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2021年4月 5日 (月)

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」分析編を読む!!!

春の世銀・IMF総会に向けて「世界経済見通し」分析編 Analytical Chapters of the World Economic Outlook が公表されています。今回の「世界経済見通し」分析編は豪華3本立て、以下の通りです。

Ch 2
After-Effects of the COVID-19 Pandemic: Prospects for Medium-Term Economic Damage
Ch 3
Recessions and Recoveries in Labor Markets: Patterns, Policies, and Responses to the COVID-19 Shock
Ch 4
Shifting Gears: Monetary Policy Spillovers During the Recovery from COVID-19

各チャプターからグラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。もちろん、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的な影響が中心になります。なお、明日は第1章の見通し編が公表される予定です。

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まず、第2章はタイトル通り、中期的な新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的影響を分析しています。上のグラフはリポート p.54 Figure 2.12. Medium-Term Output Losses を引用しています。中期とはどれくらいかというと five-year horizon としています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のGDP損失は先進国よりも新興国・途上国で大きいと見込まれています。どうして先進国でダメージが小さいかというと、政策支援とワクチンの効果、their larger policy support and anticipated faster access to vaccines and therapies と分析しています。ただ、前回のリーマン証券破綻後の世界金融危機よりも今回のCOVID-19の方が経済損失が小さい理由は特に触れられていません。私はCOVID-19の経済的ダメージは短期的には金融危機よりも大きかったと考えているのですが、逆に、中期的に小さい理由は不良債権の発生が少ないからだろうと想像しています。我が国が1990年代初頭のバブル崩壊後に長い経済停滞に陥ったのは、もちろん、日銀の不適切な金融政策対応もありますが、膨大な不良債権が積み上がったことも大きな要因と考えています。その意味で、リーマン証券破綻後の世界金融危機は世界レベルで不良債権が発生しましたが、今回のCOVID-19ショックではそれほどの不良債権の発生を見ていないのは明らかです。

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次に、第3章ではCOVID-19の経済的影響のうち労働市場に関する不平等が拡大する方向のインパクトを分析しています。上のグラフはリポート p.64 Figure 3.1. Labor Market Conditions in Advanced Economies を引用しています。実は、この次の Figure 3.2. は新興国・途上国における同じ趣旨のグラフであったりします。大きくは違いませんし、日本は先進国でしょうからコチラのグラフを引用しておきます。ということで、左側のパネルは縦に見て失業率の変化、右側は労働参加率の変化、ということになります。年齢的にはいわゆる壮年よりも若年層が不利な結果を受け、性別には男性、熟練度では低熟練労働者に対して、それぞれ大きなマイナスのショックが及んでいます。年齢階級は24/25歳でカットしていて、熟練度は大卒かそれ未満かで区別しています。ちょっと意外なのは、女性よりも男性の方のショックが大きい点です。ただ、失業率と労働参加率で計測していますので、労働市場から退出した女性がそのまま就労意欲を低下させて非労働力人口化した可能性が十分あると私は考えています。

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最後に、第4章ではCOVID-19の経済的ダメージからの回復局面において、ワクチン接種と大規模な財政政策で米国が先行しているわけですが、その米国経済の回復がもたらす金利上昇が新興国や途上国経済に決していい影響を及ぼすものではない、と分析しています。すなわち、2013年のテイパー・タントラムの再来、a repeat of the "taper-tantrum" episode of 2013 を思い起こさせるとしています。特に、途上国ではワクチンへのアクセスに遅れが生じており、加えて、財政支援の余地が限定されているため、途上国では先進国の景気回復に比べて時間がかかる見込みであるからです。上のグラフはリポート p.90 Figure 4.12. Effects of Positive News about US Economic Activity を引用しています。米国マクロ経済の代表的な指標である雇用統計のうちの非農業部門雇用者数の2標準偏差のサプライズに対する反応を中心値と90%信頼区間で表示しています。米国雇用統計の positive news に対して、途上国では金利が上昇し景気回復にマイナスの影響を及ぼしかなねい結果が示されています。

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