、金融と財政については着目されていません。やや不思議な気がします。

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2020年9月 1日 (火)

火曜日の男サンズ選手のサヨナラ弾でヤクルトに先勝!!!

  RHE
ヤクルト000000100 140
阪  神000100001x 271

ヤクルトとのめずらしい低スコア試合をサンズ選手のサヨナラホーマーで勝利でした。サンズ選手は火曜日によく打つとか、得点圏打率トップとか、いろいろと勝負強い面がありますが、今シーズン初のサヨナラ勝ちでした。投げる方は、7回に高橋投手が突然崩れましたが、その後はリリーフ陣も含めてゼロで抑え切りました。タイガースは9月に入って負けなしです。

明日も、
がんばれタイガース!

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大きく悪化した企業活動を反映する法人企業統計とまだ悪化が続きそうな雇用統計!!!

本日、財務省から4~6月期の法人企業統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。法人企業統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は2四半期連続の減収で前年同期比▲17.7%減の284兆6769億円、経常利益も3四半期連続の減益で▲46.6%減の12兆4140億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで▲11.3%減の9兆6369億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資についても前期比▲6.3%減となっています。なお、繰り返しになりますが、設備投資についてはソフトウェアを含むベースです。雇用統計については、失業率は前月からわずかに0.1%ポイント悪化して2.9%、有効求人倍率は前月から▲0.03ポイント悪化して1.08倍と、雇用は徐々に悪化を示しています。いずれも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によるものと考えるべきです。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

全産業売上高17.7%減 4-6月、11年ぶりの落ち込み
財務省が1日発表した4~6月期の法人企業統計によると、全産業(金融・保険業を除く)の売上高は前年同期に比べ17.7%減の284兆6769億円だった。新型コロナウイルスの感染拡大で約11年ぶりの大幅な落ち込みとなった。当面の運転資金を確保する動きが広がり、短期借入金は20.8%増と約25年ぶりの増加率となった。
売上高の減少率は20.4%減ったリーマン・ショック後の2009年1~3月期以来となる。前年同期を下回るのは4四半期連続。1~3月期もコロナの影響で7.5%減り、政府の緊急事態宣言が出た4~6月期は減少幅が広がった。
製造業は20.0%減の78兆3383億円、非製造業は16.8%減の206兆3386億円だった。財務省の担当者は「製造業は世界的な自動車販売の減少、非製造業は宿泊や飲食サービス業などの客数の減少が響いた」と説明した。
季節調整した全産業の売上高を1~3月期と比べると10.7%減った。前の四半期との比較では遡れる85年以降で最大の落ち込みとなった。
経常利益は前年同期比46.6%減の12兆4140億円だった。外出自粛による旅客の減少を受け、運輸・郵便業は8259億円の赤字となった。設備投資も11.3%減の9兆6369億円と大きく落ち込んだ。
短期借入金は20.8%増の181兆6389億円となった。1995年10~12月期以来の急激な増加となった。現金・預金も11.2%増えた。
1~3月期はコロナの影響で企業の回答が遅れ、いったん速報値をまとめたあとで時間をおいて確報値を集計した。4~6月期は7割程度の回収率となったため初めから確報値として示した。
7月の有効求人倍率1.08倍 6年3カ月ぶり低水準
厚生労働省が1日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.08倍で前月から0.03ポイント低下した。2014年4月以来、6年3カ月ぶりの低水準となった。新型コロナウイルス感染拡大を受けた雇用環境の厳しさがより鮮明になった。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。低下は1月から7カ月連続。7月は企業からの有効求人が前月から2.5%増えたものの、働く意欲のある有効求職者も6%増えた。
雇用の先行指標となる新規求人(原数値)は前年同月比で28.6%減った。製造業が40.9%、卸売業・小売業が33.4%、宿泊・飲食サービス業が44%減った。
新型コロナウイルスに関連した解雇・雇い止めにあった人数(見込みを含む)は8月28日時点で4万9467人と5万人に迫っている。厚労省が全国の労働局やハローワークを通じて集計した。
一方、総務省が1日発表した7月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント上昇の2.9%だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、やや長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2020年5月ないし4~6月期を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで認定しています。

