海外紙の論調を見つつ東京オリンピック中止の決断について考える!!!
やや旧聞に属する話題も含めて、海外紙でいくつか開幕100日前のタイミングで東京オリンピックに関するコラムが取り上げられています。まず、もっとも注目すべき論調のひとつとして、今週月曜日の4月12日に New York Times 紙にて "It's Time to Rethink the Olympics" と題するコラムが掲載されています。タイトルは幅広くオリンピックについて考え直すことを提唱していて、例えば、北京冬季オリンピックのボイコット問題なども取り上げています。しかし、日本では、もちろん、今夏の東京オリンピックに対してとても否定的な見解が示されたと受け止められています。例えば、共同通信は「東京五輪は『最悪のタイミング』 一大感染イベントと米紙」と題して発信されています。まず、New York Times 紙のサイトから記事のうちの東京オリンピックに関する4パラだけを引用すると以下の通りです。
It's Time to Rethink the Olympics
In July, yet another wildly overbudget Summer Games, originally slated for 2020 but postponed because of the pandemic, will begin in Tokyo.
The timing remains awful.
Japan has worked hard to tamp down the coronavirus, but now cases are creeping up, and the nation's vaccination rate is lagging. Organizers just rerouted the torch relay planned this week to reach the streets of Osaka, where one health official said the spread of new variants had pushed the medical system to "the verge of collapse."
Into this troubled environment, 11,000 athletes from all corners of the globe will descend, along with coaches, officials, Olympic support staff, media workers and more. The Tokyo Games could end up being a three-week superspreader event that leads to death and illness across Japan and far beyond.
引用したうちの大きなサイズの青いフォントの部分が共同通信のタイトルになっている「最悪のタイミング」とか、「一大感染イベント」に相当するんではないかと思います。ほかに、英国紙も否定的な論調を示しており、取りあえず、タイトルだけ示すと以下の通りです。
- The Times: 100 days until Tokyo and only certainty is the uncertainty...
- The Guardian: The Guardian view on the Tokyo Olympics: must the show go on?
ということで、後者の The Guardian では明確に "With coronavirus surging in Japan and internationally, this summer's Games are a risky prospect" と指摘していますし、前者のThe Times では "The question of whether the Games will happen appears resolved for now, though whether they should is a debate still causing vexation among the Japanese public, with more than 70 per cent in the latest poll against staging the Games this summer." として、我が国の国内世論も否定的であると論じています。
その国内世論について、私が直近で見た新聞社の世論調査でも、先週末の調査結果が朝日新聞のサイトにあり、東京オリンピックは中止35%、延期34%で、今夏開催は28%にとどまっていて、国内の支持もほとんどないといえます。同じ朝日新聞のサイトからそのグラフを引用すると上の通りです。観客についても通常通りとする意見はごく少数です。このブログでも3月22日付けで新聞通信調査会から「対日メディア世論調査」の結果を取り上げていて、諸外国でも調査対象となったすべての国で中止+延期が70%を超えていると紹介しましたが、日本でもまったく同じです。
私も、東京オリンピック・パラリンピックは中止すべきであると考えています。ただ、3月22日の記事でも指摘したように、いわゆる「兵力の逐次投入」の逆で、「五月雨式撤退」になりそうな予感もします。すなわち、まず、すでに決まった海外からの観戦客の受入れをヤメにして、次に、国内の観戦客もヤメにして無観客とし、いくつかの国からの選手団の派遣がポロポロと櫛の歯が抜けるようにヤメになり、最後に開催そのものがヤメになる、というところなんでしょうが、最後の決断を現政権は出来ない可能性も併せて指摘しておきたいと思います。ですから、おそらく、米国あたりからの強力な外圧をもってオリンピック中止の判断が下るのではないか、と私は予想しています。恐ろしいことに、現在の菅内閣はそこまで無能な気がしてなりません。
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