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2021年2月25日 (木)

ワクチン接種の遅れによる第3次の緊急事態宣言はあるのか?

先週金曜日の2月19日に、大和総研から「日本経済見通し: 2021年2月」と題するリポートが明らかにされています。実質GDP成長率の見通しは、2020年度▲5.0%、2021年度+3.8%、2022年度+2.3%と見込まれています。もちろん、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック次第であり、2021~22年度はワクチン接種の進展や米国経済見通しの改善もあって高めの成長を見込んでいるようです。ただ、私の興味を引いたのは、メイン・シナリオとともにワクチン接種が遅れる可能性を考慮したリスク・シナリオが示されていることです。

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上のグラフが、その2つのシワクチン接種のナリオと結果としての東京の新規感染者数のグラフであり大和総研のリポートから 図表7: ワクチン接種ペースが想定より遅い場合の感染状況や経済への影響 のグラフ引用しています。左側のパネルにあるように、メイン・シナリオでは、今年2021年6月最終週から全国で毎週160万人、東京で毎週16万人がワクチン接種を受け、2021年度末の2022年3月時点で国民の50%超がワクチンの2回接種を終えることを想定している一方で、リスク・シナリオではその半分のペースでしかワクチン接種が進まず、2021年度末で全国民の25%強にとどまるケースが想定されています。右側のパネルでは、そのメイン・シナリオとリスク・シナリオのそれぞれに対応する東京都ベースの新規感染者数が推計されています。ワクチン接種が遅れるリスク・シナリオでは来年2022年早々に第3次緊急事態宣言の可能性が示唆されています。ちなみに、リスク・シナリオでは感染者数はメイン・シナリオに比べて24万人ほど、また、死者数も1,000人ほど増加し、個人消費額は約▲2.3兆円減少する、と見込まれています。

私は一貫して、経済ではなく人命優先で、まず、COVID-19のパンデミック終息を最優先にすべきであり、遠回りに見えるかかもしれませんが、人命優先の方が経済の回復にも有効である可能性を指摘し続けています。しかし、「自助、共助、公助」を振りかざして、COVID-19パンデミックに対しても、あくまで個人の自己責任で対応することを現在の菅政権は目論みつつ、GoToキャンペーン政策というまったく矛盾した政策を続け、まだ、予算組替えにも応じないなど、現政権の危機対応能力はメチャクチャです。少なくとも、ワクチン接種は国民個々人の自己責任ではない点は、十分に認識されるべきです。

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