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2021年5月25日 (火)

東大グループ藤田・仲田「五輪開催の感染への影響: 定量分析」はどのように報じられたか?

東京大学経済学部の仲田泰祐准教授と藤井大輔特任講師のグループが、東京オリンピックによる新型コロナウィルス感染症(COVID-19)感染拡大のシミュレーション結果を「五輪開催の感染への影響: 定量分析」と題して明らかに知って、昨日5月24日付けで修正版も出ています。5月上旬にこの2人が総理大臣官邸に呼ばれたとの報道もあって、いくつかのメディアで報じられています。なお、このグループの研究成果は「日本でのCovid-19と経済活動」というサイトに公開されています。6月中旬に緊急事態宣言が解除された後のシミュレーション結果のグラフを「五輪開催の感染への影響: 定量分析」p.17 から引用すると以下の通りです。変異株の影響は含まれていない、緊急事態宣言は6月中旬解除、などの前提が置かれていますが、その他の入国者数やワクチン接種などの設定について詳しくは「五輪開催の感染への影響: 定量分析」を見て下さい。

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もちろん、サイトで注意を促されているように、「変異株の感染力を含め、今後の見通しを左右する様々な要素には大きな不確実性が存在」するわけですし、そもそも、悲しいかな、私はこの結果を評価するだけの専門性を欠いています。しょうがないので、メディアでどのように報じられているかを以下のように取りまとめてみました。

もちろん、大手メディアが報じているのですから、報道はかなり正確です。ただ、どのような角度から報じられているのは興味あるところです。すなわち、上からオリンピックに否定的と私が考える順です。何と、NHKがもっとも否定的と私は受け止めており、人流10%増で感染者3倍、というのは、たぶん、その通りなんだろうと思います。ただ、資料が差し替えられている可能性が高く、私が見たスライドには人流10%増のシミュレーション結果は発見できませんでした。朝日新聞と産経新聞はともに客観的な内容であり、特に、朝日新聞はもっとも客観的な報道であり、入国者よりも都内の人流の増加が感染拡大に影響する、という点を強調しています。産経新聞も基本的な事実関係は同じなのですが、人流を無視して単に入国の影響が限定的と報じています。私にいわせれば、不正確とまではいわないにしても、日経新聞がもっとも偏向していて、単に感染像は限定的と報じています。

繰り返しになりますが、私は最新版ということで、5月24日に差し替えられた[修正版]から引用していて、グラフには人流の増加のケースが2%と6%しかなく、NHKが報じているような人流10%増の結果は含まれていません。まあ、私は確認できませんが、差替えの際に10%ケースを削除したのであれば、これはこれでミスリードを誘おうとの意図があるんではないか、と研究グループの方が情報操作的な印象を持たれる可能性も否定できません。

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