3四半期ぶりの下降超となった足元の法人企業景気予測調査をどう見るか?
本日、財務省から1~3月期の法人企業景気予測調査が公表されています。統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)は足元1~3月期で▲4.5でした。下降超のマイナスは2020年4~6月期以来3四半期ぶりです。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
大企業景況感、1-3月マイナス4.5 4-6月はプラス2.5
財務省と内閣府が12日発表した法人企業景気予測調査によると、1~3月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス4.5だった。3四半期ぶりのマイナスで、前回調査の2020年10~12月期はプラス11.6だった。先行き4~6月期の見通しはプラス2.5だった。
1~3月期は大企業のうち製造業がプラス1.6で、非製造業はマイナス7.4だった。中小企業の全産業はマイナス31.4だった。
21年度の設備投資見通しは前年度比7.6%増だった。20年度は9.2%減だった。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。
続いて、法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業の景況判断BSIのグラフは下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は、企業物価(PPI)と同じで、景気後退期を示しています。これまた、直近の2020年4~6月期直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで認定しています。
統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)で見ると、2020年4~6月期に、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応した緊急事態宣言によるロックダウンの影響を受けて、▲47.5の大きなマイナスを記録した後、2四半期連続のプラスを記録したものの、地域限定とはいえ再度の緊急事態宣言により足元1~3月期には3四半期ぶりの下降超となりました。大企業のうち、製造業では+1.6、非製造業では▲7.4ですから、中国や米国など世界経済回復の恩恵を受ける製造業と、人的コンタクトが避けられない宿泊業、飲食サービス業などでまだ低い水準を続ける非製造業の差が出ています。具体的に、足元1~3月期の大企業の産業別で見たBSIは、宿泊業、飲食サービス業が▲76.7、娯楽業▲56.4、生活関連サービス業▲33.3などが大きなマイナスを記録しています。ただし、先行き4~6月期の大企業全産業のBSIは+2.5、7~9月期は+7.1と、プラスに転じてその幅が拡大していくと見込まれています。加えて、2021年度の設備投資計画は+7.6%増と、2020年度の▲9.2%減をカバーするほどではありませんでしたが、増加の計画が示されています。製造業+7.9%増、非製造業+7.4%増と大きな差はありませんもちろん、ワクチン接種の進展に伴う景気回復期待も大きいのでしょうが、この統計のクセのようなものも含まれている可能性が十分あると私は考えています。
さて、4月1日に公表される予定の3月調査の日銀短観やいかに?
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