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2020年12月19日 (土)

今週の読書は国際経済の専門書をはじめとしてシャーロッキアンの新書まで計4冊!!!

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まず、まだ読んでいませんが、「鬼滅の刃」全23巻を衝動買してしまいました。上の通りです。ボーナスが出て、それなりの額でしたので、ついつい無駄遣いしてしまいました。まあ、ボーナスの季節にはありがちです。ナオ、ブックシェルフ代わりに左側に置いてあるのは「閻魔堂沙羅の推理譚」のシリーズ全7巻です。中条あやみの主演ドラマがNHKで放送されましたが、その原作本です。コチラは図書館で借りました。どちらも年末年始休みに読みたいと予定しています。

ということで、本題の今週の読書は、経済書に教育関係の専門書、さらに、地政学関係ではとても興味深い専門書とともに、シャーロッキアンに関する新書の計4冊、以下の通りです。

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まず、木村福成{編著}『これからの東アジア』(文真堂) です。編著者は、慶應義塾大学のエコノミストであり、私はごいっしょにお仕事をした経験があって、ジャカルタでODAに携わっていたころには短期で招聘してセミナーを開催してもらった記憶があります。ご専門は東アジアに関する国際経済学であり、製造業立地に関するモデル分析や実証研究、もちろん、自由貿易協定などにも詳しいエコノミストです。ということで、本書では第1章がエディトリアルとなっていて、簡潔に各章の内容を紹介した後、第2章では自由貿易に関する理論的な解説がなされていて、この冒頭の2章が本書のファウンデーションを成しています。その上で、各チャプターごとの専門の著者が自由貿易協定や地域経済などを論じています。また、「東アジア」とは、よくあるパターンで、東南アジアと区別して、日中韓の東アジアだけを指す場合もあるんですが、本書でいう「東アジア」とは、通常考えられる東南アジアに加えて、日中韓を北東アジアとして、この両者を足し合わせた国々を東アジアとしてひと括りにしています。第3章以下の各チャプターでは、経済的な分析だけではなく、第4章では地域統合と安全保障に関して国際政治学の視点からの分析が提供されていたりします。もちろん、東アジアからすれば域外国である米国が重要な役割を果たすことはいうまでもありません。典型的には、オバマ政権の下でTPPに合意しながらも、トランプ政権発足とともにTPPから離脱し、TPPではなくTPP11とか、CPTPPとかのやや変則的な協定になってしまった点が上げられます。バイデン大統領就任で、これまた、大きな変化が生じることとなりますが、日本や中国も含めてアジア諸国にとっては歓迎すべき変化なのであろうと私は考えています。学術書っぽい本ではありますが、必ずしもそうではなく、一般のビジネスパーソン向けにもオススメできるのではないかと私は考えています。経済学の本の場合、特に、学術書であればモデル分析が中心に据えられて、それなりに難しげな雰囲気があるのですが、本書の場合、よくも悪くも、モデルを基にした分析的なものではなく、より記述的な内容、というか、いわば、よく調べ上げたジャーナリストの記事のように、必要な情報が過不足なく、かつ、きちんと系統だって収録されている印象です。バックグラウンドにモデルが感じられない分、やや、私なんかには物足りないものが残りますが、逆に、多くのビジネスパーソンには読みやすいのではなかろうか、という気もします。最終章で新型コロナウィルス感染症(COVID-19)についての分析が示されています。COVID-19の経済ショックについては、供給ショックのモデルを紹介した「通商白書」と需要ショックの面が強いと分析した「経済財政白書」の2つの見方があるんですが、本書最終章では東アジアの貿易構造などを念頭に、中国からの供給が途絶えたという意味で供給ショック説をとっているように見えます。私も少しこの点については考えを巡らせているところです。

