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2020年9月 8日 (火)

下方修正された4-6月期GDP統計2次QEから何を読み取るか?

本日、内閣府から4~6月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は▲7.9%、年率では▲28.1%と、1次QEの前期比▲7.8%減から下方修正され、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で大きなマイナス、3四半期連続のマイナス成長でした。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

4-6月GDP改定値、実質年率28.1%減に下方修正
内閣府が8日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比7.9%減、年率換算では28.1%減だった。速報値(前期比7.8%減、年率27.8%減)から下方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比8.0%減、年率28.5%減と、速報値から下振れするとみられていた。
生活実感に近い名目GDPは前期比7.6%減(速報値は7.4%減)、年率は27.2%減(同26.4%減)だった。
実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比7.9%減(同8.2%減)、住宅投資は0.5%減(同0.2%減)、設備投資は4.7%減(同1.5%減)、公共投資は1.1%増(同1.2%増)だった。民間在庫の寄与度はプラス0.3%分(同マイナス0.0%分)だった。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス4.9%分(同マイナス4.8%分)、輸出から輸入を引いた外需はマイナス3.0%分(同マイナス3.0%分)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてプラス1.3%(同プラス1.5%)だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2019/4-62019/7-92019/10-122020/1-32020/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.4+0.0▲1.8▲0.6▲7.8▲7.9
民間消費+0.6+0.1▲3.2▲0.5▲6.5▲6.5
民間住宅▲0.2+1.2▲2.2▲4.0▲0.2▲0.5
民間設備+0.8+0.2▲4.7+1.7▲1.5▲4.7
民間在庫 *(+0.0)(▲0.3)(+0.0)(▲0.1)(▲0.0)(+0.3)
公的需要+1.1+0.9+0.4▲0.0▲0.0▲0.3
内需寄与度 *(+0.7)(+0.3)(▲2.3)(▲0.3)(▲4.8)(▲4.9)
外需寄与度 *(▲0.3)(▲0.2)(+0.5)(▲0.2)(▲3.0)(▲3.0)
輸出+0.2▲0.6+0.4▲5.4▲18.5▲18.5
輸入+1.8+0.7▲2.4▲4.2▲0.5▲0.5
国内総所得 (GDI)+0.3+0.2▲1.7▲0.6▲6.8▲6.9
国民総所得 (GNI)+0.3+0.2▲1.8▲0.6▲6.8▲6.9
名目GDP+0.5+0.4▲1.5▲0.5▲7.4▲7.6
雇用者報酬+0.8▲0.2▲0.2+0.5▲3.7▲3.8
GDPデフレータ+0.4+0.6+1.2+0.9+1.5+1.3
内需デフレータ+0.4+0.2+0.7+0.7+0.0▲0.1

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4~6月期の最新データでは、前期比成長率が歴史的にも今までなかったくらいの大きなマイナスを示し、売行き不振で積み上がった在庫を別にすれば、GDPの各コンポーネントは軒並みマイナス寄与を示し、中でも、赤の消費と次いで黒の純輸出が大きなマイナとなっているのが見て取れます。

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もはや、何も書き足すことはありませんが、緊急事態宣言に基づく自粛、というか、ロックダウンに近い状態が4~6月期には続きましたので、この四半期のGDP成長率が大きくダウンするのは当たり前としかいいようがありません。リーマン・ブラザーズ破綻後の2009年1~3月期に記録した前期比年率▲17.8%を超えて、現在のGDP統計が利用可能な範囲で最大の減少率を更新したことになります。たぶん、空前絶後ではないかと思います。少なくとも、空前であるのは確かですし、絶後であって欲しいと私は強く願っています。1次QEから下方修正されたのは、上のテーブルで見る限り、1次QE時の▲1.5%減から、2次QEでは▲4.7%減に改定された設備投資の影響が大きいようです。ただし、消費については1次QE時の▲8.2%減から▲7.9%減にマイナス幅が縮小されています。我が家も同じですが、外出自粛の中でもせっせと食品などを買っていたような気がします。先行きについては、7~9月期は明らかにリバウンドがあり、それも前期比年率換算で2ケタのプラスとなるとのコンセンサスがエコノミストの間であります。ただ、4~6月期が▲30%近い落ち込みでしたので、数字的にはその半分のリバウンドがあればいい方という気がするだけに、回復に力強さは欠けます。加えて、年末から来年にかけて徐々に成長率は低下する可能性が高いと私は考えています。日本経済だけでなく、世界経済全体でも回復は力強さに欠け、かなり緩やかなものとなりそうです。

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なお、GDP統計2次QEのほかに、本日、内閣府から8月の景気ウォッチャーが、また、財務省から7月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、8月の景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+2.8ポイント上昇の43.9を示し、先行き判断DIも+6.4ポイント上昇の42.4を記録しています。7月の経常収支は、季節調整していない原系列で+1兆4,683億円の黒字を計上しています。貿易収支が黒字となっており、原粗油の輸入が量も価格も落ち込んでいるようです。いつものグラフは上の通りです。

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