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2020年10月15日 (木)

経済協力開発機構(OECD)によるデジタル化に対応した課税の経済評価やいかに?

今週の月曜日10月12日に、経済協力開発機構(OECD)からデジタル化に対応した課税に関する経済的評価の報告書 Tax Challenges Arising from Digitalisation - Economic Impact Assessment と題するリポートが公表されています。現段階では提案であり、今後、G20などで議論される予定です。リポートは、OECD/G20のジョイントによるBase Erosion and Profit Shifting (BEPS) Projectの成果の一環です。このプロジェクトはデジタル化の進展による課税問題に対処し、2つの課題の解決に取り組んできています。すなわち、第1に、納税場所についての新たなルールとして、関連性ルール nexus rule を設定し、いかにして各国間で課税権を分け合うか、という課題です。この第1の柱に関するブループリントは Tax Challenges Arising from Digitalisation - Report on Pillar One Blueprint というタイトルで明らかにされています。第2には、法人税率の引き下げ競争に対して、世界全体で最低税額を導入し、多国籍企業による税源侵食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting=BEPS)をいかに防止するか、という課題です。この第2の柱に関するブループリントも Tax Challenges Arising from Digitalisation - Report on Pillar Two Blueprint というタイトルで明らかにされています。なお、第1の課題に関連して、米国が独自に、というか、勝手に導入したGILTI=Global Intangible Low-Taxed Income 合算課税というシステムがあります。日本語では、「米国外軽課税無形資産所得合算課税」と邦訳されており、極めて単純にいえば、多国籍企業が米国外に留保利益を貯め込むことを防止する目的で、国外子会社が利益を上げた時点で資金還流を待たずに米国が課税するという制度です。ある意味、国外の米国の主権が及ばない地域での企業活動に課税するという点からすれば、とんでもない制度なんですが、このGILTIも含めた効果がOECDのリポートでは試算されています。

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ということで、OECDによるリポートの冒頭の第1章 Overview of main findings の p.15 Table 1.1. Overview of global tax revenue effects from the proposals を引用すると上のテーブルの通りです。第1の柱と第2の柱に米国のGILTIまで含めると、世界全体で560~1000億ドル超の法人税(Corporate Income Tax=CIT)の増収につながる可能性を示唆しています。この先、どのような議論がなされて、最終的にどのような法人課税がシステムとして出来上がっていくのか、専門外の私には何とも見通せませんが、少なくとも、日本以外の先進各国や世界全体では法人税は課税強化の方向にある点は忘れるべきではありません。自民党総裁選に立候補していた当時の菅官房長官が、「今後10年は不要」と後に撤回したとはいえ、消費税率引上げの必要性にいきなり言及した日本がかなりズレていることを強調しておきたいと思います。

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