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2020年11月 6日 (金)

本日公表の「経済財政白書」やいかに?

本日、「経済財政白書」が公表されています。副題は「コロナ危機: 日本経済変革のラストチャンス」となっています。まあ、コロナ危機でもっとも大きな影響を受けたのは「経済財政白書」の刊行そのものだったのかもしれません。というのは、今年の「通商白書」は通常と同じ時期に公表されましたが、「経済財政白書」は通常から3か月以上も遅れているような気がします。それは冗談としても、何だかんだで、300ページを軽く超えるボリュームですので、読み切れるはずもなく、基本として第1章の現状分析の部分から、軽くいくつか図表を引用しておきたいと思います。

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まず、「経済財政白書」の p.6 第1-1-1図 実質GDPの推移 と p.7 第1-1-2図 海外経済の動向 を結合した上で引用しています。上のパネルから、コロナ危機に入る前に、2019年10~12月期にすでに大きなマイナス成長を記録している点を忘れるべきではありません。いうまでもなく、2019年10月からの消費税率引上げに起因しています。ですから、個人消費が大きなマイナスとなっていて、2020年1~3月期にはこの個人消費のマイナス寄与は一度縮小するんですが、4~6月期には緊急事態宣言による影響もあって、さらに大きなマイナスに陥っています。まあ、こんなもんなんでしょうね。下のパネルの世界主要国の成長率と見通しもこんなもんという気がします。

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次に、「経済財政白書」の p.49 第1-2-2図 雇用保蔵の推計 と p.50 第1-2-3図 雇用者数の減少と非労働力化の背景 を結合した上で引用しています。上のパネルのうちの雇用保蔵の試算については、マイナスもあるようですから、ほぼほぼ人手の過不足と考えてよさそうです。2008年のリーマン・ショック時に雇用保蔵が大きくプラスになった後、細菌時点まで人で不足が続いていましたが、2019年の消費税率引き上げから、またまた、雇用保蔵の人手過剰に転じていて、コロナ危機でその過剰がさらに拡大しています。下のパネルから、非正規雇用を中心に雇用が減少していて、特に女性の減少が大きい点が明らかにされています。

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最後に、「経済財政白書」の p.81 第1-3-7図 家計を巡る経済の循環 を引用しています。足元の第16循環が緑色のラインで示されています。製造業と非製造業の企業部門 ⇒ 雇用者数 ⇒ 雇用者報酬 ⇒ 個人消費 ⇒ 企業部門 へと循環する矢印が示されています。2018年10~12月期を山として景気後退期に入ったわけですが、非製造業を中心に大きな生産の減少がある一方で、雇用調整助成金や特別給付金などにより雇用者数と雇用者報酬は下支えされている一方で、雇用者報酬よりも大きく個人消費が減少しています。だいぶ前に、Guerrieri, Veronica, Guido Lorenzoni, Ludwig Straub, and Iván Werning (2020) "Macroeconomic Implications of COVID-19: Can Negative Supply Shocks Cause Demand Shortages?" NBER Working Paper 26918 に着目して、今回のCOVID-19ショックによるリセッションはケインズ的な需要ショックではなく、contact-intensive なセクターが供給をストップしたことによる供給ショックに起因する、というモデルを取り上げました。今年の「通商白書2020」でも注目されたモデルなんですが、雇用者報酬へのショックが大きくない割に消費が落ちているのは、やっぱり、供給ショックなのかもしれません。そんな事を考えさせられるグラフでした。

繰り返しになりますが、現時点で、今年の「経済財政白書」をすべて読んだわけでもありませんし、第1章を中心に取り上げているだけです。ただ、公表当日にこのブログで取り上げることはとても重要、と私は考えています。

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