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次に、ロバート D. エルドリッヂ『教育不況からの脱出』(晃洋書房) です。著者は、大阪大学大学院で政治学の博士号を取得した研究者であり、2011年3月の東日本大震災の際には、米国海兵隊の政治顧問としてトモダチ作戦の立案に携わっていたそうです。そして、本書では、我が国の経済社会の中で大学の占める位置の大きさを考慮しつつ、さらに、我が国の大学の国際的なレベルを勘案し、大学での教育と研究の水準を引き上げるために、現在多くの大学で採用されているセメスター制からクォーター制へ転換することを提言しています。私も10年振りに大学の教職に復帰し、それなりの興味を持って読んでみたのですが、しかし、上から目線の論調でほとんど説得力ない上に、論理的にも破綻している部分もあり、しかも、クォーター制の利点の論証がメチャクチャなものですから、これではダメだろうなという気がします。どこかの大学で採用されれば、それなりに実証できそうですが、おそらく採用されないでしょうし、採用されても効果はないだろうと見込まれます。でも、効果なしと実証されても、この著者は四の五のいってクォーター制のせいではなく、別の難点をあげつらいそうな気がします。というのは、本書の中で、どこかに、著者が2年間採用されなかった点について、ご本人お能力不足ではなく、別の理由があるかのように記述している部分が目につき、おそらく、クォーター制も同じ論法で、クォーター制が悪いのではなく、その運用とか別の何かが悪い、とすり替えをしてしまいそうな気がします。私の直感ながら、セメスターではない別の何かに起因している問題点、例えば、本書のレベルでいえば、大学の教職員の出席すべき会議が多いとかしかもその会議が蛸足大学でアチコチ離れた場所で開催されるとか、日本人教員の英語力が不足していて海外との交流が少ない、とかは、セメスター制に起因しているわけでもありませんから、クォーター制ではアカデミック・リーブを取れる1年の¼だけ会議出席を免除されるに過ぎないわけで、何の解決にもならないだろうと私は想像します。でも、こういった新たなやり方はどこかの大学で採用して見る価値はあるかもしれません。でも、大阪大学のような名高い大学ではムリでしょうし、さはさりながら、もっと冒険主義的な方針を採用できるクラスの大学はあるんではないか、という気はします。しかし、それにしても、我が学内の議論を脇の方から聞いている限りでも、教員というのは自営業者と同じで独立性高い、という気はします。今、我が学内では、ほかの大学でも同じかもしれませんが、来年度から対面授業をどこまで復活させるか、の議論が進められています。現在のリモート授業・オンライン授業は、やっぱり、教育成果が上がらない恐れがあると私も考えています。例えば、11月4日付けで経済産業研究所のディスカッションペーパー「新型コロナと在宅勤務の生産性」を紹介しましたが、企業の評価によれば職場を100として単純平均で68.3、就労者サーベイに基づく在宅勤務の主観的生産性の平均値は60.6、と示されていました、まあ、オンライン授業もこんなもんではないでしょうか。ですから、私自身は対面授業に積極的に取り組もうと考えています。生産性だけではなく、おそらく、私はオンライン授業では競争力ありません。ハーバード大学の白熱教室ではありませんが、私の授業の動画がDVDで発売されて売れるとはとても思えません。例えば、YouTubeにアップされた動画を比べられたりすると、とても有名ブランド大学の優秀な先生方の授業に勝てるとは思えませんから、リモート授業や動画にはない特徴を生かして、対面で学生の顔色を見たり質問を受けたり、いろいろときめ細かな授業をしないことには、教員としては競争力があるとはとても思えません。おそらく、対面授業に反対している先生方は、ご自分の授業の競争力に大きな自信をお持ちのことなんだろうと想像しています。福田元総理の言葉ではありませんが、私は自分のことをそれなりに客観的に見ることが出来るんではないか、と思ったりしています。そういった競争力のない大学教員の私ですが、それでも、時間のムダと思えるほどの残念な読書でした。