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景気拡大が続いていながらも、雇用者の方はなかなか賃金が上昇しない中でも、企業部門だけは新自由主義的な経済政策による寄与もあって増収増益を続けて、利益準備金がばかり積み上がっていたんですが、やっぱり、さすがに新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響は強烈であり、ロックダウンに近い外出自粛などが実施された4~6月期には、さすがの企業部門も大きな減収減益を記録しています。上のグラフのうちの上のパネルで示したように、バブル経済末期に法人企業統計ベースで売上が300兆円を超えて以来、ほぼほぼ30年振りに売上が300兆円を下回っています。景気後退期に入ったのが四半期ベースでいうと2018年10~12月期を山と設定していますので、この景気後退期に入る直前のピークでは360兆円を超えていた売上が、直近2020年4~6月期までに累積で▲18%余り減少したことになります。経常利益の減少比率はもっと大きくて、景気後退に入る直前の2018年7~9月期の24兆円から10兆円まで半減を超える減少となっています。設備投資にしても、景気後退期に入って大きく減少しているのがグラフから見て取れます。米国サブプライム・バブル期の2006年末や2007年年初には15兆円近かった設備投資が、直近では10兆円を少し超えるレベルまで減少しています。ただし、これも上のグラフを見ても理解できるように、設備投資については人手不足への対応という観点から、売上や利益ほどの減少は今のところ見せていない、と私は受け止めています。ただし、後で見るように、生産や小売販売などは今年2020年5月を底に緩やかながら回復の兆しを見せ始めている一方で、雇用は回復軌道に戻るまでもう少し時間がかかる可能性があり、雇用、というか、人手不足との見合いで投資がどこまで底堅いかには、私もそれほどの自信があるわけではありません。最後に、来週火曜日には4~6月期のGDP統計速報2次QEが内閣府から公表されますが、直感的に、設備投資動向などを踏まえて下方修正される可能性が高いと私は考えています。また、日を改めて2次QE予想を取りまとめたいと思います。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。景気局面との関係においては、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と、エコノミストの間では考えられています。また、影を付けた部分は景気後退期です。いずれも記事にある通りですが、失業率に関して日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは先月の2.8%から7月は3.0%に上昇するという見込みだったところ、実績は底まで悪化せず2.9%だった一方で、有効求人倍率は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの通りに、先月の1.11倍から直近で利用可能な統計で7月には1.08倍に低下しています。正社員向けの有効求人倍率についても長らく1倍を上回っていましたが、4月統計から1倍を下回るようになり、本日発表の7月統計でもさらに下げています。基本的には、雇用はまだ悪化を続ける、と考えるべきです。人口動態との綱引きながら、景気と人手不足との関係で、私が懸念したように、一気に雇用が悪化するという局面ではなく、予想したよりはかなり底堅い動きながら、厚生労働省のサイト「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」を見る限り、現時点で利用可能な最新の8月21日現在集計分によれば、解雇等見込み労働者数が5万人に迫っており、その中で非正規雇用労働者数が2万人を超えていますから、決して、楽観できる状態にはありません。2018年10月が景気の山であったと内閣府の景気動向指数研究会では認定しましたが、上のグラフを見ても理解できるように、私の景気局面判断が大きく遅れたのは、雇用を重視するエコノミストとして、雇用を代表する3指標、すなわち、失業率と有効求人倍率と新規求人の3指標が3つとも、2019年いっぱいはそこそこの粘り強さを見せていた点が上げられます。雇用指標が急落したのは今年に入ってから、2020年1月の雇用統計からです。ですから、私も景気の山の認定が今年に入ってからと大きく遅れてしまいました。という言い訳でした。

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