国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」見通し編を読む!!!
この週末に予定されている春の世銀・IMF総会に向けて「世界経済見通し」見通し編 World Economic Outlook が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。ヘッドラインとなる世界の経済成長見通しは今年2021年+6.0%、来年2022年+4.4%と見込まれています。今年2021年1月時点での見通しから、2021年は+0.5%ポイント、2022年も+0.2%ポイント、それぞれ上方改定されています。まず、成長率の総括見通しのテーブルをIMFのサイトから引用すると以下の通りです。ただ、これではあまりに愛想がないので、下の画像をクリックすると、リポート pp.8-9 Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections だけを抜き出したpdfファイルが別タブで開きます。
昨日のうちに分析編を概観しておきましたので、本編たる見通し編についても簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、大学教員として気にかかる教育面での新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響ですが、上のグラフはリポートから p.5 Figure 1.9. Global Education Losses Due to the COVID-19 Pandemic を引用しています。昨年2020年における平均的な教育の損失日数をプロットしてあります。軽く想像される結果ですが、先進国では教育損失はそれほど大きくありませんが、低所得国ほど損失が大きくなっています。この教育の損失は世界的な国間レベルでの格差拡大のひとつの要因と考えるべきです。
次に、上のグラフはリポートから p.7 Figure 1.13. Effect of Lockdowns on Activity: Beginning versus End, 2020 を引用しています。2020年4月までの第1波の感染拡大と10~12月の第3波の感染拡大におけるロックダウン強度を横軸の stringency index で計測し、縦軸は composite PMI なんですが、大雑把に経済活動のレベルと考えていいでしょう。2020年年初の状況を示す赤いドットにおいては、我が日本はロックダウンの強度はそれほどでもなかったのですが、10~12月期はかなり平均的なロックダウン強度と経済活動の落ち込みを記録しているように見えます。
いずれにせよ、IMFのリポートをザッと読んだ限りでは、経済回復のカギはワクチン接種にあります。ですから、政治的な利権が絡んだGoToキャンペーンに執心するより、ワクチンをしかるべく確保し効率的に接種するような手立てが、実は、経済回復にはもっとも重要な政策手段なのだろうと私は考えています。その点で、日本政府は絶望的に遅れているとしか思えません。
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