« 法人企業統計は企業部門が最悪期を脱した可能性を示唆し、も下げ止まりから改善の可能性!!! | トップページ | 緊急事態宣言解除に先駆けて2月の消費者態度指数は改善を示す!!! »

2021年3月 3日 (水)

来週公表の2020年10-12月期GDP統計2次QEは1次QEから小幅修正で足元の1-3月期はマイナス成長か?

昨日の法人企業統計など、必要な統計がほぼ出そろって、来週火曜日の3月9日に昨年2020年10~12月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。年末から新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の第3波の感染拡大が始まっていましたが、まだ、その影響は大きく現れたわけではなく、1次QEでは前期比+3.0%、前期比年率+12.7%との結果が示された後、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の1~3月期から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。1月に緊急事態宣言が出た後、関西の京阪神では2月末をもって解除された一方で、東京都をはじめとする首都圏では3月7日に予定通り終了するかは不透明となっており、そういった影響も気にかかるところです。ただし、何せ2次QEですので、法人企業統計のオマケの扱いのリポートも少なくなく、明示的に足元の1~3月期の動向を盛り込んでいるのはみずほ総研と伊藤忠総研だけでした。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+3.0%
(+12.7%)
n.a.
日本総研+2.4%
(+10.1%)
10~12月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資が大幅な下方修正となる一方、公共投資が上方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+10.1%(前期比+2.4%)と、1次QE(前期比年率+12.7%、前期比+3.0%)から下方修正される見込み。
大和総研+2.8%
(+11.6%)
2020年10-12月期GDP2次速報(3月9日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+11.6%と、1次速報(同+12.7%)から下方修正されると予想する。
みずほ総研+3.1%
(+13.1%)
1~3月期については、11都府県を対象として緊急事態宣言が1月に発令され、首都圏を除く6府県については2月末、首都圏の1都3県については3月7日まで延長されたことを受け、サービスを中心とした個人消費の落ち込みは不可避な情勢だ。輸出や設備投資についても、内外の経済活動再開後のペントアップ需要が剥落することに加え、車載向け半導体の供給制約や地震の影響が下押し要因となることで、伸びが鈍化することが見込まれる。1~3月期の日本経済は、3四半期ぶりのマイナス成長となるだろう。
前回(昨春)に比べると、今回の緊急事態宣言による経済活動への制限は緩いものになっている。前回は飲食店への時短営業要請だけでなく、遊興施設や劇場、商業施設などにも休業が要請されたが、今回は飲食店に対する時短要請に的を絞った内容となっており、商業施設等に対しては休業要請ではなく時短の「働きかけ」にとどまる。商業施設の営業が継続されるため財消費の落ち込み幅が小さいほか、生産活動が停滞せず輸出への影響が限定的であることから、昨春と比較すれば日本経済への全体的な影響は抑制されるとみられる。
ただし、対人接触型のサービス消費(外食、宿泊、旅行・交通、娯楽)は大幅な減少が避けられないほか、インバウンド需要も底這いでの推移が続く見通しだ。緊急事態宣言が解除された後も、まん延防止等重点措置や都道府県独自の対策が実施される可能性が高く、時短要請やイベント開催制限などサービス業に対する制約が一定程度残ることになるだろう。予備費の活用などにより、飲食店など対人接触型サービス業種に対する重点的な支援を行う必要がある。
ニッセイ基礎研+3.1%
(+13.1%)
3/9公表予定の20年10-12月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比3.1%(前期比年率13.1%)となり、1次速報の前期比3.0%(前期比年率12.7%)から若干上方修正されると予想する。
第一生命経済研+3.0%
(+12.8%)
3月9日に内閣府から公表される2020年10-12月期実質GDP(2次速報)を前期比年率+12.8%(前期比+3.0%)と、1次速報の前期比年率+12.7%(前期比+3.0%)からほぼ変化なしと予想する。内容も1次速報からほとんど変わらず、景気認識に変更を迫るものにはならないだろう。
伊藤忠総研+3.1%
(+12.8%)
設備投資(機械投資)の先行指標である機械受注は10~12月期こそ前期比で大幅に増加し下げ止まったものの、1~3 月期は再び減少が予想されており、建設投資の先行指標である建設着工床面積も減少基調が続いているため、このまま設備投資が拡大傾向に転じるとは見込み難い。足元で大きく増加した電気業の設備投資は振れが大きく一時的な動きの可能性もあり、むしろ設備投資は 1~3月期の反動落ちを見込んでおくべきであろう。
また、個人消費は緊急事態宣言の再発令を受けて確実に落ち込んでおり、3月にある程度の挽回を想定しても 1~3月期は前期比でマイナスとなろう。輸出も欧米向けの増勢に陰りが見らており、少なくともこれまでのような大幅増は期待できない。そのため、1~3月期の実質GDP成長率は前期比マイナス成長に転じる可能性が高いと予想される。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+3.1%
(+13.0%)
2020年10~12月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+3.1%(年率換算+13.0%)と1次速報値の+3.0%(年率換算+12.7%)からわずかに上方修正される見込みである。
三菱総研+3.0%
(+12.6%)
2020年10-12月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+3.0%(年率+12.6%)と、1次速報値(同+3.0%(年率+12.7%))からほぼ変更なしと予測する。

私の直感からしても、昨日公表された法人企業統計を見る限り、先月内閣府から公表された1次QEでは前期比+3.0%、前期比年率+12.7%の成長でしたが、修正幅は極めて小さいと見込んでいます。もっとも、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前期比+2.3%、前期比年率+9.4%となっていますので、小幅ながら下方修正を見込むエコノミストの方が多いのかもしれません。しかし、ここで注目すべきポイントは、1次QEからの変更の方向や幅ではなく、足元の1~3月期はかなり確度高くマイナス成長である、という点です。ただし、GDPやその他の経済指標はほぼほぼ市場価格で評価されていますので、本来の社会的なコストやベネフィットを反映していません。何度も強調した点ですが、短期的に目先の経済活動が低迷したとしても、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック拡大の防止に重点を置く方が、結局、中長期的に成長につながるという事実は忘れるべきではありません。
最後に、下のグラフは、みずほ総研のリポートから引用しています。

photo

|

« 法人企業統計は企業部門が最悪期を脱した可能性を示唆し、も下げ止まりから改善の可能性!!! | トップページ | 緊急事態宣言解除に先駆けて2月の消費者態度指数は改善を示す!!! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 法人企業統計は企業部門が最悪期を脱した可能性を示唆し、も下げ止まりから改善の可能性!!! | トップページ | 緊急事態宣言解除に先駆けて2月の消費者態度指数は改善を示す!!! »