OECD Economic Outlook 2020 の経済見通しやいかに?
日本時間の昨夜、経済協力開発機構(OECD)から「OECD経済見通し」OECD Economic Outlook, December 2020 が公表されています。世界経済の成長率は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で今年2020年▲4.2%と落ち込んだ後、来年2021年はリバウンドを示して+4.2%、そして、2021年10~12月期には世界経済(GDP)の水準がCOVID-19パンデミック前の2019年10~12月期の水準に戻ると指摘し、さ来年の2022年は+3.7%成長を見込んでいます。まず、Reuters のサイトから記事の最初の3パラだけを引用すると以下のとおりです。
OECD sees global economy turning the corner on coronavirus crisis
The outlook for the global economy is improving despite a second wave of coronavirus outbreaks in many countries as vaccines emerge and a Chinese-led recovery takes hold, the OECD said on Tuesday.
The global economy will grow 4.2% next year and ease to 3.7% in 2022, after shrinking 4.2% this year, the Organisation for Economic Cooperation and Development said in its latest Economic Outlook.
After a second wave of infections hit Europe and the United States, the Paris-based policy forum trimmed its forecasts from September, when it expected a global contraction of 4.5% before a 5% recovery in 2021. It did not have a 2022 forecast at the time.
最初の3パラだけですので、やや素っ気ない印象ですが、リポートから図表を引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。ただし、今回の見通しについては、2022年までをスコープとしているんですが、ハッキリいって、現下の第3波のパンデミックすら見通せない中で、2022年の見通しは極めて不透明で不確定要素が大きい、と私は考えていますので、2021年までに絞って概観しておきたいと思います。
まず、リポートから見通し総括表として、p.13 Table 1.1. A gradual but uneven global recovery を引用すると上の通りです。中国の力強い回復に助けられて、世界経済(GDP)は2021年末までにCOVID-19パンデミック前の水準に戻るものの、国と地域によって経済パフォーマンスは大きく異る、"Overall, by the end of 2021, global GDP would be at pre-crisis levels, helped by the strong recovery in China, but performance would differ markedly across the main economies." と指摘しています。上のテーブルの通り、繰り返しになりますが、世界経済(GDP)の成長率は今年2020年▲4.2%の後、来年2021年はリバウンドを示して+4.2%成長を記録すると見込まれていますが、先進国であるOECD加盟国では2020年▲5.5%と大きく落ち込む割には、2021年は+3.3%とリバウンドが小さい一方で、OECD加盟国では非加盟国では2020年▲3.0%のマイナス幅を上回って、2021年には+5.1%成長と予想されています。我が日本を見ると、2020年にはOECD加盟国並みの▲5.3%のマイナス成長を記録するものの、来年2021年はわずかに+2.3%成長にとどまるとの見通しです。
次に、リポートから国と地域で経済パフォーマンスが異なる例として、p.30 Figure 1.13. Growth is projected to remain moderate with long-lasting costs のうちの C. GDP in 2021Q4 relative to 2019Q4 を引用すると上の通りです。タイトルそのままで、COVID-19パンデミック前の2019年10~12月期とその2年後の2021年10~12月期のGDPの水準を比較したもので、中国が突出して寄与度が高いのが見て取れます。世界全体ではオレンジの棒グラフで何とかプラスとなっていますが、先進国の中ではプラスなのは米国くらいのもので、オーストラリア以下、もちろん、日本も含めて、軒並み先進国の多くは2年ではパンデミック前の水準に戻らない、と見込まれています。
最後に、リポートから格差拡大の例として、p.27 Figure 1.11. Lower-skilled and low-wage workers have been particularly affected を引用すると上の通りです。左のパネルはオーストラリア、右はカナダの例で、2か国だけなんですが、職種や賃金階層ごとに労働需要へのCOVID-19の影響が異なり、サービス部門、あるいは、低賃金階層に悪影響が大きい、The divergence in outcomes across sectors has also been reflected in differences in labour demand by types of occupation and by earnings levels. と指摘しています。
最後の最後に、本日、内閣府から11月の消費者態度指数が公表されています。季節調整済みの系列で見て、前月から+0.1ポイント上昇して33.7と、3か月連続で前月を上回りましたが、改善幅が極端に小さくなりました。消費者態度指数のコンポーネントのうち、雇用環境がとても低迷していて家計消費の源泉だけに懸念されます。
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