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2021年5月12日 (水)

基調判断が「改善」に上方修正された3月統計の景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から3月の景気動向指数公表されています。CI先行指数が前月から+4.3ポイント上昇して103.2を示し、CI一致指数も前月から3.2ポイント上昇して93.1を記録しています。統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

3月の景気一致指数、3.2ポイント上昇 市場予想3.0ポイント上昇
内閣府が12日発表した3月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比3.2ポイント上昇の93.1となった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は3.0ポイント上昇だった。数カ月後の景気を示す先行指数は4.3ポイント上昇の103.2だった。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「上方への局面変化」から「改善」に変更した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。

短いながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。

photo

ということで、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「上方への局面変化」から「改善」に上方改定しています。基準として上げられているのは、3か月後方移動平均が3か月連続して上昇していて、当月の前月差の符号がプラスですから、これを満たしたことになります。もちろん、シンクタンクの予想を昨日付けのこのブログで取り上げましたが、来週公表予定の1~3月期GDP速報1次QEがマイナス成長と見込まれているだけに、やや機械的な判断という批判が出るかもしれません。まあ、判断基準がとても透明性高いので仕方ありません。
3月統計について特にCI一致指数を詳しく見ると、商業販売額(小売業)(前年同月比)、輸出数量指数、労働投入量指数(調査産業計)などの寄与が大きくなっています。また、4月については、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対応した緊急事態宣言が4月25日からという遅い時期でしたし、景気動向指数と連動性の高い鉱工業生産指数(IIP)の製造工業生産予測指数は4月もプラスとなっていることから、引き続き、「改善」となる可能性が高いと私は考えています。しかし、足元の5月については緊急事態宣言の影響が全面的に及ぶこともあり、またそれだけに、製造工業生産予測指数がマイナスに転じると予想されていることもあって、CI先行指数がプラスとはいえ、やや停滞感が出る可能性は否定できません。

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