大きく落ちた12月の消費者態度指数から政策の方向を考える!!!
本日、内閣府から昨年2020年12月の消費者態度指数が公表されています。季節調整済みの系列で見て、前月から▲1.9ポイント低下して31.8と、4か月振りに前月を下回りました。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を前月までの「依然として厳しいものの、持ち直しの動きが続いている」から下方修正し、「足踏みがみられる」としています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
20年12月の消費者態度指数、4カ月ぶり低下 判断も下方修正
内閣府が6日発表した2020年12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯(2人以上の世帯)の消費者態度指数(季節調整値)は前月比1.9ポイント低下の31.8となった。前月を下回るのは4カ月ぶり。内閣府は消費者心理についての基調判断を「足踏みがみられる」と4カ月ぶりに下方修正した。20年11月は「依然として厳しいものの、持ち直しの動きが続いている」としていた。
新型コロナウイルスの感染再拡大などが消費者心理を冷え込ませ、指数を構成する「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4指標はいずれも前の月から低下した。4指標がすべて低下するのは20年4月以来8カ月ぶりとなる。
日ごろよく購入する物の1年後の物価見通し(2人以上の世帯が対象)では「上昇する」と答えた割合が65.9%(原数値)と前の月を2.5ポイント下回った。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について、今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と回答すればゼロになる。今回発表分の調査基準日は20年12月15日で、調査は全国8400世帯が対象。有効回答数は7415世帯、回答率は88.3%だった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。
先月11月統計の際にも明記しましたが、消費者態度指数を構成する4つのコンポーネントのうち、特に「雇用環境」が指数の前月差で▲2.9ポイントの低下と大きく悪化しているのが懸念されます。11月統計では「雇用環境」だけが前月差マイナスで、ほかの3指標はプラスを示していましたが、12月統計では、「雇用環境」のほかの3指標もすべてマイナスに転じています。すなわち、「耐久消費財の買い時判断」が▲1.9ポイント、「暮らし向き」が▲1.8ポイント、「収入の増え方」が▲0.7ポイントです。中でも、消費のための原資を稼ぎ出す「雇用環境」がもっとも前月差で大きなマイナスですから、消費が増えようはずがありません。当然、この消費者態度指数の大きな低下、すなわち、消費者マインドの悪化の背景には新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック拡大があるわけで、経済の回復のためにもまずCOVID-19パンデミックの終息に向かう取組みが必要とされるところです。COVID-19によるダメージが大きいという理由で、GoToトラベルやGoToイートのように人的接触が多いセクターへ補助金を出して人的接触を増加させるなんぞというのは真逆の政策です。繰り返しになりますが、宿泊や外食などの人的接触の多いセクターにGoToで消費者を向かわせるのではなく、そのセクターの労働者の所得を保証する政策が必要です。今の内閣は、まったくこの点が理解されていないので怖いです。
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