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2020年12月 3日 (木)

来週公表の7-9月期GDP統計速報2次QEは1次QEからほぼ変更なしか?

今週火曜日12月1日に公表された法人企業統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろって、来週月曜日の12月8日に7~9月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で、4~6月期にはかつてない大きなマイナス成長を記録しましたが、その大底から7~9月期にはリバウンドを見せて、1次QEでは大きなプラス成長となりました。2次QEへの修正はどうなるのでしょうか。ということで、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の10~12月期から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。しかしながら、法人企業統計のオマケで予想も引き続き少なくありませ。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+5.0%
(+21.4%)
n.a.
日本総研+5.1%
(+22.0%)
7~9月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資と公共投資が上方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+22.0%(前期比+5.1%)と、1次QE(前期比年率+21.4%、前期比+5.0%)から小幅上方修正される見込み。
大和総研+5.0%
(+21.6%)
7-9月期GDP2次速報(12月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+21.6%と、1次速報(同+21.4%)から僅かに上方修正されると予想する。上方修正の主因は設備投資のマイナス幅の縮小が見込まれることである。また、公共投資も仮置きとなっていた 9月分が反映され、上方修正されるとみられる。
みずほ総研+5.1%
(+22.1%)
10~12月期については、個人消費・輸出を中心にプラス成長が続くとみているが、足元の感染再拡大が下押し要因となり、伸びは鈍化する見通しだ。
個人消費は、10月に入ってからもGo To キャンペーン事業が押し上げ要因となり増加基調が続いていた。しかし、11月以降に北海道や関東・近畿・中部の3大都市圏を中心に感染が再拡大しており、政府は大阪・札幌着の旅行についてGo To トラベルの一時除外を決定したほか、東京都においても飲食店に対して営業時間短縮の要請を行うことを余儀なくされている。政府・自治体による経済活動の制限強化に加え、感染増加を巡る報道が人々を萎縮させる情報効果により外出自粛の動きが広まることで、11月後半から12月にかけてサービス消費は弱含む可能性が高い。冬のボーナスが大幅マイナスとなることも下押し要因となるだろう(みずほ総合研究所の予測では、民間企業の一人当たり支給額は前年比▲7.5%、民間・公務員合わせたボーナス支給総額は前年比▲9.3%と、リーマンショック後以来の大幅マイナスとなる見込みである)。
輸出は、9月までの回復基調の継続によってゲタが高くなっていることに加え、10月も米国向けの自動車輸出や中国向けのIT関連輸出などが牽引してプラスで推移した。11月以降は、欧州の感染拡大が輸送機械や資本財を中心に下押し要因となるものの、EU向け輸出のシェア(1割強)は米国や中国と比較すれば小さい。今回の欧州のロックダウンでは工場の稼働が続いていることも踏まえれば、輸出全体としては増勢を維持するとみている。自動車の増勢は鈍化に向かうものの、IT関連などが下支えし、10~12月期の輸出は前期比で高めの伸びを予想する。
一方、設備投資は横ばい圏での推移を見込んでいる。7~9月期の機械受注・民需(除く船舶・電力)は前期比▲0.1%とほぼ横ばいで推移しており、10~12月期の設備投資は低迷が続くとみられる。
治療薬・ワクチンの普及までに一定の時間を要する中、経済活動の回復は緩やかなものとならざるを得ない。当面の日本経済は、感染が収まるとモビリティ(商業施設や職場への外出状況)が回復してサービス消費が増加し、感染が再拡大するとモビリティが縮小してサービス消費も減少するといった動きを繰り返す「ノコギリ型」での推移が続くだろう。足元は、感染再拡大に伴う下振れの動きが出てきつつある状況だが、重症者数の増加で医療体制がひっ迫する懸念が強まっており(第1・2波と異なり、足元では入院者の多くが中等症以上の高熱・呼吸機能障害であり、重症化リスクが高い)、予断を許さない状況だ。引き続き、感染状況と政府の対応(Go To キャンペーン事業の運用見直しなどの規制強化)の動向を注視していきたい。
ニッセイ基礎研+5.0%
(+21.4%)
12/8公表予定の20年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比5.0%(前期比年率21.4%)になると予測する。1次速報の前期比5.0%(前期比年率21.4%)と変わらないだろう。
第一生命経済研+5.0%
(+21.6%)
先行きについても設備投資には期待し難い。新型コロナウイルスの問題収束時期がまだ見通せず、先行き不透明感の極めて強い状況が続くとみられることに加え、企業業績が低水準にとどまることで、投資絞り込みの動きが継続することが予想される。先行き、設備投資の持ち直しペースは緩慢なものにとどまるとみられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+5.0%
(+21.4%)
2020年7~9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+5.0%(年率換算+21.4%)と1次速報値の+5.0%(年率換算+21.4%)から修正されない見込みである。
三菱総研+4.9%
(+21.0%)
2020年7-9月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+4.9%(年率+21.0%)と予測します。

ということで、一昨日の法人企業統計を見た際には、私は直観的に1次QEから2次QEには下方修正、と感じたのですが、上方修正を予想するシンクタンクも少なくありません。でも、いずれにせよ、修正幅は小さそうで、前期比+5%、前期比年率+20%というラインではないかと受け止めています。先行き、というか、そもそも、足元の景気から目先の年明けについてすら極めて不透明感が強いといわざるを得ません。もちろん、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響です。日本に限らず、各国政府とも、夏くらいまでにCOVID-19の封じ込めに成功したようなつもりになって、気温が下がってインフルエンザなどが流行する季節のことを忘れて、日本のGoToキャンペーンをはじめとして経済活性化へ舵を切ったものですから、季節性の要因ともおそらく相まって、第2波、第3波のパンデミックが生じていることは明らかに観察される通りです。欧州では、再びロックダウンに入ったケースも見受けられる一方で、我が国の場合、「綸言汗の如し」といの言い回しがありますが、政府の「無謬性神話」が顔を出して間違った政策を引っ込めることも出来ず、内閣が立ち往生しているようにすら見えます。
私の見方はすでに先週月曜日11月23日に、世界医学サミット(World Health Summit)におけるグテーレス国連事務総長のビデオ・メッセージを引用しつつ示したように、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止と経済活動の両立を目指すという方針は根本的に間違っている、考えています。ですから、まずは、国民の健康、というか、グテーレス国連事務総長の言葉を借りればウィルスからの保護 (Protecting people from the virus) を実現することが政府の第1の役割です。そのために、職を失ったり、経済活動が停滞したりするのであれば、そこに的を絞って経済的な援助の手を差し伸べるべきです。例えば、何度か引用した Guerrieri,Veronica Guido Lorenzoni, Ludwig Straub, and Iván Werning (2020) "Macroeconomic Implications of COVID-19: Can Negative Supply Shocks Cause Demand Shortages?" NBER Working Paper 26918 でも、人的接触が多い部門をシャットダウンして、影響を受ける労働者に満額の保障を提供することでファーストベストを達成できる "closing down contact-intensive sectors and providing full insurance payments to affected workers can achieve the first-best allocation" と結論しています。宿泊や飲食といったCOVID-19の影響が大きくて、人的接触の多い部門に補助金をつけて人を向かわせる政策は完全な間違いと考えるべきです。
最後に、下のグラフは、一番長々と引用したみずほ総研のリポートから引用しています。

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