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次に、ジョージ・フリードマン『アメリカ大分断』(早川書房) です。著者は、ハンガリー生まれの米国の研究者であり、1996年に世界的インテリジェンス企業「ストラトフォー」を創設し、会長に就任しているそうです。英語の原題は The Storm before the Calm であり、「静けさの前の嵐」くらいのカンジかもしれません。2020年の出版です。もちろん、いうまでもなく地政学的な観点から米国を分析した本なんですが、エコノミストの私の目から見て新鮮だったのは、80年周期の「制度的サイクル」と50年周期の「社会経済的サイクル」をいう、景気循環のような波動を持って分析をしている点です。しかも、その周期が景気循環とは違って、かなり周期が一定というから驚きです。例えば、50年周期の社会経済的サイクルは、1933年のルーズベルト大統領の就任から始まって、第2次世界対戦を物ともせずにサイクルは中断することなく、1981年のレーガン大統領の就任まで続き、そこでサイクルが変わって、現在のトランプ政権でも同じサイクルのままであり、2028年まで続く、と断言しています。そして、この80年周期の「制度的サイクル」と、50年周期の「社会経済的サイクル」は2020年代にサイクルの転換点が交わる、というか、衝突するとされていて、この10年間に未曾有の危機が米国を襲うことになると予言しています。すなわち、80年周期の「制度的サイクル」は1780年代後半の独立戦争の終結と憲法制定から始まり、1865年の南北戦争によって終わり、2度目の制度的サイクルはその80年後、第2次世界大戦の終戦1945年に幕を閉じ、そうなると、現在のサイクルは2025年あたりに移行が起きることになります。そして、先ほどの50年サイクルは2028年に転換点があるわけですから、2020年代後半から2030年にかけて、米国は天地がひっくり返るくらいの大転換期を迎えることになるわけです。ついでながら、出版社のサイトから、このサイクルをよく表した画像を引用すると以下の通りです。

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でも、この予言は、トランプ大統領が再選されなかったことで外れたのではないか、と、シロートの私なんぞは考えないでもないんですが、この米国の制度的および社会経済的なサイクルは、トランプ大統領などは何ら問題ではないと断言しています。そして、出版社の売り言葉は「トランプは - そして私たち国民もみな - アメリカというジェットコースターの乗客にすぎない」というものです。私自身は2020年代後半から2030年にかけて70歳過ぎになっています。果たして何が起こるのやら、とても心配ながら、期待もあったりします。

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最後に、北原尚彦『初歩からのシャーロック・ホームズ』(中公新書ラクレ) です。著者は、作家、翻訳家、ホームズ研究家であり、いうまでもなくシャーロッキアンです。ひとつ、私が大いに驚いたのは、本書最後の第7章でアーサー・コナン・ドイル卿が書いた正典60編以外のいわゆるパスティーシュや研究所や漫画なんぞを紹介した後に、ゲームもいっぱい紹介しているんですが、そのゲームを紹介する冒頭に、著者が知りうる範囲でという断り書きを入れていて、逆にいえば、同人誌などの極めてマイナーなものを常識的に別にすれば、マンガも含めてホームズものはすべて目を通しているという自信に裏打ちされているものと考えられます。浩瀚な出版物に目を通しているということなのでしょう。それだけで私は脱帽です。私も、おそらく、正典60編はすべて読んでいると思います。特に、短編集の『冒険』については、ほぼ全話タイトルから中身を思い出すことができます。でも、さすがに、60編すべてが頭に入っているわけではありませんし、ましてや、派生モノとなれば、ほとんど知らないに等しい気がします。ジェレミー・ブレット主演のグレナダTVのシリーズも、少なくともNHKで放映された分はほぼすべて見ていると思います。京都はいざしらず、東京の区立図書館ではDVDで収蔵している館も多かったですし、私も随分と借りました。ということで、いまだに大人気のシャーロック・ホームズなんですが、私も本書で指摘しているように、キャラがキッチリと立っているのが最大の特徴であり、世界でここまで広く読まれている大きな要因だろうと想像します。我が国のミステリ界でも、江戸川乱歩の明智小五郎や横溝正史の金田一耕助など、キャラの立った名探偵は少なくありませんが、ビクトリア朝のロンドンという時代と都市を背景にしたホームズほどのキャラは、空前絶後というべきであり、長く読みつがれることと想像します。出版社でも特設サイトを用意するなど、新書としては格別の扱いではなかろうかと思います。シャーロック・ホームズのファンであれば、というか、ミステリに興味あれば、読んでおいて損はないと思います。

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