急に上昇率が高まった企業物価指数(PPI)をどう見るか?
本日、日銀から4月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+3.6%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
4月の企業物価指数3.6%上昇 6年7カ月ぶり高水準
日銀が17日発表した4月の企業物価指数(2015年平均=100)は103.0と、前年同月比で3.6%上昇した。14年9月以来、6年7カ月ぶりの伸び率だった。石油製品や化学製品などの値上がりを反映した。前月比では0.7%上昇し、5カ月連続のプラスとなった。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。足元の資源高を受け、原油などを原料とする製品や、非鉄金属が中心となって価格を押し上げた。前年に新型コロナウイルス感染拡大の影響で価格が大きく落ち込んだ反動もあった。
円ベースでの輸出物価は前年同月比8.2%上昇、前月比では1.5%上昇した。円ベースでの輸入物価は前年同月比で15.1%上昇、前月比で2.4%上昇した。輸入では海上運賃の上昇が反映された品目もあった。
公表している744品目のうち、前年同月比で上昇したのは339品目、下落したのは289品目だった。
続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。
このところ、順調に足元で物価が下げ止まりつつあると私はと評価していますが、まさに、その通りの展開と受け止めています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではPPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比で+3%少々の上昇で、レンジの上限でも+3.3%でしたから、かなり上振れたといえます。資源価格の上昇に起因するとはいえ、私は少し前から順調に物価上昇率が拡大していると受け止めています。国内物価について品目別で前年同月比を詳しく見ると、石油・石炭製品が+39.3%、非鉄金属が+35.2%、化学製品+7.7%、鉄鋼と木材・木製品がそれぞれ+4.7%などとなっています。季節調整していない原系列の統計ながら、前月比も+0.7%の上昇を示しており、品目別でも、石油・石炭製品、化学製品、非鉄金属の寄与が大きく、国際商品市況における石油ほかの1次産品価格の上昇とともに、中国をはじめとする新興国における景気回復が背景にあるものと考えるべきです。例えば、輸入物価のうち国内通貨建ての原油価格は昨年2020年3月から12か月連続で前年同月比マイナスを記録していたのですが、今年2021年3月には+7.6%、直近で統計が利用なこうな4月には何と+72.9%と跳ね上がっています。ですから、価格水準としてはそれほど高くはないものの、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)ショックで低迷していた資源価格が元に戻りつつあると考えるべきです。内需などの需要サイドからの物価押上げではなく、資源価格によるコストプッシュの色彩が強いものの、まあ、それはそれで、デフレから本格的に脱却できればいいような気がしないでもありません。
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