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2021年3月31日 (水)

減産を示した2月統計の鉱工業生産指数(IIP)は需要要因か供給要因か?

本日、経済産業省から2月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。ヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲2.1%の減産でした。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

2月の鉱工業生産2.1%低下 半導体不足、自動車に影響
経済産業省が31日発表した2月の鉱工業生産指数(2015=100、季節調整済み)速報値は、前月比2.1%低下し95.7だった。自動車に半導体不足の影響が出たことなどで2カ月ぶりの減産となった。経産省は新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいた生産水準は回復傾向にあるとして、基調判断を「持ち直している」に据え置いた。
業種別では15業種中11業種で低下した。乗用車の減産が目立った自動車工業が8.8%の低下と落ち込んだ。2月に最大震度6強を観測した福島県沖地震の影響で部品供給が滞ったことや、半導体不足が響いたとみられる。半導体製造装置などの生産用機械工業は3.7%上昇した。
主要企業の生産計画から算出した生産予測指数では、3月に前月比1.9%低下、4月に9.3%の上昇を見込む。経産省は「回復傾向は続いているが、新型コロナやサプライチェーンの動向を注視する必要がある」としている。

いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生産は▲1.3%の減産との見込みでしたし、レンジの下限は▲3.0%でしたので、ジャストミートではないものの、それほど大きな驚きはありません。というのは、引用した記事、あるいは、別の日経新聞の記事にもあるように、3月19日に火災があった半導体大手のルネサスエレクトロニクスの那珂工場の生産停止が3~4か月に及ぶ可能性があるためです。もちろん、サプライズではないとはいえ、自動車生産への影響は10年前の東北大震災に匹敵するという見方もあるようで、決してサプライズでなければいいというものではありません。従って、製造工業生産予測指数でも3月は引き続き▲1.9%の減産の後、4月に+9.3%とドンと増産に転ずると見込まれているんですが、これは、3月21日時点で生産再開の目標時期を「1か月以内」としていた情報に基づくものであり、車載半導体の減産が長引けば我が国リーディング・インダストリーである自動車産業の減産も長引き、ひいては関連業界への影響も決して無視できません。ルネサス社によれば、3月19日の火災前に途中段階まで作っていた仕掛かり品が完成し、出荷するめどが60日以降、さらに、出荷が火災前の水準に回復するには90~120日程度かかる、と説明しており、このため、トヨタ自動車や日産自動車は減産する方向、と日経新聞の記事では報じられており、生産の技術面は専門外ながら、一定の影響は出る可能性については私にも理解できます。今までは、供給サイドの制約については、外食や宿泊などをはじめとする対人接触の大きなセクターが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック防止に伴うソーシャル・ディスタンシングの影響を受けることはあっても、製造業では想定していなかっただけに、COVID-19とは別のところから供給制約が現れたわけです。COVID-19パンデミックについても緊急事態宣言を解除しながら、一向にワクチン接種が進まず、第4波の感染拡大期に入っていることは私のようなシロートの目から見ても明らかなわけですし、需要と供給の両サイドから生産の先行きには不透明感がいっぱいです。

基本的には、日本以外の世界ではCOVID-19ワクチン接種が進んでいますから外需はそれなりに堅調と考えられますが、ワクチン接種の進まない国内需要はCOVID-19パンデミックの第4波に見舞われ、我が国リーディング・インダストリーの自動車産業は供給制約が発生し、内需について目先は回復の腰折れを防ぐ政策が必要です。ついでながら、明日公表予定の日銀短観でも車載半導体の供給制約は織り込まれていない可能性が高く、もしそうだとすれば、少し割り引いて考える必要があるのかもしれません。

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